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火車
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火車の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.96pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全373件 241~260 13/19ページ
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幸せになりたかった。 この台詞が重くのしかかってくる。 この作品が出版されたにはバブル末期。日本中の若者が物欲に振り回され、己を見失っていた時代だった。 道徳観が欠落し、拝金主義がまかり通り、国民総ほりえもん状態の狂気のお祭り。それがバブルだったような気がする。 この時代に失ったものは多く、現代の世相を大きく変えたと思う。 祭りに乗り遅れないように!焦りが人を犯罪へと誘い、身の丈に合わない物欲が人格をも破壊しつくす。 この物語の世界は、まさにバブルの葬送曲になっているように思う | ||||
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この作品の時代背景は平成初期だが、クレジットに関する本質的な内容は現代も同様だ。 展開は大変面白いが、背景の説明が詳細過ぎて、物語の進行が遅く感じる。 その分、クレジットなどに関する、含蓄のある話を知る事が出来る。 この様な、説明調の作品は、平成初期前後には多かった。 つまり、当時の風味を味わう事が出来る作品だ。 加えて、旅情もたっぷりだ。 本書の骨格は二つだ。 ・カード破産 ・他人になりすます 展開の面白さには魅了される。 カード破産の実態と心理に加えて、何と、赤の他人になりすますという筋書き。 これは、ある意味、人生のリセットと言える。 それを、どの様にして行ったのか? 終盤は強い緊張感を伴う。 しかも、方法はなかなかリアルだ。 しかし、違法行為は御法度だ。 | ||||
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この小説は辛い時代を過ごした女性が「幸せになりたいとい」と言う思いから、人生をやり直す過程を主人公が紐解いていく物語です。 不可抗力で不幸せになった彼女。幸せになる為に他人に成りすますという選択をします。しかしその道のりは壮絶な人生に始まりに過ぎませんでした。 もし自分も彼女と同じ目にあったら、同じ事をしていたかもしれないと思いました。 生きて行くために必要な糧の用い方を考える良い機会になると思います。 バイトを始めた学生や社会人なり立ての人たちに是非読んでいただきたい1冊です。 | ||||
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宮部の本はたいてい読んできた。「外れ」のない著者で、 人物造形も抜群。日本でも数少ないストーリテラーであることは 多くの人が認めるところだろう。 だが、まだ初期の頃、本来ならこれで直木賞を取るはずだった本書が 結局はいちばんだと、読み返してみて改めて思う。 生活に苦しんでいる人などはちょっとシンクロできない面もあるが、 彼女の作品は切なさだけでなくと優しさを常に内包しているので 読後感があまり重くないのだ。 | ||||
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宮部みゆきを読むのははじめてです。 氏の他の作品と比較はできないので、この作品のみのレビューができることはうれしいことだと思ってます。 登場する人物には悪いやつはいません。かといって、人の心象や背景についてとても深く描かれているわけではなくそれに多少不満を持ちながらも、一方ミステリーとしてはどんどん引き込まれていきます。 自己破産や借金地獄、ひとつ間違えば誰にでも起こることなのでしょう。 自分の収入や生活はミギカタアガリで成長していくのだという思い込みや前提はそういった悲惨な状況に陥るひとつのきっかけでもあったりします。 殺人やその他のことで他人を不幸にしてまで、他人になりすまして自分が幸せになる、そのエネルギーはなんなのでしょうか。 私には理解できません。 理解できないのは、そういった状況に陥って突きつけられた経験がないからだと思います。 そういった点では、このミステリーは、自分ごととしては共感できない、でもきっかけさえあれば誰でも陥る可能性があることは理解できる。そういうちょっと距離のある、でも面白い作品でした。 | ||||
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小さな事件をきっかけに、他人の人生に足を踏み入れた主人公が、彼女の足取りを追いながら、社会の裏側、そこから逃れようと必死に生きる人々の姿を目の当たりにする過程を通して、社会の暗黒部分を描写した一作。ちょっとした失踪事件と思いきや、大きな渦の存在を突き止める羽目に陥った主人公と同様、読者も事件に引き込まれること受け合いだ。また、そこかしこに散りばめられた人間ドラマも楽しめる。 カード破産に巻き込まれていく過程を説明する際に、硬い説明文が続く箇所がある。その手の文が苦手な人は、読み飛ばしても問題なし。ただし、個人的には、そういう部分の説明を充実させ、社会に対する警告・啓発的な部分をうまく取り入れている点で、本書を高く評価している。 | ||||
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クレジットカードのブラックリストに載っていたことが発覚して姿を消した女の後を追うと、同じ名前の別の女の存在が浮かび上がる・・・。 知能犯のわずかな痕跡を頼りに、推理に推理を重ねついに発見するまでの、たたみかける展開は飽きさせず読み疲れさせない。 さすが宮部というか登場人物が数多いものの一人一人の描かれ方に薄っぺらさがなくドラマ性も十分で泣かせる場面もあり。 彼女の作品の中で一番読み応えがあるし、アイフルや自己破産など昨今の金融問題もからめて今読むのがおすすめ。なぜこの本が映画・ドラマ化されないのかと不思議でならない。 | ||||
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社会派ミステリには2つの要素がある。 一つは純粋にミステリとしての謎解きの面白さ。 そしてもう一つは社会の影を映し出す鏡の役割。 宮部みゆきはこの二つの要素を兼ね備えた秀作を 世に多く送り出してきている現代を代表する作家だが、 僕は彼女の作品の中でも「火車」が一番だと思っている。 物語は一人の女性の謎めいた失踪から始まる。 そしてそれを追う主人公は彼女の過去を探るうちに、 一つの信じられないような真実に辿り着く。 カード破産、戸籍、家族の形・・・ いくつものテーマが織り込まれながら、 謎解きに向かって進むストーリー。 必読の一言に尽きる。 | ||||
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婚約者の失踪を追いかけていくうちに 次々と明らかになるその婚約者の正体と過去。 暴いていく過程にぐいぐい引き込まれました。 いやー借金ってこわいですね。勉強になりました。 これは受賞しただけあって実に社会派サスペンスです。 やっぱ利率高すぎですよ。 借金苦がいかに悲惨なもので、 個人の問題では済まされないものだと思い知らされました。 結末がまた別の意味で衝撃的でしたけど、 実に面白かったです。ミステリー好きならぜひ。 | ||||
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宮部ミステリーの良さは、「量は重いけど苦にならず、読んだ後に充実感がある」ところにあり、本作品もその一つ。「借金」から逃げる為、「別人」になることを決意した犯人の人物像を、本人を最後まで登場させずに描ききるあたりはさすが宮部みゆきといった感じ。おすすめ。 | ||||
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犯人は最後にしか登場しませんが、彼女が断片的にしか見えないからこそ、彼女の悲惨な境遇や、彼女の強さが魅力的に伝わってきます。登場しないからこそ、伝わってくる犯人の魅力が、この本を面白くさせているのだと思います。人生はサバイバルです。 | ||||
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読み終えた直後は、「それはないやろー」とおもわず絶叫してしまいました。 でも宮部みゆきは主人公が女を追っていく過程を通してサラ金問題を読者に考えてほしかっただけなのかもしれない。 そう考えるとこれは絶妙の締めでした。 この作品は90年代初期を舞台設定としているのですが、この時からすで に金利のグレーゾーン問題があったことなど今と全然変わらないサラ金 問題があったのだと驚きました。 | ||||
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この小説では借金地獄に苦しんだ2人の女性が出てきます。 その内の1人が主役の刑事の甥と婚約中に失踪したことで 事件へと発展します。 家計は火の車になってでも、 贅沢をしたい女性達の心理や、サラ金地獄の実態などを垣間見ること ができますが、そら恐ろしいです。 | ||||
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ぐいぐい魅き込まれる。 怖い。哀しい。 多重債務や破産に詳しい者にとっては、 イロイロと意見・指摘があるところなのは間違いない。 しかし、多重債務や破産を知らない者にとっては、 あまりに現実的であり、哀しく、そして恐ろしい。 「火車」を読んで、法律を勉強し始めた人も少なくないだろう。 | ||||
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宮部みゆき氏、初読です。ミステリーでありながら、経済小説でもあり、さらに心理描写も細やかで楽しめました。 綿密な調査の上に立ち書かれたものは、とかく理屈っぽかったり、わかりにくかったり、ストーリーとしてはいまひとつだったりするのですが、たいへんよくこなれています。専門家には物足りないのかもしれませんが、小説を楽しむ人にとってはこのくらいすっきりさせてくれた方が読みやすいと思います。 ただ、ラストが私としては中途半端な気がしました。 | ||||
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多重債務者を設定して物語を広げるのは、大変興味深かった。 サスペンスなので、筋書きについては触れないが、日頃、自己破産とか、個人再生を扱っている弁護士からすれば、多重債務者の極一部のみを取り上げた作品であって、リアリティーがない。 小説だから、許すけど、多重債務の問題をこのように簡単に考えてもらっては困る。 でなければ、各地の弁護士会が、しばしば、「多重債務者110番」途か「アイフル問題110番」なんかやりません。 なんか非常に薄っぺらな印象でした。 実情を知らない方にははらはらドキドキのサスペンスかもしれませんが。 | ||||
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彼女の作品を全部読んだわけではないがこの作品が一番好きである。600ページ近い長篇だが冗長なところは全くない。物語の途中で弁護士が長々と語るクレジット社会の矛盾もこの物語には必要である。あらゆる出来事が伏線となり何気ない会話が解決?への糸口となっている。 著者は主人公の二人の女性に何も語らせていないのだが、語る以上に彼女達の人間像、悲惨さ、哀しさが描き出されている。実際に物語に登場しない主人公を、間接的な方法、彼女達のとった行動と証言者の言葉だけで描き切る著者の力量は非常に優れている。 著者の作品に登場する人物は“いい人”が多い。犯人に対してもどこか“救い”をもたせている。この作品においてもそうである。それが不満な読者もいるであろうが、そうしなければこの作品は悲惨な女性達の姿を描いただけの恐ろしさだけが残ったに違いない。そうなればもう“宮部作品”とは言えないと思う。いずれ、主人公の彼女達の視点から描かれた作品を読んでみたい(勿論ラストシーンはこの作品と同じである)のだが、これも直接的に凄惨過ぎて“宮部作品”と言えないかも知れない。 ローン地獄や自己破産という現代社会では誰にでも可能性のある現実的で恐ろしい題材を扱いながらも、それではなくミステリー作品、そしてただの小説としても一級品である。ラストシーンも完璧である。文句なし☆5つ。 | ||||
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多重債務という現代社会の暗部をベースに描いたミステリー。予想を次々と裏切るというか、著者の罠に翻弄されて最後まで興味が尽きませんでした。本格的な社会派推理小説、松本清張を思い起こしました。ミステリーですので筋書きは申し上げられませんが、登場する一人ひとりの人物設定やエピソードの一つ一つが実にしっかりしていて物語の中に引きずり込まれるような思いがしました。そして恐怖を感じました。考えようによっては実に恐ろしい物語です。それと同時に登場人物への思い入れも大きいものがありました。本格的なミステリーをお探しの方にはお勧めです。 | ||||
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上梓は平成4年。14年、一昔前の本であり、宮部氏の本も読んだことがなかったのですが、先日のNHKドキュメンタリー「プロフェッショナル」で弁護士・宇都宮健児氏を取り上げた回で本書が紹介されて興味をもった次第。 宇都宮氏はサラ金・闇金の被害者救済に奔走する弁護士ですが、「火車」に出てくる弁護士はまさに宇都宮弁護士その人をモデルにしているそう。多重債務者を「自己責任」の一言で切り捨てる風潮を理路整然と批判する「火車」弁護士と宇都宮さんのイメージは確かにピッタリ重なりました。 多重債務者を物語の中心に据えながらいわゆる「取立て屋」そのものはストーリーラインには登場してこない。債務者の逃げ様を通してその回収ぶりの陰湿な凄まじさを読者に感じさせる氏の筆致は圧巻。生死不明の父親が残した債務の相続放棄すら出来ず、父親(らしき者)の死亡記事を求めて新聞縮刷版を繰る主人公。戦慄しました。 ページをめくる毎に主人公が味わった逃避行の恐怖が読者に伝播してくるかのような傑作。見事、としか言いようがありません。 | ||||
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確かにすごい作品だと思うし、見事だと関心もする。 ただ、実際に真実が周りの推理通りであるにしても、やっぱり本人の声、言い分を聞きたい。それがどんなに支離滅裂でもおかしくても、本人に語らせてほしい、と思ってしまう。本人不在で結論が出てしまうことに、抵抗というか、違和感を感じてしまった。私だけだろうか。 まあ、それを言ってははこの小説自体が成り立たないんでしょうけど。 他人の命を奪って生活をのっとって、別人の人生を送るというのは、やっぱり異常なことだ。周囲の常識人が理性的に同情的に説明したって、やっぱり納得いかない。本人の声が切実に聞きたい。 続編か何かで、ぜひ新城喬子に語らせてくれないかなあ。 | ||||
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