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夏の裁断



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【この小説が収録されている参考書籍】
夏の裁断

夏の裁断の評価: 3.16/5点 レビュー 25件。 Dランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.16pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全8件 1~8 1/1ページ
No.8:
(3pt)

少女漫画のような

四度の芥川賞候補の後に直木賞を獲る島本理生。本作は女性作家が主人公の小説ですが、どうしても映像として浮かんでくるのが島本先生の姿で、なんか妙に艶かしく感じてしまいました。
筆者はかなり若い頃から文壇で活躍し、その表現の妙は流石といったところですが、純文学の枠に縛られて器用になりすぎてしまった感がありました。主人公は付き合うまでいかない男達と体を重ね合わせることで、若い頃に男に乱暴された記憶を上書きしようとしているような危うい女性です。付き合っているのかどうかわからないながら、流されるまま体を許してしまう女性の心理を上手く捉えていると思いました。
ただ、主人公がある瞬間気が変わって今までと違う行動を起こす場面がいくつかあるのですが、そのスイッチがなぜ切り替わったのかは本人の気まぐれのようで、読者はこの女性作家に振り回されるのではないでしょうか(あくまで男性目線です)。
思わせぶりなひどい男、いつまでも一途な男、少し闇を抱えた男との関係を、作家ならではの観察眼で俯瞰してみているようで、女性には少女マンガを読んでいるように読みやすいかもしれません。出てくる男性がきれい過ぎるようで、恋愛ドラマのようなくささが、男性にはムズムズポイントなのではないでしょうか。その性差を超越できない点が、文才も申し分ない島本先生が芥川賞に見出されなかった理由かもしれません。
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4163903240
No.7:
(3pt)

オジサンにはちょっとぬるかった

主人公の女性が少しメンヘラなので、メンヘラじゃない人には
何でそうなっちゃうの?と言いたくなるような展開がいくつもあって
特にオジさんである自分にはちょっと付いていけないというか
理解に苦しむというか、ゆえに途中から早読みになってしまいました。
又吉直樹さんが推薦してたので読んでみましたが、やはり女性向けかな。
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No.6:
(3pt)

彼女にとっての「救い」、「求めているもの」がわからなかった

どうにもこうにもこういう男はいかん。
これから一緒に仕事をしたい女性の胸に初対面で触れる軽さとか、たま~に「おまえ」って呼ぶあざとさとか(*`・з・)ムッ
でも「危険」「正しくない」・・・そうわかっていても惹かれてしまうのが女の矛盾。
柴田のやり口を嫌悪するか、意識しちゃうか・・・どっちにしても激しく気にしちゃうのも女の性。
主人公の過去に性的な傷がある云々は置いといて、 同じ女としてこの理性に抗えない本能をわかる?といわれれば、「わかる」・・・かな?
そこが女の弱いとこ、ダメなとこ。

柴田と千紘がそれぞれに抱える深い闇をもう少し掘り下げてほしかった。
特に柴田。この悪魔を形作るものがきちんと描かれてないからこそ、
このザワッとする気味の悪い不安定さを生みだしているのかもしれないけど、なんだか物足りない。
千紘が子供のころに大人に傷つけられた出来事にしてもはっきりしたことは何もわからず、モヤッとしたものが残ります。

蒸し暑い夏のさなかにただひたすら自炊を繰り返す千紘の姿は、まるで己そのものを切り刻んでいるかのようにも思え、読んでいて痛々しい。
千紘の求めているものがなんなのか結局わからず、きっとこの人はまたこんな暗くて苦しい恋を繰り返すんだと思います。
彼女にとっての「救い」とはなんなんだろう?

しかし島本理生はどうしてこんな作品ばかり書くようになったのかな~。ここまで続くと、もう心配になるレベルでメンヘラ臭ハンパない。
本が切り刻まれる場面にしたって、こんなのはどんな作家でもつらいもの。よく書けたものです。
ただただ読んでいて息苦しい。
でも、それでも私はきっと島本理生の作品を読み続けるだろうな。そうさせる力はある作家なのです。だから目が離せません。
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No.5:
(3pt)

著者が見つめるべき病み=闇は、違う場所にあるのではないだろうか。

文章も構成も巧い。しかし二、三歩足りない。
技巧に溺れてしまい、人物の内面への掘り下げが甘くなってしまった。

芥川賞を受賞した「火花」と比べると、明らかに完成度は優る。ところが、人物を描ききろうとする心意気が足りない。著者が描ききれる安全地帯で書いてしまって、踏み込んでいない。もっと先の、もっと深い部分に挑む力があると思うのに。

(「火花」を絶賛しているのではありません。あの作品も受賞にはすこし足りない部分があったと思っています)

島本理生の作品を初めて読んだのだけれども、もしかすると著者は題材選びを誤っているのではないだろうか? この作品は心ではなく、頭で書いている。この著者が見つめるべき病み=闇は、違う場所にあるのではないだろうか。あるいは、もっと先のもっと暗い闇なのかもしれない。

評価は3.5以上4未満。
著者の才能に期待して、厳しく☆☆☆としました。
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No.4:
(3pt)

読み終えてから気付いたが

芥川賞候補の本だったのね…。芥川賞は自分の読書嗜好とは系統が別なので、興味がない。ので、知らなかったが、「らしい」感じ。つまり、面倒臭く、自分にとっては「面白い」とは言えない本。
柴田にやられて不快な事を猪俣相手に自分もやらかしてる事には気づいてないのかこのヒロイン。というのが読後の感想。
「本を切る」に対しての感覚だけはすごく共感。
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No.3:
(3pt)

メンヘラ処方箋。

芸人さんが書いた小説が芥川賞を貰って話題になる一方、「候補作の中では実はこの小説がダントツで、こちらが賞を貰えばよかった」などと言う人もいるので試しに読んでみたが、引き込まれるものも圧倒されるものも何も無い。今どきの日本の純文学のスケールの小ささとつまらなさに唖然とした。
どこにでもいるような自分勝手な男性編集者に翻弄され、思考の迷宮に追い込まれていく精神的に未熟な女性作家の愚痴のようなモノローグが延々と続く小説で、10年ほど前に自ら命を絶った女性編集者のネットでの日記と書評を合わせた「八本脚の蝶」(ポプラ社)とよく似ている。作中での主人公に対する教授(精神科?)の分析「人の分析はわりに得意なのに、自分のことになると極端に憶病なんだよなあ」、主人公を翻弄する編集者についての分析「本能的に人をコントロールするのが得意な人間はいるんだよ」(P.73~74)、「八本脚の蝶」の著者と周辺との関係にそのまま当てはまる。「あなたが守らなきゃいけないと思い込んで背負ったものは不要なものばかりで、本当のあなたを殺し、得体の知れない不快感だけを残して去っていった。」(P.115)、「誰にも自分を明け渡さないこと。選別されたり否定される感覚を抱かせる相手は、あなたにとって対等じゃない。自分にとって心地よいものだけを掴むこと」(P.117)、こうした教授(専門家)の示唆で主人公はなんとか迷宮から脱するわけだが、「八本脚の蝶」の著者などは周辺の哲学好きなオジサンたちの善意のアドバイス(考え方のヒント)に導かれ、さらなる思考の迷路にはまり込んでいったんだから痛々しい。哲学などというものは、所詮は「健常者の頭の体操」にすぎない。心の病(頭の病)の患者に体操させても病が治るはずがない。というわけで、これは「病人に必要なのは医学だ」と云う、いわば当たり前のことが結論の小説である。
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No.2:
(3pt)

良い小説だ

本を裁断してスキャンして機械が読み取ってデータ保存するってことでいいのかな?これが感覚的によく分からなかった。紙の本が無くなってしまうこと(を示唆しているが)が嫌で仕方ないとか、そういう話でも無いらしい。
 裁断というタイトルの通り、なんだかとても繋がりの悪い話だと思った。

 以上少々ピントがズレたことを書いたかも知れません。

 しかし、島本理生は良い小説家だと思う。刊行中の河出版日本文学全集で春色梅児誉美の口語訳を島本が担当する、つまり池澤夏樹は十分に島本を認めているのである。

 おしゃれな屋敷に住む西藪さんのところでごちそうになるのだが、自信満々で出された料理が全然おいしくないというのが結構なインパクト。実父が母と別れた後も、母の経営する店に飲みに来るというのもいい。猪俣君が帰るかと思いきや絵を描き始めるなんてのもまさに純文学テイストじゃないか。

 ま、これが芥川賞というのが無難だったと思います。好きか、と訊かれれば好きではないんですけどね。これが受賞して文藝春秋に載る、というのが従来の形なのではないでしょうか?
日頃本読まない人が又吉の『火花』や羽田の『スクラップ…』を手にとって、純文学とはこんなモノかと自分に言い聞かせる姿は悲劇です。本作を芥川賞受賞作として世に問う意味はあったと思います。
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4163903240
No.1:
(3pt)

純文学の存在意義

ことわっておきますが、私は著者の熱心な読者ではありません。
が、著者が過去何度も候補にあがっていたのぐらいは知っていました。
本書をさっそく手にとったのは、「火花」も本書も実際に読んでみて
自分の審美眼のほどはいかに?という下世話な関心からのみでした。
で、両方読んでみて・・・
純文学という営みにまだ一遍の価値を認めるのであれば、
やはり火花よりも本作を選択するのが妥当だと素直に思えました。
逆にいうと、プロの作家(選者)とは自分の評価はずいぶんちがうん
だなあ~と、結構、自信をうしないました。
芥川賞は表面的な構成力や文章力の巧拙だけで決まるもの
だとはおもいませんが、ベースの技量としては圧倒的だと思えます。
もっとも、文学史的にどうかといわれると、両作品とも画期
というほどのインパクトを感じはしませんでしたが・・・
結果としては、TVでの話題ぶりを目にして、正直、かなり著者
に同情せざるをえなかった。「純文学」の領域を信じ、そこへ
自分なりの痕跡を刻もうと志す作家さんにとっては、芥川賞と
いうのは、やはり今だに特別な思い入れがあるんじゃないかと
思うからです。

「どちらかを捨てなきゃならない」または、「どちらがもう
一回読み返してみたいか?」ととわれたら、圧倒的に本作の
ほうが、「手元に残しておきたい」「よみかえしたい」になります。

著者にとっては、こうしたレビュ(比較)は迷惑千万なのかもしれ
ませんが、現実的に本を手にした動機、その顛末という意味でのレ
ビュをするとしたら、このような形にならざるをえませんでした。
向田邦子が直木賞で火花が芥川賞か・・・時代の刻印?
夏の裁断Amazon書評・レビュー:夏の裁断より
4163903240

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