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月長石



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【この小説が収録されている参考書籍】
月長石 (創元推理文庫 109-1)

月長石の評価: 4.20/5点 レビュー 25件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.20pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全21件 1~20 1/2ページ
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No.21:
(5pt)

本邦の明治元年に生まれた英文学の代表作品

この作品は、奇しくも日本のエポックイヤー(1868年)の初めからチャールズ・ディケンズの発行していた「オール・ザ・イヤー・ラウンド」誌に連載され、夏には三巻900ページの本として出版された。日本人にとっては、往時を想い、世界のどの国人よりも感じるところがある、「最古にして最上のミステリ」と言えるだろう。そして人生の指南書でもある。
 イングランド北部ヨークシャーの荒蕪地の分かれ道で、フランクリン・ブレークがエズラ・ジェニングスが去っていくのをただ見送っていたら、「その顔は太陽のごとく明るく、しかもいつでも見られるという太陽に勝る大きな長所を持つ」素敵なレイチェルに、犯罪者と思われたまま、エズラ・ジェニングスのような「生ける屍」の運命に陥っていたかもしれない。彼を呼び止め、雲が切れて光輝く草叢に座り、全てを打ち明けた時、ダイヤの紛失と、レイチェルの緘黙の原因が、悪名にまみれ、人々に疎まれている医師助手、エズラ・ジェニングスによって明らかにされ、フランクリン・ブレークはレイチェル・ヴェリンダーとの結婚という最高の人生を手に入れる。それは、エズラ・ジェニングスの恥多き人生の救済でもあった。
 深々とした夜に読むにふさわしい名作である。
月長石 (創元推理文庫 109-1)Amazon書評・レビュー:月長石 (創元推理文庫 109-1)より
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No.20:
(4pt)

贈呈用

プレゼント用に手頃のサイズだった。
月長石 (創元推理文庫 109-1)Amazon書評・レビュー:月長石 (創元推理文庫 109-1)より
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No.19:
(4pt)

多重解決のような謎解きは充実感があるが人間心理の深みの点では今一つか

再読であるが40年近く前のことで内容はほぼ全て忘れていた。ただ前回は老執事ベタレッジの手記に愛着を覚えたような気がするが今回は前半300頁は冗長で興味の持続に苦労した。後半からは徐々に緊迫感が増してきて驚愕の展開が次々と起こり最後はどうなることかとハラハラしながら読み続けることができた。

前半は、月長石の消失、感化院出身の女中ロザンナを巡る騒動、令嬢レイチェルの結婚問題等が並行して進んでいくが書き手のとぼけぶりも影響してか今一つピンボケの感があった。ただ世慣れた老執事ベタレッジが我を忘れる場面(p261)にはそのストレートな表現に思わず感涙してしまった。狂信的なカトリック教徒のクラック嬢の寄稿も読者の嘲笑を誘うように描かれているが、周りから白眼視される中でも挫けずに信念を貫こうとする姿は健気ながら哀れであり考えさせられた。特に銀行家エーブルホワイト氏が登場する場面(p423-440)は劇的なクライマックスの一つになっており盲目的な信仰者との断絶が見事に表現されている。

後半のブラッフ弁護士の寄稿(p441)からは再度月長石の問題に戻り謎解きも本格化し前半の伏線も次々と回収されていく。ただ純愛ロマンスが根柢にあり人間心理が理想化され過ぎていてわざとらしいという感もある。トリックはやはり拍子抜けと言わざるを得ずその証明のための実験も綿密に展開されてはいるがそもそもの根拠が薄弱であり結果も出来すぎといえよう。物語としては十分面白いが謎解きミステリとしては古典とはいえやはり1930年代以降の傑作群には及ばないか。

探偵側としても前半の捜査は手ぬるいと言わざるを得ない。レイチェルの証言拒否があったとしてももっと徹底的に取り調べれば解決は容易だったようにも思われる。ただ本作はパズルを解くというよりも人間心理をベースにした濃密な物語を味わうというものであろうからそういう意味では十分に成功している。真相への道筋も行ったり来たりの多重解決のような感があり謎解きとしては十分な充実感があった。ただ純愛ロマンスも結局はゲームの仕掛けに過ぎなかったという安直な感じは否めなく、人間心理の深みや奥行きという点では同じ作者の「白衣の女」や「ノー・ネーム」の方に軍配を上げたい。

以下、登場人物一覧に無い人物を補足しておく。

アデレイド(故人):ジュリアの長姉、フランクリンの母、ブレーク氏の妻
カロライン:ジュリアの次姉、ゴドフリーの母、エーブルホワイト氏の妻
ジョン・ヴェリンダー卿(故人):ジュリアの夫、レイチェルの父
セリナ・ゴビイ(故人):老執事ベタレッジの妻
ブレーク氏:高名で莫大な財産家、フランクリンの父、アデレイドの夫
ナンシー:ヴェリンダー家の女中
アーサー・ハーンカスル(名前のみ):ジョン・ハーンカスル大佐の兄
サミュエル:側付きの召使、給仕
エーブルホワイト氏:フリジングホールの銀行家、ゴドフリーの父、カロラインの夫
ゴドフリーの二人の妹
フリジングホールの牧師
スレッドゴール夫人:ヴェリンダー家の客人
料理番の女:ヴェリンダー家の使用人
奥さま付きの女中:ヴェリンダー家の使用人
一番女中:ヴェリンダー家の使用人
ヨーランド夫妻:コブズホールの漁師夫妻、ルーシーの両親
ベグビー:園丁頭
モートビー:フリジングホールの呉服商
ジョイス:フリジングホールの警官、シーグレイヴ警察署長の部下
ジェイムズ:ヴェリンダー家の御者
ダッフィ:ヴェリンダー家の庭の草刈りを手伝う少年
ジェフコ氏:ブレーク氏(父)の従者
スモーレー:スキップ・アンド・スモーレー法律事務所の弁護士(?)
マカン夫人:インド人が住んでいた宿屋のおかみ
タミイ・ブライト:コブズホールで網をつくろっていた少年
園丁のおかみさん:ヴェリンダー家の使用人
グーズベリー(オクタヴィアス・ガイ):ブラッフ弁護士の事務所の走り使いの少年
ブラッフ弁護士の事務所の主席書記
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No.18:
(5pt)

世界最大のダイヤモンドを巡る壮大なドラマ。

この本のタイトルは原題が“The Moonstone”で日本語訳が“月長石”。……“moonstone”の訳は“月長石”でいいんだけど、ムーンストーンは、6月の誕生石で、ダイヤモンドではない。この話の中で、“moonstone”と呼ばれているのは、黄色いダイヤモンドです。……だから、日本語に訳すところで、間違ったんじゃないかと思います。……今だったら普通に、“ムーンストーン”で良かったんじゃないかと思います。
(以下ネタバレ)
ありえない大きさの“ムーンストーン”を、インドのカリフからイギリスの大佐が奪い、それを大佐の姪が相続し、その日の夜に紛失。その時から、姪の運命は狂ってしまう。……あれこれすったもんだがあって、色恋沙汰もあって、少しずつ謎が解けていく。……はっきりいって、文章が、まだるっこしくて、わざと分かりにくくしてるような感じがする。……人に分かるようにってことを、全っゼン考えてないよねって言いたくなる。
 例えば、……“そして、そもそもある種のもの(ダイヤモンドも含めて)が存在すると見なすある種の権利(純粋に哲学的根拠に基づいて)があるものかどうか怪しむことによる、ある種の実際的活動に対する私の次の努力の目撃者となるべき、その一日の幕をひらいた。”(597ページ最後から5行目から)
‥意味分かんねーよ。……こういう文章が延々と続くので、もういい加減に嫌になるのを、修行のつもりで読んでいくと、最後の200ページくらいから、話が加速度的に進んで、一気に結末まで引きずってってくれます。……結局、悪いやつはいるものだってことかな。……最後に、インド人の手に、ダイヤが取り戻されるのは、ちょっと感動的です。……因みに、冒頭で、件のダイヤモンドが、“月の象徴たる『4本の手の神』の額に象嵌されてあったという”と書かれていますが、インドの“月の神”といえば、“チャンドラ"です。そして、ダイヤモンドが、最後に”月の神“の額に戻される訳です。
……巧妙なトリックとか、犯行の手口やアリバイが緻密に計算されてるというのでなく、単に物語としてのおもしろさがあり、そんなことだったのかという驚きが最後に待っているので、T·S·エリオットが“最初の、最大にして最良の推理小説"と評したのもうなずけます。
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No.17:
(5pt)

長い長い物語が好きな方へ

まだミステリを読み始めたばかりだった頃、書店の創元推理文庫の棚に行くと、その中に黄色い背表紙のひときわ分厚い本があって、手に取ってはみるものの、こんな長大でしかも古そうな小説を読む人などいるのかしらと思ったものだが、エッセイ集「深夜の散歩」(講談社版)の中で丸谷才一が「長い長い物語について」として、このコリンズ「月長石」を激賞しているのを見て、いつかは読もうと心に決めた本書を、ついに読むことができた。

ストーリーなどは他の方のレビューで紹介されているので触れないが、ミステリというよりも、19世紀の英国上流階級一家で起こった宝石盗難事件にまつわる人間模様を描いた探偵小説要素満載の「物語」としてじっくりと味わう、という読み方がよいだろう。自分も、750ページ以上ある本書を少しずつ半月以上かけてなるべくゆっくりと読んだわけが、500ページを越えたあたりからは我慢できずに一気呵成に読み切ってしまった。

最近は旧いミステリの新訳版の刊行が盛んで、読者としてはありがたいのだが、本作は150年以上前の古典である。翻訳も60年近く前のもので文体の古さは否めないのだが、読みにくさは全くない。たびたび変わる語り手の個性もうまく日本語で表現できている。本書に関しては新訳などせずこのままの訳で再版していって欲しい。(なお、時代にそぐわない不適切な表現を再版時に修正したと思われる部分がある。そこだけ活字が異なるのですぐわかる)
月長石 (創元推理文庫 109-1)Amazon書評・レビュー:月長石 (創元推理文庫 109-1)より
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No.16:
(5pt)

長編小説を楽しめた

「白衣の女」を読んでから、さらにコリンズの作品を読んでみたくなりました。
本が届いてから、こんな分厚い本を読み切れるかなと始めは心配でしたが、それでも
時間をかけて楽しませてもらいました。
少しのんびりしていますが、「白衣の女」で文化的時代的背景に慣れていたのが助けになりました。
ダイヤを盗まれた女性の態度が不可解でしたが、ちゃんと理由があったのですね。
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No.15:
(5pt)

名作

長編ですが、初の完訳で、名訳だからなのかとても読みやすかったです。古典なのにあまり古さを感じずに読了しました。ネタバレになるので内容はお楽しみで言えませんが、読んで損のない名品です。
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No.14:
(4pt)

面食い読者のつぶやき

背表紙のデザインが購入ファクターに含まれるメンクイ読者です。と言っても背表紙で買うということはなく、購入をためらうことがあるのです。私見ですが、創元社さんの文庫本の背表紙は以前の方がうんと良かった。本格推理、ミステリ、ホラー&ファンタジーなど、小さなアイコンで示してあって、確かにカテゴライズが微妙なものもありましたが、それもまた楽し、でした。
 数年前、久々に実家に帰って、推理小説やミステリのささやかなコレクションが家の者に勝手に処分されていてショック。買い直したいと思っても、今の御社の背表紙だと本棚に並べて悦に入ることも難しい。本作に限らず、ディクスン・カー(カーター・ディクスン)、クロフツ、ミルンやディケンズなど背表紙のデザインがイカしていれば即再購入すると思います。ちなみに『ポオ小説全集』は手元にあって難を逃れましたが、高級感があって気に入っています。

 個人的にはちくま、岩波、ハヤカワ、福武(絶版)などの文庫の背表紙が好きです。集英社のラテンアメリカ文庫も赤い背表紙が断然よかった。上記の諸文庫は書店でも見つけやすいですし、背表紙というわずかなスペースで自己主張する(でも下品に見えない)感じがいい。せめて新潮文庫、中公文庫、文春文庫のように普通にしてほしいです。最近購入したものでは『中井英夫全集』第1巻はいかにも創元社らしい素敵な背表紙だと感じています。一方、『バイバイ、エンジェル』は強い動機がなければ購入しなかったと思います。どちらも読了後の感想としては、作品には星五つですが、商品としての後者の星は一つ二つ削りたい。
 ほとんどの読者にとって、99%の書籍とはまず背表紙で遭遇します。創元社さんは充実したコンテンツがおありなのだから、もう少し背表紙のデザインを工夫しないともったいないと思ってしまいます。

 本作『月長石』は文学作品としても鑑賞に耐えうる、しっかりした作品だった印象があります。『文豪ディケンズと倒錯の館』ではホームズ役のディケンズに対して、コリンズが間抜けなワトソン役を振られていて少々気の毒でした。
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No.13:
(5pt)

筋を急がず、人物描写をゆっくり楽しむ作品。

50代に入って、経験不足とはいえ人生の諸々が分かってくると、こういう大長編もそれ程苦にならずに読めてしまうものである。執事ペタレッジの長広舌も、クラック嬢の狂信としか言いようがないお節介ぶりも、決して古びてはいない。特に後者のキャラクターは現代でも居そうなくらいリアリティがある。登場人物ひとりひとりの描写が的確で、誰だか分からなくなるということもない。
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No.12:
(5pt)

19世紀に書かれた小説とは思えません。狂信的なクラック嬢が怖い

大変長い小説です、途中少し飛ばして読みたくなるところもありますが、月長石が盗まれたあたりからは一気に読み進めることができました。
ビクトリア朝に書かれた小説ですが現在読んでも十分に違和感なく、ビクトリア朝の話としてですが読み進むことができます。
今の社会で見ればかなり狂信的なキリスト教徒のクラック嬢などは今の社会に何処にでもいそうなキャラクターです。
物語の結末はハッピーエンドで終わります。
あまり推理小説はお好きではないという方に読んでいただける小説です。
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No.11:
(5pt)

生き生きとした登場人物たち

20年ぶりの再読ですが,生き生きとした登場人物の造形・描写は百年以上前の作品とは思えません。 訳もかなりこなれていると感じます。 推理小説,という分野が確立していない時代の作品と聞きますが,そのせいか探偵役などのステレオタイプな役割期待がなく混乱しており,それがこの作品では逆に魅力となっています。 海外の推理小説としては五指に入ります。 記述や筋が冗長,という評もあるようですが,筋はまったく無駄・すきがない,というのが私の意見です。 カズオ・イシグロのほうが冗長ではないか?といいつつ,両者の共通点なども感じます。 日常生活の描写の伝統はイギリス文学の特質なのだろうか。
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No.10:
(4pt)

"過渡的ミステリ"ながら読み応えあり

「イギリス史上初にして最長最大の長編ミステリ」との冠が付いた古典。確かに全体構成は緻密で、当時の社会や人物描写に優れた骨太の作品ではある。だが、本作以前に既に発表されていたポーの諸短編と比べるとミステリ風味は非常に薄い。「月長石」の紛失に関する謎も、旧式の「もしあの時Aが......していれば」風に構成されているし、(結末近くになって唐突に明らかになる)本作の眼目である「物理的証拠を如何に崩すか」についても胡乱な解決しか示されない。それでも、本作より数年前に発表されているガボリオの「ルコック物」と比較して現代の長編ミステリに近い全体構成を持っている辺り、"過渡的ミステリ"と捉えるべきか。

一方、ミステリ風味を除くと、伝統的英国小説として中々読み応えがある。所謂、誤解のために心ならずも愛する男を突き放す令嬢をヒロインとした大河小説である。更に、このヒロインの周囲の人間の善意と悪意、あるいは作者の人生観・社会観等を多角的に浮き彫りにしている。記述主体も、前半の「月長石」紛失の経緯に関しては令嬢家の執事、その後の登場人物の動向に関しては必要に応じて、宗教的観念に凝り固まってヒロインに批判的なヒロインの従姉、実務的な面から令嬢家の弁護士、そして渦中の人物と多彩。その中で、令嬢家の不遇な召使、令嬢家の掛かり付けの医師のやはり不遇な助手に温かい眼差しを向けている点に感心した。そして、前半の執事の記述と後半の他者の記述とが見事に照応しているのである。この辺は文人としての作者の力量であり、本作が高い評価を得ている理由であろう。ミステリ・ファンならずとも一読をお薦めしたい一作である。
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No.9:
(5pt)

物語の長さを感じさせないほど

はじめに本を見た時は「とても厚い本!」読みはじめると物語のなかへ引き込まれ、どんどん先へ先へと読み進みあっという間に完読。
読み終わった後・・・感動した。amazonで結構注文してるけど中には読んで「つまらない」も多々あったが この本は良かった。
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No.8:
(4pt)

推理的要素の大きい、教養小説

類い稀なるイエローダイヤモンドの所有者となったレイチェル嬢。その誕生会の夜、月長石はレイチェルの部屋のタンスから持ち去られる。犯人は、奪還を目論む、インド人の三人組なのか? それとも、誕生会の出席者の中にいるのか? さらに、何かを知っていながらも、硬く口を閉ざすレイチェルの本意は?

大長編ですが、格調高い文章と、登場人物が実に魅力的で飽きません。
特に「ロビンソン・クルーソー」をバイブルと公言する、献身的な老執事ベタレッジに好感が持てます。
レイチェルのおばで、宗教の押し売りをするクラックも、身近にいそうな存在です。
ロンドン警視庁のカッフ刑事部長も脇役ながら、探偵役としては、特異なキャラクターとして印象的です。

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No.7:
(5pt)

やっと読了しました

英国探偵小説の魅力に取り憑かれて早二十年ちょっと…。 コナン・ドイルのホームズの時代から第二次大戦前の黄金期を経て、脈々と現代に伝わる数多くの名作群。 その原点とも言える作品が本作です。 多くの英国探偵小説の美点。則ち 物語的興味と論理的推理を併せ持ってます。 しかし さすがに百年以上前の作品なので、やや時代がかった言葉使いや話が冗長な感じは否めませんね。 とは言え、 意外な現代性を感じたのが、物語中盤の狂信的キリスト教徒のクラック嬢の物語です。ことある事に持参した布教用のパンフレットを相手に良かれと配る姿には、現代の新興宗教のそれと多く重なる部分があり慄然としました。(特に死を間近に控えた病人に信仰を勧める姿は、作者は滑稽さを狙ったのでしょうが、シャレにならずに笑えませんでした) 文庫にして七百ページ超の作品で、読み終わるのに中絶を経て二年近くかかった自分が言うのも何ですが(笑)、同時代の盟友ディケンズと比べたら意外と読み易いと思います。 色々と書きましたが、犯人の意外性もあり、物語としての読みごたえもあるので、ただの歴史的意義だけの作品としてで終わらせるのは惜しいので、一読をオススメします。
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No.6:
(5pt)

19世紀の英国社会を実感しつつ読む推理小説の元祖的作品

世界の推理小説の元祖となった3作の一つという歴史的評価通りの作品。スケールが大きい構成、語り口の巧みさ、19世紀中葉の英国階級社会の描写、これらすべてが目を見張る面白さで読ませてくれる。推理小説ファンに限らずすべての読者にお奨めしたい。
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No.5:
(5pt)

19世紀の英国社会を実感しつつ読む推理小説の元祖的作品

世界の推理小説の元祖となった3作の一つという歴史的評価通りの作品。スケールが大きい構成、語り口の巧みさ、19世紀中葉の英国階級社会の描写、これらすべてが目を見張る面白さで読ませてくれる。推理小説ファンに限らずすべての読者にお奨めしたい。
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No.4:
(4pt)

歴史を感じさせる読み物

T・S・エリオットが
「最初の、最大にして最良の推理小説」と
絶賛したとされる本書。
−−といっても、
そもそもT・S・エリオットって誰?
という方が多いのではないかと思われます。
何しろ本書が執筆されたのは、1868年。
140年余りも前のことですから、
T・S・エリオットだって随分昔の人です。
ましてや本書だって、
現代の小説を読むように接するのは無理というもの。
でも、本書は推理小説−−それも、長い長い推理小説として
とても有名な小説であり、
読んだことはなくとも、題名だけは知っているという方が
かなりいらっしゃるのではないかと思います。
かくいう私もそうしたうちの一人でしたが、
このたび意を決して本書を購入し、読破しました。
インドの秘宝<月長石>が
ヴェリンダー家というイギリス上流階級の家から
忽然と姿を消し、
その行方を追っていくという物語ですが、
複数の関係者が交代で手記や日記などで
事件の顛末を証言していくという形式を取っています。
読んでみて思ったのですが、
文章は意外と読みやすく、
登場人物が個性豊かに描き分けられていて、
当時の上流階級社会を垣間見ることができます。
ただ、推理小説として見た場合はどうかというと、
あまり期待しない方がよいかもしれません。
宝石の盗難という事件は扱っていますが、
現代の私たちの目から見ると、
ミステリ的要素は薄いといえましょう。
本書は秘宝を巡る大河小説として
読むと良いのではないでしょうか。
現代の小説と違い、ゆったりとした物語展開ですので、
それに合わせて腰を据えて
じっくりと読書の時間を楽しむのに
適しているのではないかと思います。
月長石 (創元推理文庫 109-1)Amazon書評・レビュー:月長石 (創元推理文庫 109-1)より
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No.3:
(4pt)

歴史を感じさせる読み物

T・S・エリオットが
「最初の、最大にして最良の推理小説」と
絶賛したとされる本書。
−−といっても、
そもそもT・S・エリオットって誰?
という方が多いのではないかと思われます。

何しろ本書が執筆されたのは、1868年。
140年余りも前のことですから、
T・S・エリオットだって随分昔の人です。
ましてや本書だって、
現代の小説を読むように接するのは無理というもの。
でも、本書は推理小説−−それも、長い長い推理小説として
とても有名な小説であり、
読んだことはなくとも、題名だけは知っているという方が
かなりいらっしゃるのではないかと思います。

かくいう私もそうしたうちの一人でしたが、
このたび意を決して本書を購入し、読破しました。

インドの秘宝<月長石>が
ヴェリンダー家というイギリス上流階級の家から
忽然と姿を消し、
その行方を追っていくという物語ですが、
複数の関係者が交代で手記や日記などで
事件の顛末を証言していくという形式を取っています。

読んでみて思ったのですが、
文章は意外と読みやすく、
登場人物が個性豊かに描き分けられていて、
当時の上流階級社会を垣間見ることができます。

ただ、推理小説として見た場合はどうかというと、
あまり期待しない方がよいかもしれません。
宝石の盗難という事件は扱っていますが、
現代の私たちの目から見ると、
ミステリ的要素は薄いといえましょう。

本書は秘宝を巡る大河小説として
読むと良いのではないでしょうか。
現代の小説と違い、ゆったりとした物語展開ですので、
それに合わせて腰を据えて
じっくりと読書の時間を楽しむのに
適しているのではないかと思います。
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No.2:
(4pt)

読みごたえがあります

黄色のダイヤである月長石の盗難事件を核にして紡ぎ出される物語です。様々な人物による手記や日記によって構成されていますが、最初の老執事ベタレッジによる手記が面白く、一気に引き込まれてしまいました。推理小説として読むと物足りない面があるかもしれませんが、人物描写による魅力がそれを補っています。
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