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スピリット・リング
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スピリット・リングの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.30pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全9件 1~9 1/1ページ
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これほど楽しめた物語は、初めてです。ひねくれたレビューばかり書いていましたが、 この作品に対しては脱帽です。素直に感謝と敬意を表するしかありません。 今私にあるのは、満足感と一抹の寂しさ。続編を切望しています。 読めば誰もが、ふたりと仲間の暮らすモントフォーリアの運命への期待に 胸を膨らませずにはいられないのではないでしょうか。 | ||||
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時代はルネサンス、場所はイタリア。 大魔術師にして金属工芸家ベネフォルテは、二つの仕事に取り掛かっていた。 一つはモンテフォーリア公サンドリノから発注された黄金の塩入れで、それを使えば全ての毒が無効化されてしまうという魔法の品。 もう一つは自身の名声を確固たるものにするべく、ベネフォルテが総力を注ぎ込んでいるペルセウスのブロンズ像。 16歳になる娘のフィアメッタは父の仕事を手伝いながら、自分でも指輪などの小さな作品を作るまでになっているのだが、結婚願望も出てくる年頃で、ペルセウス像のモデル役をしているサンドリノ公の衛兵隊長、ウーリ・オクスに密かな恋心を抱いている。 ベネフォルテは、サンドリノ公の娘ユリアとロジモ公フェランテの婚約の祝典ににおいて、完成したばかりの黄金の塩入れを披露することとなり、フィアメッタとともに伺候するのだが、目出度い席は思いもよらぬ裏切りと殺人の現場となる。 フェランテが義父となるはずであったサンドリノ公を殺害し、モンテフォーリアを我が物にせんとの魂胆を明らかしたのだ。 フェランテとその部下によって殺戮が行われるモンテフォーリア城から、ベネフォルテ親子は魔術の才覚によってなんとか脱出に成功するのだが・・・ タイトルとなっているスピリット・リング(死霊の指輪)とは、その持ち主に死者の魂と力を隷属させる恐るべき魔法の品で、教会からは邪悪なものとされているのだが、知識欲旺盛なベネフォルテは、その原理にも通じており、フェランテの指輪から束縛されている霊を解放する。 しかし、皮肉なことに逃避行の途中で追っ手に捕まり命を落としたベネフォルテの魂は、指輪を再生させるために利用されようとするのだ。 兄ウーリの紹介でベネフォルテに弟子入りせんとスイスから来た鉱夫トゥーリ・オクスと偶然出会うこととなったフィアメッタは、魔術にも造詣の深いモンレアレ司教を頼り、力をあわせてフェランテとその部下である魔術師ニッコロ・ヴィテルリに対抗して行く。 ロジモから援軍が到着してしまえば、モンテフォーリアは完全に敵の手中に落ちて、全ての努力は水の泡となる。 一方、死後も大魔術師の才覚でスピリット・リングに囚われまいとするベネフォルテではあるが、こちらも時間の問題であり、彼が一旦屈すればフェランテの力は世界を揺るがすほどに高めてしまう。 この二つのタイムリミットが、物語をスリリングにしていて厭きさせない。 ファンタジーにおける女性の主人公のというと、お転婆であったり男勝りであったりする一方でそれ以外の特質について重視されない場合が多いが、フィアメッタは控え目ながらも実際的な性格だ。 多少ファザー・コンプレックスな部分も含めて、女性作家のみが生み出せたキャラクターと言えるのではないだろうか。 また、著者あとがきを見て少し驚かされた。 実在の人物や時代を設定に用いていることから、多くの参考文献があったようだが中でもキーとなったのは、死者の恩返しに関する民間伝承の論文、採鉱と冶金学の論文、そしてベネフォルテのモデルとなっているベンヴェヌート・チェリーニの自伝の三冊だという。 驚いた理由は、最後の一冊は著述上の必然としても、他の二つの論文との関連性が低く、論文相互にあっては殆ど無関係と言えるからだ。 三つの言葉から一つの話を生み出す日本の話芸「三題噺」を彷彿とさせるようなこのエピソードは、作者の発想力の豊かさを如実に示しているように思える。 そんな才能を持ったビジョルドの書く作品は、ファンタジーに限らずきっと面白いに違いない。 | ||||
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「ハリー・ポッター」シリーズ以外でこの手の「剣と魔法」的な作品は読んだことがなかった。 中世を舞台に大魔術師の娘が繰り広げる「死霊の指輪」を操る邪悪な者たちとの戦い。城郭都市や建物の描写、鉱山労働の様子、金細工師、彫刻家、貴族の暮らしぶりや衣装、飲食物などまで、描写が細かくてもの珍しい。洋服の素材やひだの描写まで、さすが女性作家という気がする。 主人公の少女のキャラクターが現代的で活き活きしていて、周りの大人と協力して悪に対抗していく、そんな成長が見ものだ。大成しなかった魔術師でもある修道院長が抱える魔術の実力に対する劣等感や、主人公と行動を共にする元鉱夫が近衛隊長であった兄に持つ感情など脇役も個性的な人間として描かれている。敵役とその参謀である黒魔術師でさえ、時に魅力的に描かれている。 魔術あり、肉弾戦あり、ドラマあり、ロマンスありで500ページ超の物語もあっという間だ。 | ||||
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良く出来たファンタジーらしく、あきさせぬ展開。 かなり魔法の素質がありそうなのに,女だからと認めてもらえない ヒロインのフィアメッタが実にいきいきと描かれている。 彼女の前向きな行動力、これに穏やかながら誠実で芯の強いトゥールが 組み合わさって,魅力的な作品になっている。 | ||||
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大魔術師ベネフォルテの娘フィアメッタは、独学で少し魔法が使えるようになっていた。 ところが、モンテフォーリアの統治者サンドリノ公爵が娘の婚約者フェランテに殺され、土地もフェランテの手に落ちてしまう。 逃亡中に敵兵に父を殺されフィアメッタは天涯孤独の身になってしまう。 フェランテに仕える魔術師が、あろうことかベネフォルテの霊を指輪に封じ「死霊の指輪(スピリット・リング)」を作ろうと黒魔術の用意をはじめていた。 フィアメッタは父の霊を救うために行動する。 15世紀の北イタリアが舞台の、魔法の冒険ファンタジーです。 主人公の16歳のフィアメッタは魔法が少し使えるだけ、もう一人の主人公十七歳のトゥールは金細工師の徒弟になるためスイスからやってきた元鉱夫。 ルネサンス期の城や、教会、城下町の様子が華やかにえがかれていて旅行記のように楽しめます。 神父や魔術師が華やかに魔法を使う場面。 敵陣での潜伏作業をおこなうトゥールの活躍。 フィアメッタが自分の能力の限界の魔術を実行し仰天するような反撃に結びつける様。 手に汗握る場面がたくさんの楽しい小説でした。 | ||||
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私にとって、このスピリットリングが今年読んだファンタジーの中では、ベストな作品でした。 購入のきっかけは、ある新聞の書評でした。 少しグロな描写もありますが、ラストシーンは圧巻。 続編が読みたい。 でも、この作品の続編は出ないだろうな。 そんな、ハッピーエンドで終わります。 | ||||
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既に、かの「マイルズ」シリーズにて十二分にその稀代のストーリーテラーぶりを知らしめているロイス・M・ビジョルド女史の、現時点で(翻訳されている)唯一のファンタジー! その丁寧な時代考証にしっかと基づき展開されるストーリーは、読み手を、読み始めたら止まれない「ビジョルド的ミステリートレイン」状態に間違いなくかっさらっていく事でしょう。その上、ありがちな無敵・不死身の大魔法使いも一騎当千・勇猛果敢な勇者も出てこない、本当に「ほんの少し」魔法が使えるだけの少女の奮闘ぶりが微笑ましく、且つハラハラとさせてくれる事請け合いです。かと思いきや、クライマックスにはそれまでの時代考証を蹴散らすような胸をすく爽快なシーンが待っています。読まないと絶対損をしますよ!(笑) | ||||
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中世のイタリアが舞台です。メディチのフィレンツェあたりを想像してくださると、 物語の設定が理解しやすくなると思います。 問題の塩入れですが、モデルとなったものは実在します。ところが最近(2003年)ウィーンの美術史博物館から 盗まれてしまったそうです。一度実物を見てみたかったのですが、かなわぬ夢となりました。 Ms Bujoldのウェブページをみても、現在のところ続編の予定はないようです。この作品の終わり方だと、 まだ続きがありそうなのですが。 第2作目を期待したいです。 | ||||
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中世?イタリアをイメージした作品で、主人公は魔術師&芸術家(鍛冶)の16才の娘で、わずかなながら父から手ほどきを受けている。 彼女らの仕える君主が、他国の君主と邪悪な魔術師によってだましうちされ、父も、彼女が密かに好意を寄せていた大佐も殺されてしまう。そんなこととは知らず、紹介されて鍛冶見習い志願にやってきた大佐の弟と出合う主人公。二人はそれぞれ父と兄の霊を救うため、共同して戦わねばならなくなり…、というストーリー。 最初は物語の前提になじめなくて読むのに時間がかかったが、大佐の弟が出てきたり、君主が殺されたりするあたりから、著者の持ち味のいつものワクワクモードに入ることができる。 SFではないが、ファンタジーの佳作。 | ||||
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