(短編集)
七緒のために
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表題作も併録も思春期の少女の心の叫びと救いを求める姿が描かれた物語。そのため、瑞々しくは感じるものの、オジサンにはその思考及び行動パターンがよく分からない。著者のあとがきと村田沙耶香氏の解説を読んで、ようやくなるほど…と思った。男性…特にオジサンには、ある意味、眩しすぎる小説かも。 | ||||
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表題作の「七緒のために」のほか、「水の花火」と計2本を収録。 「水の花火」はなんと島本さんが高校生で作家デビューしたころにかかれたものです。 「七緒のために」狂気と孤独をはらんだ作品。 始終、落ち着かない不安定な空気が流れている。 島本理生ってどうしてこういう痛々しいものばかり書く作家になってしまったんだろ。 うーん、繊細とは違うんだよね。危うさ。 本当に仲が良いわけじゃいけど一緒にいる2人。 共通点は孤独。 でも、お互いの傷には触れないように不安定なバランスを保ちながら友人関係を続け、一歩踏みこもうとすると崩壊する関係。 女の子同士、ましてや中学生のこの年代って本当に難しいね。 島本さんの文章は好き。 冒頭のほんの1,2ページを読んだだけで、“ああ、やっぱりこの人の文章って好き”って思いました。 瑞々しさ、透明感?この人にはこの人しか描けない独特の雰囲気があります。 最近はあえてそれを感じさせないような作風にもチャレンジしてるようだけど、私は初期の島本さんの文章が好きです。 | ||||
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島本理生さんの小説は、純度の高い水面のようで、その表面にはおぞましいことや醜いこと、汚いこと、嫉妬や蔑みなど負の感情が映し出されるが、水面に波紋が波立つとそれらは急に音を奏でだし、消えていき、又元の澄ました水面に戻る、しかもその水はとても甘い、そんな感じが読んでいたします。 おそらくここ10年デビューの女流作家の中にあり、島本理生が孤立しているように見えるのは同性愛の香りがしないことだろう。 それは三浦しをんや鹿島田真希のBLラインでも、絲山秋子のゲイの路線もない。 しかし一方にある津村記久子のレズ路線もなく、否、思春期の少女の友情小説、少なからずそういうニュアンスはあるだろうと思い読むと七緒は「女の人は、けっして女の人を心から好きになれないんだよ。雪子ちゃんだってそうでしょう。だから私のせいじゃない」と云う。 おそらく同性愛でも同じことを云うのだろう。 「女の人は、けっして女の人を心から好きになれないんだよ」と。 島本理生はどんなに過酷なことをヒロインにブツけてきてもラストで彼女は救われる話を描いてきたのだが、本作は敗北をもって物語は幕を閉じる。 初出から20ヶ月、書籍化されなかった理由、プロデビュー初の短篇と組まれて編まれた本書はおそらく中篇であるから「ナラタージュ」と「アンダスタンド・メイビー」の重さと太さがないものの、現在の島本の深さを表す最高傑作だ。 島本理生は、物事をわきまえた、落ち着いた話し方をする年上男子と自分に近寄ってくる同世代の男の子という二つのパターンで小説を書くのだが本書における前者〜カウンセラーの来栖先生も、後者〜今井先輩も善人に描かれない、否、過去の島本文学における男たちの善人ではないのだが、それでもやはり著者の理想のようなものが漏れ、男読者の私からすれば、何故これが魅力的な男性として描かれるのか判りかねる点が多々あった。 本作ではそれがない。 それがこの二人の男が魅力を欠くのではなく、ヒロイン・七緒の力に負けているのだ。 おそらく島本作品がどんなダークな展開になろうとはつらつさを失わないのは、ヒロインが男たちに向ける想いからであろう。 それを父として・兄として見守るように私なぞは読むのだが、まぁ、その男たちはヒロインほどの重みがない。 それが島本理生のリアリズムなのだが、ここで七緒というキャラクターは男たちを徹底的に空転させている。 七緒というのは、高級和菓子を喰った時に手作りであるがゆえ、噛むとカリと云う砂糖の塊のような異物感がある。 おそらく島尾敏雄「贋学生」が本作にいちばん近い。 | ||||
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