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(短編集)
タラント氏の事件簿
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タラント氏の事件簿の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.50pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全9件 1~9 1/1ページ
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ポアロやフェル博士の事件簿…のような本だと思って読むと、段々と「あれ?」「ん?」となるでしょう。所謂「本格推理」短編集ではありません(全く違うわけでもないんですが…)。カーやクイーンが登場するよりもう一世代前の、怪奇と冒険が程良く混ざった「ミステリー」の味が濃いです。(でもどちらかというとフランシス・チャードやカーナッキ、フラクスマン・ロウのお仲間?) 「第四の拷問」の真相にはなんじゃそりゃあ!となりましたが(笑)、なんかこの本の中では一番ワクワクしました。お気に入りかも。 有名な「最後の取引」では幽体がどうの、オーラがどうのというネタがアレコレ語られますが、眠くなるのでそのへんはすっ飛ばしてOKです(ストーリーを追うのに支障なし)。作者はどうもそういうのが好きだった人みたいですね。 | ||||
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最後の一編がもう一つで有ったのを除けばよかった。久々に面白かった。 | ||||
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面白くて読み応えがあります。 | ||||
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最初の事件の当事者で家族で親しくなるフィランを語り手に、 呪いや幽霊といった超自然が関わっているように思えたり、不可能に見える事件などを、謎に惹かれる紳士トレヴィス・タラントが解決していく短編集。 ミステリとして出ていますし、設定だけなら「サイモン・アークの事件簿」を思い浮かべる人が多いかもしれませんが、実は「幽霊狩人カーナッキの事件簿」の方に近い印象です。 実に私好みなことに、見せかけのオカルトが暴かれる話だけでなく、現実的な解決を踏み越えてしまう話も存在するからです。 いわゆる心霊主義のような主張を肯定する展開の話、謎の解決に未確認生物を出してくる力技の話、現代の技術では再現不可能な発明が重要なアイテムとなる話なども混ざっているのです。 もちろん、こういうものを嫌うミステリファンもいるでしょうが、逆にいえばクラシックな(書かれたのは1930~1950年頃)怪奇ファンにも一度読んで欲しいと思える短編集でした。 | ||||
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C・デイリー・キング著、中村有希訳『タラント氏の事件簿』(創元推理文庫、2018年)は、20世紀前半のアメリカを舞台とした推理小説の短編集である。一見すると超自然的現象と思われる事件を扱う。 トレヴィス・タラントが探偵役で、ジェリー・フィランが視点人物というホームズとワトソンのシステムになっている。但し、フィランはワトソンよりも良くも悪くも人間臭い。フィランは好き嫌いの激しい人物で、第一印象で相手を嫌いになることもある。しかし、タラントに対しては最初の出会いが最悪のパターンであるにも関わらず、好感を持つようになる。ここには人間の相性の不思議さがある。 また、ワトソンはホームズの助手という面があるが、タラントには日本人執事のカトーが助手になる。このカトーは日本政府のスパイとしてアメリカにいる設定である。やがて第二次世界対戦になる国際情勢を反映している。 このカトーの話し方は少しおかしい。物語内の中国人の日本語「何々アルよ」に似ている。日本人の中には外国人のたどたどしい日本語を面白がる風潮があるが、外国では逆に日本人がたどたどしいと思われることもあるだろう。自国中心ではなく、相互主義の感覚が大切である。 推理小説には名探偵の仕事は殺人事件を解決することであって、殺人事件を阻止することではないとの皮肉が寄せられる。殺人事件が起きてから謎解きするよりも、殺人事件を阻止する方が優秀であるが、それでは推理小説が成り立たないという構造的な問題がある。 本書の「釘と鎮魂曲」も、それに属する。ここで第一に責められるべきは警察の無能である。そこは明確であるが、タラントも全ての謎を解き終えてはいなかった。そこは明確であるが、タラントも謎解きに時間がかかったことを後悔している。納期感覚を持たない無能公務員とは異なる。失敗の自覚を持つところに、むしろタラントの有能さを感じた。 | ||||
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収録作品 「古写本の呪い」 「現われる幽霊」 「釘と鎮魂曲」 「〈第四の拷問〉」 「首無しの恐怖」 「消えた竪琴」 「三つ眼が通る」 「最後の取引」 「消えたスター」 「邪悪な発明家」 「危険なタリスマン」 「フィッシュストーリー」 名作短編集リスト〈クイーンの定員〉にも選ばれたThe Curious Mr.Tarrant(1935年刊)の邦訳として2000年に新樹社より刊行された単行本に四編を追加収録。 怪奇と神秘と不可能犯罪興味が横溢する難事件を独自の論理を用い、鮮やかに解明するタラント氏の姿は奇しくも同時代に小栗虫太郎が生んだ法水麟太郎を彷彿させる。「〈第四の拷問〉」の唖然とする結末や「首無しの恐怖」の異常な動機はとりわけ「後光殺人事件」などの小栗の短編のテイストに近しい。 そしてあくまで論理の徒であったタラント氏が愛の為、神秘の世界に身を投げ打つ「最後の取引」の結末はロマンティックかつ残酷であり、一読忘れ難い感動を呼ぶ。その幕切れがあまりに鮮やかな故、追加収録された作品はあくまで番外編としてお読み頂きたい。 個々の作品により出来栄えにばらつきはあるがヴァラエティ豊かなトリックの愉しさ、大胆な伏線の妙味、そして全編を貫く趣向のスタイリッシュさに加え、当時のニューヨークの社交界が華やかに活写されているのも魅力であり、探偵小説黄金時代の短編集として個人的に最も偏愛する作品だ。 | ||||
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原題 The Curious Mr.Tarrant(原著1935年刊) 現存するのが僅か50部程度だと言われる「クイーンの定員」中でもその稀少性で名高い短編集だが、内容もただレアリティのみの価値ではない不可能犯罪物の秀逸なバリエーションに富んだスタイリッシュな傑作。 無味乾燥な事件の記述にとどまらず当時のニューヨークの社交界の生き生きとした風俗描写も大いなる魅力、個々の短編におけるプロットとトリックのクオリティも見事だが、真に特筆すべきは最後のエピソードにおける主人公タラントの下す決断だ。ファイロ・ヴァンスのエピゴーネンめいた印象から血肉の通ったロマンティックなヒーローへと変貌する驚きとスーパーナチュラルな結末の余韻の深さは忘れ難い。 神秘主義に傾倒していたという作者キングのロジカルな長編には見られない要素も垣間見える素晴らしいエンディングである。 | ||||
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本業は心理学者で米国ミステリーの黄金時代を築いた巨匠デイリー・キングが1935年に発表して絶賛された秀作連作短篇集です。本書には名探偵トレヴィス・タラント氏を主役に据えた8篇の不可能犯罪関連テーマ作品が収められています。タラント氏は、怪奇な事件に心惹かれる者という紹介のされ方で、事件解決の報酬も受け取らず、働いている様子もなく何をして暮らしているのか一切明かさない変り種の人物です。脇役のレギュラー陣ですが、タラント氏の執事兼従僕のカトーは何と日本のスパイでジュージュツ(柔術)の達人です。そして語り手でワトスン役のジェリー・フィラン、ジェリーの妹のメアリー、ジェリーの妻ヴァレリーです。さて推理の部分については、密室での物体や犯人の消失等不可能犯罪のフルコースで推理マニアが泣いて喜びそうな構成なのですが・・・・、実際は読み手により好き嫌いが分かれそうな部分があります。その要因は不可能性をこれでもかと強調した後で、最後に手品みたいな抜け道が示される所で、論理的に解明されたとはいい難い肩すかしのような残念さが残ります。『釘と鎮魂曲』の手口は誤魔化されるのが不思議で信じられませんし、『「第四の拷問」』『最後の取引』はミステリーの範疇では収まりません。それから登場人物表をつけてフェアプレーではありますが、案外に予想から大きく外れず意外性が少ない点にもがっかりさせられます。厳しくいえば常識的にまとまった器用なレベルに終始していて歴史に残るようなインパクトに欠けるのが難点でしょう。しかし意外にも推理とは別の所に魅力が潜んでいまして、本書を通して読むと愛情溢れる温かい人間関係に心が癒されます。物語の終幕に至る部分では、ほっと安堵する幸せの思いが込み上げて来て、心が洗われるような余韻が漂います。期待し過ぎると時に落胆もありますが、興味深い古典ミステリーの好連作短篇集をお楽しみ下さいね。 | ||||
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不可能犯罪の短編を連作した好奇心一杯のタラント氏もの“密室の中から消えたり”“密室の中で殺人が起きたり”“密室の中・・・”とオンパレード永遠のパズラーであるデイリー・キングらしい作品です | ||||
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