黒い十字軍



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初公開日(参考)1975年01月
分類

長編小説

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黒い十字軍 (ハヤカワ文庫NV)

1987年12月01日 黒い十字軍 (ハヤカワ文庫NV)

航空力学、電子工学などの分野で世界をリードする科学者たちがつぎつぎと行方を絶った。彼らはみな、妻同伴でオーストラリアの新しい職場に向かう途中であった。真相究明を命じられた英国情報部員ベンタルとマリーは、科学者夫妻に変装して、オーストラリアに飛ぶ。だが、中継地フィジーで武装した謎の一団に拉致され、老朽貨物船の船倉に閉じこめられてしまった!いずことも知れぬ目的地に向かう船上から決死の脱出を試みる二人を待ちうけるものは?冒険小説の王者が、最新鋭ミサイルをめぐる陰謀と闘う情報部員の姿をスリリングに描く!(「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

黒い十字軍の総合評価:8.50/10点レビュー 2件。Cランク


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全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(7pt)

マクリーン版007か

今度のアリステア・マクリーン作品はイギリス情報部員ジョン・ベンタルが挑む潜入捜査だ。オーストラリアで起こっている技術者たちの謎の失踪事件をベンタル自身が燃料工学の専門家に扮して一連の事件の謎を探るという話だ。

舞台は南国の島国フィジー。オーストラリア渡航の乗換のため、宿泊したフィジーのホテルで拉致されるが、機転を利かせて脱出したベンタルとマリーの男女の情報部員が流れ着いたのは考古学者が研究のため逗留する小さな島ヴァルドゥ島。

ヤシの実に白い砂浜、肌を撫でる貿易風に揺られながらハンモックで昼寝をする。およそ諜報活動とは無縁の世界で繰り広げられるのは楽園に隠されたイギリスの秘密基地。しかも今回は男女の情報部員による任務ということでどこか007を思わせる設定だ。
作者マクリーンも意識的なのか、偽装した夫婦として任務を課せられたマリーとベンタルが当初は反目し合いながらも次第にお互いを想いあうようになる。下手をすればハーレクインロマンスと見紛うかのような内容だ。

それもそのはずであとがきによれば本書はイアン・スチュアート名義で書かれた作品とのこと。つまり従来のマクリーン作品とは一線を画した舞台設定と登場人物を想定した作品なのだ。

そんな中で深手を負った科学者を装いながら島の周囲を探るベンタルが察知した真の任務とはイギリスがフィジーの小島で隠密裏に “黒い十字軍(ダーク・クルーセイダー)”という最新式のロケット開発を進めている科学者たちが連れて行った妻たちの行方を探るという物。

真相を読むに至って私はますますこれはマクリーンがスパイアクション小説を想定して書いた作品だという思いを強くした。
それを裏付けるかの如く、今まで硬質な文体で、読む者にさえ苦難を強いることを感じさせられたマクリーンの文体が本書では実に軽みを帯びている。特にベンタルの独白は凄腕の情報部員ながらもグチと減らず口を叩き、特にパートナーのマリーに対する感情をところどころ吐露する辺りは今までのマクリーン作品の主人公とは思えない優男ぶりが垣間見える。

そんなマクリーンの手によるスパイアクション小説はしかし突飛な小道具や秘密兵器といった物は一切出ず、ベンタルが次第に傷を負い、ボロボロの身体で満身創痍になりながらもどうにか新型兵器ダーク・クルーセイダーの持ち出しを阻止しようと奮闘する。
主人公が何でも一流の腕でこなすスーパーマンのような男ではなく、敵と味方の反感を買いながら、自分が死ぬことなど厭わない不屈の心を持っているところがマクリーンらしい。

珍しく軽さを感じる文章でクイクイ読ませる作品だったが、結末はかなり苦いものだった。
しかしこの読みやすさは今後もあってほしい。


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Tetchy
WHOKS60S
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No.1:
(5pt)

1962年の米ソ間〈キューバ危機〉をいみじくも予言しているかに見える傑作冒険小説

アリステア・マクリーンはよく〈冒険小説の王者〉と呼ばれますが、その理由はやはり読者をグイグイと作品世界へ引きずり込んでゆく確かな手腕にあると思います。
その手腕をひとことで言えば、冒険小説にミステリー (謎解き) の要素を大々的に取り入れたストーリー展開の妙味です。

本作『黒い十字軍』でも、世界的な科学者たちが次々と行方不明になるという不可解きわまる現象がまず真っ先に読み手の興味を引きつけます。真相究明のためにジョン・ベンタルとマリー・ホープの2人は夫婦を装ってオーストラリアへと飛ぶ。が、途中南太平洋のフィジーで武装した謎の一味に拉致され老朽した貨物船の船倉に幽閉されてしまい・・・・。

400ページ余りの作品だけど、真ん中 (200ページ) くらいまでは、読めば読むほど謎はますます深まるばかり。
真ん中を過ぎたあたりから、少しずつ真相の光 (?) みたいなものが見え始めます。
しかし、その真相というのが絶海の孤島で極秘裏に開発された英国の最新鋭ミサイル (ダーク・クルーセイダー) をめぐる驚きの陰謀という、ほとんどSF小説のような内容。
孤島における諜報部員ベンタル &マリー & 島の極秘ロケット開発施設に常駐する英国海軍と、悪漢一味との間の生死をかけたぎりぎりの攻防・・・・。

特に後半は、王者マクリーンの持ち味である結末がどうなるのか全く予測のつかない展開に、ハラハラのし通しです。
1961年刊行の本書ですが、最新鋭ミサイルを盗み出して他国へ売りつけようと画策する悪漢一味のボスが終りのほうで語る〈悪のシナリオ〉は、翌年 (1962年) に全面核戦争スレスレのところまで行って世界を震撼させた米ソ間の〈キューバ危機〉を、いみじくも予言しているようです。
マクリーンの恐るべき想像力に脱帽です。
黒い十字軍 (ハヤカワ文庫NV)Amazon書評・レビュー:黒い十字軍 (ハヤカワ文庫NV)より
4150404747



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