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孤独の海
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孤独の海の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全1件 1~1 1/1ページ
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アリステア・マクリーンの「女王陛下のユリシーズ号」は、冒険小説人気投票ではオールタイムベストワンに選出される傑作である。そのデビュー作であり代表作である「女王陛下のユリシーズ号」の前に書かれた短編にして、ある意味、以降のマクリーンの要素の原型が見られる短編「ディリーズ号」が本書には収録されている。 マクリーンはほとんど初めてであるこの短編で、以降のスタイルの原型をわずか数ペー ジながら見事に描き切っている。 マクリーンの作品の特色と言うと、自己犠牲という要素が不可欠かもしれない。自らの苦しみをかえりみることなく、あえて苦難に挑むこと事に屈しない男達のドラマである。 そして、マクリーンは常に読者を裏切ろうとする。それは凡百の作家が行う小細工ではなく、堂々たるプロットの転換によって行われる。 なぜこの人物は、こんな事をしたのか?なぜ、こんな状況に至り、こうした結果を出したのか?物語とは、それを知らせる手段に過ぎない。しかし、世の中にはそれを失った物語が あふれている。 「ディリーズ号」は、ヒネりがあるというだけの短編ではない。たった数ページのこの短編にはドラマがあり、人間の生き様が描かれている。老人の苦悩は手に取るようであり、この先の人生や、子供達との関わりを想像するだけで胸が詰まる。 マクリーンは少なくとも最初から「小説で何を語るべきか?」がわかっていたのである。 文章を読み進め、ドラマを知るという面白さを、真の意味で味わわせてくれる短編は、私にとって、この「ディリーズ号」である。 | ||||
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