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復讐者たち



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復讐者たちの評価: 3.88/5点 レビュー 8件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.88pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全8件 1~8 1/1ページ
No.8:
(4pt)

ユダヤ人虐殺への最高の復讐…「建国」

単純で感情的、かつ涙もろいという絵にかいたような凡俗である筆者、罪もなく存在しているだけで殺戮されねばならなかったユダヤ人が復讐を遂げていくのはまことに当然、かつ公平な「罪と罰」、と共感して読み進めた。
 その復讐者たちが個人的、或いは組織的に復讐を執行している手を止めさせたのが「イスラエル建国」というのはまことに前向きな展開だった。
 どれほど怨念に燃えていても、国家がないユダヤ民族が、イスラエルという国家を持ったことで否応なく国際政治に登場し、建国のために復讐者たちが本国イスラエルに召喚され、復讐から建国へ(具体的にはイスラエル軍を構築する国家的事業や、対中東戦争)ベクトルを変えていくパラダイムシフトは、個人の怨念を現実世界で炸裂させることができる限界を示唆するものだった。
 それは、サイモン・ヴィーゼンタール(ジーモン・ヴィーゼンタール)という、アメリカでユダヤ人追求の団体を作り上げた人物は生涯を掛けてナチス追跡を続けたが、それは個人としての活動であり、それが団体となっていった水準で、国家というレベルでは虐殺も報復も、全体では取り扱うなかでの一部門にすぎなかった。

 もう一つ意外なことがある。
 アーリア人至上主義の筈のナチスは、誰が見てもラテン系の南米で巨大なネットワークを作り上げた世界的構想を持っていた。
 本来は世界大戦に勝利したあとのドイツが南米を支配するための下ごしらえだったらしいのだが、戦後も長く南米諸国でナチスが潜伏した土壌となったのは、アーリア人至上思想とやらも第三帝国のビジネス上の必要性からで、しょせん思想なぞ支配のための道具か、と美学の下のありふれた現実にま、そんなもんですよね、という覚醒効果がありました。
 大日本帝国はこの種の国際的なネットワークの構築には失敗しただけに、ドイツの視野の広がりは感じさせられた。

 全般に、これほどのジェノサイドをされたのだから、この人たちの反応は当然だよね…という感想でした。
 そして2020年代、ガザ地区を支配するハマスとイスラエル軍が民間人虐殺の応酬を展開している惨状を見ると、中東側の政権担当能力、統治能力の拙劣さはともあれ、絶滅など不可能であることをイスラエル以上に知悉している国家はあるまいと思われるのにこの状況は、人と同じく、国家も原体験から逃れることは出来ないのか、という複雑な感慨を催させる。
 後世という別な視点からもその歴史を検証させる、さながらユダヤ人という民族、イスラエルという国家の精神分析のようなルポルタージュだった。
復讐者たち (ハヤカワ文庫NF)Amazon書評・レビュー:復讐者たち (ハヤカワ文庫NF)より
4150501580
No.7:
(5pt)

戦いは終わっていなかった。

ナチスドイツの敗北だけで終われない、家族親族民族を殺戮されたユダヤ人達の復讐の記録。
その名の通り『復讐者たち』である。
著者はこの本の為に15か国以上の関係者に取材している。
一つ一つを丁寧に書いてある印象を受けるし、わかりやすかった。
又、ホロコーストの書籍と違い、迫害および殺戮、大虐殺のような生々しい部分ではなく、ナチに対する憎しみの上に、その復讐にかける信念のような部分や計画的な作戦など知ることができた。

復讐者たちは多くのユダヤ人の気持ちを背負って、自分たちは犯罪を犯しているのではなく、二度とこのよな事が起きないようにとの道義づけもしている。
ナチスドイツが敗北したことで、唐突に起きたことではなく、迫害を受けている間中、ユダヤ人たちがそれぞれの立場や考えで何かを起こそうとしていたことも取材からわかる。
非常に興味深い本で読みやすい内容である。
復讐者たち (ハヤカワ文庫NF)Amazon書評・レビュー:復讐者たち (ハヤカワ文庫NF)より
4150501580
No.6:
(2pt)

「20世紀最後の真実」のタネ本

落合信彦がフリードリヒことエルンスト・ズンデルの「ホロコースト否定論」を元にして書き飛ばした「20世紀最後の真実」のタネ本。
 巻頭にある「ユダヤ人問題の最終的解決」についての要約が現実ならば、ブルガリアにいたバー=ゾウバー自身が、誰かに匿われるか、何かの幸運か偶然にでも巡り合わない限り、どこかの強制収容所に移送される途中の列車の中か、強制収容所のガス室で死んでいたはずだ。1つ年下のツヴェタン・トドロフの「善のはかなさ」で書かれているように、少なくとも1941年時点のブルガリア王国の国境内のユダヤ人は強制収容所には送られなかった。著者は自分自身の運命に関わっていた事なのに、何故事実に反する事を書くのだろうか?
 「ホロコースト大事典」にニュルンベルク郊外の捕虜収容所での出来事を例外として書いているから、「復讐物語」は何らの事実の反映はしているかもしれない。しかし、本当に殺したとすれば、生き残ったゲットーのユダヤ人評議会の関係者かユダヤ人警察官、ゲシュタポに雇われた通訳や密告者、強制収容所のカポーのような気がする。それなりの地位にいたSS隊員が戦後のドイツやオーストリアでは実名を名乗って娑婆で暮らせるわけではないし、南米なり中東なりに逃げる途中の面々ならば他人の事までは知らないだろうし。「おおエルサレム!」にドイツ人の命令を拒否して短期間ながら強制収容所に送られた事があるアラブ人が経歴を生かして?パレスチナに帰るのにユダヤ人の帰還船を利用する話しがあるので、あるいはドイツにいたハジ・アミン・アル・フセイニーに近いアラブ人か。
 「エルサレム〈以前〉のアイヒマン」にフリッツ・バウアーを初めて紹介した本として紹介されているので、「ナチ・ハンター」については、書かれたとしても問題にはならない範囲での事実を書いているだろう。まだボルマンの遺骨がベルリンで見つかる前とはいえ、彼がベルリンで死んだという目撃談があるにも関わらず、安っぽい冒険小説かスパイ映画まがいの「ボルマンの逃亡物語」はせいぜい伝聞を元にしたフィクションというところだ。まだスコルツェニーは生きている時期に刊行されているので知っていても書けないだろうが、著者自身の「モサド・ファイル」に書かれているように「ヨーロッパで最も危険な男」は免罪と引き換えにしてエジプトのミサイル開発の情報を収集する為のエージェントとしてモサドが雇用していた。
 ドイツ人に対する復讐物語はイスラエル建国に際して故郷を去る羽目になったパレスチナ人がイスラエルに対する報復と重なるはずだが、「イスラエルの安全に対する邪悪なテロリスト」としてモサドの暗殺対象になった本を書いたのだから思い浮かばないだろう。この本が出た時期ならばPLOのゲリラ闘争だ。
復讐者たち (ハヤカワ文庫NF)Amazon書評・レビュー:復讐者たち (ハヤカワ文庫NF)より
4150501580
No.5:
(3pt)

ナチを追う。

マイケル・バー=ゾウハーさんの本で、訳が広瀬順弘さんです。
ナチのユダヤ人虐殺にかかわった人間、主にSSの人間を、戦後、ユダヤ人が復讐していく、という話です。
ユダヤ人たちは、組織だって復讐しています。
一方、SSの人間たちも、戦争の趨勢が負けに傾いたころから、脱出するルートは構築していたようで、主に南米アルゼンチンあたりに逃げるケースが多いようです。
ユダヤ人たちは組織で追いつめていくわけですが、もちろん逃亡先の政府が認めるわけはなく、逆に犯罪者として逮捕されてしまうかもしれないわけで、なかなかスリリングな展開になります。
主に、有名無名のSSを、「こういうふうに殺ったった」という話をあつめた本なので、一貫したストーリーがあるわけではありません。
インタビューをもとに構成した感じがする本です。
しかし、ユダヤ人たちの執念深さというか、追い込みかたってのが、すげえなぁ、と思いました。
もう逃げようがないなぁ、なんて思ってしまいました。
ただ、アルゼンチンは親ナチで、南米にはいくつか親ナチの国があったようで、そこいらへんにたどりついて、つつましく生活していれば、バレないかもしれません。
とはいっても、常に「追われる」身であるのは、つらいでしょうが。
それにしても、ナチの残虐行為をおこなった人間が、のうのうとまだ生きているかも、というのは、ちょっと怖いですよね。
また、逃げている人間も、「ナチの教えは正しかった」と宣伝していたりして、ナチの思想から抜け出てないのが、恐ろしいです。
復讐者たち (ハヤカワ文庫NF)Amazon書評・レビュー:復讐者たち (ハヤカワ文庫NF)より
4150501580
No.4:
(5pt)

歴史に載らない史実。

筆者の気持ちは痛いほどよくわかる。イスラエルが過激なのはナチスによるユダヤ人へのジェノサイトからくるものなのか。素晴らしい本。
復讐者たち (ハヤカワ文庫NF)Amazon書評・レビュー:復讐者たち (ハヤカワ文庫NF)より
4150501580
No.3:
(3pt)

これからの「正義」の話をしよう

「この本で取りあげるのは、歴史上きわめて特異な出来事である。類例がないほどの
規模とさまざまな形で行われた犯罪に対して、復讐を果たすために立ち上がった
少数の人々の苦闘の跡を、この小冊はたどっていく。すなわち、これはユダヤ人たちの
復讐の記録である。……第1部ではユダヤ人の復讐を取りあげ、第2部では
ナチ戦犯の逃亡とその支援組織および地下活動を記述する。そして第3部は
ナチ戦犯追跡の軌跡に紙幅をさくが、とくにアイヒマンの逮捕以降いちだんと
活発になった追及の跡をたどってみたい」。

「法と正義が一体になっていないなら、どちらを取るか、選択せざるをえない。
だから復讐者たちは危険を充分承知のうえで、正義を選んだのである」。
 本書を貫くのは、あくまで「正義」の実践としての「復讐者」像。
「ユダヤ人は2000年におよぶ虐待と屈従によって、殴られたら殴りかえす
能力を失った……“眼には眼を、歯には歯を”という教えを断固として拒絶する
深い人間愛と高度の文化的洗練の域に達した……復讐をおこなったのが
ユダヤ人であったということこそ、報復行為が“人道的”範囲を逸脱せずに
すんだ理由なのである」。

「正義」に則した殺人はある。
 戦後間もなくのこの確信は、後の正戦論の布石だったのかもしれない。
 この「復讐者」たちの中には、後にイスラエルの軍部、政府の中枢を担った者も
ある、という。
「真の復讐、いまだかつて例がないほど絶妙な復讐は、2000年の空白ののち
イスラエルが誕生し、自由で、勝利に輝き、未来に眼をむけたユダヤ人の新国家が
建設されたことではないだろうか?」
 本書の「正義」は、まず何よりも流浪の民たちの国家アイデンティティを証する。

 原著の出版は1967年――奇しくもこの年、第3次中東戦争が勃発し、筆者は
イスラエル国防省のスポークスマンを拝命したという――、一面を見れば
『007』がある種のリアリティを持ち得た古色蒼然たる香りが充満するテキスト。
 しかし2015年でのあえての復刊は、編集者の慧眼と讃えずにはいられない。
 本書から溢れ出す曇りなき「正義」の確信を、ひとまずユダヤを脱臼させて、
例えばISISのマニフェストとして受け取ることにさしたる違和感を覚えないのは
果たして私だけだろうか。あるいは対する「テロとの戦い」陣営に重ねても。

 イデオロギーへの賛否は置く。
 記された内容の真偽についても与り知るところではない。
 ただし、「正義」を考えるにあたって、これほどの教材はそうはない。
復讐者たち (ハヤカワ文庫NF)Amazon書評・レビュー:復讐者たち (ハヤカワ文庫NF)より
4150501580
No.2:
(4pt)

隠された真実

なかなか語られることの少ない、WWⅡ終結前後のユダヤ人によるナチへの私的復讐がメインストーリー。作者の最新作「ベルリン・コンスピラシー」を読んでこの”復讐者たち”に関心を持って入手しましたが、内容は想像以上でした。ただ、情報がかなり古く、未だに全世界で高齢者となった元ナチの発見と逮捕が続いている状況ではいくつかの齟齬を含んでいます。あと、作者のバックグラウンドを考慮すれば当然なのですが、細部の描写に感情的なところがあるため、内容を完全に信じきれるかというと難しい面が。よって☆一つ分だけマイナス。
復讐者たち (ハヤカワ文庫NF)Amazon書評・レビュー:復讐者たち (ハヤカワ文庫NF)より
4150501580
No.1:
(5pt)

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復讐者たち (ハヤカワ文庫NF)Amazon書評・レビュー:復讐者たち (ハヤカワ文庫NF)より
4150501580

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