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蠅の王
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蠅の王の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.16pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全80件 21~40 2/4ページ
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赤い表紙とタイトルに魅かれて購入。惹き込まれて2日で読破しました。 無人島に不時着した少年たちが、最初は15少年漂流記の様に協力して難局を乗り越えようとするものの、しのびよる獣の影におびえ、野蛮化し、悲惨な状況へ陥っていく物語。表面的なストーリーのディストピア的な臨場感を楽しむこともできるが、物語の背景には聖書的な寓意のみならず、第2次大戦に従軍し、悲惨な戦場を経験した著者の文明・科学信奉への懐疑、少年期の実体験や教師として教鞭をとったこともある経験から来る、子供を含めた人間の持つ普遍的な闇への感性が反映されており、様々な読み方ができます。 訳も新訳となって良かったのか、発表から60年以上経った今読んでも全く古臭さを感じさせず、時代の先行きが見えない今日だからこそ、普遍的な闇を持ち、集団狂気に陥ることもある人間たちが、破滅的な局面を回避するためにはどうすれば良いのか、考えさせられる作品です。 | ||||
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十五少年漂流記さえ見た事のない中、尊敬する先生がオススメしていたので読んでみました。万人受けする内容ではないとは思いますが、考えさせられることは多々あります。あまり長くはない本なのでぜひ気になった方は購入をお勧めします。 | ||||
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何万年もの間、破壊と再生を繰り返し科学技術以外なんの進歩もないいかにも人間らしい物語。 | ||||
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これまでの邦訳(新潮と集英社)の問題点がしっかり修正されています。主人公の名前も「ラーフ」ではなくて「ラルフ」となっているし。 従来の邦訳は、詩的で重厚な文体が魅力ではあったけれども、原文と照らし合わせると首をかしげたくなる箇所も少なくなかった。この新訳ではそれが激減している。1頁目でラルフが立っている場所"scar"は、従来訳だと「長いだらだらと突き出ている岩場」となっていたけれども、これを黒原訳はちゃんと、(飛行機の客室部が地面にぶつかってできた「傷跡のような場所」と解釈している。また、従来訳が勝手に「赤」「紅色」「淡紅色」「深紅」などと自在に訳し分けていた"pink"という単語を、新訳は「ピンク」で統一している。この作品では、色はきわめて大事な象徴性を担っているので、こういう誠実さのほうがありがたい。第11章のおわりにある「それじゃだめだ」という台詞、新訳では正しくロジャーの発言としている(従来訳ではサムの発言として処理されていた)。その他いろいろ旧訳の誤解が直っていて、今後『蠅の王』を読むならこの黒原訳で読むべきでしょう。ただ、第9章のタイトルはあまり変わっていなくて、従来訳「ある死への展望」、今回の訳では「ある死の眺め」。"A View to a Death"という原文の英語表現は、狩猟用語のもじりで、「狙い(照準)をつけられたら確実な死が待っている」みたいな意味だと思うのですが、違いますかね。 | ||||
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某出版社より出版されている同翻訳本は、著名な英文学者によって訳されているが、いまいちだった。 比べて本書は断然読みやすい! | ||||
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1963年版と1990年版の映画を両方観ているがこの度新訳版の刊行に伴い原作を読んでみた。 近未来で戦争が勃発し疎開先に向かう飛行機が南太平洋の上空で墜落する。 無人島に辿り着き生き残ったのは少年達のみ。大人の居ない楽園での暮らしは徐々に崩れ始め 秩序を守ろうとしたリーダーの少年は次第に孤立し、野性と暴力性に目覚め無秩序になった集団から追い回される。 やがて仲間が殺され人間狩りが始まる・・・ 作者が着想した疑問、少年は本当に無垢なのか?と言う考えからこの小説は成り立っている。 生まれ育った環境から邪悪になるのでも無く、遺伝が原因でも無く、内面には性悪さと残酷性を元から孕んでいる。 人間の本質は悪であり本来自分の中にあると言う恐ろしい認識。それがある状況では露呈する。 この小説が時代を経ても色褪せないのはその部分のリアリティにあるのだろう。 | ||||
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旧訳は読んだことはないものの、新訳が出たことを契機に読んでみましたが…ひとつめのレビューがこき下ろしているのと同じ印象は受けませんでした。 スラスラ読めるし、文章としての味わいが薄っぺらいとも思われず、むしろ生き生きと迫ってくるように感じられました。調べてみれば、もはや定評のある訳者によるものでもあり、少なく見積もっても悪くない邦訳だと思われました。もっとこの新訳が広く読まれ、どんな風に評価されるのか見守りたいと思います。 内容的には人の本質を抉る名著で、文句なしの五つ星です。 追記しますが、私がレビューを書いたことに呼応して、先行して書かれていた低評価レビューが、いつの間にか元の文面がほとんど残っていない皮肉たっぷりの賞賛する文章に書き換えられていることに驚きを隠せません(苦笑)自分のレビューに自信があればそんなことはしないはず。全く笑止千万です。 くだらないレビューを読んで、「読むのやーめた」と思うより、自分で読んでみて良いか悪いか自分で判断してもらうのが正しいやり方です。少なくとも私は悪くないと思いましたので、読んでみることをお勧めします。 既に名作の誉れ高い作品です。翻訳の良し悪しは大切なことですが、まずは読んでみないとはじまらない。 | ||||
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閉鎖環境での少年たちの心理状態を描いた作品。 似たようなテーマの本は多いが、この作品はどこか独特な雰囲気がある。 | ||||
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孤島に残された子供たちがどんどん残酷になっていく様、人間の本能が、木々の緑、日差しの光の中でコントラストを帯びます。描写の美しさがあるからこそ、話の内容が栄えるし、読んでいて、目を見張るのだと思います。私がこの作品と出会ったのは、20年前になりますが、まだあの太陽の光の中、裸で遊んでいる「子等たち」(原本ではLittle Ones)の姿が目を閉じると浮かんで来ます。後に、この作品がノーベル文学賞を受賞したと聞いて、「あー・・、そうなのか。そうだったのか」と納得しました。映画の方も見ましたが、原作を読んでの自分の頭の中に浮かぶ木々や緑、太陽から海、夜の心地良さや明け方の訪れが全く表現されていなくて、とてもがっかりした覚えがあります。 | ||||
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戦時中に飛行機が無人島に不時着し、孤立した少年たちの物語。 美しい南国の楽園で、少年たちは、元の生活から切り離され、社会のないむき出しの世界で生きる恐怖に曝される。秩序が壊れ生存が脅かされる混乱の中、彼らは遺伝的な獣性と原始宗教的なドグマに支配されてゆく。これは悲劇的な結果を招くのだが、その世界から解放される瞬間に、少年の自我は己れの精神が獣に蹂躙された事に傷つきおののくのだ。 蠅の王は聖書に登場する悪魔ベルゼブブを指し、物語は無垢が悪に汚される様を描いたと評されるが、これは戦争や、いま現在世界で頻発するテロルの状況にも通じる普遍的な物語だと思う。 1950年代前半の同時期に書かれた、大岡昇平の『野火』を思い出した。ここでも日本兵の狂気は、生存する上で自我が意味を失い、すべてが偶然に支配されるところから生まれるのだ。 | ||||
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本書の存在は知らなかった。amazonが薦めてくれたので読んでみた。 深いモノは感じなかったし、読み物としてもソコソコおもしろいと言う印象。 死ぬまでに読んでおいてよかった、とまでは思えなかった。 自分が中年なので、リーダーとは何か、を意識しながら読んだ。 実利(本書では肉)を与え多くの支持を得るジャック、理想(救助)を最優先するラーフ。 理想(狼煙が象徴)に固執するラーフは結局孤立化し、実利組が起こした不用意な山火事 により救助された。 実社会でも人を使うには、理想より実利が大事だと感じる。 部下は一見実利のために動きながら、実はそれが徐々に組織の理想にも近づいている状態が ベストなんだろう。 | ||||
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孤島に置かれた少年達が次第に食欲と暴力とに支配されてゆくさまを描いた作品。 社会から切り離された集団で何が起こるか、という思考実験に基づくSF作品の一つといえる。 理性を持っているのは社会なのか個人なのかは難しい問題だ。 私は読んでいて連合赤軍事件が何度も頭に思い浮かんだ。細部はいろいろ違うが、本質的には同じだろう。 ところで読んでいて何より気になったのが、眼鏡で日光を集め火を起こすという描写。 子供で遠視は少ないだろうから不自然に思いながら読んでいたら、残念ながら 「近視」とはっきり書かれている箇所に遭遇。 第11章の冒頭。念のため原文にもあたったところ、やはり"myopia"とある。 翻訳にあたった平井正穂氏の解説によれば、ゴールディングはオックスフォード大学入学後自然科学を専攻していたが、 のちに英文学専攻に転じたそうだ。 オックスフォードで自然科学を専攻するような者が、近視の眼鏡は凹レンズで光を集められないことを知らないとは。 一つの長編小説を書いている間に、そのことを考えもせず、気づきもしなかったのだろうか。 個人的には少なからぬ衝撃である。 この作品はこうした詰めの甘さを感じさせる箇所が所々にある。 荒削りだが骨太な作品、ということで甘く評価。 | ||||
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南太平洋、漂流、餓鬼、飢餓、殺し合いと人間の本質を子供を通して描くイギリス文学! | ||||
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少年小説は、現代の大衆社会における政治の寓話になるが、それはやがて、現代の精神の寓話となり、人間の悪の研究となる。 ・無人島に不時着した少年たち。その島は食糧が豊かで、水泳ができ、おもしろい遊びに不自由しない。しかし、少年たちは二つのグループに分かれて争うようになる。一方はラーフに率いられる少年たちで、救いを求める信号としての狼煙(のろし)を絶やさず、小屋を建てる。他方はジャックに率いられる合唱隊の連中で、野生の豚を狩る蛮行に夢中。 ラーフの合理的なデモクラシーは、幼い子供たちが夜になるといだく恐怖をうまくそらせない。このため、ジャックを中心とする呪術的な舞踏が次第に少年たちの心をとらえるようになる。陰惨な争いがつづき、文明国の中流階級の少年たちは野蛮人と化す。。。 ・・・1962年、ゴールディングはカリフォルニア大学で講演した。 「第二次世界大戦以前には、私は社会的人間が完全なものになり得ることを信じていた。社会構造が正されれば、善意を生める。社会の再組織により社会悪はすべて除去できると信じていた。今日でも信じることは可能だが、戦後は止めた。信じれないからだ。・・・蜂が蜜を生み出すように人は悪を生み出すということを知らずにあの歳月を過ごしたものがいるとすれば、盲目だったか、頭がおかしいかだ。・・・人は病んでいる。例外的人間が、ではない。普通の人間が病んでいるのだ。道徳的に病んだ被造物、というのが人間の条件なのだ・・・・と私は思った」 丸谷才一1983 | ||||
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三分の一くらいまでは、 「ああ、設定ありきのサバイバル物ね、設定(登場人物、アイテム、風景、等々)が細かくて、面倒くさいな」と思いましたが、 軽く読み進めていく内に、「これは単純なホラーだ」と気付き、その頃には、初めの頃に感じた、鬱陶しい細かい文体も癖になってくる、 そんな具合です。 若者受けの良い、暴力的な小説は、こういうところから影響を受けているでしょうけど、どうせなら質の良いものを選びましょう。 | ||||
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無人島に不時着した少年たちの顛末。 リーダーを立て、秩序だった生活が始まったものの、その先にあったのは狂気だったりする。 狩猟班の子どもが顔にペイントする件や、無人島で子どもたちが殺し合いをしていく描写は迫力がある。 だが、単なる冒険活劇だと思っちゃいけない。 一番印象的だったのはオチのシーン。 似たような設定で描かれた他の作品と比較してみるに、時代性が反映されているようで実に興味深かった。 現在だと、果たしてどのような終幕になるだろうか。 | ||||
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無人島に漂着した少年たちを描きながら、文明人の心の根底に潜む獣性をえぐり出す話です。いわゆる少年漂流物の話の一つですが、英雄的な話ではありません。 和訳が少々古いので、言い回しなどが若干気になりますが、それでも面白く読めました。重いテーマの話ですが、もっと軽い気持ちで読み進めても良いと思います。登場人物のキャラも分かりやすく立っていて、読みやすい作品でした。 | ||||
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無人島での生活を余儀なくされた子どもたちが自分たちで規律を作って生活していく、と聞くと真っ先に思い浮かぶのは「十五少年漂流記」ではないでしょうか。この物語は戦争を逃れる子どもたちを乗せた飛行機が不時着し、無人島に子どもだけが取り残される、といった状況。ただし内容は「十五少年漂流記」のような爽やかさとは程遠いもの。 大人は一人もおらず、食料も手に入り、戦争の危険にさらされることもない無人島での生活は最初こそ子どもたちの“楽園”として描かれますが、やがてそこで得体のしれない“恐怖”に子どもたちは遭遇します。理性を保つために作り上げた規律も幼さゆえの恐怖や焦りによって消滅し、子どもたちの野性や暴力性といった本能が露わになっていきます。 恐怖の対象が一体何なのか、それを知ることを禁忌とした彼らは閉鎖的な集団を形成し、規律を犯すものを容赦なく排除します。登場人物は皆十代かそれより幼い年齢ですが、そんな子どもたちの心の中にも確かに闇の部分が存在することを、説得力のある描写で描き出しています。主人公たちが仲間を殺した罪悪感と、自分が殺人に加担した恐怖に焦燥する場面は、読者の心にまで後味の良くない、焦りや不快感を植え付けます。それも子どもの視点で描かれているため、いっそう痛々しく感じられます。 年若い子どもたちが恐怖に駆られて殺戮を犯す、なんて現実にはありえない事だと思うのが普通でしょう。しかし、リアルに人間の本性、獣性を描き出す本作には、それを納得させるだけの説得性が秘められています。 ダークな雰囲気の物語で死人も出ますが、凄惨なグロ描写などは無いのでご安心を。 | ||||
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訳についていろいろ書かれているので私は純粋に内容について書くことにします。 これだけレビューにばらつき感があるところにこの本の価値があるのではないかと思います。 少年たちが乗っていた船が座礁し、無人島に到着するところから物語が始まります。 自分たちの世界、暖かい島。少年たちにとっては小さい頃から誰もが一度はあこがれた状況だったでしょう。 しかしやはり現実は甘くはありませんでした。自分たちのやりたいことをやる願望があるということは社会や大人に守られているからこそ存在するものだったのです。当然ルールは破られ、秩序は乱れ、そこに思春期の少年特有の揺れが混じり、話は進んでいきます。 どうしてこういう風になるのかわからないというレビューも見かけましたが、理由なく行動を起こすことがこの時代の子供たちの特徴なのです。ちょっと自分と異質なところがあると判断した時点でいじめたりいじめられたり、さっきまで機嫌よくしていた子が突然口もきかなくなったり。中学生の娘を見ているとよくわかります。何でこういう考え方しかできないのかな?といつも思います。でも理由を探してはいけないんだと。こういう時期なんだと。最近やっと悟りました。 この本のラストは二段階になっています。書かれているラストとその先にある書かれていないラストと。 少年たちは果たして救われたのか、否か。 中学生に是非読んで欲しい小説です。 でも多分あまりにも自分たちの嫌な部分を見せ付けられるでしょうから、はじめに読んだときは不快になるでしょうね。10年経って再読するとまた違った気持ちを味わえるでしょう。本の中には一回読んだだけでおしまいではなく、自分が今社会のどこに存在しているかによって読み直したときに違った感想を持つものがあります。そういった本は名著と呼ばれるものが多いです。この本もそんな本の一冊です。 | ||||
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ある程度の予備知識を持ちこの小説を手に取りました。 冒険、希望、友情に溢れた冒頭。 迷い、対立が鮮明になる中盤。 人間の本来の姿(であろう部分)が描写される終盤。 孤島のような閉鎖された空間で集団が生活した場合、「小説のようなハッピーエンドにはなりませんよ」という実例のように感じました。 とはいいつつ、立派な物語ではありますが。 予備知識では、もっと凄惨な事態になるのかと想像しておりましたが、行方不明者を含め描写されている犠牲者は片手でも余る程、というのはやや拍子抜け。 ただそれは、非力な子供しかいない空間だからこそだったからなのかと考えます。 仮に、この集団に大人が混じっていたり、大人だけの集団だったのならどのような事態になったのか。 大人は理性を携えており、規律のある生活を送り首尾よく救助されていたのか。 私には到底そのようには思えません。 仮に私(28歳)があの集団に混じっていたのなら、結局は暴力で御することを選ぶだろうと思います。 また、副次的とはいえ運良く救助させることにはなりますが、果たしてそれが彼らにとって良かったことなのかどうか。 あのような状態にまで陥った子供たちは、文明社会に戻ることができたのでしょうか。 いろいろと想像、妄想の尽きない小説だと感じました。 | ||||
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