夏の裁断
- 小説家 (28)
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これが候補作?本書の著者と本書に高評価をしている読者には申し訳ないが、堅苦しい文体のラノベかと思った。 もっともラノベを読んだことは無いが。 雑誌などの書評やネット記事などで気になった本が有ったらリストアップしている。本書もその一つだが、なぜリストアップしたかは忘れてしまった。 多くはノンフィクションだが、一部叙述トリック系も有る。 だから、著者名に聞き覚えが無く、てっきり叙述トリック系の本と思いながら読み進めた。 ミステリやトリック系は、まんまと騙されたいので特に文章の微妙な部分を気にしないで読むが、なんとなく主人公の名前「千紘」は男性名とも考えられるので、会話の口調から女性と思わせておいて、実は主人公は男性だった、と言うオチかな?とも思ったが、「夏」の章でワンピースや胸の起伏の地の文が出てきて、「やはり女性か?」と思いながら読み進めたが、結局「夏」が終わり、「秋」、「冬」、「春」の章に移り物語の終了を待っても、何のオチも無い、ただただ男のいいなりになってしまう女の話しだった、と言う内容。 読後にAmazonのレビューを読んで、本書が芥川賞の候補作になった事、又吉直樹が推薦している事を知ったが、自分は賞候補作や有名人の推薦本などには興味が無いので、結局何故リストアップしたかが最後までわからないまま、新年一発目の読了としてはつまらない本だったなと言うのが率直な感想。 まだ小学生時分から、主に継父や親戚の叔父・伯父などに性的イタズラをされた経験を持つ人は多いと思う。著名人でも公表している人が居る。 一方、どちらかと言うと地味で真面目そうな女性に、案外性に関して消極的だが開放的(積極的に男にアピールはしないが、誘われると断れないタイプと言う意味)も、案外多い。 結局、主人公の千紘は出会って誘われた人と簡単に性交渉を行う「都合の良い女」なだけで、一応過去の自分を変えるために、トラウマとなっている母親の店の客だった男性の現在の勤務先をネットで見つけ、過去と決別をする為にその地に向かう。 その成長の為の「過去との裁断」と、祖父が残した蔵書をデジタル化する為、本をバラバラにする裁断。 余りにも深みが無さ過ぎて、むしろ「何故この程度の作品が候補作なのだろう?」と思っただけだった。 | ||||
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初見時は素直に、定型的な島本理生作品として――つまり傷を負った主人公の再生物語としてベタに筋を追って読んだ。 ただ、この種の作品にありがちな、女を病ませるDV男がただの関わってはいけない男というだけでなく、男も病んでいるのだと描く所が懐深く、面白く思ったのだが… 今回再読して、島本理生の作家史においてもの凄く重要な作品だったのだと気付かされた。 『夏の裁断』は芥川賞候補になるも又吉と羽田圭介に破れ、著者が純文学を卒業するきっかけとなった作品として有名だが… この作品には異性へのトラウマや母娘問題といったわかりやすいテーマ以外に、「書くこと」や「本」に関連する言葉が多い。 著者は主人公に「(文学は間口が狭く、)本当に救いたい人を救えない」と明確に語らせていて、芥川賞候補の作品でありながら、自身の手足とも言うべき純文学を否定し、それを「裁断」していくという、とんでもない構造の作品になっている。 そしてこの主人公の思考の転換と「純文学の切断」は、恐らく島本理生本人のパラダイムシフトであり……このことに気づいちゃったら、そりゃあ純文学卒業しちゃうわな…と。 個人的には島本理生の純文学が好きだったからやめてほしくはなかったし、ここで芥川賞を獲れていたら…と以前は思ったものだが、きっと芥川賞を獲れても獲れなくても、純文を卒業してたんだろうな。 | ||||
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なんの問題もないです 満足 | ||||
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夏の裁断の章は、柴田さんが、「RED」に出てくる人の焼き直しみたいな印象。 あと、主人公が支離滅裂で読むのが苦痛だった。 秋の章以降はけっこう読みやすくて不思議だと思ったら、夏以外は書き下ろしだからか。 この人、作品によってすごく読みにくい。精神状態が反映されすぎてるのかな… | ||||
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技量は言うまでもなく高い。場面転換の思い切り、会話の無駄のなさ、散りばめられた警句じみた文章。 著者以外にこの言葉を紡げる者はいないと思う。 無駄のない質の高い文章は透明感のある世界を読者に現出させる。と同時に、男女の相互理解の難しさ、過去と現在の自分自身の関係(あるいはその断絶)、距離感といった問題を読者に提示する。様々な読みが可能であり、純文学の懐の深さを味わえる作品だと思う。 その一方で、物語の筋だけを追っていくと、千紘に対してストレスが溜まる(特に男性読者は)。 やめておけと心理学の教授が忠告するのに、自身の中で激しい葛藤もないまま柴田にふらふらと近づいていくし、ほとんど気まぐれに猪俣君を呼びつけては気晴らしのように寝る。(ストーカー気質だが)普通の男性寄りの猪俣君が不憫に思えてきて、最後には「教えてあげない」と千紘にはねつけられてしまう。ここで帰らなかった猪俣君はえらい。「このメンヘラが」と心中で罵って帰ってもよさそうなところである。 でも波風を立てない猪俣君のおかげで、千紘は最後に自己完結して小説が終止する。 面倒見のよい猪俣君のおかげで千紘だけでなく小説の崩壊も押しとどめた。彼のおかげでこの作品が成り立っている。 | ||||
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