プレイバック

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プレイバックの評価:

4.20/5点 レビュー 50件。 C ランク

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平均点4.20pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全61件 21〜40 2/4ページ
No.41
(5pt)

作者に感謝します。

大いに楽しんでいます。
プレイバック (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-3)) Amazon書評・レビュー: プレイバック (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-3))より
4150704538
No.40
(5pt)

謎とき『プレイバック』

本書は私立探偵マーロウ・シリーズの七作目にしてチャンドラーの遺作となりました。
いつもながらのマーロウ節には、永遠の若さを書き留めようとする作者の想いも感じられます。

【前半部】
私立探偵マーロウは、弁護士のアムニーなる人物から半ば強引に依頼を請けた。
機知と偶然が織りなす追跡劇。二つの名前を持つ女。死体の消滅。
彼は全てが想定された筋書きのなかで、自分がおとりの役割を担っていたことを知らされる。

ここまでの前半部で『羊をめぐる冒険』に描かれていたのとよく似た場面が登場することに気づきました。後半部に入るとますます頻発することから、どうやらその関係性は意図的なもののようです。

【後半部】
美人秘書ヴァーミリアとの一夜のロマンスを経て、マーロウは真相の解明に再び取り掛かる。
老紳士おおいに語る。エスペランザの町の誕生と発展。木賃宿の中でみつけたもの。
金と権力が支配する裏社会を読み解いた彼は、何も受け取らずに日常へ戻って行く。

村上春樹は最初の長編作品となる『羊をめぐる冒険』に本書のプロットを大胆に導入しているようです。それは敬愛するレイモンド・チャンドラーへのオマージュと同時に、遺作でもある本書の系統を引き継ぐという意味を込めたのかもしれません。(訳者あとがきではその辺のことについて一切触れていませんので、自明過ぎることなのかもしれませんが)

推理小説の形式を採りながら新しい文芸を志向した彼の最期の作品である本書は、エスペランザの建設に携わった父と娘の挿話にも見立てられる壮大な試みの到達点とも言えます。
謎を謎のまま突き放す乾いた文体に、成熟した男の姿を求め続ける独自の世界観。軟弱者を寄せつけない、顎の強さを要する本格派。これぞハードボイルド!
プレイバック (ハヤカワ・ミステリ文庫) Amazon書評・レビュー: プレイバック (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
415070466X
No.39
(5pt)

謎とき『プレイバック』

本書は私立探偵マーロウ・シリーズの七作目にしてチャンドラーの遺作となりました。
いつもながらのマーロウ節には、永遠の若さを書き留めようとする作者の想いも感じられます。

【前半部】
私立探偵マーロウは、弁護士のアムニーなる人物から半ば強引に依頼を請けた。
機知と偶然が織りなす追跡劇。二つの名前を持つ女。死体の消滅。
彼は全てが想定された筋書きのなかで、自分がおとりの役割を担っていたことを知らされる。

ここまでの前半部で『羊をめぐる冒険』に描かれていたのとよく似た場面が登場することに気づきました。後半部に入るとますます頻発することから、どうやらその関係性は意図的なもののようです。

【後半部】
美人秘書ヴァーミリアとの一夜のロマンスを経て、マーロウは真相の解明に再び取り掛かる。
老紳士おおいに語る。エスペランザの町の誕生と発展。木賃宿の中でみつけたもの。
金と権力が支配する裏社会を読み解いた彼は、何も受け取らずに日常へ戻って行く。

村上春樹は最初の長編作品となる『羊をめぐる冒険』に本書のプロットを大胆に導入しているようです。それは敬愛するレイモンド・チャンドラーへのオマージュと同時に、遺作でもある本書の系統を引き継ぐという意味を込めたのかもしれません。(訳者あとがきではその辺のことについて一切触れていませんので、自明過ぎることなのかもしれませんが)

推理小説の形式を採りながら新しい文芸を志向した彼の最期の作品である本書は、エスペランザの建設に携わった父と娘の挿話にも見立てられる壮大な試みの到達点とも言えます。
謎を謎のまま突き放す乾いた文体に、成熟した男の姿を求め続ける独自の世界観。軟弱者を寄せつけない、顎の強さを要する本格派。これぞハードボイルド!
プレイバック Amazon書評・レビュー: プレイバックより
415209656X
No.38
(2pt)

期待外れ

原尞の小説を読み尽くしてしまったので、原尞が影響を受けたというレイモンド・チャンドラーに手を出したという次第だ。はっきり言って、期待外れもいいところだ。物語の作りもつまらないし、惹きつけられる場面もない。拍子抜けの事件だしね。村上春樹の翻訳もなんだか統一感のない分かりにくいこなれていないものだ。「彼女をピックアップして」だって?ちゃんと日本語にしろよな。「タフ」というカタカナも頻発していて、鬱陶しい。あの有名なセリフ「タフでなければ生きていけない。優しくなければ生きている資格がない」も、確かに小説の中では浮いているなあ。出てくるさまざまな人物模様は楽しめるところがあった。原尞の小説のほうがはっきり、きっぱりと言うが、面白い。
プレイバック (ハヤカワ・ミステリ文庫) Amazon書評・レビュー: プレイバック (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
415070466X
No.37
(2pt)

期待外れ

原尞の小説を読み尽くしてしまったので、原尞が影響を受けたというレイモンド・チャンドラーに手を出したという次第だ。はっきり言って、期待外れもいいところだ。物語の作りもつまらないし、惹きつけられる場面もない。拍子抜けの事件だしね。村上春樹の翻訳もなんだか統一感のない分かりにくいこなれていないものだ。「彼女をピックアップして」だって?ちゃんと日本語にしろよな。「タフ」というカタカナも頻発していて、鬱陶しい。あの有名なセリフ「タフでなければ生きていけない。優しくなければ生きている資格がない」も、確かに小説の中では浮いているなあ。出てくるさまざまな人物模様は楽しめるところがあった。原尞の小説のほうがはっきり、きっぱりと言うが、面白い。
プレイバック Amazon書評・レビュー: プレイバックより
415209656X
No.36
(2pt)

ハードボイルド・テイストが少し崩れた探偵小説

「大いなる眠り」は村上春樹氏の翻訳版しか購入できず、こちらでは村上春樹氏の翻訳ではない旧翻訳の本を入手できて読みましたが、比較するとかなり滑らかで雰囲気が出ていてやはりこちらの方がいいなと思いました。
登場時の人物像と話が進んで行くについて変わっていく重要人物と、最初から変わらない本筋に関係のない人物の対比が面白いなと思いました。

ただ、「大いなる眠り」の後で読むとマーロウが別人物かと思えるほど女性にだらしなく、依頼人も抱くというところにブレを感じました。
昔自己啓発書で読んで気になっていた「男は強くなければ生きていけない。優しくなければ生きていく資格がない」が少し異なる翻訳で「しっかりしていなかったら、生きていられない。やさしくなれなかったら、生きている資格がない」と出てきますが、出てくる文脈が、依頼人の女性と一夜を共にした後で女性から皮肉気に「なぜそんなにしっかりしているのにやさしくなれるの?」と聞かれた時の返答という想定外にナンパな下りで驚きました。先にこの本を読んでいたら特に頭に残らない言葉だったかもしれません。
プレイバック (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-3)) Amazon書評・レビュー: プレイバック (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-3))より
4150704538
No.35
(3pt)

チャンドラー節はあるけれど

村上さん翻訳のチャンドラーは全部読んでいます。今回もシチュエーションとマーロウの小粋な台詞回しは健在です。
ただ、他のチャンドラー作品よりも登場人物の思考回路についていけない点が多く感じられました。特にホテルにいる老紳士がマーロウに語る部分が何ページもあるのですが、必然性を感じられずただただ苦痛でした。。。

総じていうと、チャンドラー節は健在ですので他のシリーズ読んだ方にはおすすめです。
プレイバック Amazon書評・レビュー: プレイバックより
415209656X
No.34
(3pt)

チャンドラー節はあるけれど

村上さん翻訳のチャンドラーは全部読んでいます。今回もシチュエーションとマーロウの小粋な台詞回しは健在です。
ただ、他のチャンドラー作品よりも登場人物の思考回路についていけない点が多く感じられました。特にホテルにいる老紳士がマーロウに語る部分が何ページもあるのですが、必然性を感じられずただただ苦痛でした。。。

総じていうと、チャンドラー節は健在ですので他のシリーズ読んだ方にはおすすめです。
プレイバック (ハヤカワ・ミステリ文庫) Amazon書評・レビュー: プレイバック (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
415070466X
No.33
(4pt)

そのように答えられるはずがない

19歳の時に清水俊二さんの訳で読んだ「プレイバック」ですが、今回はじめて村上春樹さん訳で読んでみました(その間にも清水版「プレイバック」を繰り返し読んでいますが)。
 改めて「プレイバック("Playback")」(作:レイモンド・チャンドラー、早川書房)を読む。
 弁護士からの依頼により私立探偵フィリップ・マーロウは、ユニオン・ステーションに出向き、スーパー・チーフ号に乗るベティ・メイフィールドの尾行を開始します。そこから先は、スリラーであるにも関わらず特に何も起きません(笑)書きたくとも書けないぐらい、静かに物語は進行します。次々と怪しげな男女が登場し、マーロウとのワイズ・クラックに満ちた会話をただ繰り返すだけです。勿論、事件があり、殺人も起こり、犯人が明らかにされて事件には解決が与えられます。この小説は、服飾で言えばオーセンティック・IVYのような基本的なハードボイルドの結講を持つ、極めてシンプルなストーリーによるアベレージな作品(笑)と言えますが、村上春樹さんの解説にもあるとおり、ある有名な台詞が一人歩きすることによって、世の中のハードボイルド好きにとっては、必読推薦図書のような小説となってしまいました。

 25章、ベティは、マーロウに以下のように尋ねます。
 「これほど厳しい心を持った人が、どうしてこれほど優しくなれるのかしら?」
 「If I wasn't hard,I wouldn't be alive.If I couldn't ever be gentle,I wouldn't deserve to be alive.」
 上記の英文は、かつて「渡辺武信詩集」から学びました。それ以来、僕自身にも様々なトラウマを生み出したことは間違いがありません(笑)
 現実世界では、誰もそのようには尋ねないし、僕もそのように答えられるはずがない。

 今回読んでみて改めて思ったことは、舞台であるエスメラルダ(サンディエゴ、ラ・ホヤ)の描写が爛熟した気品のようなものを醸し出していることと、特筆すべきは、ホテルに住みつくヘンリー・クラレンドン四世とマーロウとの哲学的な会話に(ほとんどは、ヘンリーの独白だが)、例えようもなくうっとりと聞き入ってしまうことにあるかもしれません。それは、まるでフィリップ・マーロウと老境に入った作者自身、レイモンド・チャンドラーが会話しているような、そんな興趣が感じられました。
 「。。。この世には悲惨が溢れているし、悲惨な目にあうのはだいたい常に無辜の人々なのだ。イタチによって巣穴に追い込まれた母ウサギはどうして赤ん坊たちを背後に隠して、自分の喉を裂かれることを選ぶのだろう?なぜだね?。。。。君は神を信じるかね、若い人?」
 そう、ヘンリーはマーロウに尋ねます。そして、おそらく僕もまた何度でもその問いかけを思い出すことになるのでしょうね。時にイエスであったり、時にノーであったり。
 それが、僕がこの小説から学んだもう一つの"Playback"なのだと思います。
プレイバック Amazon書評・レビュー: プレイバックより
415209656X
No.32
(4pt)

そのように答えられるはずがない

19歳の時に清水俊二さんの訳で読んだ「プレイバック」ですが、今回はじめて村上春樹さん訳で読んでみました(その間にも清水版「プレイバック」を繰り返し読んでいますが)。
 改めて「プレイバック("Playback")」(作:レイモンド・チャンドラー、早川書房)を読む。
 弁護士からの依頼により私立探偵フィリップ・マーロウは、ユニオン・ステーションに出向き、スーパー・チーフ号に乗るベティ・メイフィールドの尾行を開始します。そこから先は、スリラーであるにも関わらず特に何も起きません(笑)書きたくとも書けないぐらい、静かに物語は進行します。次々と怪しげな男女が登場し、マーロウとのワイズ・クラックに満ちた会話をただ繰り返すだけです。勿論、事件があり、殺人も起こり、犯人が明らかにされて事件には解決が与えられます。この小説は、服飾で言えばオーセンティック・IVYのような基本的なハードボイルドの結講を持つ、極めてシンプルなストーリーによるアベレージな作品(笑)と言えますが、村上春樹さんの解説にもあるとおり、ある有名な台詞が一人歩きすることによって、世の中のハードボイルド好きにとっては、必読推薦図書のような小説となってしまいました。

 25章、ベティは、マーロウに以下のように尋ねます。
 「これほど厳しい心を持った人が、どうしてこれほど優しくなれるのかしら?」
 「If I wasn't hard,I wouldn't be alive.If I couldn't ever be gentle,I wouldn't deserve to be alive.」
 上記の英文は、かつて「渡辺武信詩集」から学びました。それ以来、僕自身にも様々なトラウマを生み出したことは間違いがありません(笑)
 現実世界では、誰もそのようには尋ねないし、僕もそのように答えられるはずがない。

 今回読んでみて改めて思ったことは、舞台であるエスメラルダ(サンディエゴ、ラ・ホヤ)の描写が爛熟した気品のようなものを醸し出していることと、特筆すべきは、ホテルに住みつくヘンリー・クラレンドン四世とマーロウとの哲学的な会話に(ほとんどは、ヘンリーの独白だが)、例えようもなくうっとりと聞き入ってしまうことにあるかもしれません。それは、まるでフィリップ・マーロウと老境に入った作者自身、レイモンド・チャンドラーが会話しているような、そんな興趣が感じられました。
 「。。。この世には悲惨が溢れているし、悲惨な目にあうのはだいたい常に無辜の人々なのだ。イタチによって巣穴に追い込まれた母ウサギはどうして赤ん坊たちを背後に隠して、自分の喉を裂かれることを選ぶのだろう?なぜだね?。。。。君は神を信じるかね、若い人?」
 そう、ヘンリーはマーロウに尋ねます。そして、おそらく僕もまた何度でもその問いかけを思い出すことになるのでしょうね。時にイエスであったり、時にノーであったり。
 それが、僕がこの小説から学んだもう一つの"Playback"なのだと思います。
プレイバック (ハヤカワ・ミステリ文庫) Amazon書評・レビュー: プレイバック (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
415070466X
No.31
(5pt)

これが遺作とおもえば感慨深く読みおえることができた。

一月ほど前になるがチャンドラーのマーロウ・シリーズ第一作『大いなる眠り』を何十年ぶりに読んだが、このシリーズ最期の『プレイバック』(チャンドラーの遺作となった1958年の作品)だけを読んだ記憶がなくAmazonで入手して読むことにした。
 訳者の清水俊二氏も巻末の解説でチャンドラーらしくない異色な作品であると書いていた。
 その理由として清水氏は、ストーリーにあまり関係のない部分がいつもの作品にくらべてはるかに多いと述べている。
 清水氏は、ホテルに滞在しているヘンリー・クラレンドンという老人が唐突に登場し、神の存在や死後の世界について語らせるチャンドラーの意図を理解できないとも書き添えていた。
 評者は、マーロウ・シリーズをこの3年ほどで『さらば愛しき女よ』『長いお別れ』『大いなる眠り』と読み終え、本作『プレイバック』を読み終えたが、やはり、いままで読んだ作品とは違う異質な雰囲気を感じてしまった。
 パリから『長いお別れ』で登場したリンダ・ローリングから電話があり、とつぜん結婚を申し込まれるなど唐突すぎてなんの余韻も残さずエンディングを迎えるところも拍子抜けしながら読んでしまった。
 ストーリーにあまり関係ないところで興味を惹いたのは、マーロウが監視対象のベティ・メィフィールドを車に乗せてエスメラルダ(架空の町)郊外の丘の上まで行き車を停めて話しあうときのエピソードであった。
 蛇足ながら下の・・・内に引用したい。
 ・・・ベティがタバコを窓から捨てるとマーロウは車から降りて、タバコを踏み消した。
 「カリフォルニアの山中でタバコを捨ててはいけない」と、私はいった。「山火事のシーズンでなくてもだ」私は車にもどって鍵をまわし、スターターのボタンを押した。(P138)・・・
 このレビューを投稿している今、かってないほどの山火事がカリフォルニアで発生し、多数の人命が奪われてる。
 ニュースでは、その原因の95%は人的なものであると解説していたから、こんな挿話もチャンドラーの人柄を表していると思いながら読んでしまったのです。
 チャンドラーの名言で以前より気になっていた言葉を本書(P232)で、ようやく見つけてしまったので下に転載したい。
 「しっかりしていなかったら(タフでなければ)、生きていられない。やさしくなれなかったら、生きている資格がない。・・・If I wasn’t hard, I wouldn’t be alive. If I couldn’t ever be gentle, I wouldn’t deserve to be alive・・・」
 『高い窓』『湖中の女』『かわいい女』も大昔に読んだ記憶があるが、再読しようと思ってどこを探しても見つからないから、ここまでチャンドラーに拘ってしまったら、この際入手して再読してみようかなあ、と、思いながら本書を読み終えた。
プレイバック (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-3)) Amazon書評・レビュー: プレイバック (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-3))より
4150704538
No.30
(5pt)

男は・・・・・・

1950年代の作品を村上春樹さんが本社くして出版されたというので、購入しました。
日本では有名な「男は・・・」の訳について、村上春樹さんのご意見が詳しく書かれていて、とても勉強になりました。翻訳というのは、大変な作業なんですね。
ちなみに、この「男は・・・」というフレーズは、半世紀にわたり、私のポリシーになり、また、やさしさの意味について、いまだに考え続けている命題です。
ご一読の価値ある一冊です。
プレイバック Amazon書評・レビュー: プレイバックより
415209656X
No.29
(4pt)

タフでなければ

『プレイバック』はチャンドラーのマーロウものの最後の長編ですが、作品の評価はあまり高くありませんでした。なんかマーロウがやたらカネとオンナに汚く描かれているというか。

 あと、日本では角川が「タフでなければ生きていけない。優しくなければ生きている資格がない」をキャッチコピーとして広告展開したのも、どこかチャンドラーを汚されたような気がして、作品の評価が低位安定となっていた要因かもしれません。

 ちなみに"If I wasn't hard, I wouldn't be alive. If I couldn't ever be gentle, I wouldn't deserve to be alive."を村上春樹さんは〈厳しい心を持たずに生きのびてはいけない。優しくなれないうなら、生きるに値しない〉と訳しています。

 昨年、柴田元幸さんとの「本当の翻訳の話をしよう」というトークイベントでも、「ハード(hard)とタフ(tough)は違う」「アライブ(alive)というのは、生きている“長い状態”だから『生きていけない』というよりは、『生き続けてはいけない』」「『タフじゃなければ生きていけない』というのはそういう面ではかなりの意訳なんですよね。でも響きとしてはいい」と語っていたようで、後書きでは、正確な訳としては〈冷徹な心なくしては生きてこられなかっただろう。(しかし時に応じて)優しくなれないようなら、生きるには値しない」を提示していますが、同時に、これではパンチラインにはなりにくい、とも書いてます。

 しかし、不思議なのは、この部分が人口に膾炙しているのはどうも日本だけというか、米英の書籍を読んでも、この部分への言及はなかったそうです。
プレイバック Amazon書評・レビュー: プレイバックより
415209656X
No.28
(5pt)

パラレルワールドの贈り物

ロビーの老紳士は作者の姿だと思います。創造主も苦労しているのだと。けれど、今回作者はマーロウに非常に優しい気がします。やや痛い目にもあいますが (手当てしてもらえる)、甘い時間も多く、立ち回りや巨悪との対決も格好いい場面ばかりです。女性に冷たいという意見もありますが、ゆきずりを強調しているのは彼女たちの方で、実は本気だったとしても、心に悲しみを持つマーロウにはもっとストレートな愛が必要なのでしょう。整合性にこだわれば「湖中の女」が最後なのでしょうが、一つのパラレルワールドとして、作者はこの淡いバラ色の世界を、自分とマーロウに贈ったのだと思います。そのために、長いお別れをplayback (= 録画の再生)して、新しい結末を加えたのかも、と思いました。
プレイバック (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-3)) Amazon書評・レビュー: プレイバック (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-3))より
4150704538
No.27
(4pt)

チャンドラーファンなら十分読む価値あり

チャンドラーの遺作らしいが、個人的には初読。長編はほぼ全作読んでる筈だが読み方の順番はそれで良かった。特に「長いお別れ」は先に読んで置いた方が良いと思われる。
 ハードボイルドである事を差し引いてもミステリ成分はいつになく薄い。登場人物も舞台も少な目だし、何より謎解き要素がほとんどないのだ。逆にマーロウの魅力に比重が掛かっていると読んだが、やはりいつもと少し違う気がしたのは「遺作」だと思うからではないだろう。舞台となっているエスメラルダと言う架空?の都市では、警察もいつものように腐敗した悪徳警官の巣窟ではないようで、逆に正義感ある硬骨の警官が頼もしかったりする。マーロウはいつもの硬骨漢で有名な決めゼリフを口にするし、女に言い寄られても袖にしてしまう、かと思いきや本作ではとりあえず寝てしまっている。それでマーロウの魅力が落ちる訳ではなく、人間臭くて悪くないのだけど。
 最後に以前求婚された女性から再び求婚されるシーンが出て来るのは、本筋と全く関係ないと思うのだが、他にも意味不明なシーンがかなりある。チャンドラーの、そしてマーロウのファンであればそれなりに興味深いのだけど、ミステリとしては高い評価は出来ない。
 結論として、客観的に評価すれば凡作かも知れないが、チャンドラーファンとしては十分に読む価値がある作品だった。
プレイバック (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-3)) Amazon書評・レビュー: プレイバック (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-3))より
4150704538
No.26
(4pt)

雑感で失礼します。

この作品については25年ぶりか30年ぶりくらいに読み返すことになりました。村上氏のチャンドラーについての一連の仕事には大変興味を持っており、出版されるのを楽しみにしておりました。誰かが書いていらっしゃいましたが、村上氏の個人の作品と異なり、全く前宣伝なしに唐突に発売されますので、あわてて手に入れたという次第でした。

 この作品の書評欄をお読みになる方で一回もこの作品を読んだことのない方はいらっしゃらないでしょうし、既に評価の定まった作品ですので、作品そのものについての評価のような生意気なことは差し控えさせていただきます。ただ、歳を取って読み返してみるとと随分違った感じに読めるものだなあ、と別の感慨を持った次第です。よくいわれるように、この作品は各場面場面、またその進行に必然性が薄く、また主人公の行動パターンも他の作品と違和感があることが指摘されるのですが、歳を取って読み返してみる何とも言えない救いのようなものが感じられて、成る程亡くなる前年に書かれた作品なのだなあ、と何となくしみじみした読後感を味わいました。実際そういった感想を持たれる方も多いと思うのですが、みなさんはどうお読みになるでしょうか。
 なお村上氏の訳文についてやや生硬な感じを持たれる方もいらっしゃるのではないかと思いますが、これは村上氏が意図して行ったことだと思います。村上氏ならもっとこなれた日本語に意訳したり、現代的な文章に仕立て直したりすることは容易にできたと思いますが、この文章は1958年に発表された外国小説の翻訳なのであって、自分の作品ではないということをはっきり示しておきたかったのだと思います。わたしは村上氏の行き方に賛成です。また、上記のような感慨を持つことができたのも、氏の翻訳のすばらしさもあってのことと考えます。

 わたしも次の翻訳はthe Lady in the Lakeだろうと予想していたため、プレイバックというのはちょっと驚いた次第ですが、この辺は村上氏は上手だなあという感想を持ちました。the Lady in the Lakeはthe Long Goodbye程ではありませんが、一部に熱烈なファンのいる作品で、こちらを先に出版してしまいますと、プレイバックが何となく影が薄くなってしまう可能性を慮っての順序ではないかと考えたのですが、これは邪推でしょうか。

 最後にあの決め台詞の翻訳についてなのですが、実はわたしはあまり興味を持っておりませんでした。英文法を考える立場からは面白い文章ではありますけれど、何故あの一文だけが一人歩きしたのかがよく分かりません。実際欧米では特別に問題にされないようですね。これについては、何かわが国独特の事情があったのだろうと推察するのですが、その辺については村上氏も「あとがき」で特に触れていませんでした。わたしはむしろそういう裏の事情の方に興味があったのですが...。

 以上、雑感になりますが書き込ませていただきました。今後の村上氏の計画を楽しみにしております。
プレイバック Amazon書評・レビュー: プレイバックより
415209656X
No.25
(4pt)

そうだったのか・・

清水俊二訳の「プレイバック」を読んだとき、マーロウは何て嫌な奴になったんだろうと思った。
やたらにタバコはポイ捨てするわ、人をみないで金で情報を買うわ、手当たり次第に知り合った女と関係をもつ・・(あらためて読み直してはいませんが、そのような行為が特に印象として残ってます)

はたして村上春樹訳のマーロウはどうなのか。
あれ?以前に読んだ記憶とちょっと違うかな・・確かにタバコは投げるし金で情報を買うしみさかいなく懇ろになる、ようではあるけど、何だか卑しくさえ感じられる以前のマーロウとは違って、それを羞うような、世界を観察するよりは、むしろ自身に対する眼差しがより強く感じられるような。これはこれで、マーロウ自らをプレイバックする話として、より身近な男としての感慨をもって楽しめました。

あのセリフはというと・・村上さんの丁寧な解説で(原文読んでないので)「そうだったのか!」と新たな発見があったりして。
村上訳のチャンドラーは、毎回のご本人のあとがきも、とても楽しみなひとつですよね。

あと「Lady in the Lake」を残すのみだけれど、本文はもちろん解説も含めて最後まで楽しませてくれそうです。
プレイバック Amazon書評・レビュー: プレイバックより
415209656X
No.24
(5pt)

湖中の女の番かと思っていました。

年末になると村上さんの翻訳を待ち焦がれて、去年は無かったので、今年もダメかなとか思ってました。村上さんのオリジナル作品と違って前宣伝が全く無いのです。あと一二年は何とか生き延びて全長編(次は中編かな?)を読みたいです。
日本郵政の所為か最初の契約と違って途中から翌日配達になっていました。配達日が早かったからアマゾンで買ったのに、カンベンしてよ。(^_^)
プレイバック Amazon書評・レビュー: プレイバックより
415209656X
No.23
(5pt)

お金に「ハード」に生きたマーロウの苦悩の心持ち

「マーロウの名台詞」を村上春樹さんがどう訳したのか、知りたくて買いました。

村上さんは、第二十五章の「マーロウの名台詞」を、
「厳しい心を持たずに生きのびてはいけない。優しくなれないようなら、生きるには値しない」(280頁)
と訳されていました。

村上さんは、"hard"という英語を「厳しい心」と訳したのです。
でも、生きのびて行くための「厳しい心」とは、どんなこころ持ちなのでしょうか?

「マーロウの名台詞」の原文は、こうです。(306頁)
If I wasn't hard, I wouldn't be alive.
If I couldn't ever be gentle, I wouldn't deserve to be alive.

巻末の「訳者あとがき」の同じ306頁に、「マーロウの名台詞」の矢作俊彦さん訳がありました。

「ハードでなければ生きてはいけない。ジェントルでなければ生きて行く気にもなれない」

この矢作訳は、正確でストレートな翻訳ですが、やはり「ハード」というカタカナ言葉では
チャンドラーが意図した意味が日本語にしなければ伝わりにくく、分かりにくいです。

100頁まで本書を読み進めていった時、この「ハード」は
「お金に堅い(お金に厳しい)」という意味ではないかな、という感じがしました。

第九章の100頁に、こんなセリフがあったからです。

「五十万ドルというのはちょっとしたお金よ、マーロウ。
あなただって、それをあっさり断るほど『お堅く』ないでしょう」
原文: 
Half a million dollars is a lot of money, Marlowe. You're not too hard to take.

マーロウのような、お金で雇われる身の私立探偵が
お金に対して「ハード」に堅く(厳しく)生きていく姿が、本書の中に何度も何度も
繰り返し細かく描かれていました。

対照的に、本書の中で、マーロウとは別の心(人生観)を持つ同業者は、
お金に関してソフトで柔軟(だらしない、いい加減な、どんぶり勘定)な人間です。
そして、ゆすり、たかりとなれば、結局、何者かに殺されてしまうだけです。

生きのびては行けない。
生きのびてはいけないヤツラです。

マーロウのように「お金に律儀」な心を持つ私立探偵だけが、
お金にならない仕事にも損得抜きで、命をかけて依頼人との約束を守り、
生きのびていくことができるんだ。

こんな鼻っ柱の強い、ヤワでない、お金にも凛とした人間の生きざまが、
特に「お金に」関しては本書の中に「細かく」描かれていて、共感しました。

監督に「再演」(プレイバック)させてください、と懇願する「三文」役者かも?
村上さんの「再演」(316頁)という漢字の訳語の感じに、感じ入りました。

巻末の「訳者あとがき」を読むと、
晩年のチャンドラーの私生活における「金銭感覚」は、マーロウとは逆のようにも見えます。

チャンドラーは、本書のストーリー(あらすじ)をユニヴァーサル映画に「一万ドル」で売り、
「週給四千ドル」を同社から受け取っておきながら、
締め切りのある仕事を律儀にこなすことができなかったそうです。

「お金に律儀」な心を持つ私立探偵マーロウとは、真逆な窮地に立つ、年老いたチャンドラー。
苦悩する(生きるには値しない)心持ちが本書の中から伝わってきます。
拳銃自殺したくなりそうな心持ちが・・・。
プレイバック Amazon書評・レビュー: プレイバックより
415209656X
No.22
(5pt)

お金には「ハード」に生きるマーロウに共感

「マーロウの名台詞」を村上春樹さんがどう訳したのか、知りたくて買いました。

村上さんは、第二十五章の「マーロウの名台詞」を、
「厳しい心を持たずに生きのびてはいけない。優しくなれないようなら、生きるには値しない」(280頁)
と訳されていました。

村上さんは、"hard"という英語を「厳しい心」と訳したのです。
でも、生きのびて行くための「厳しい心」とは、どんなこころ持ちなのでしょうか?

「マーロウの名台詞」の原文は、こうです。(306頁)
If I wasn't hard, I wouldn't be alive.
If I couldn't ever be gentle, I wouldn't deserve to be alive.

巻末の「訳者あとがき」の同じ306頁に、「マーロウの名台詞」の矢作俊彦さん訳がありました。

「ハードでなければ生きてはいけない。ジェントルでなければ生きて行く気にもなれない」

この矢作訳は、正確でストレートな翻訳ですが、やはり「ハード」というカタカナ言葉では
意味するところが明らかではなく、分かりにくいです。

しかし、100頁まで本書を読み進めていくうちに、この「ハード」は
「お金に堅い(お金に厳しい)」という意味だと分かりました。

第九章の100頁に、こんなセリフがあったからです。

「五十万ドルというのはちょっとしたお金よ、マーロウ。
あなただって、それをあっさり断るほど『お堅く』ないでしょう」
原文: 
Half a million dollars is a lot of money, Marlowe. You're not too hard to take.

マーロウのような、お金で雇われる身の私立探偵が
お金に対して「ハード」に堅く(厳しく)生きていく姿が、本書の中に何度も何度も
繰り返し細かく描かれていました。

マーロウのように、お金に律儀な私立探偵が、お金にならない仕事ばかりに、損得抜きで
命をかける姿に感動しました。

マネー、マネー、マネーのアメリカ。大統領でさえ、お金のビジネス感覚で暴走するアメリカ。

そんな、あきれたアメリカにも大昔、マーロウのような人間が存在したんですね。
本書を読み終えて、ただただ驚きました。
プレイバック Amazon書評・レビュー: プレイバックより
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