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インソムニア
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インソムニアの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全25件 1~20 1/2ページ
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圧倒された、という以外の言葉がありません。そろそろミステリー小説は何を読んでも「普通」になりつつあった昨今ですが、これには驚かされました。何はともあれ、まずは読んでほしいです。元自衛官の友人たちも、みな「これは…すごい作品だ!」と言っていました。注意点としては、一度ページをめくると電車を降りたくなくなるし、仕事したくなくなるし、食事や睡眠時間などが惜しくなります。 | ||||
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アフリカの紛争地域で平和活動に従事していた自衛隊の小部隊が戦闘に巻き込まれ死者を出し、帰国後には自殺者も出す。どんな事件ったのか。言って仕舞えば謎はそれだけなので、ミステリーとして線が細い。最後に明かされる真相というのも、まるでオカルトで呆れた。全くお薦めしない。 | ||||
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自衛隊の隊員の海外での活動を終え、帰国してからの物語です。 隊員たちの精神状態を2人の精神科医が診察すします。 海外での活動中に起こった事件?で隊員が次々と自殺していきます。 せっかく2人の優秀な精神科医を登場させておきながら、解決できなかった結末には、読み終えてがっかりします。 読後感がよくありません。 | ||||
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カッコイイ自衛隊の話かと思えば、最終的には??な方向に流れてしまいました。 どんでん返しも伏線がなかったので一方的に展開を見せられて行くだけな感じ。 これは果たしてミステリーなのか。ハードボイルドでもないしなあ。 最初の設定が駆けつけ警護に女性二人を含む七人で派遣って、何それ……。 七人って。七人て。何それ。 たとえば、主力部隊で駆けつけて事故に遭って七人がはぐれる、とかならわかるんだけど。 ありえんでしょ、っていうので何となくハマれませんでした。 ただし、駆けつけ警護やら、自衛隊派遣の是非を問う姿勢は良かったです。 ちょっと読み進めるのがつらかったですが、後半がいいとコメントにあるので、頑張って読みましたが、うーんうーん。 ネタバレです。突っ込ませてください。 。 。 。 。 。 。 。 。 妻に離婚届を渡しただけで離婚成立すると思っちゃった上に、不倫相手に「妻と離婚した。一緒になろう」。アホなのかな? クール―病ってそういう病気があるのか調べたら実在してました。でも潜伏期間5年ですって。リアリティにこだわるならそこはきちんとしてほしかった。そもそも食人のあたりからファンタジー化した気が。 やられた相手が、ちっこい村の友好民族で、女性隊士はいけにえとされ村の子どもを産めよ増やせよ……。そういう隔離された村人とどうやって意思疎通を? 国防軍は村人を殺した日本人の味方となり、自国の古い民族を殲滅……。このラストはどうなん? 自国民の民族を他国兵士のために殺せる国防軍を抱える国に味方する国連て、それに派遣する日本って。 そこを痛烈に批判すれば社会派的なミステリになりそうな気はしますが。 最初に読み始めた時に感じた硬派なイメージが、不倫あたりでぶち壊れて食人でトドメを刺されてラストでなんじゃこりゃになりました。 | ||||
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自衛隊の海外派遣という、国家的な政治課題を取り上げ、ミステリーにまとめあげたこと自体、高く評価できるでしょう。近年、こういう骨太な社会派ミステリーが少なくなり、不満を抱いていました。社会派の有力新人の登場は大歓迎です。 レビューを眺めると、ミステリーファンではない方、自衛隊や武力紛争といったテーマに詳しい方の、長文のレビューが目につきます。他の作品には見られない現象です。こうした傾向を踏まえて、作者がこの分野を掘り下げていくのか、ミステリーの枠内で新たな分野に挑むのか、興味のあるところです。 細部を揺るがせにしない、完結な文章は読みやすく、ほぼ一気読みでした。新人の作品としては高水準の作品で、近年の乱歩賞作品よりも余程優れていると思います。 内容紹介については、他のレビュアーが詳しく書いておられますので省きますが、気になった点をいくつか挙げておきます。 ・視点人物が多数にわたるのは、構成上やむを得ないと思うものの、主人公がワン・オブ・ゼムの位置付けになってしまっていて、感情移入や共感が薄くなる。 ・防衛大臣秘書官は、多分30代後半くらいの背広組キャリア官僚のはずだが、もっと年長の上位階級の者のように書かれていて、リアリティーを損ねている。 ・これだけの大問題ならば、担当局長や官房長といった最高幹部が関与するはずだが、これらの者の影が見えない。 作者の紹介を見ると、職歴が全く書かれていません。ひょっとすると防衛省の官僚を辞めた人か?と思いながら読んでいましたが、上記の点を踏まえると、そうではないようです。 また、帯にある「社会派と本格ミステリーを見事に融合」とありますが、「本格」的要素は薄いと思います。「待望久しい社会派の問題作」といったところで十分でしょう。 | ||||
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素晴らしいです。かなりおもしろかった。こういうエンターテーメント小説が読みたかった。時を忘れた。ありがとう。 | ||||
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よく取材がなされた跡がみられる記述で、現実から乖離したただのファンタジーではありません。 制服組と背広組の関係についても、正しく描写されているのではないかと思います。 真実が分からないままに終わるのかと思いきや、エピローグになって明かされる真実はまさにどんでん返し。 強烈な印象が残りました。 非常に面白い一冊です。 ただ、性描写をあそこまでしつこく書く必要があったのかどうか、少々疑問が残ります。 性描写は嫌いではありません(笑)が、物語の本筋から外れてしまうような気がしました。 そんなわけで、星1つを減じて4つとさせて頂きました。 | ||||
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第22回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。率直な感想として、作品の面白さは別として、ミステリーの範疇に入るかなと思いました。 自衛隊のPKO活動中におきたことを巡り、当事者たちと真実を探る防衛省のメンタルヘルス官と精神科医の視点から展開する物語は興味をそそられ抜群と思います。 しかし終章で明らかにされる真実は確かに衝撃的ではあるけれどすっきりとはしませんでした。本書は自衛隊の海外支援活動について様々な問題点を採り上げた社会派エンターテインメント小説と思います。 文章は読みやすかったです。 | ||||
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PKOで現地に派遣された自衛隊の部隊が「賭け付け警護」の際に起こった事件を扱った作品。題名の「インソムニア」とは「不眠症」の意味だが、ここでは抑鬱状態に起因する「不眠症」(あるいは「***」)程の意味。ベトナム戦争帰還兵の「インソムニア」を扱ったアメリカ作品は多いが、本作では例のPKO派遣自衛隊の日報改竄事件にヒントを得ているのだろう。 冒頭で「賭け付け警護」の際に起こった事件(勿論、戦闘・事件の事は公表されない)の"あらまし"が提示され、以下、防衛省のカウンセラーが隊員を一人々々当って、事件の真相・全貌を徐々に明らかにして行くという物語。この物語展開は戦闘という極限状態の中での芥川「藪の中」を想起させる上に、自衛隊派遣に対する賛否が旗幟不鮮明で歯応えがない。作中では派遣先を南ナイルランドとしているが、どう見ても南スーダン。作者が最後に用意した回答は南スーダンの方をバカにしているのではないか ? それに回答自身がナンセンスなものでガッカリした。自衛隊のPKO派遣やそこで起こった戦闘に対する隠蔽体質を真正面から批判するとか、逆に、こんなに危険な状態で精一杯努力する自衛隊員の矜持を謳ったものとかを期待していたら、上述した通り、作者はホラーを執筆したかった様(「***」)で、自衛隊を単なるダシとして使った感が強く、作品全体が軽い印象が否めない。派遣隊員の中ではこんなに簡単に男女関係が出来てしまうのか ? また、帰国直後に病院に行かない女性隊員の行動が不可思議である。 私は作者の作品は初読だが、どうやらミステリ作家らしい。戦闘という極限状態の中では確かに<真相>は「藪の中」だが(上述した最後の回答もフェイクかも知れない)、それならそれで、物語展開をもう少し工夫して読者を惹き付ける力量が欲しかった。 | ||||
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本作のお陰で日頃ニュースや新聞で目にするPKOやNGOという言葉をとてもよく理解した。 話の進め方が上手くどんどん読み進めた。 自衛隊の人々の貢献にも思いを馳せた。 最後に出てきたインソムニアの原因、これが無くとも十分に不眠症(インソムニア)を絡めた人間ドラマが描けたんじゃないかな〜。 そうした方がよりPKOの現場の大変さが伝わったんじゃないかな。 | ||||
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評判ほどではない.新聞の評をみて購入したが、評判ほどではない.老人にとって最近の小説はわかりにくい。中村文則などもそこそこ高い評判だが、どこがいいのかワカラナイ。 | ||||
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PKO部隊の陸上自衛官7名(うち、2名は女性)が、現地で民兵の襲撃を受けた。 1名(男性)は死亡。でも、残りの6名は無事に帰国。 奇跡だ! 良かったね! と思いきや、生還した1名(女性)が自殺。 どうも、何かとんでもなく悲惨な事があったのに、それを隠しているっぽい。 一体、何があったのか? 本書はこの「一体、何があったのか?」について、じわじわと真相に迫っていくという話です。 理屈なんて通じない、殺気だった民兵に襲撃される。でも犠牲者は一人だけ。そこで起こった「悲惨な事」と聞いて、普通に想像できるのって次のような感じですよね。 ・女性、民兵にレイプされる ・女性、民兵だけでなく自衛隊員にもレイプされる(強制されて) ・犠牲となった自衛官を殺したのは、実は自衛官(強制されて) ・自衛官、子供(もしくは女性)を殺してしまう 「これが真相だったら、たしかに悲惨だけど、ちょっとありがちすぎてイマイチだな。でも、これ以外で悲惨な出来事なんてあるか?」などと思いつつ読み進めると、7割くらいの段階で「何があったのか(上記4点が正解なのか)」については判明します。 なんか微妙。 でも、残りのページ数を考えるとまだ「真相の、更に真相がある」ってのは間違い無い。 で、その「真相の、更に真相」ですが・・・なるほど。 真相の更に真相が明かされ、それで終わりかと思いきや、そのまた真相が最後に、本当に最後の最後に明かされます。 うん、これは凄い。 予想を超えた驚愕の、容赦の無い真実でした。 うわー、マジか。 最悪の読後感(誉めてます)。 いやいや、大満足の一冊でした。 映画『戦火の勇気』みたいな、「極限状態下で何があったのか」的な話はもともと大好きなのですが、これは大当たりでしたね。 ページをめくる手が止まらなかったし、締めも文句なし。 星五つとさせていただきます。 | ||||
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時事にのった 自衛隊モノ ミステリーとして一気読み できます 映画化したら 面白そうな小説ですね | ||||
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現実の南スーダン自衛隊PKO日報隠微問題では、結局担当防衛大臣や防衛省幹部の首が飛んだだけで、具体的な「戦闘」があったのかどうかは、闇に葬られた。世論を受けて早く撤退したおかげか、犠牲者も出なかった。よって、改定された自衛隊法は一切手をつけられなかった。 ところが、今年の冬、南ナイルランドという架空の国で、具体的な自衛隊PKOの「駆けつけ警護」任務で、「戦闘」が起き、犠牲者が出たという事件が発端の社会派ミステリーが上梓された、と聞いて本書を紐解いた。小説上では、当然政府は「戦闘」は無く「事件」であると報告を「改竄」しているが、次第と真相が明らかになって行く、というのが本書のストーリーである。 物語を動かすために作者は、自衛隊の外の人間はほとんど出さなかった。ジャーナリストや政治家は、少ししか出てこない。その代わり、生き残りの隊員を治療するメンタリストや精神科医などを配置し、一章ごとに生き残った隊員たちが新たな真相を語るという「羅生門」方式を採る。小説だから描ける個々の人間心理に迫った真実を、社会的な視点から描きたくはなかったのだろう。それは、判る。ただ、真相らしきものを玉ねぎの皮をはがすように何度も塗りかえる途中で、最終章では、この本を書いた意図が向こうに行ったのではないか?と危惧を覚えた。 最終章の直前の、メンタリストの神谷が最後に選ぶ道の場面で終わらせて欲しかった。その方が、真の国際貢献の姿、現代の国際情勢では「駆けつけ警護」任務は無理があることを鮮明に出せたと思う。人間ドラマを出してもいいけど、私は「アレ」は作り過ぎだと思う。 | ||||
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本書を謎解き小説(ミステリ)として読んだ場合、真相は必ずしも想像予想を超えるものではなく、その点を指摘するレビュアーの存在は当然ものである。しかしまた、それを補って余りある本書のテーマの切実さは、本書が「カンボジアPKO派遣・文民警察官殺害事件」と「南スーダンPKOをめぐる一連の情報隠蔽事件」を下敷きにして書かれ、その極めてアクチュアルなテーマ性を、作者が新人らしからぬ巧みさで「小説化」した功績にあり、高く評価されて然るべきものだと言えよう。 そのうえで、私が指摘しておきたい点は「本書は、なぜ公刊できたのか?」という問題である。 端的に言えば、それは、本書のラストで描かれるような、極めて「悲惨な戦場体験」が「現実のPKOでは、日本人は体験しなかった」という一般的了解が、日本国民の間にあるからである。 喩えて言えば「東日本大震災にともなう大津波を、死体移動トリックをつかった本格ミステリ」などといったものは、とうてい公刊できない。いくら「小説」だ「フィクション」だといっても、現に被害を被った多くの人たちの感情を思えば、とうてい「娯楽小説」に出来るような題材ではないからだ。 これは「PKO」についても同じで、もしもカンボジアや南スーダンで、本書に書かれたようなことが現に起こったと「日本国民一般」が知っていたとしたら、本書のような小説は、とうてい刊行できなかったろう。 言い変えれば「そんなことはなかった」とみんなが了解しているからこそ、本書に描かれた事件は「小説=フィクション」として「楽しみ消費される」ことが許されているのだ、とも言えよう。 一一しかし、本書に描かれたような事件が、本当に、現実には無かったのであろうか? それは絶対に確かな話なのか? じっさい、本書に描かれたような事件が現に発生していたら、本書で描かれたように、政府が事件を隠蔽するのは無論のこと、その当事者が口を噤むのも間違いない。 それは先の戦争(太平小戦争)の戦場で、「虐殺」や「強姦」あるいは「人肉食」といったことを経験した、兵士たちや大陸からの引揚者たちが口を噤んだ(噤まざるを得なかった)「悲惨な歴史的経験」に照らして、確実な話だと言えよう。 だから、カンボジアや南スーダンで、本書で描かれたような悲惨な事件が現実にあったとしても、私たちはそれを知る由もないのだが、私たち(つまり、私自身を含む)日本国民の大半は「さすがにそんなことは無かったろう」と思っているし、そう思っているからこそ、本書が刊行されたことに何の抵抗も覚えないのである。 しかし、この先、自衛隊の海外への派遣が進んでいけば、それは間違いなく「より悲惨な戦場」への派遣となるのだから、本書で描かれたような体験、あるいは先の戦争で日本兵たちがしたような体験をすることも「必然的に起こる」ことになる。それが「現実」になるのである。いや、すでになっているのだ。 つまり、私たちの「戦後平和」という「長い眠り」は、もはや失われようとしている。 私たちは、否応なく「悲惨な現実への目覚め」を要求されているのだ。 本書のような「目覚まし時計のベル」は、今後もくりかえし、私たちを呼び起こそうとするだろうが、貴方はいつ、その温かい寝床から起き出ることができるだろうか。 『一同がゲツセマネという所に来ると、イエスは弟子たちに、「わたしが祈っている間、ここに座っていなさい」と言われた。 そして、ペトロ、ヤコブ、ヨハネを伴われたが、イエスはひどく恐れてもだえ始め、彼らに言われた。 「わたしは死ぬばかりに悲しい。ここを離れず、目を覚ましていなさい。」 少し進んで行って地面にひれ伏し、できることなら、この苦しみの時が自分から過ぎ去るようにと祈り、こう言われた。 「アッバ、父よ、あなたは何でもおできになります。この杯をわたしから取りのけてください。しかし、わたしが願うことではなく、御心に適うことが行われますように。」 それから、戻って御覧になると、弟子たちは眠っていたので、ペトロに言われた。 「シモン、眠っているのか。わずか一時も目を覚ましていられなかったのか。誘惑に陥らぬよう、目を覚まして祈っていなさい。心は燃えても、肉体は弱い。」 更に、向こうへ行って、同じ言葉で祈られた。 再び戻って御覧になると、弟子たちは眠っていた。ひどく眠かったのである。彼らは、イエスにどう言えばよいのか、分からなかった。 イエスは三度目に戻って来て言われた。 「あなたがたはまだ眠っている。休んでいる。もうこれでいい。時が来た。人の子は罪人たちの手に引き渡される。』 (マルコによる福音書) | ||||
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実際にあったけど大きくは報道されていない内容がちょいちょいあって、自衛隊や国際協力分野の人が読むとより心に響くものがあるのかな、と感じました 私にはそんな背景はありませんが、事件の現場の描写が読み進むにつれて点から線、面から立体になりカラーになりリアルになっていくような不思議な感覚になりました なので、前半は描写が全く足りず、怒りさえおぼえる物足りなさがありました笑 その分、後半、頭の中で映像を越えて土埃さえ感じるようになると、もう読むのが止まらなくなりました 作家さんの力量を感じました デビュー作とのことですが、次回作も期待したいです | ||||
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重いテーマながらも読みやすく、あっという間にのめり込み、あっという間に読み終えてしまいました。 PKO派遣された当事者たちと、真実を明らかにするべく動く、現地にはいなかったメンタルヘルス官たちという、いわば近と遠の目線が交互に描かれることで、現地の様子にぐっと近寄る場面と、引いて大きな組織として考える場面とのバランスが絶妙です。 社会派だけれど、やはりミステリー。最後まで読むと、もう一度読み返したくなります。 内容が内容だけに目を覆いたくなる描写もあり、若干食欲も失せますが、 ふだんこのようなジャンルを読まない方にもオススメです。 真実を明らかにすることの是非と、インソムニア(不眠症)という言葉の重みを考えさせられます。 | ||||
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自衛隊のPKO任務の「駆け付け警護」がテーマ。 インソムニア(Insomnia)とは「不眠症」という意味。 防衛省のアンケートでは海外派遣等でPTSD傾向にある自衛隊員は毎年1千人以上で推移しているそうだ。 不安な環境下に置かれた自衛隊員に対してメンタルケアが必要であることを力説している。 ストーリーは真相を求めてミステリアスに展開。 真相を追っていくごとに、赤裸々な内情が明らかになってくる。 現地での悲惨な体験により、心には深い傷が残されてしまった。 | ||||
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いわゆる、羅生門的な構成で、内容は「戦火の勇気」に似た感じとなっております。時事ネタを良く盛り込んでおり、ある程度現実味を感じさせる内容ですが、自衛隊に関してある程度知っている人からすれば??な描写も多々あり、ミステリーとしても特筆するような仕掛けは殆どありません。女性隊員の存在感だけに頼っただけの残念な作品というのが正直な感想です。 | ||||
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2018年の日本ミステリー文学大賞新人賞の受賞作で、自衛隊のPKO派遣部隊による〝駆け付け警護〟問題をテーマにした長編サスペンスだ。新人作家のデビュー作とは思えないぐらい、ディテイルは精確、筋立ても重厚且つ企みに満ちた作品で、「選考委員各氏絶賛!」というオビのコピーもまんざら嘘じゃない。 舞台はアフリカ大陸の中央部に位置する架空の国「南ナイルランド」。2011年にナイルランド共和国から分離独立を果たしたが、2013年からは内戦に突入し、政府の正規軍と反政府勢力が戦闘を繰り返している。日本政府は国連決議に従って、2011年から陸上自衛隊のPKO派遣を開始した。現地情勢の悪化が伝えられる中、2016年に安全保障関連法が施行され、同年12月に着任した総勢350名から成る第十一次隊から、新たなミッション――駆け付け警護と宿営地の共同防護が加わった、という設定だ。 物語は2017年2月24日午後3時、自衛隊宿営地に、現地で活動しているNGOから緊急支援を要請する連絡が入って動き出す。直ちに、葛城信司・一等陸尉を隊長とする七人(うち女性自衛官が二人)の特務警備小隊が編成され、NGOの移動診療車が消息を絶った現場に急行し、反政府勢力と思しき敵に遭遇する。自衛隊史上初の駆け付け警護任務は、〈未だかつて戦ったことのない軍隊〉だった自衛隊による史上初の戦闘に転じた――これだけのてんこ盛りで、まだ序章にすぎない。 本作の核心部は第一章から始まる本編で、戦闘に参加したPKO隊員六人――そう、自衛隊は、史上初めて、戦闘による犠牲者を出したのだ――の帰国後を執拗に追うところにある。焦点は主に二つ: 隊員六名が南ナイルランド国防軍によって無事、救出されるまでの〝空白の一日〟に何があったのか、 および、 亡くなった自衛官の遺体はどこに消えたのか? 防衛省が政府に提出した中間報告書にも書かれてはいないのだ。 謎を追いかけるのは、隊員のメンタルケアを担当するメンタルヘルス官で、臨床心理士の資格を持つ神谷啓介(三等陸佐)。やはり自衛官だった兄を自殺で亡くした。もう一人は、自衛隊中央病院精神科の医師・相沢倫子。相沢は防衛医大出身の自衛官でもあり、南ナイルランドのPKOに参加した経験があった。PTSD、帰還兵士の精神的ケアの専門家だ。 ぐいぐい惹き込まれて読み進むうちに、本作はノンフィクションか?と錯覚した。そうなれば、作家の術中に絡めとられたようなもの。作中、極めて魅力的な一節がある。 「時に真実は人を傷つけることも、不幸にすることもある。」 戦闘で亡くなった三崎二曹の両親には、真相を「知る権利と同時に知らないままでいる権利がある」と、葛城・元隊長に神谷が語りかけるシーンだ。フィクションでは、「真実」や「真相」を連呼するのはご法度だと、この作家は十二分に承知していながら、敢えて掟破りの野蛮な!大博打を打ったのだ。〝駆け付け警護〟問題がテーマだと信じて読み進むと、あまりにも鮮やかに裏切られる(これぐらいなら、ネタバレでもいいでしょ)。それぐらい、泥臭い人間ドラマに満ちているのだ。 次作以降にも期待のかかる大型新人の登場だ。 | ||||
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