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消された文書
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消された文書の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全5件 1~5 1/1ページ
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沖縄の独立問題を、フィクションで物語化する。 本土の人間の書く沖縄の物語は、腫れ物に触るようなことがあり、遠慮があるが、その遠慮がないところが、こぎみよい。現実に起こりうる事件の想定を積み上げて、フィクションとして沖縄独立を組み立てていく。現実と非現実の間の中に、物語が生まれる。沖縄に対して、無関心であってはならないという意味では、よく考え抜かれた作品である。琉球王国のつながりの中で、尖閣諸島問題につなげるために、冊封史録を持ってくるのが、ユニークでもある。 警察官の姉が、沖縄の海の訓練で行方不明になり、主人公の妹がその真相を突き止めようとする。 その物語の時期には、アメリカ兵の女子高生強姦殺人事件が起こり、県民が怒りの集会を開いていた。警察が、女子高生を貶めるようなニュースを意識的にリークした。警察への反発も生まれる。 オスプレイが、街に墜落して、死亡者がでた。墜落と不時着の言葉にも言及する。 連続的な沖縄を揺るがす事件が起こり、沖縄県民は、怒りが臨界点近くになる。 県民集会に、沖縄県警の本部長が、不適切なリークの謝罪のために参加していたら、狙撃されて死亡する。アメリカの沖縄基地の司令官が、沖縄の基地内で狙撃され、死亡する。 一体誰が?そして、何が起こっているのか?という話は、かなり複雑で際どい状況である。 妹は、沖縄新聞の記者。姉の行方不明の原因が、「冊封史録・羅漢」にあるという。 冊封史録は、1534年から1866年に書かれた記録で、全部で12巻ある。 そこには、尖閣諸島が、誰の領地であるのかが書かれているが、羅漢は謎の文書である。その羅漢を巡って、物語は進展していく。 沖縄は、琉球王国だった。そして、琉球処分などの歴史的な経緯の中で、沖縄は抑圧され続けていたのである。アメリカ兵が4名殺されることで、自衛隊が治安部隊として派遣される。 アメリカ兵を守るためという。沖縄県知事は、自衛隊の派遣を要請せず、首相が派遣を命令する。 そこから、混乱が始まるのだが、一体誰がそのようなことをしているのか?アメリカ、中国の反応も、敏感である。沖縄独立の県民投票も行われ、賛成が過半数を超える。ここが、ちょっとあっさりしているのが、個人的に残念だなぁ。もっと、県民投票に関して突っ込んで欲しかった。 沖縄独立は、可能なのか?その物語のシナリオが良くできている。 沖縄は、改めて、琉球王国として、長い間 成立していたということに、今後の沖縄を考える上で重要な意味を持っている。あまりにも、盛りだくさんな事件が起こるが、もう少しシンプルにしても この物語は、成立するかもしれない。少なくとも、沖縄の心象風景を代表する人が存在しないのも弱いのかな。でも、スリリングで、楽しく読めた。 | ||||
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ぐいぐい引き込まれました。伏線が色々あって、後からなるほど~、と思うことがいくつもありました。 | ||||
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尖閣諸島の領有権を巡る日本と中国。その権利を決定付ける内容が記された冊封使録「羅漢」をめぐる、壮大な陰謀を描いた物語で読み応えがあった。 沖縄を巡るオスプレイの墜落や県警本部長狙撃など、日米関係を揺るがすような大事件や、普天間基地をめぐる政治的な問題などを引き合いに出しながら、沖縄独立の国民投票、自衛隊の治安出動につながっていく展開はリアリティがあった。 前半は警察官の姉の死と、冊封使録「羅漢」がどう関係していくのか、様々な伏線が出てきてよかったのだが、後半は黒幕たちの一方的な言い分に日本政府が振り回されるというもので、少し物足りなさを感じた。 | ||||
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『潔白』が面白かったので、文庫化を機に買い求めて読んでみた。 沖縄で起きる次々の事件に、 「え?これ、フィクションじゃ無いの?」 と思った。 元本刊行は2016年。 そして。 解説で、あの、ジャーナリストの清水潔氏がかいているように・・・ 今の県知事は、玉城デニー氏である。 こんなことは起きるとは思われないが・・・ でも・・・ (^^) 気になる方は、ぜひ、お読み下さいませ | ||||
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前作の「潔白」が素晴らしかったので、楽しみにしていた一冊。 本を読むのには何日もかかることが多いが、この「消された文書」は381ページを1日で読み終えた。読み始めたら、ページをめくる手を止めることができなかった。 こう書くと、軽い小説と思われるかもしれないが、内容は意外と重量級だ。本格派と言っていいかもしれない。沖縄の歴史や文化、政治的な立ち位置など、フィクションとノンフィクションの境界線ギリギリを攻める設定は、前作の「潔白」にも通じるものがある。 内容は、尖閣諸島の領有権を示す決定的文書「冊封史録・羅漢」をめぐる「情報小説」である。日本政府がこの「羅漢」が手に入れば、尖閣諸島周辺の1500兆円にも及ぶ資源が手に入るのだ。この設定は、オペラで言えば、世界を支配できるラインの黄金で作られた「指輪」の所有をめぐって、神々、巨人族、地底人らと争う「ニーベルングの指輪」にも似ているかもしれない。指輪に込められた呪いも同様だ。 ストーリーは、日米中を巻き込んだ開戦前夜の状況にまで至る。下手をすると荒唐無稽な小説になりがちだが、沖縄を取り巻く政治的環境、県民の民意、日米政府との関係などが、基本的に現実に則している。そして、沖縄は、薩摩による侵攻、琉球処分、沖縄戦など、「本土」の都合によって植民地的に扱われたり、軍事的な捨石にされたりしてきた。そういう歴史的背景に対する理解、沖縄の人々に対する共感のまなざしが、この小説の根底にある。 この歴史や文化に対する理解がこの小説のしっかりとした「土台」となっているからこそ、現実には起こり得ない(と思える)ような展開にリアリティを与えているのだろうと思う。もちろんストーリーだけではない。登場人物の心理の動きも、映像を見るかのような場面の描写においても、著者の筆致は丁寧である。だからこそ、ページをめくる手が止まらないのかもしれない。 文句なくオススメの一冊。 | ||||
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