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復讐者たち
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復讐者たちの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.88pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全2件 1~2 1/1ページ
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マイケル・バー=ゾウハーさんの本で、訳が広瀬順弘さんです。 ナチのユダヤ人虐殺にかかわった人間、主にSSの人間を、戦後、ユダヤ人が復讐していく、という話です。 ユダヤ人たちは、組織だって復讐しています。 一方、SSの人間たちも、戦争の趨勢が負けに傾いたころから、脱出するルートは構築していたようで、主に南米アルゼンチンあたりに逃げるケースが多いようです。 ユダヤ人たちは組織で追いつめていくわけですが、もちろん逃亡先の政府が認めるわけはなく、逆に犯罪者として逮捕されてしまうかもしれないわけで、なかなかスリリングな展開になります。 主に、有名無名のSSを、「こういうふうに殺ったった」という話をあつめた本なので、一貫したストーリーがあるわけではありません。 インタビューをもとに構成した感じがする本です。 しかし、ユダヤ人たちの執念深さというか、追い込みかたってのが、すげえなぁ、と思いました。 もう逃げようがないなぁ、なんて思ってしまいました。 ただ、アルゼンチンは親ナチで、南米にはいくつか親ナチの国があったようで、そこいらへんにたどりついて、つつましく生活していれば、バレないかもしれません。 とはいっても、常に「追われる」身であるのは、つらいでしょうが。 それにしても、ナチの残虐行為をおこなった人間が、のうのうとまだ生きているかも、というのは、ちょっと怖いですよね。 また、逃げている人間も、「ナチの教えは正しかった」と宣伝していたりして、ナチの思想から抜け出てないのが、恐ろしいです。 | ||||
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「この本で取りあげるのは、歴史上きわめて特異な出来事である。類例がないほどの 規模とさまざまな形で行われた犯罪に対して、復讐を果たすために立ち上がった 少数の人々の苦闘の跡を、この小冊はたどっていく。すなわち、これはユダヤ人たちの 復讐の記録である。……第1部ではユダヤ人の復讐を取りあげ、第2部では ナチ戦犯の逃亡とその支援組織および地下活動を記述する。そして第3部は ナチ戦犯追跡の軌跡に紙幅をさくが、とくにアイヒマンの逮捕以降いちだんと 活発になった追及の跡をたどってみたい」。 「法と正義が一体になっていないなら、どちらを取るか、選択せざるをえない。 だから復讐者たちは危険を充分承知のうえで、正義を選んだのである」。 本書を貫くのは、あくまで「正義」の実践としての「復讐者」像。 「ユダヤ人は2000年におよぶ虐待と屈従によって、殴られたら殴りかえす 能力を失った……“眼には眼を、歯には歯を”という教えを断固として拒絶する 深い人間愛と高度の文化的洗練の域に達した……復讐をおこなったのが ユダヤ人であったということこそ、報復行為が“人道的”範囲を逸脱せずに すんだ理由なのである」。 「正義」に則した殺人はある。 戦後間もなくのこの確信は、後の正戦論の布石だったのかもしれない。 この「復讐者」たちの中には、後にイスラエルの軍部、政府の中枢を担った者も ある、という。 「真の復讐、いまだかつて例がないほど絶妙な復讐は、2000年の空白ののち イスラエルが誕生し、自由で、勝利に輝き、未来に眼をむけたユダヤ人の新国家が 建設されたことではないだろうか?」 本書の「正義」は、まず何よりも流浪の民たちの国家アイデンティティを証する。 原著の出版は1967年――奇しくもこの年、第3次中東戦争が勃発し、筆者は イスラエル国防省のスポークスマンを拝命したという――、一面を見れば 『007』がある種のリアリティを持ち得た古色蒼然たる香りが充満するテキスト。 しかし2015年でのあえての復刊は、編集者の慧眼と讃えずにはいられない。 本書から溢れ出す曇りなき「正義」の確信を、ひとまずユダヤを脱臼させて、 例えばISISのマニフェストとして受け取ることにさしたる違和感を覚えないのは 果たして私だけだろうか。あるいは対する「テロとの戦い」陣営に重ねても。 イデオロギーへの賛否は置く。 記された内容の真偽についても与り知るところではない。 ただし、「正義」を考えるにあたって、これほどの教材はそうはない。 | ||||
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