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死はすぐそこの影の中



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【この小説が収録されている参考書籍】
死はすぐそこの影の中 (祥伝社文庫)

死はすぐそこの影の中の評価: 4.00/5点 レビュー 12件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.00pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全2件 1~2 1/1ページ
No.2:
(3pt)

ミステリとは相性が悪い「多重人格」を軸としたサイコ・ホラーとしてしまった凡作

作品の性質上、ネタバレを含ませて頂く。題名の「死はすぐそこの影の中」というショパンのビアノ曲は「全ての人間は2つの顔を持つ」という意味で、これを受けて、ヒロインのピアノ調律師の麻衣子が「多重人格者」である事及び作中で"聖母"として描かれる麻衣子の伯母の幸枝が実は"悪魔"であった事を軸としたサイコ・ホラー。

これを伝奇的ホラーと見せ掛けるために、麻衣子(あるいは幸枝)の出身地である愛媛の七富利村を"隠れキリシタン"の伝説の村としたり、麻衣子の育ての親の伯父(幸枝の夫)の一藤士日出男の怪異性・嗜虐性を大仰に描いて、麻衣子が"一藤家の血脈を切る"ために生きて行く決意(あるいは男を遠ざけて死んだ様になっている風情)を強調したり、ダム建設推進派の村長だった日出男の遺体発見時、体に"十字架"に見える紋様を入れたり、全体をワザと茫洋な記述にして、時系列も縦横に飛ぶ等、様々な工夫をしてるが、麻衣子が日出男に引き取られた時の唯一の仲間のミチル君(決して大きく成長しない)を登場させたり、麻衣子がピンチの時にはスーパー・ウーマンの如くに必ず麻衣子を救う"司"という女性友達を登場させたり(即ち、"司"は「多重人格」を司る支配人格)して、作者の意図はミエミエである。

作者としては珍しく冴えない作品。これまでの私の経験では「多重人格」を扱って成功したミステリは無い(ミステリと「多重人格」とは相性が悪いのである。"何でもアリ"という事になってしまうので)。ミステリとは相性が悪い「多重人格」を軸としたサイコ・ホラーとしてしまった凡作だと思った。
死はすぐそこの影の中 (祥伝社文庫)Amazon書評・レビュー:死はすぐそこの影の中 (祥伝社文庫)より
4396343582
No.1:
(3pt)
【ネタバレあり!?】 (1件の連絡あり)[]  ネタバレを表示する

サクサク読める。

〈ネタバレ注意〉

ミステリーとして、面白く読める。章が変わる時に視点人物も入れ替わるが、完全な一人称で書かれていないため、若干わかりにくかった気がする。

(以外ネタバレあり)

多重人格症を扱うミステリーはわりとよくあるが、この作品のような症状(別人格を、主人格が認識して会話や行動を別人として記憶している)は、実際症例があるのだろうか。この部分だけ見るとむしろ統合失調症の症状に近い気がした。
彼女の犯した犯罪は闇に葬られたままなのか、結末はそこが描かれておらず
それはそれで意図的なものかもしれないが、ラストが少し強引にも感じられた。

主人公の病気が明かされた時点で、展開はある程度予想がつくが、伯母についてのもう一つの精神疾患は、うまく持ってきていると感じる。読後感は重く陰鬱で、これはこの作者の作風なのだろう。
死はすぐそこの影の中 (祥伝社文庫)Amazon書評・レビュー:死はすぐそこの影の中 (祥伝社文庫)より
4396343582

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