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ビアンカ・オーバースタディ



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ビアンカ・オーバースタディの評価: 3.70/5点 レビュー 79件。 Dランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.70pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全79件 61~79 4/4ページ
No.19:
(4pt)

ライトノベル。

ライトノベルの看板掲げて実質的にはSF要素のエロ小説。

しかしながら、筒井康隆さんの往年の狂気じみたハチャメチャさは、ない。

とりあえず、ライトノベル初心者と、筒井康隆さんの作品苦手ならば読まない様に。
ビアンカ・オーバースタディ (角川文庫)Amazon書評・レビュー:ビアンカ・オーバースタディ (角川文庫)より
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No.18:
(2pt)

微妙?かな

筒井康隆氏の作品は、昔「時をかける少女」を読んだくらいしか記憶にないのですが。正直、読んでいて段々読むのが苦痛になってくる感じでした。文体や用語、設定等が古臭い('80年代)のは著者の年齢を考慮すれば仕方ないとしても、内容も薄っぺらく感じました。ライトノベルってそういんじゃないよなあ。著名な作者と人気のイラストレーターの挿絵でラノベを作れば売れるんじゃないのっていう出版社側の下心がみえみえ。購入前にレビューはざっと目を通して予想はしていましたが、まさかここまでとは..。あとがきで、この本の読者を著者の本来の作品に誘導したいとあったが逆効果では?
ビアンカ・オーバースタディ (角川文庫)Amazon書評・レビュー:ビアンカ・オーバースタディ (角川文庫)より
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No.17:
(3pt)

良くも悪くも「ライトノベル始めました」な作品

挿絵担当がいとうのいぢさんで一見オタク向けなのに、そういう層に対する配慮が清々しい程にないというのが本作に対する率直な印象です。
オタクが発狂し主人公の女の子がビッチと叩かれかねない危うさがあるのが本作の特徴かも知れません。

●女主人公たちはある目的の為に前半部分だけで男二人に何度か手コキしてあげて精子を採集する。(採集される側の男が本当に気持ち悪い!)
●男キャラは女キャラの尻を触る、触る。なんというか男キャラが総じて悪い意味で変態すぎる。
●ある女の子はモブキャラの玉袋を剃刀でちょん切る。(ひぎぃぃぃ!)

ストーリーはタイムトラベルものですが、タイムパラドックスなんかの具体的な説明はせず、ただ時間移動をする程度のお話。
ただし、あとがきにもあるように、現代世界を思わせるメタ要素もあり。

文字通りライトノベルで、あっさりと活字を楽しみたい方にはおススメ。
著者の他の作品のように手元に残しておきたいと思えるほど記憶に残る作品ではありませんでした。
ビアンカ・オーバースタディ (角川文庫)Amazon書評・レビュー:ビアンカ・オーバースタディ (角川文庫)より
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No.16:
(4pt)

「普通に」面白い

正直な話、あとがきが一番面白い。チラシの裏に書いていろ、というような下らなさなのに面白い。

筒井さんがラノベ、というので話題にはなっていたけれど、期待していたようなものでもなかった。ジュブナイルみたいなものを期待していたのに……
別に際立ったストーリーがあったとも思えないし。どちらかと言ったら文学的なものに属するんじゃないのだろうか。面白いけど。

ページ数が少ないせいもあったのか、別にキャラクターが良いとかは一切なかった。キャラ萌えというものの存在しない作品だと思う。
それでも、なんだか変な空間に迷い込んだ気分になってしまったのが悔しいと言えば悔しいわけだが。

完全に、筒井先生がラノベを書いたという時点で成功している作品だなあ、と。
ビアンカ・オーバースタディ (角川文庫)Amazon書評・レビュー:ビアンカ・オーバースタディ (角川文庫)より
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No.15:
(3pt)

自分も同意見ですね。

確かに内容は面白いのですが・・・900円の価値分あるか?
と言われればないとしかいいようがないですね。うすぺらい同人誌を見てる感じです。
内容も濃いかといえばうすぺらかったです。ファンの人にはたまらないのかもしれませんが・・万人向けではないと思いますね。
1000円近い書籍ですともっとボリュームがあってしかるべきだと思います。
(少なくともあと1,5倍はあったほうが)
文字ばっかりという意見もありましたが・・・本当にそうか?と言いたいですね。文字数は現在出てるライトノベルに比べても少ないと思いますよ。
ハルヒはぎっしりと感じましたがそれに比べると月とスッポンくらいに少ないですよ。
ビアンカ・オーバースタディ (角川文庫)Amazon書評・レビュー:ビアンカ・オーバースタディ (角川文庫)より
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No.14:
(5pt)

一種の啓蒙書です。

学園一のハーフ美少女 だけど生物部で変人
文芸部の白皙の少年 だけど痛い詩をヒロインに捧げる
巨乳美人 だけど元ヤンキーか何かで敬遠されてる
外見はスポーツマン だけど軟弱な未来人

なんだか残念な人たちが生物部に集まって……と書くと、友達が少ない某ラノベを連想するが、さにあらず。はがない(もう言っちゃってるが)が伝統的なラノベのエッセンスを凝縮した 創部物語=ハルヒ要素+オタク要素のハイブリッド製品 ならば、本作はラノベの皮を被った、軟弱な現代の青少年への激励/啓蒙の書だ。
ひたすら傷つくのが恐くて縮こまっていい人を演じ、内にこもって集団内で差別を繰り返すような、陰湿な日本人に見られる一般的心性へのアンチテーゼを、わかりやすーくラノベ形式で表現している。若者に、恐れるな、戦え、と叫んでいる。
作中の性表現も、あえて過激な描写を選んでいるのだろう。章タイトルからして反骨精神の塊です。スペルマって……。

つっこみどころはいくつかある。
排卵後、卵子は1−2日で受精しなくなるので、生理と一緒に流れてきた卵子を受精卵にすることはできないこととか。そんなつっこみをするのが空しくなるようなメッセージ性のある作品に仕上がっていると思う。
これほどの問題作を、新人作家が投稿しても見向きもされないだろう。だからこそ、あえて喜寿の体を鞭打って書き上げたのだろう。ラノベ界広しといえど、こんな怪作にはなかなか出会えない。
文章量は少ないしその割に高価だが、この作品を文章量に対して割高である、などという理由で敬遠するのは洗練された消費者の姿ではないと思う。自己の利益に汲々として、経済性を理由にして趣味にさえ自分で制限を設けるようでは、子供も持たず結婚からも逃げる情けない大人になるだろう。
昔の農村社会とは異なり、現代社会では子供は負債でありお荷物だ。経済的には。子供には苦労させられっぱなしで、成人しても感謝もしない。そのせいか出生率は人口置換水準を下回り、100年後には日本の人口は7000万人も減少すると予想されている。それでも、筒井氏の言葉を借りれば、
「人類をいつまでも繁栄させておこうとするのは、宇宙に対する人間の責任だし、義務」
なのだ。
経済性を越えて、力強く子孫を生み育てるための新しい哲学がいま、求められている。
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No.13:
(5pt)

現代の若者へ、筒井体験を贈る

我々の中高生時代、筒井康隆は身近にあった。思う存分、バカ笑いしたりひどい目にあったりトラウマを得たり世の中の不条理を仮想体験させてもらったり、世の中に蔓延する一見無害に見えるが実は危険なものに対する警戒心を育成する訓練を受けたりすることができた。
彼の作品に接する機会の乏しい最近の中高生に、この本は筒井康隆との接点を与えてくれた。その一点のみをもってしても、この本の価値は★5に相当する。
おまけに、その年代でも読みやすく、理解しやすいように、という配慮にも満ちている親切仕様。機会を作ってぜひ筒井体験をしてみることを勧める。一定比率で拒否反応が出るのは間違いないが、それを含めての筒井体験なのだから。こんな機会はもしかするとこれが最後かもしれないのだから。でも続編期待してます。

素人レビューなどおこがましいが、受けた印象をひとつ書きたい。
筒井康隆の小説にしては珍しく、読後感がスッキリしなかった。いや、珍しくは言いすぎだ。この読後感に既視感はある。し、方向性は違うがもっとずっとスッキリしない行き場のないモヤモヤが残る作品も多数ある。でもこれはモヤモヤとは違う。
何がひっかかっているのだろう、と考えた。メッセージが強いのだ。これほどまで現状を憂い、問題提起をするのは言葉狩りに対する反発以来なのではないか、というほどの危機感が伝わってくるからだ。既視感はこれか。つまり、スッキリしないではなく「重たい」が正しかった。

若者よ、二次元に欲情し、目の前に二次元から抜け出してきたような女の子が現れても手を出せず、遠くから憧れて自慰するだけで満足していると、世界は滅びるぞ。
というラノベ読者層でも読みとれるよう単純で明確で直截に記されたメッセージに、単なる皮肉や揶揄ではない、心からの焦燥感を感じるのは、比較的最近『虚構船団の逆襲』を読んだからかもしれない。女性と深夜、ふたりマンションにいて手を出さなかったら侮辱にあたる、という氏の信念からすれば、二次元萌えが跋扈する現状にはひどく憤り、彼のその逞しい想像力により絶望的な未来を予見して、人類存亡の危機と嘆いておられるに違いないのだ、と言ったら言い過ぎだろうか。

だから、性的描写が醒めた目線で淡々と描かれ、エロティシズムが不足しているのは、この本で抜かれては困るからなのかもしれない。彼の小説の魅力の一つは読者の予想もしなかったエロティシズムを思いがけない場所に発見させ、読者を困惑させるところにもあると思うのだが、エロ成分がここまで低いというのは本当は、もっとラノベらしいエロさ、もとい萌えを盛りラノベらしくしたい気持ちこそあれども、現状が氏をしてそれを躊躇せしめたからかもしれない。
そう考えるとこの本の提示するメッセージの重みはいや増すように思う。

だがしかし、それではラノベ読者層を取り込めない。という葛藤は、いとうのいぢの絵で昇華されたのでしょうか。このあたり若干読みとれなかったので、機会があれば伺ってみたいところです。
一読してすぐは毒が薄めかな、と思ったのですがそうでもないのかな。二次元で抜こうとするときに萎えさせるトラウマとして、視覚効果も精神的にも第一級のものを持ってくるところはサスガと思うのですが、果たしてターゲット層にどれだけヒットし得たのか、興味本位で知りたいところでもあります。

最後にひとつ。
ラノベとして読むのもメタラノベとして読むのも誰に感情移入して読むのも良いのですが(面白さがラノベ<<メタラノベなのは致し方なし)、目次で明示されている通り改めて言うまでもなくこの本で最も感情移入して読むべきは『スペルマ』です。特に、男性諸氏は楽しめるのではないでしょうか。一度読了された方も、ぜひもう一度いかがでしょう。
深く感情移入することが可能な男性が羨ましい。
ビアンカ・オーバースタディ (角川文庫)Amazon書評・レビュー:ビアンカ・オーバースタディ (角川文庫)より
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No.12:
(4pt)

ラノベの可能性は無限大

ラノベ×筒井康隆ということで、期待半分、不安半分ながら読んでみましたが、
予想以上の特異っぷりでした。
筒井先生にしか創りだせない世界がそこには広がってました。

ヒロインのビアンカが手でしごくだけでも衝撃的なのに
人面蛙が出てきたり巨大カマキリが出てきたりとやりたい放題です。

星海社という割と表現に制限のない出版社から出されたためか
未来人が出てきたあたりからが超展開すぎて、ついていくのがやっとでした。
でも展開の読めなさや、次はどうなるんだろうという期待度の高さで
とても楽しめたのも事実。

変わったラノベですけど、面白かったです。

あとこんなオリジナリティすぎる設定でも、
物語を紡ぐ基本的な語彙力と構成力が備わっていれば、
面白いエンターテインメント作品として成立するので、
自由度の高いライトノベルの可能性は無限大だなあ、と改めて思いました。

これからラノベを書こうと思っている人はこの作品を読めば、
こんなへんてこりんな話でもラノベとして成立するんだ、と
自身の創作意欲が勇気づけられるかも。

ラノベの可能性を広げてくれた、という意味で貴重な一冊だと思いました。
ビアンカ・オーバースタディ (角川文庫)Amazon書評・レビュー:ビアンカ・オーバースタディ (角川文庫)より
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No.11:
(3pt)

特徴不足

端的に言えば、萌えないし抜けない。

可愛いくて頭のいい女子高生。
色気があって男勝りな女子高生。
可愛いくて明るい妹キャラ。
こんだけ揃えばラノベならもっとあざとくキャラクター描写してくるところだが、それがない。
ストーリーも最後はベタベタなラノベ的展開を見せるのですが、御大がそれを書くことに余り興味がないのか、たいしたラストバトル的な盛り上がりもなく、かわりに御大の説教であっさり終わってしまいます。
一方で蛙の生態、体外受精の手順といった設定描写には余分なまでに注力されており、なるほどこの作品はラノベ要素を最大限盛り込みつつ力の入れどころをわざと反対にしたメタラノベなのだと勝手に納得させられました。

そういう意味で見ると面白いですが、ラノベとしては萌えないし抜けない。
抜けないのは御大の文から滲み出る昭和の薫り故のような気もするのですが、御大に文句垂れるなど恐れ多いと感じている読者諸氏のために最後にステキな八つ当たり先を筒井康隆氏は我々に提供してくださいました。

すなわち、太田が悪い。
ビアンカ・オーバースタディ (角川文庫)Amazon書評・レビュー:ビアンカ・オーバースタディ (角川文庫)より
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No.10:
(5pt)

これはライトノベルなどという矮小な器に収まる物ではない

一人のラノベ愛好家として言わせてもらいます
私はこれをファウスト掲載で読んだ時に心を大きく動かされてしていました
余りにもすばらしすぎて、できるだけ多くの人に知らないでいて欲しいなどと願ってしまった程です

これは本当にすばらしい小説です
ぜひあなたも手に取って読むべきではありません
老人の萎えた性欲を処理させるという介護的な要素は、少子高齢化と労害問題という世相を正確に捕らえているとも言えます
また紡がれる言葉の端々から、筒井康孝御大の、七十年に渡る時間をドブに捨てたとしか思えない人生の含蓄を拝む事ができるでしょう
失笑あり、憤懣あり、勘当の大作です

しいて欠点を上げるなら、出版社とジャンルを盛大に間違えてしまっている事でしょう
筒井康孝大僧正のあまりにも偉大な才能はラノベなどという矮小な器に収まるような物ではありません

ぜひ正々堂々と「ポルノ小説」と名乗ってほしい物です

いや、変態ぞろいのあいつらも、老人のオナニーじゃさすがに喜ばないかな……そっちには詳しくないのでよく解りませんけど
ビアンカ・オーバースタディ (角川文庫)Amazon書評・レビュー:ビアンカ・オーバースタディ (角川文庫)より
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No.9:
(5pt)

10代に戻ったような気分になれる

筒井康隆のちょっとエロい小説をどきどきしながら読んでいたころを思い出すような冒頭部から、知らず知らずのうちに主人公たちの未来をこれからの日本に重ねてしまい、30年前に10代だったものにとっては当時の希望を持って生きていた頃を思い出して胸がきゅんとなるような爽やかな読後感を残してくれました。小説の主人公に自分を重ねて熱くなるような読み方は出来ませんでしたが、自分より大分じじいの筒井康隆に若い人が希望を持って頑張ってくれればこの世の中はまだまだ面白くなる。自分はあまり興味がなくなってしまったけど今の青少年もきっと頑張っているから、まだまだ未来は大丈夫なのかなと思わされるとは。
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No.8:
(1pt)

一度、ページ数を見て下さい。値段を見て下さい。

最初の時点から評価5つ星が、5連続で並ぶ作品なんて滅多にないです。
いつもの星海社(講談社系)はこういうのが多いのですが気のせいでしょうか?

192ページで1000円程。1ページ5円以上です。2ページ読む毎に、うまい棒が買えます。
そんなボッタクリ価格ですよ?

試し読みも出来ます。
試し読みしてから、まずは購入を決めた方が良いと思います。

著者は有名ですが、結構酷い文章の作品に仕上がってると私は思います。

あくまで個人の主観ですので、くれぐれも試し読みしてから購入されるのを強く、強くオススメします。
ビアンカ・オーバースタディ (角川文庫)Amazon書評・レビュー:ビアンカ・オーバースタディ (角川文庫)より
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No.7:
(5pt)

ラノベと銘打っているが、やはり筒井康隆らしい

あとがきに書かれていた文学的な読み方がよくわからない人向けのレビューです。作品を楽しむ目線のひとつとして紹介します。
筒井さんは、SFに対して並々ならぬ信念をもっており、その断片をこの小説で見ることができます。
その断片とは、筒井康隆の文学理論である「超虚構性」のことです。わかりやすく言い換えると「異化効果」というものです。
以下、その説明。
多くの人は普段小説を読んでいるときに、その読んでいる小説内の虚構世界を無批判に受け入れながら読んでいます。
虚構を虚構と意識せずに読んでいるということです。
そういった人に対して彼は、物事を相対的に見てもらうために作品内に「異化作用」を盛り込むのです。
どういうことか。例えを挙げます。
小説内では、ナイフで一刺しされただけで人が即死し、そこに探偵が現れ捜査をし、その結果アリバイがある、疑わしくない人が犯人になることがよくあります。
ですが、現実世界では、ナイフ一刺しで即死することや、探偵が殺人事件を捜査することや、アリバイがある、疑わしくない人が犯人になることはほぼありません。
ナイフ一刺しで殺すとか暗殺の専門家レベルではないでしょうか。現実なら、刺された本人は即死せずに通報したり、助けを求めて動き回るはずです。
しかし、読書行為を終えた読者は、現実世界に虚構世界の考え方を持ち込んでしまうのです。虚構世界のルールを現実世界に当てはめて考えてしまうのです。
「探偵は事件の捜査をするものだ。殺人事件においては、アリバイがある人間は逆に怪しい。」という考え方を。
そこに異化効果を盛り込みます。作品内の登場人物に「まるで推理小説だな」「現実でこんなことが起きるだなんて」というセリフを言わせるわけです。
すると、それを読んだ読者は、途端に作品の虚構性を意識し、現実の現実性をも意識します。「これは作品内世界での現実でしかないんだ」と考えるわけです。
以上、「異化効果」「超虚構性」の説明を終えます。長々と申し訳ありませんでした。
筒井さんがメタフィクションに与える役割はこのような感じです。あくまで一例ですが。「異化効果」、面白いと考え方ですよね。
筒井さんは自身の小説に上記のような文学理論を豊富に組み込んでおります。ぜひ、ほかの作品も手に取ってみてください。
 なんだかステマみたいになってしまいましたが、ただ単に文学理論が好きなだけなので許してください。
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No.6:
(5pt)

喜寿の作家のライトノベル?

この本を手にするまで、少々奇妙な体験をした。まず、当のアマゾンで発売日になっても発送の連絡がこない。
よくよく見ると発送は翌日以降。昼、近くの大型書店で尋ねるも、流通に乗っていて他店では入荷しているが当店は未定とのこと。
「ご予約されますか?」との問いに、いやいや、とひいた。それならばと、ネットで調べてみても入荷店の情報が少ない。
都内に勤めている者であるから、おそらくここならというところで店頭在庫ありとの手がかりを得て、19時過ぎに書店へとむかう。

出版社の弁ならばこれはライトノベルであろう。
しかし、しかるべきコーナーにはなく、ぐるぐると巡りまたしても尋ねる。
「ああ、ここはマンガコーナーですから、筒井さんの本ならば…」といわゆる文芸書のコーナーを示された。
そこに平積みになっていた、いとうのいぢのこの表紙はそこでひときわ浮いて見えた。

さて、惹句の「21世紀の“時をかける少女”の冒険が始まる!」の意味をわれわれはどうとらえるだろうか。
はじめは某誌での一挙3回分掲載から続くのか続かないのかのじれったい体験、
そして一冊の本として読む前に後書きの方が先に読まれるという不思議な体験、
ライトノベルを謳いながら、そこにあってほしいと思っていた期待が軽く肩すかしを食らったような感覚。
内容は筒井康隆の読者ならばどのようにでも受け取り笑っていられるだろう。
しかし、『時をかける少女』の次にこの作品に触れる世代には?

個人的にはかるくライトノベルとして手にとってげらげら笑ってほしい。
それにかつて10代で「時をかける少女」を手にしたわれわれの世代の追体験に近いものを期待したい。
過激?エロ?それ以外の筒井康隆を読みたいの?メタラノベ?
広告やネットの上ではラノベでも現実ではこれは文芸書として置かれている。
書店よ、どうぞマンガとライトノベルと一緒のコーナーにおいていただきたい。
その上で「喜寿だからもう書く根気が…」といっている著者の志をくんでみてはどうだろうか。

いみじくも筒井康隆は「時をかける少女」を「金を稼いでくれる孝行娘」ともいってくれている。
「『ビアンカ・オーバーステップ』というタイトルのアイディアがあるから、誰か続篇を書いてはくれまいか。
─中略─ 傑作を書いて大もうけしていただきたいものだ。」
その書き方のテキストは作者が全部そろえてくれている。
楽しんだ後は、いよいよ若者の出番だ。楽しみに待っている。
筒井チルドレンは世に満ちている。今や還暦のオヤジどもだってそれで育ってきたんだ。

「○○が○い」の言葉に惑わされるな、若い読者よ。早く誰か次の物語を語ってくれ。
四十も半ばの俺は、今夜、そう思ったわけだ。
ビアンカ・オーバースタディ (角川文庫)Amazon書評・レビュー:ビアンカ・オーバースタディ (角川文庫)より
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No.5:
(5pt)

さてどう読むか

ご本人があとがきで書かれている通り、通常のラノベとして読むかメタラノベとして読むか、そして付け加えるなら「筒井康隆の小説」として読むかで、それぞれ感想が大きく異なってくると思います。
 で、私はこの作品を『ハルヒの消失』に感銘を受けたと語られる御大の「返歌」と解釈しました。そういう読み方だと、『ハルヒ』の作品だけでなくそれに熱中したファンや世間までもに対する批評性がたっぷり込められてる気がしてきませんか。

 もちろん何も考えずさらっと読んでも面白い、そして一歩踏み込めば作者の意図をいくらでも深読みできる、そういう意味で77歳の筒井康隆がライトノベルを書いた意味は確かにあった。日本SFを支え続けた大御所作家から2010年代のラノベシーンに送られた、まさに「ジュブナイルのタイムマシン」だと思いますね。
ビアンカ・オーバースタディ (角川文庫)Amazon書評・レビュー:ビアンカ・オーバースタディ (角川文庫)より
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No.4:
(3pt)

そんなに面白いかな。

筒井康隆77歳、ラノベ書いちゃいました☆ …というキャッチコピーに惹かれて書店で予約購入しました。ラノベ読書歴のほとんどない、ごくありふれた小説好きな一読者としての感想です。

まず、現時点で既に投稿されているレビューが5つ星ばかりであることに、やや違和感を感じながら書いています。いままでの筒井作品と比べても、私には本書に特筆すべき面白さがあるとは思えませんでした。"ラノベ"というフォーマットが悪い意味で足枷になっているような歯痒さ、中途半端さを感じると言えばいいのでしょうか…。理解力不足と言われればその通りかもしれませんが、これが高評価なら今時のラノベって一体どんなレベルなんだ。と思わなくもありません。

『主人公である超絶美少女ビアンカが実験のために手近な男をクールに抜きまくるタイムトラベル学園コメディー』として、性描写が過激と話題になっているようですが、もっと突き抜けた"爽快なやっちゃった感"が筒井氏の持ち味だと思っている私としては、この程度、騒ぐ程でもないだろうに。と思ってしまいます。というかむしろ物足りない。これではエロ小説としても魅力に欠けるんじゃないだろうか。その実用性や如何に。

強いて言えば、いちばん面白いのは目次とあとがきです。ラノベ読書歴がないので、『メタ・ラノベ』としての楽しみ方ができず、十分に良さを堪能できなかったのかもしれません。とはいえ、続刊が出るなら読んでみたい気はしています。複雑。

これで1000円近い定価は…(笑。
本書を手に取った方にとって、他の筒井作品への入り口になるといいなと思います。どれも面白いよ。
ビアンカ・オーバースタディ (角川文庫)Amazon書評・レビュー:ビアンカ・オーバースタディ (角川文庫)より
4041037182
No.3:
(5pt)

でかい!

ビアンカ様に○○されてえええええええええええええええええええええ。
でかい!
やっぱりでかい!
巨大カマキリを倒すため、カエルと人間を混ぜ合わせ、皮と御手とかが擦れ合うまで○○○○だーーー!!
ビアンカ・オーバースタディ (角川文庫)Amazon書評・レビュー:ビアンカ・オーバースタディ (角川文庫)より
4041037182
No.2:
(5pt)

安定感ある筒井節

禁忌を恐れない筒井康隆がメタラノベを書いたという噂を聞いて、不安感を抱きながら読み始めました。

しかし、中身は気楽に読める穏やかなエンターテイメントでした。

綿密で丁寧な部分もあれば、適当で巫山戯ている部分もあります。勉強を感じられる部分もあれば、不勉強が目立つ部分もあります。科学的だったり、空想的だったり、挑発的だったり、好々爺の鼓舞のようでもあったりして、穏やかで善意も含まれた毒舌はいつもの筒井節でした。

謎ではない白い液体をこれほどまでに爽やかに表現できるのはさすがです。円熟した筆力と常識を突破できる実績があってこその技でしょう。

あとがきによるとメタラノベだそうですが、それほど明確にメタメタしていません。わかりやすく率直な寓意もありますし、深い隠喩的な心象も含まれていますので、それらを読み取るのがあとがきに言う文学的読み方なのかもしれません。あるいは、表現技法そのもので「メタラノベ」なるものを表現しようとしたのかもしれません。性という題材を通じてライトノベルへの皮肉を表現しようとしているのかもしれません。いずれにせよ、気楽に読めるツッコミどころの多い作品だと思います。
ビアンカ・オーバースタディ (角川文庫)Amazon書評・レビュー:ビアンカ・オーバースタディ (角川文庫)より
4041037182
No.1:
(5pt)

筒井康隆のライトノベル

可憐な学園のアイドルを、学内の男は見てるだけ。
そんなビアンカは、オーバースタディに実験三昧。

何か得体の知れない面白さだった。
筒井康隆だし、どうせ面白いんだろって思ってたら、ちょっと予想してない方向だった。
何だろう、ラストなんかはガッチガチのお約束なんだけど、逆に真新しく感じられちゃったり。
いとうのいぢの挿し絵の力か、意外とキッチリライトノベル。
単純明快でバカらしい、良い小説だった。

星海社の装丁は良いセンス。
なんだけど、やっぱりあとがきには敵わない。

とりとめの無いレビューになってしまったけど、読後感がもう大体こんな感じ。
どうしたもんか。
面白かったです。
ビアンカ・オーバースタディ (角川文庫)Amazon書評・レビュー:ビアンカ・オーバースタディ (角川文庫)より
4041037182

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