■スポンサードリンク
(短編集)
地下街の雨
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
地下街の雨の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.72pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全25件 21~25 2/2ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
宮部みゆきの短編集。 宮部は長編を書かせてももちろん非常にうまいが、 短編も本当にうまい。 短編には短いがために設定の甘さなどが見られる小説家も多い中、 宮部の作品にはそれが全く感じられない。 短編の中にもしっかりと人物像がなりたって、 人物の心の描写も巧みだ。 個人的には書名にもなっている「地下街の雨」がいい。 設定、文章構成力がとにかくうまい。 文句なく★5つです。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
この作品は7つの物語から成り立っているが、中でも「地下街の雨」は物語の進め方・結末共にすばらしいものである。主人公の心理描写が細かいところまできちんと描かれているので、自分が本人になったつもりでハラハラしながらどんどん読むことができる。そして、一気にクライマックスまでいくと最後にドカンと真相が分かるという感じに仕上がっているのだが、そこがこの作品の最大のポイントでもある。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
たとえば画家や彫刻家は、一つの主題を作品で表現する際に、いくつもの「習作」をつくる。着眼点や手法を試行錯誤するためだ。『地下街の雨』は宮部氏にとって、それにあたるのではないか。といっても、短編集としての質の高さは十分なので、ご心配なく。本書所収の7作品は、バラエティに富んでおり、どれも秀逸。「ムクロバラ」では、人間の心に潜む衝動的な悪意と、その被害者が直面する不条理、極限状態での心理が描出される。「地下街の雨」「混線」は、緻密で意表をつく巧みなプロット。「さよなら、キリハラさん」では、非日常的な描写から日常的な問題を顕在化させる構成を展開。こうした試みの数々は、確実に『模倣犯』のような大作で、交響曲を奏でるように統合され身を結んでいる。その意味で、本書を「習作」だと表現してもよいと思う。因みに私が本書で興味を惹かれたのは、黒澤明の映画を髣髴とさせる描写が目についたこと。たとえば、一つの出来事も受け取る人の如何によってその意味がまったく変容し、何が真実かわからなくなるほど現象が相対化されてしまう「不文律」は、黒澤の『羅生門』(原作:芥川龍之介『藪の中』)を思わせる。また、人が亡くなった後、遺族らが故人にまつわる記憶や故人が残したものを手掛かりに、生前の意外な一面に思いを馳せることで初めて故人が生き生きと人々の心の中に存在感を増してくる様を描いた「勝ち逃げ」は、やはり黒澤の『生きる』の終盤を喚起させる宮部氏のエッセンスを、素描に近い原形的な形で凝縮して楽しむには、お勧めの一冊! | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
著者の作品の特に長編の特徴は、殺人事件の類を持ってきても常に弱者に対する優しい目が感じられるのであるが、本作には、比較的感情移入せずにステレオタイプに描ききって断罪するホラーものなど、短編にすることによってそのあたりをばっさり切った作品も出てくるので興味深い。その意味では少し毛色の違う作品集と言えようか。 そうは言っても、前述の作品と同様にホラー的に描きながら人情味をにじませる(だからよけい怖い)作品あり、星新一ふうにスタートしながらオチは宮部味とか、もしかすると著者はいろいろなタイプの作品に挑戦していたのかもしれない。 長編しか読んだことがない人は必読。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
宮部みゆきの作品ジャンルの中に、「都会もの」と位置付けるべき作品群がある。その頂点に「火車」があると私は思うのだが、この短編集はその裾野をでこぼこなしにきれいに形作っている一つと見ていいだろう。 ここでは理想化された人間ではなく、等身大の市井の人、あるいは若い女性、あるいは作者自身の投影が登場する。「不文律」「ムクロバラ」「さようなら、キリハラさん」が秀逸。解説の室井滋の文章も面白い。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!