刑事シーハン 紺青の傷痕
- 首吊り (90)
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警視正シーハンは、事件でのケガから復帰早々に大学の女性講師の首つり事件に赴く。自殺で処理されそうだったものの、死体の写真を見た彼女は他殺と見抜く。しかし、女性講師の夫は失踪。さらに、シーハンの故郷でも20代の女性が殺され…。 著者はアイルランド出身、本作は長編デビュー作で、舞台も首都ダブリン。巡査から15年かけて警視正まで階級を登り、重大犯罪捜査局の指揮をとるようになったシーハンの活躍を描いていているが、極めてタフネスだ。時に思いこみが激しすぎて暴走したりするものの、強い正義感に溢れた姿は強い印象を残す。男性への偏見にいささか辟易するものの、不愉快というレベルではない。容疑者が二転三転するストーリーも悪くない。ただし、終盤でシーハンが犯すミスはいただけない。15年も経験のある警察官が犯すミスとしてはあり得ないレベルだと思うのだが…。 そこが極めて残念だ。 原題に「紺青」が入っていないことを考えると、邦題は見事だ。ただ、表紙レイアウトが難しくなるかもしれないが「紺青」よりも作中で使われる「プルシアンブルー」を使った方がいいのではないだろうか。 | ||||
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「刑事シーハン・紺青の傷痕」("Too close to breathe" 早川書房)、作:オリヴィア・キアナンを読む。 アイルランド、ダブリンの女刑事シーハン、登場。 彼女は、「男なんてみんな悪者でしょう?事実を指摘して申し訳ないけど」と言ってのける刑事です(笑)よって、今回は、いつもの読書に比べてアクションは控えめ、そして銃声は一発も聞こえません(笑)また、10/24に投稿したエイドリアン・マッキンティの著作の舞台でもある北アイルランドに比べると世界は穏やかで、ダブリンを流れるリフィー川のようにストーリーは静かに、デリケートに進行します。 作者の処女作ですが、女性作家という観点から、パトリシア・コーンウェルのように丹念に、繊細に、警察捜査のディティールを積み重ねながら、現代性を加味しているように思えます。 連続殺人事件なのか?「紺青の傷痕」にまつわる直前の事件はどう目の前の事件と結びついているのか?シャガールの絵は?この紺青は、プルシャン・ブルーのことだったのか?それとも?海辺で行われるハロウィンの松明の儀式の中で燃え上がる死体のイメージがどう収束し、カタルシスとしての結末はどうなるのか?興味は尽きません。これ以上は、書きませんよ(笑) 伏線とミスディレクションがストーリーを動かし、刑事シーハンは、その不完全さで、多くの過ちを繰り返しながら、少しづつ真相に近づきます。満身創痍で。あるいは、命を賭して。 「善か悪か。安易な良心。でも、磁石は二極ではなく四極だった。北と南のあいだに、ふたつの極がはっきりと存在した。中間ーそれがわたしの生きている世界」 この描写が、この作家の作品への根本的なアプローチであり、バックグラウンドにある良心なのだと思います。 「紺青の傷痕」という邦題も実はとてもいい題だと思えますが、原題は、おそらく次のような描写から浮き上がって来るのかもしれません。 「。。。すぐうしろに立って首筋に熱い息を吐きかけながら危険な脅し文句を小声でささやいているという気がする。。。」 息もできないほど近くで。 アイルランドから優れた警察小説の書き手が現れたのだと思います。 | ||||
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