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すみれ屋敷の罪人
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すみれ屋敷の罪人の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.91pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全46件 41~46 3/3ページ
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紫峰邸というかつての名家の跡地から遺体が二体(後にもう一体)発見された事を発端として、その身元調査のために、刑事を名乗る西ノ森という男がかつての使用人で認知症の老女、かつての使用人で識字障害の老人、かつての料理人の老女、かつての出入りの家具職人の老人の4人の回想譚を聞き回るというのが第一部の構成。各人の回想譚のズレによって、事件の真相を浮かび上がらせようとの趣向だろう。西ノ森の依頼人や西ノ森を追跡している人物も謎になっている。 第二部が真相。依頼人の告白、西ノ森の追跡を命じた紫峰家のある人物の告白、そして再度、識字障害の老人の告白と続くが、これが真相では読者に分かる筈はない。きちんと伏線を回収しているのは識字障害の部分だけで、後は、作者の好き放題。幾ら戦時下とは言ってもミステリとしてはデタラメ過ぎる。特に、(当時の)紫峰家の当主(貴族院議員)の「***」に至っては呆れ果てた(紫峰家は名門中の名門なのだから当然最先端治療を受けるでしょう)。ミステリというよりは太平洋戦争を背景とした社会小説の趣きが強い。紫峰家の様な上流階級の人間も居れば、社会の底辺で生きている人間も居るというだけの物語。また、作中に登場する狂気を孕んだ美人三姉妹は横溝正史氏「獄門島」を容易に想起させ情けない。 使われている仕掛けが現代では通用しない(DNA型鑑定や通常の医療)ので時代を太平洋戦争時にしたという作者の身勝手だけが目立つ愚作。4人の回想譚を並べて読者に推理させるという趣向が本当に虚しい。 | ||||
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名士、紫峰家。 その当主である太一郎とその娘、葵、桜、茜。 そして、使用人たち。 戦時中、彼らに何があったのか? 現在、再開発で庭を掘り返すと数体の遺体が...遺体は一体誰なのか? 刑事を名乗る西ノ森泉はその謎を追うが... 西ノ森の正体。 遺体の正体。 生きている当時の関係者からの事情聴取、そして、彼らの独白。 そこから徐々に見えてくる真実... 見せ方が良く、テンポも良い。 それぞれの想い、読み進めるとより深く見えていなかったものが見えてくる。 なかなか良かった。 | ||||
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大好きな作家さんのひとりです。今まで短編しか読んでないので長編はどうなんだろうと思ってましたがドンデン返し、健在でした。最後はなかなか切なくて目が潤んでしまいました。皆さんにオススメの物語です。 | ||||
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放置されたお屋敷の庭から出てきた3体の遺骨。それはいったいだれのものなのか? 当時を知る老人たち4人に探偵役が聞いてまわり、徐々に全貌が明らかになるという『藪の中』形式のミステリーです。老人たちの言い分が食い違うことはなく、新しい情報が提示されたり、「あれって実はそういう意味だったんだ」と驚かされたりします。トリックのようなものは出てきません。作者の情報の出し方しだい。情報工学によるサスペンスです。 過去の惨劇が謎めいているだけでなく、探偵役は何者なのかとか、彼に依頼したのはだれなのかといった、二重の構造になっているのもおもしろいところ。 遊びのない書きぶりは緊迫感がありますが、ちょっとつらかったです。 P.249で病院に現れたのはだれ? それがしっくりこなくて、読後感が悪い。 過去の話はすごくいい話なので、ミステリーにしない方がおもしろかったのではないかという印象。文庫化のときに、それを追加して、完全版となることを期待。 | ||||
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いまは廃墟となっている華族の屋敷の庭に埋められていた二体の白骨死体の謎。 超美しい物語であります。 エレガントです、耽美です、繊細優美華麗濃密です。 かつての使用人たちの証言が積み重ねられてゆくなかで徐々に状況が見えてくるのですが、 証言者も何かを隠していたり、重要なポイントで嘘をついていたりするもどかしさ。 そして最後に明らかになる真実は、せつなさ120%、静かな衝撃。 伏線回収、辻褄合わせも抜かりなく、完璧に組み立てられています。 華族の屋敷を舞台にしたゴシック・ロマンであり、美しい姉妹の愛憎物語であり、親子・主従の絆を描いた忠義の物語でもあります。 文章も洗練され流麗かつ自然、人物描写も巧みで、その心理や行動には十分な説得力があります。 悲しい物語ですが、読後感は爽やかです。 「罪人」は出てきても「悪人」は出てこないからでしょう、きっと (「悪人」がいないからかえって切ないとも言えます)。 数年前に読んだケイト・モートンの「リヴァトン館」を思い出しました、あれも面白かった。 しかしあえて断言しますが、「すみれ屋敷の罪人」のほうがはるかに傑作です。 | ||||
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著者の作品はすべて読んでいるが、相変わらずの筆力に驚かされる。 かつて華族が住んでいた屋敷から発見された白骨死体は誰のものなのか。 スリーピングマーダー(「回想の殺人」)と呼ばれる、過去に起こった事件を主人公が捜査していく形で物語は進むが……この短いページ数(256p)の間に、読者の目に映る真実は二転三転どころか流転していく。 この時代、この形でこそ、描かれるべきラストは切ない衝撃だった。 | ||||
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