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刑事シーハン 紺青の傷痕



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【この小説が収録されている参考書籍】
刑事シーハン/紺青の傷痕 (ハヤカワ・ミステリ1937)

刑事シーハン 紺青の傷痕の評価: 3.50/5点 レビュー 2件。 -ランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.50pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(4pt)

多くの過ちとミスディレクション

「刑事シーハン・紺青の傷痕」("Too close to breathe" 早川書房)、作:オリヴィア・キアナンを読む。
 アイルランド、ダブリンの女刑事シーハン、登場。
 彼女は、「男なんてみんな悪者でしょう?事実を指摘して申し訳ないけど」と言ってのける刑事です(笑)よって、今回は、いつもの読書に比べてアクションは控えめ、そして銃声は一発も聞こえません(笑)また、10/24に投稿したエイドリアン・マッキンティの著作の舞台でもある北アイルランドに比べると世界は穏やかで、ダブリンを流れるリフィー川のようにストーリーは静かに、デリケートに進行します。

 作者の処女作ですが、女性作家という観点から、パトリシア・コーンウェルのように丹念に、繊細に、警察捜査のディティールを積み重ねながら、現代性を加味しているように思えます。
 連続殺人事件なのか?「紺青の傷痕」にまつわる直前の事件はどう目の前の事件と結びついているのか?シャガールの絵は?この紺青は、プルシャン・ブルーのことだったのか?それとも?海辺で行われるハロウィンの松明の儀式の中で燃え上がる死体のイメージがどう収束し、カタルシスとしての結末はどうなるのか?興味は尽きません。これ以上は、書きませんよ(笑)

 伏線とミスディレクションがストーリーを動かし、刑事シーハンは、その不完全さで、多くの過ちを繰り返しながら、少しづつ真相に近づきます。満身創痍で。あるいは、命を賭して。

 「善か悪か。安易な良心。でも、磁石は二極ではなく四極だった。北と南のあいだに、ふたつの極がはっきりと存在した。中間ーそれがわたしの生きている世界」
 この描写が、この作家の作品への根本的なアプローチであり、バックグラウンドにある良心なのだと思います。
 
 「紺青の傷痕」という邦題も実はとてもいい題だと思えますが、原題は、おそらく次のような描写から浮き上がって来るのかもしれません。
 「。。。すぐうしろに立って首筋に熱い息を吐きかけながら危険な脅し文句を小声でささやいているという気がする。。。」
息もできないほど近くで。

 アイルランドから優れた警察小説の書き手が現れたのだと思います。
刑事シーハン/紺青の傷痕 (ハヤカワ・ミステリ1937)Amazon書評・レビュー:刑事シーハン/紺青の傷痕 (ハヤカワ・ミステリ1937)より
4150019371

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