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紳士と猟犬



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【この小説が収録されている参考書籍】
紳士と猟犬(ハヤカワ・ミステリ文庫)

紳士と猟犬の評価: 4.45/5点 レビュー 11件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.45pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全11件 1~11 1/1ページ
No.11:
(5pt)

レトロな英国冒険小説の味わい

次々と英国に植民地化されつつある1830年代、まだ藩王国が点在しているインドが舞台。本格推理やミステリを期待して読みださない方がいいでしょう。ジャンル的には冒険小説ですね。ヴィクトリア朝時代に多く書かれた伝統的な英国冒険小説の香りがします。
できれば東インド会社がインドに進出していった過程をおおざっぱにでも知っておけばわかりやすいです。または最後にある”歴史メモ:著者あとがき”を先に読むのもありかと思います。ここはネタばれされていませんので。執筆にあたって著者がいろいろ下調べされたことが書かれています。

作品中では架空の都市名になっています。が、舞台はベンガル州の州都カルカッタ(今はコルカタ)とその北西部、あとはベンガル虎狩が出てくるからその生息地マディヤ・プラデーシュ州あたりでしょうか。
主人公は英国から到着したばかりの若き士官エイヴリー。英国の常識をそのまま持ち込みインドを見下しています。インドの文化や歴史、習慣を知ろうともせず、ひたすら暑さと汚さに辟易し、やけくそで飲酒や賭け事に浸り大きな借金まで作ってしまいました。そんな彼がある任務を受け、現地に溶け込んでいる”変人”の英国人ブレイクと行動を共にすることに。
作者は当時の東インド会社のやり口や白人の差別意識に対して批判的な視点から、エイヴリーが現地で経験を重ねるにつれ、自分が所属する東インド会社の欺瞞と英国がインドを侵食していくさまに気づいてゆく様子を描きます。

この小説の一番おもしろいところはまさに当時のインドを、地べたを一歩一歩歩きながら一緒に旅しているような気持ちにさせてくれることでしょう。歴史小説好き、インド好き、ちょっとレトロな冒険小説や映画好きの人にはたまらないと思います。
前半のややゆっくりめの進捗具合も、詳細な現地の描写もそういう人なら味わいながら楽しめるでしょう。最後の3分の1あたりで話は剣や銃での戦いやジャングルの逃避行になり一転してスリリングになります。背後で操っているのは誰なのか、誰が善人で誰が悪人なのか、話は二転三転し混沌としてきます。
ラストは、大きな権力に抗うのは困難であるという苦さとともにハッピーエンドの側面もあり。これはアガサ・クリスティ風の映画にしたらおもしろいんじゃないでしょうか。

シリーズはすでに2作目が2015年、3作目が2017年に出ていますがアマゾンで手に入るのは洋書だけです。途中で翻訳されなくなってしまう作家さんが多すぎるのですが、これももう翻訳されないで終わってしまうのか?ハヤカワさん、ぜひ続編をお願いします。
紳士と猟犬(ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:紳士と猟犬(ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4151826017
No.10:
(5pt)

良品です!

丁寧に梱包されて送られてきました。状態も良く、良品でした。また欲しい本があったら、こちらで購入しようと思います。
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No.9:
(4pt)

続刊はどうした?

これはS・ホームズ物のパスティーシュか、L・キプリングの『少年キム』へのオマージュか…
いや、登場人物の個性の豊かさと語り口調の巧みさは、それ等を越えたものでした。
唯、インドの自然環境のみならず人的環境の荒さと、英国軍人の病み加減には、少々引いてしまいましたが。
まあ軍隊なんて、そもそもが人殺しの為の組織ですから、大元が歪んでる訳ですけどね…
時代は、ワトソンがインドにいた頃よりほんの少し前ってとこでしょうか。
あとがきを読むと、シリーズ化されていて、二作目は主人公二人がロンドンで再会するところから始まるようで、ちょっと楽しみなのですが、このあとがきが書かれてから、もう四年も経っているんですねぇ。なのに出版の噂も無い!
まあH社さんのことですからねぇ……でも他の出版社からでも、いずれ二作目以降、出してくれないもんでしょうか。
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4151826017
No.8:
(4pt)

歴史的関心を要求するし、欠点もあるけれど、興味があればぜひ

これは新刊かと思ったのですが、すでに刊行から3年経過していたことを読後に知りました。シリーズのようですが、続刊翻訳がないようなのは、さほど人気を得なかったのか、まだ準備中なのか、どちらなのでしょう。

「さほど人気を得なかったのか」と邪推してしまうのは、イギリス人の見た19世紀のインドに関心のない人にとっては、たぶんこの作品は面白くないだろうと思うからです。私自身が読んだ理由が「イギリス人の見た19世紀のインド」への関心なので。
逆に歴史的な予備知識がありすぎてもストーリーを楽しめないだろうし、日本で人気を博すのはいかにも難しそうです。

その上で、さらに、終盤に明らかになる事実に意外性がなく、むしろ「そりゃそうだろう」と思わせるものだ、という点も気になるところではあります。
...いや、色々欠点を論っているようですが、そう言いながらも歴史エンタメとして十分楽しい作品でした。私は好きな本だが勧めたくなる友人が思い当たらない、というのが正確な感想です。ですから余計に、色々ハードルをあげられたにもかかわらずおもしろそうだ、と思う方がいらっしゃれば嬉しいですね。

ただ個人的には主人公2人の関係は一期一会であって、その後バディのシリーズにしなくてもよかったんじゃないかな、と思うので、シリーズ続刊が出たとしてもすぐに飛びつきはしないかなと思います。
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No.7:
(4pt)

サグ

歴史上の人物が出てきて勉強になりました。ただ、どこまでが史実なのか、判断するのは難しいと思います。
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No.6:
(5pt)

東インド会社に興味があるならオススメ

バディというほどバディかな? 冒険というほど冒険かな? という物語。
私は時代背景に興味があったので大変面白く読みましたけど、友人に貸したら面白くなかったと言っていたので人を選ぶかも。
ユーモアという人もいるし、表紙を見る限りそういう印象にしたいのだろうけれど、原題とか内容とかはユーモアではないような。何人も殺したり殺されたり負傷したりするわけですし。
失う物が多く、かなり苦い後味に感じたんですけど、そういう感想の人はあまりいないのかな……。
あとホームズとワトソンの関係は対等に近くバティといっていいと思うんですが、こちらは対等とかそういう感じではなく、求めていたものがお互いぴったり合った、という感じで、傷を埋めあう関係なのではないかなと思いました。
そういう意味では少々BLっぽいかもしれませんね、精神的な、ですが。
あと主人公はヘイスティングス寄りだね、と友人にいわれ、そうかもなーと思いました。
翻訳は読みやすくて、久々にまともな翻訳で小説を読んだということだけでも喜びでした。
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No.5:
(3pt)

がっかり

時代背景が珍しく、興味をそそられたが、小説、ミステリとしては全くつまらない。
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No.4:
(5pt)

ハァ〜〜すごく良かった…

舞台は19世紀インド、2人の英国人が活躍するバディものです。東インド会社にまつわる史実等がベースとなっているので、歴史小説としてもバディものとしても非常に楽しく読めます。ホームズが好きな人は絶対にハマる…かくいう私も、ものすごく楽しく読んだので、続編の翻訳版が待ちきれません。ハヤカワ文庫さんお願いします…
バディもののお決まり(と言っても過言ではない)、最初は不仲な2人でしたが、冒険を経ていくうちに熱い信頼関係を築いていきます。次作の舞台はイギリスだそうで。ホームズと似てると仰る方もいますが、決定的に違うのは2人ともインドを経験しているということです。原本のタイトルもすごく皮肉に満ちてて良いですね。
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No.3:
(5pt)

英国と植民地印度と

英国と植民地印度との関係が歴史の中で示していたいびつな在り方を題材として、登場人物の行動の持つ意味を、歴史の「謎」に値するものとして評価することのできる話を作りました。

詩情も不足、ロマンスはほとんどなく、純粋な歴史小説でもありません。

しかし、実に風変わりな魅力のある作品であると思いました。
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No.2:
(5pt)

上品質、英国紳士ユーモアの香り、英国インド支配への毒あり

英国紳士はチャーミング。カルカッタ1837年、白いズボンに泥がつくのを気にするエイブリー中尉が冒険の旅へ、盗賊や虎刈りに遭遇しつつ、ある国民的作家の行方を捜す。パートナーは、紳士から程遠く現地人のように布を巻きつけたブレイク。
事件背景にはかつての英国のインド支配が、書き手の怒りを秘めながら巧みに語られる。著者あとがきに歴史メモあり。エイブリーはちっとも賢くないし、純情だがお喋りでヒステリーでもあるが銃のうまい美男子。物語はエイブリーの一人称に、行方不明の作家の視点が少しはいる。ユーモア歴史ミステリー上品質の香り。
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4151826017
No.1:
(4pt)

往時のインドの社会模様及び<東インド会社>を活写した骨太の歴史小説であると同時にミステリ的趣向も巧みな力作

時代は19世紀、イギリスの<東インド会社>のウィリアムという若き新任社員の少尉(本任務で中尉、<東インド会社>が単なる商社ではなく軍事基地兼統治機構であった事が良く窺える)が、風変わりな"名探偵"のブレイクと共に、失踪した著名な反体制風刺詩人を処罰目的で探すために(主にカルカッタ北西部の)インドの奥地で冒険旅行を繰り広げるという物語。この捜索は謎を孕んでいる(幾ら西欧人がインドで目立つからと言って、広いインドでたった1人の西欧人を探す困難性には目を瞑る)。新任で実直なウィリアムは<東インド会社>に忠実である一方、インド滞在経験が長くて現地人の立場で物事を見る(10近くの現地語を操る)ブレイクは、その詩人と旧友であると同時に、両者共に<東インド会社>の元社員だったらしく、詩人を探す別の目的があるらしい。この謎の"別の目的"が物語の駆動力になっている。

冒険旅行の過程で、死、飢餓、貧困、阿片、汚辱、裏切り、窃盗などの日常化、<ザグ>という強盗・殺戮集団の跳梁跋扈、様々な藩王国(必ず<東インド会社>の執政官が居る)の乱立と後継者争い、各藩王国と<東インド会社>との微妙な関係といった往時のインドの社会模様、そしてそのインドを統治(あるいは訓化)していると思い上がっているイギリスの傲慢振りは良く描かれている(この点では力作)とは思ったが、終盤近くまで、冒険小説としてはさほど面白いとは感じなかった。ブレイク(=作者)が現地人の視座で<東インド会社>批判をしている様子は伝わって来たが、それ以上の深意は掴めなかった。しかし終盤、真相が分かるに連れ、冒険旅行の過程で「***」や「***」を丹念に描写していた理由がようやく飲み込めた。これらが伏線となってミステリ的にも上手く出来ているのである。

真相が分かって初めて、この冒険旅行が波乱万丈だったという事が分かるという秀逸な全体構成。登場人物の一部は実在の人物の由で、本作はある意味、歴史小説でもあるのである。なお、原題の「The Strangler Vine」とは「絞め殺しの木」の意で、誰が誰を絞め殺したかは一目瞭然だろう。往時のインドの社会模様及び<東インド会社>を活写した骨太の歴史小説であると同時にミステリ的趣向も巧みな力作だと思った。
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4151826017

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