マイルズの旅路
※タグの編集はログイン後行えます
【この小説が収録されている参考書籍】 |
■報告関係 ※気になる点がありましたらお知らせください。 |
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点0.00pt |
マイルズの旅路の総合評価:
■スポンサードリンク
サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
現在レビューがありません
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
長篇10作、中篇3作続いたマイルズ・ヴォルコシガンの冒険物語の最終巻。 本書の後にも、イワンとコーデリアをそれぞれ主役に据えた長篇が二冊と、エカテリンが主役の中篇がひとつあるように、舞台を同じくする作品は今後も執筆されて、アラールと似た立場で彼が登場する可能性はあるが、おそらくマイルズが主役を張ることは、おそらく著者は考えてないだろう。 と言い切れるほどに、締めくくりは完璧な一文で終わっているし、むしろ蛇足的な「五人の視点からのその後」がさらに追加されている。その締めくくりもこれまたステキだ。 今回の物語は、終始キボウダイニという惑星が舞台となって、シラギク社とニュー・エジプト社という二つの人体冷凍保存会社がそれぞれ関与する別々の事件の顛末が語られる。 シラギク社の陰謀はバラヤー/コマールにとって由々しき問題だし、ニュー・エジプト社の大規模な隠蔽の方は、今後のキボウダイニ社会を揺るがす一大事件ではあるが、マイルズの人生やバラヤー社会にそれほど影響するものではないので、やや小粒感が否めない。 その意味において、本書の題名はいつものように今ひとつそぐわない。【注1】 ただし、急いでフォローしておくが、マイルズの役職である「聴聞卿」の訳は絶品だと思う。 原語は auditor で、辞書をひくと会計検査員、監査役、聴講生、聞く人wとか出てくる。いずれも雰囲気が軽すぎ。 本シリーズは、幾つかの惑星系がワームホールで繋がった宇宙を舞台にしていて、そんな宇宙でマイルズの故郷バラヤーは、人類の入植後にワームホールを使えず孤立した時期が数百年ほどあり、その間軍人貴族による封建社会が構築された。 再接続後に急激に文明化が進んだ反面、皇帝を頂点とする軍人貴族による保守的な封建制は強固に存続されていて、周りからは半野蛮な侵略国家と思われがち。 このような設定が、結構明治時代の日本とダブってしまうのはわたしだけではないだろう。 そんなことを前にも書いた気がするが、著者はロシア貴族を念頭に置いていたらしい。 本作にもバラヤー・ロシア語(p.59)なんて記述がある。 とは言われても、コマール人に関する描写を読んでも、やはり日本を感じてしまうのだがw そんなことを著者も周りから聞いたことがあるかどうか、本書の舞台は最初から最後まで、そこかしこに日本感漂うキボウダイニである。 翻訳者が著者にレクしたとのことで、現地人の名前にタナカ、サトウ、スズキが制覇されるのを筆頭に、ユウイチ、セイイチロウ、テンノウジなんて人物も登場する。 ついでに言えば、ジンが蜘蛛に名付けるレディ・ムラサキは紫式部のあちら訳だw ただし、キボウダイニの人口構成に日系は多いのは間違いなかろうが、正式名はニューホープと言うらしく、創始者たちは多民族だったとのこと。【注2】 本書のラスボス枠のニュー・エジプト社の経営陣が、最後まで顔を出さないのは、演出として興味深く感じた。(が、小粒感の要因にもなってるかと……) 個人ではなく、経営陣が悪者ってところはいかにも日本的なようにも思えるが、社長の名前はシロウ・キム(P.345)。ヤベェ~。 いやここでコメントするのは差別扱いされそうなのでやめておくw このあたり、著者に寓意があるとみるのは買いかぶり過ぎだろう。 名前以外の“日本的な”設定には、外国人が思うおかしな日本あるあるもそこそこあって、シラギク社の敷地に入るのに「巨大な鳥居の下をくぐっ」(P.157)たり、ジンが「初歩の漢字学習の辛さ」(P.176)を感じたという描写がわざわざ……。 後者をおかしく思わない人もいそうだが、漢字の学習に関しては、外国人の大人が考える日本語の難しさを。そのままジンの心情として出してしまった。 マイルズやロイックならともかく、ジンの心情としての描写とするのには違和感を感じてしまう。 漢字は特に頑張って学習するものではないし、少なくとも読みに関しては、本さえ読んでいればいつの間にか身につくものだ。 おかしいというものではないが、「クローゼットと棺の中間のような時間貸しの寝部屋」(P.312)とは、日本のカプセルホテルが著者の念頭にあったのだろう。 とまぁ、掉尾作のわりに小粒なのは、マイルズがすっかり落ち着いてしまったことにもあるのだが、一方でロイックやジンの視点を借りて、彼に持てる者のナチュラルな無神経さのようなものが顔を出したりしているとあるのが興味深い。 捜査官として、ロイックが有能なことがわかったのも嬉しいw 【注1】原題は、ちょいと調べても出てこなかったので、著者の造語かもしれないが、訳してみると、『極低温やけど』となろうか。題名にするには少々キビシイ。思考停止だが、『クライオバーン』とするのが無難でよかったかな。 【注2】ニューホープと名付けられた惑星は二つあって、区別のためのあって、キボウダイニと呼ばれるとか。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
マイルズの活躍が当然ながらいつも通りに続くが、今回は少し趣向を変えている。 マイルズファンとしては出番が少なく残念だが、作家も連続モノは大変なので合格! ☆四つにしたのは、展開を端折りすぎていて、本来ならその部分だけで数十ページになる箇所が飛んでいるため。 最後の部分で衝撃的な結末になるが、これで最後にせず、是非続編を書いて欲しい!!! | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
家の諸事情でしばらく読書から遠ざかっていたので、新刊が出ているのに最近まで気が付きませんでした。 帯の文言に大人気シリーズついに完結!となってるのに気が付かず、後書きを読んで初めて「ぇえええ!」 でも、Wikiによれば、本国では本書は2010年刊行で、2012年に日本では先に刊行されていた大尉の盟約が刊行され、2016年には母上のコーデリアが主人公の作品が本国では刊行されている様子。 まだ少なくとも後1冊はある!と一安心。 本書の日本発刊は2017年2月なのですから、2016年の本国発売の最新刊の情報は当然ご存知だったはず。 なんで完結と書くのか・・・ 後書き執筆時、印刷前の段階で著者からそういう情報を得ていたんだろうか?、でもせめて帯の文言は訂正してよ。それとも購買欲を刺激したつもり?等といろいろ思ってしまいます。 続いて欲しいですからね(笑) でもですね、邦題と原題はかけ離れていると思いますよ。 邦題からはもっと異なる内容をイメージします。 ここら辺も創元の何かしらの意図を感じてしまいますね・・・ そして気になる事もあります。ここから少々のネタバレを含むのでご注意を。 他の方も書いているように、訳者は同じはずなのに、マイルズの語り口調がまず違う。 語り口の多くがマイルズでない事もあるのでしょうが、心理描写も濃密とは言えないし、マイルズ自身の周辺人物への気の使いが今までと違う・・・ マイルズの冒険としては薄口です。 というより、全体的に薄口です。 今迄はわざとややこしくしてるんじゃないの?と言いたくなるくらい内容、伏線がてんこ盛りだったのが、かなりあっさりとしています。 ビジョルドは70歳くらいのようですが、まだまだ高齢と言うには早い。 まだまだ頑張って欲しいというのが長年のファンの気持ちです。 そして、2010年のこの本書以降は、現時点では確かにマイルズが主人公ではない・・・ お願いです。 マイルズの実子が生まれたあたりを一人一人じっくりと書いてください。 きっとエカテリンやら両親やら巻き込んで大騒ぎがあったはず。 ヒトの良いイワンの結婚生活もじっくり書いてください。 もちろんグレゴールのも。 そしてタウラの人生も・・・ きっと陰謀、冒険、危険、ユーモアもいっぱいだと想像するのですが、それこそがヴォルコシガン・サガではないでしょうか? | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
これで翻訳も最後ですね。長かった・・・。wktkして読んでいた青春時代からすっかりおじさんになってしまった。スピンオフか外伝でもでないかなあ。ビジョルドさんも高齢ですし、中世物に傾倒している様ですし、期待しないで待ちます。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
マイルズ以外を主人公とする未訳の中編がまだ残っているようですが、現時点では、ヴォルコシガン・サーガの最終巻になりそうです(巻末訳者より)。 シリーズものなので、この巻から読み始める方は少ないかと思いますが、もしいらしたら、これだけ読んで「う~ん、イマイチ」と思わず、是非「戦士志願」「ヴォルゲーム」もしくは「名誉のかけら」を読んで欲しい。 ヴォルコシガン・サーガは“SF”というくくりですが、いわゆるSF的な科学技術や宇宙戦争といった面よりも、ロマンスやヒューマンドラマにかなり比重が割かれていると個人的には感じていて、男性よりも女性が楽しめるSF小説に仕上がっているのではないかと思います。 アン・マキャフリーの「歌う船」シリーズが好きな方であれば、こちらのシリーズにもきっと夢中になるはずです。 本作は、シリーズの他の作品と比べるとちょっと物足りなさを感じるかもしれません(まあ、主人公の年齢や立場では已む無しか)。 しかし、終盤に父方の祖母の最期を主人公のマイルズが述懐している辺りや、エンディングも併せて考えると、マイルズの冒険には、両親であるアラールとコーデリアの存在が必要不可欠であったのではないかと強く感じました。 もう新しい物語が読めない(かもしれない)という侘しさはありますが、永遠に主人公が年を取らずに、ただ延々と物語が続くというループに陥らず、マイルズの誕生(誕生前の両親の出会いも含む)から青年期・壮年期を経て、結婚・子供が生まれるという一連の成長を読者として見守ることができた幸せをかみしめています。 久々に、シリーズの最初から読み返したくなりました。 | ||||
| ||||
|
その他、Amazon書評・レビューが 10件あります。
Amazon書評・レビューを見る
■スポンサードリンク
|
|