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天国の南
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天国の南の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.11pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全9件 1~9 1/1ページ
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1920年代 テキサスの石油パイプライン敷設工事現場を舞台に、渡り労働者の青年の日々を描いた作品。 著者の作品の主役は、悪党か、さもなくば悪党に翻弄される者に概ね分かれる。本作品の主役トミーは、そのどちらでもなく、多少の正義感を持ち合わせた純粋な青年である。 本作品の注目すべきは、浮浪者、放浪者、前科者が集い、何があってもおかしくない危険な現場感覚でだろう。著者自身の油田での労働経験に負うところが大きいようだ。 ラストは痛快ではあるのですよ・・・。しかし、細かなところで辻褄合わなかったりで、スッキリしない。 | ||||
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どいつもこいつも悪漢ばかりの男臭くカッコイイ小説でした。 文体も乾いていれば、土地も乾いています。 そうして汗の滲み出てくるような過酷な労働や狂気の渦の描写に引き込まれていきます。 トラックが走り、掘削機やダイナマイトで岩や土が吹き飛び土埃が舞い、 泥と汗にまみれた男たちは山ほどメシを食い、冷笑しながら暴力をふるいます。 プロレタリア、ノワール、ハードボイルド、といった言葉がトンプスンの紹介には付き纏いますし、 実際その通りでもあるけれど、そういった先入観を持たずに読んでほしいです。 骨太な文体や、怪しげな登場人物たちの謎、息をつかせぬ展開に、 文学好きはきっと夢中になって読んでしまいます。 「ポップ1280」とはまた違った魅力がありおもしろかったです。 ポップ1280はノワールを全力で突き進んでいましたが、天国の南はまだ狂気の点では大人しいというか、 トンプスンらしさもありながら、歯ごたえのあるしっかりした文学の印象で読みやすかったです。 こんなのを最初に刊行されてしまっては、文遊社のトンプスンシリーズにドハマりしてしまいそうです。 | ||||
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とにかくかっこいい。 | ||||
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面白くなかった。 | ||||
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ここまでまともな物を書く人とは思わなかったし、これが核にあるからこそ、後の逸脱があると理解した。 | ||||
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ジム・トンプスン、初期キューブリック作品で脚本を担当、ペキンパー&マックイーンの傑作「ゲッタウェイ」の原作担当、ありとあらゆるミステリー作家から名作と誉れ高い「俺の中の殺し屋」の作者。しかし彼が称賛を受けることはなくこの世を去った。 彼の作品はミステリーの定石やルールをことごとく覆し、読者を物語の中に容赦なく引きずり込み、時には物語の中に読者を閉じ込めてしまうほど、その作品は強烈な魔力を秘めている。 その作品のように、彼自身についてはわかっていることは彼自身の韜晦主義により現在も謎に満ちている。情報によるとギャンブラー、油田工夫、保安官助手、犯罪雑誌記者、コラムニストと多岐に及ぶが、実際どのような経歴だったかは彼しか知らない。 しかし、彼の作品群には油田を舞台にした物が多く、今作「天国の南」もまた油田のパイプライン工事を舞台としたプロレタリアンノベルで あり、彼が油田で働いた経歴があるのは確かだろう。 近年、ジム・トンプスンへの再評価が続きつつある中、ミステリー系ではなくプロレタリアンノベルという形で出版されたことは 重要であり、喜ばしい限りである。 一応プロレタリアンノベルではあるが、そこで働く労働者たちの人物描写や心の闇といったトンプスンが描き続けてきた部分は相変わらず 鋭くもあり、背筋が凍るようなものを容赦なく書き紡いでいる。トンプスンファンは必見である。 | ||||
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最終章の第34章で、この物語はすべて終わります。 ダイナマイトの煙とにおいが消えたあと、 「おれたち三人は夜にテキサス西端のプレーリーにすわっていた」 この物語は映画のように終わります。 「おれたち三人」とは、主人公で語り手の「おれ(トミー)」、 おれと絆を結んだ仕事上の相棒(フォア・トレイ)、そして 謎の女性(キャロル)の三人の登場人物です。 トミーとキャロルは、地獄のような米国西部の石油パイプライン 建設工事現場で出会い、相思相愛となった若いカップルです。 エデンの園を追放されたカップルがエデンの東を目指したように トミーとキャロルは「天国の南」へと旅立って行くのでは、 と予感させる結末です。 この本の「白黒のカバー写真」の中の、舗装されない道路を バッグひとつで歩く、渡り労働者らしき男女ふたりの後姿は、 トミーとキャロルのカップルのように思えます。 この作品の、地獄のような米国西部での過酷な労働現場は、 天国なんか夢の中にしか現れない、原油まみれのドロドロの毎日。 熱風で屈折して蜃気楼のように歪んだ風景は地獄のよう。 主人公の「おれ(トミー)」は、まだ女を知らない21歳の若者。 労働現場の近くにキャンピングカーで現れた、謎めいた若き女性 (キャロル)に恋心を抱いてしまうトミー。 著者自身も「渡り労働者(ホーボー)」としてアメリカ西部などを 仕事求めて渡り歩いて働いた経験を持っています。 時代設定は、いまから「約100年も前」の1920年代後半。 舞台は、テキサス州西端のプレーリーの荒野、 石油パイプライン建設工事現場です。 ダイナマイトや掘削機などを取り扱う危険な現場では、 けが人や死人が出ても、事故なのか殺人事件なのかも はっきりしない、法律を超越したアブナイ現場です。 犯罪や給料強盗などの小説にはもってこいの舞台です。 そこに登場する人間たちも、この過酷で危険な現場に あえて仕事を求めて渡り歩くような、渡り労働者、 放浪者、浮浪者、前科者たち。 彼らが過酷な現場で長時間、くたくたになるまで働く姿が リアルに描かれています。 著者自身の「渡り労働者」としての体験記憶をもとにした筋立てなので、 いっそうリアルな物語になっているのでしょう。 石油パイプライン建設工事現場の油ぎった空気やダイナマイトの爆発音 や振動などが、読者の体にも伝わってくるような気がする物語です。 現場で働く者たちの荒々しい緊張感も、会話のやり取りの中に浸み出し ていて、実に生々しい臨場感を感じられました。 この本のタイトルは、次の文章から来ているようです。 「忘れるな、おれたちは天国の南にいるんだ。もし一所懸命やって、 高いところまで手がとどけばきっとうまくいく」(92頁) | ||||
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同じくテキサスを舞台にしたアメリカンニューシネマの名作『ラストショー』のモノクロ映像をイメージしながら読みました。 まあストーリー的にはどうということもないですが、訳者の文章がすばらしく、ジム・トンプソンらしいグッとくる狂気も十二分に楽しめました。満足です。 | ||||
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1920年代後半の石油パイプライン建設現場を舞台に、そこで働く前科者、浮浪者、放浪者たちと、キャンプ近くの大型バンで一人生活する謎めいた美少女‥‥ モノクロというより、砂ぼこりに煙ったセピア色の活動写真を観ているよう‥‥ こんな作家と出会えるから読書はやめられない! | ||||
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