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小説の神様



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【この小説が収録されている参考書籍】
小説の神様 (講談社タイガ)

小説の神様の評価: 3.83/5点 レビュー 58件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.83pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全58件 41~58 3/3ページ
<<123
No.18:
(5pt)

小説は祈りのように、読者に語りかける

ページをめくる手が止まらず、どんどん物語に引き込まれていきました。小説を書くことの辛さや喜び、読者に届いてほしいという作家の祈りに胸を打たれました。何かを書いたり、描いたり、作ったり、表現する何かを持っている人は勿論、仕事を頑張っている人、いろんな人にこの物語が届きますように。
小説の神様 (講談社タイガ)Amazon書評・レビュー:小説の神様 (講談社タイガ)より
4062940345
No.17:
(2pt)

うーん、ちょっと・・・

高評価のレビューに惹かれて買ってみたものの…
感想としては低評価つけてるレビューとほぼほぼ同意。

・まず一つ、主人公のキャラ付け。
葛藤というか業界へのモノ申したい気持ちというか、一介の本読みとしても
わからいでもない所はある。あるが、それだけで終盤まで引っ張られても…
面白い本が売れず、売れ線を抑えた本が売れる。そんな愚痴やなんなら売れ線の抑え方
の方法論程度くらいなら一介の本読みでもそこそこ語れちゃう事で、そこで停滞し続けるキャラ
に魅力を覚えるのは酷く難しい。売れ線だけ抑えても売れてない本が山とあるのが現実で、
その中で売れてる本だけが持つエッセンスとは、という所まで考えが及んでいればもう少し違った気が。

どうせなら、別PNで書いた売れ線ノウハウ結集した本が売れに売れて、魂を込めて書いた本が
売れてないという現実に打ちひしがれている、というキャラ設定にした方が言ってる事に説得力
が出たのでは? 偉そうに後輩や売れてる同輩に、「売れる本を書け!」と説教する様は滑稽で、
売れたことのないお前がいう事かよ…とずっと思いながら読んでました。

・次に主人公を取り巻く環境。
言うに及ばず、今作は「如何にもラノベラノベした売れ線の本」を揶揄し続ける構造のお話ですが、
そんな主人公を取り巻くのは病弱な妹、どれだけすげなくされても主人公に憧れる健気な後輩と、
文武両道才色兼備のスーパー美少女売れっ子作家です。これなんてラノベ?
派手な展開の無い、どちらかというと文芸に寄せた作品構造でありながら骨格はラノベとしか
言いようのないその中途半端さ。

極めつけは、主人公がどれだけ弱音吐こうが迷惑かけようがせっせと仕事を振り、悩みに乗り、
解決案を提示し、売り上げがどん底まで低迷しても次のチャンスを与え、断筆宣言した後も
私はあなたのファンだからいつでも次の作品を持ってきてと言う担当編集の存在w
エロゲの甘やかし姉・ママですかね。レビューで言及してる人が居ないけど、社会人として見ると
彼女の存在が一番のファンタジーに感じます。お前そんだけ恵まれた立場で腐るとか恥を知れ恥を、
と主人公にヘイトが向く更なる要因に。

・最後に、オチのしょうもなさ。
結局2人で書き上げた本はどういう評価を受けたの?そこを書かないのは逃げでしょう。
いやそこは重要じゃないんだ、と言うのなら、この作品は何が重要な事だったのか。
ぶっちゃけ書けない苦しみを持ってる主人公が居たら、最終的に書けるようになるだろうなぁというのは
誰でも想像がつく話な訳ですよ。だから売れ線とか気にせず自分の魂に従って書く、というのは大オチに
なりえない。その先に何があるのか、です。

別に、その本が一杯売れてトラウマ払拭して妹は全快してヒロインとはよろしくやりましためでたしめでたし…
にすれば良いという訳ではない。知る人だけが知ってる良本としてひっそり埋もれるでも良いけど、
結局のところ書けない二人が書けるようになりました! と言われて「お、おう…」としか思えない自分が
居たのは事実。それによって世界がどう変わったのか。勿論全世界という意味で無く二人の目に映る世界
という意味ですが、それを書かなきゃ長々と業界の愚痴に付き合わされた読者の甲斐がないというものです。

タイトルを見て、さぞかし物語への一途な愛情を込めた物語なんだろうなぁ、と期待して購入しましたが、
どうにも主人公のツンデレフェーズが長すぎるし、オチで目が覚めるような情熱の迸りも感じられず・・・
売れ線を揶揄した割に、長々愛される名作の風格も無い、なんだか益体のない作品を手に取ってしまったなぁ
というのが率直な感想。残念。
小説の神様 (講談社タイガ)Amazon書評・レビュー:小説の神様 (講談社タイガ)より
4062940345
No.16:
(3pt)

小説の力

軽いです。まあライトノベルだから、それがいいのかもしれません。
ただ主人公の思い込みの言葉の調子は強く、ちょっとバランスの悪さを感じます。

彼はただ自意識過剰で僻みっぽいだけで、自分が思ってるような、創作のための努力をしてないように思えます。
「自分は才能がないんだ」と全否定してしまえば、それは楽でしょう。本当の自分の欠点に向き合わないで済みますから。

作品に描かれる世界は優しいです。
主人公やヒロインに落ち度はなく、鑑賞眼のないネットのカスどもだけが彼らを批判しますが、周囲はみな作品を評価しています。
そこに本当の痛みはありません。
別にそれが必要でもないでしょうが、そのためなのか、問題への踏込は浅く、最後の決意も自分には「聞いた風な」建前としか思えませんでした。
(それを実感とさせるのが、小説の力なんだろうと思いますが)

他のレビューを見ると好評のようなので、人を選ぶかもしれません。
途中までは楽しく読めて、早く先が読みたかったです。少なくとも読んで損したとは思いませんでした。
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4062940345
No.15:
(5pt)

星五つ。

久方ぶりに評判も調べず本屋で表紙買いなんてしたけれど、微塵の後悔もない大正解だった。
人気の本とかで「一気に読みました!」って感想がよくあり、それも面白い小説である証左の一つだとは思うけれど
とてもじゃないが一気に読めない。途中途中で息継ぎしなければ耐えられなくて、独りで叫びながら悶絶してしまう。そんな小説も間違いなく傑作だと思う。こういう、心の潜水訓練のような、でも最後には清涼な空気を思う存分吸い込める作品大好き。
内容についての感想は読めばわかることだし
読んでもわからなかったならレビューで書いても意味ないので伏せます。が、読んで損はなかった。
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4062940345
No.14:
(2pt)

作者=主人公…とは思いませんが、この主人公はちょっとねー

とにかく主人公の「現在の売れている小説」に関する認識が薄っすい。薄っぺらい。お前はあれか、自分や自分の周囲(妹)が気に入る小説=至高、自分が理解できない小説=バカの読み物とか上から目線かましてる評論家気取りか。ああうん、お前小説家向いてないわ、ネット海の隅で書評サイトに引き篭もってろよ。
そんなナチュラルに読者を馬鹿にした小説家の書く「(要約)上手く出来ない子がそれでも頑張る不器用で優しい話」とは?
どう考えてもそれ、気の使い所を間違えて周囲に迷惑かけまくって嫌われてるのにそれに気付かず「どうして僕はこんなに頑張ってるのに報われないんだ(絶望)」とか自己憐憫に浸ってるナルシストの話でしょ。今時は暗い話が受けないとかじゃなくて、ひたすら自分を哀れんでる論調が鼻につくタイプでしょ。

とまあ、前半は主人公の言動から推測される主人公の性格と主人公の書きそうな話にゲンナリしつつ、それでも後半まで読み続ければそれなりに主人公も動いて、話は展開して、綺麗にまとまっているので小説としては成り立っています。

まあでも、この主人公は嫌いですw
作者がどの程度この主人公に近い人物なのかは他の著作を読んでいないので知りません。よって、作者がどのような意図でこの主人公を創作したのか(自分のアバターとしてなのか、こういう奴いるよねーwなのか)は分かりません。
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4062940345
No.13:
(5pt)

続きが読みたいと思った。

辛口のレビューを書くのは、小説を愛しているからだと前置きしておく。
追記。ネタバレがありますのでご注意ください。

この手の実体験を踏まえたエンタメの、物語の展開や構成において、端々にまで計算が行き届いているのはいいことなのか悪いことなのか、という疑問が残った。なぜなら小説の神様は、行間の、文字のない、読めない場所にこそ宿ると考えるからだ。
そうであるならば、作者自身さえ思いがけない言葉が生まれ出てこそ、神様が愛すべき小説と言えるのではないだろうか。

本作にそういった部分が見られない、とは言わない。そんなこと、一読者に分かるはずがないのだから。
ただ、構成がよくできているからこそ、もっともっと、もーーーーーーっと、熱い思いが、それも地に足の着いた、共感できる、もっと生々しくてもっと目をそむきたくなるような、呻きや怨嗟や叫びが、行間から醸し出されるはずだったのでは、と思ったのである。

主人公が高校生であること、家族の事情、今は亡き父親が売れない作家だったこと。
そしてもう一人の主人公の美少女設定など、すなわち年齢に才能、恵まれた環境や彼女が経験した「事件」についても。
私には、設定が分かりやすすぎて、少し美しすぎたのかもしれない。

それらの属性を取っ払った、大人になって自立した主人公が語る、作家としての本能のようなものを、もっと知りたいと思った。
もしかしたら、私はこの作家の、本当の私小説が読んでみたいのかもしれない。
ライトノベルに仕立てられた、本作のごとき美しい設定がちりばめられた、ある意味都合のよい、美しく仕上がった物語ではなく、もっともっと見苦しくて、土臭い、地を這うような苦しみを背負いながらも、作家であり続けようと、編集者になんと言われようがその場にとどまり、踏ん張って、よりよいものを書いてやると、歯ぎしりをし、眠れぬ夜を過ごし、頭を掻きむしり、咆哮する声を、聴きたいのかもしれないと思った。それはとんでもなく下卑た趣味かもしれないが。でも実際の心の闇はもっと深いのでは、と思ったのだ。
だから主人公の二人が、経済的に自立を求められた大人になってからの姿を、その時に発する声を、聴きたいと思ったのだろう。
今でも十分刺さってくるものがあったのだけど。でも本作からは、創作っぽさが抜けきっておらず、ある意味ライトノベルっぽさが売りになっているのだろうが、どこか物足りなく、その刃の切っ先は出版界の関係者にのみ、向いているように思えたので。

作家と言うのは、つくづく難儀な生き物だと思う。
実のところ、書かんでもええもんをなぜ書くのか、と問われれば、「そこに原稿用紙があるからだ」としか答えようがない。それが私の個人的な答えなのだけど、もっと分かりやすい答えを書きたまえ、と言われたら……金持ちになりたい、認められたい、大きな賞が欲しいってのもあるけど、先ずとにかく、読んでほしい‼ できるだけ多くの人に‼‼ そして面白いと言ってもらいたい‼‼‼‼‼
そのためには、自己満足は疎まねばならない、とすると……やっぱり、商業作家の心の闇って深いよなあ、と思った作品でした。

まあ、要するに、とにかく面白かったです。本当に、めっちゃ面白かったです。痛くて痛くて、心臓に悪いけど。
Mだからもっと刺してって思うんだけど、やっぱり、続きなんか出ないんでしょうかね?
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4062940345
No.12:
(2pt)

魅力の無い主人公

主人公の性格が、作中で主人公自身が語る売れない魅力の無い主人公像を忠実に体現している。悲観的でうじうじと愚痴り、すぐにきれて女性に八つ当たりするその姿には終始イライラさせられる。
友情や、ヒロインの苦悩、小説への情熱も描写が浅くあまり伝わらず、主人公の青臭さと作者の業界への不満だけが際立っている。
よくあるストーリーだが好きな人は好きかもしれない。
個人的には「600円出す価値はなかった」とレビューに釣られたことを後悔している。
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4062940345
No.11:
(5pt)

いい作品に巡り会えた

言葉ではうまく表せないけどすごくよかった。
今辛いことがある人には読んで貰いたいし、そうでない人にも辛いことがあったときにはこの本のことを思い出して貰いたい。
最後にはあたたかい気持ちになって読み終えることができてよかった。
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4062940345
No.10:
(4pt)

読めてよかった

読んでいてつらかった。作者のツイッターを読んでいたから、主人公がどうしても作者に見えてしまって落ち着かなかった。
でも、だからこそ、血を吐くようにして現実と戦い続ける主人公たちを応援したくなる。
ラスト、救いがあるのもよかった。
この小説が読めて本当によかった。

ただ、一点「ラノベかよ」「人間が書けていなさすぎるだろ」と主人公が言うのには少し引っかかったり。ラノベ=人間が書けていないとは思わないので…。
そういう意味で言ってるんじゃないのかもだけど、私はラノベも好きだから、そこだけちょっと悲しくなった。
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No.9:
(5pt)

最近読んだ小説で個人的に一番

もはや小説という範疇すらも超えているのではないかと思われる、細部に対するリアリティ。創作に携わる者、夢を諦めきれない者達に対する熱いエールであり賛歌だ。
三回ほど泣いてしまった………。傑作です。
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4062940345
No.8:
(5pt)

素晴らしい作品

とても気に入りました。以下、これから読む方の興を削がないように作品の細部を書くのは控えます。

エッセイなどで、小説を書くことがとても辛いことを綴った作家は少なくないと思います。

この作品は、何故、物語を作り、小説を書くのかを問いかけながら、苦しみ、悩む主人公が躓き、止まり、そしてまた前に進む姿を描いています。
「小説」を別の言葉に置き換えれば、小説家に限らず、多くの人達が同様に味わっている日常的な葛藤と共通するものがあるでしょう。

自信を喪失し、進むべき方向を見失っている少年の前に現れた輝く才能を持った美少女。
対立をしながらも協力を重ねて、一つの作品を作り上げ行く過程でぶつかる課題を一つ一つ乗り越えていくプロットやハッピーエンドは、まさに小説の「王道」をなぞっています。

登場人物の性格、背景、話の進行、表現、描写、会話、文章の配置・構造が作品の中で解説されるように読者に開示されているのもこの作品のテーマに良く合っています。作者が緻密な計算をして作り上げたことが窺えます。
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No.7:
(2pt)

『(ごく一部の)小説の神様』

個人的にいまいちでした。

もし、自分が小説家だったとしたら、まず付けないであろうタイトル(『小説の神様』)の大仰さに購読してみました(ちなみに『マンガの神様』『ライトノベルの神さま』というタイトルのライトノベルがあります)。
作者は鮎川哲也賞という有名な日本の推理小説新人賞出身の作家です。
しかし、本作には「推理」の要素はあまりないですね。
あえて分類するなら青春エンタメ小説なのでしょう。
『エロマンガ先生』(電撃文庫)とか近いですね。

あらすじは省略しますが、おもしろいおもしろくないという以前に、「物語序盤の展開」が、つい最近レビューしたばかりのライトノベル『弱キャラ友崎くん』(小学館ガガガ文庫)に似ていておどろきました。
正直、この作品をラストまで読んでいるのに「~~~に似ている」とレビューするのはどうかとは思いますが。
まあ、しょうがないですね。・・・・・・せめて『エロマンガ先生』に似てれば良いのに、どうして違うテーマの作品に似るかなぁ。

展開を大まかに述べておくと、
いろいろ煮詰まってしまった「根暗のぼっち男子高校生」が、「その道の大家」とでも呼ぶべき美人女子高校生に出会い、彼女の指南によって現況脱出を試みる・・・・・・という展開。
ただ、読み進めていくうちに徐々に違った傾向を示します。
執筆の時期的にも(作者が他社新人賞の下読みなどしていない限り)パクリなどではないでしょう。

それに、『友崎くん』のほうの主人公・友崎くんは、本当に友達が(リアルには)一人もいない「ぼっち」ですが、
こちらの主人公・千谷くんは、学校各所に広い人脈を持つしっかり者のハンサム眼鏡文芸部部長の親友と、文芸部に(作家であることを明かさず)寄稿した短編を読んですっかりファンになってしまった後輩女子高生と、腕を見込んで他社からわざわざ原稿を依頼にきているやり手女性編集者がそばにいて・・・・・・なんだこの優しい世界は。

まあ書いてて嫌になりますが、千谷くんは今や結構リアリティのある、いわゆる「ファッションぼっち」です。
本当はリア充のくせに、失敗(?)続きですっかり目が曇って、自分を四面楚歌の「ぼっち」と思い込んでしまうタイプですね。

個人的に「現実(リアル)だとこのタイプは何らかの精神的な疾患がありそうなヤバい奴なんだよな」と思いながら読み進み、
「でもライトな様子の小説(フィクション)だから、その辺はうまいこと誤魔化すんだろうな」と予想していたら、良い方向に裏切られたので、この部分、この意外性だけはこの作品の良点といえるでしょう。
あとはちょっと・・・・・・。

まず、主人公が現況、自分の作家としての生活がうまくいかないことへの怨念の描写が、非常に読みづらいと感じました。
暗い、鬱々としている、という感じではないです。
文章が高尚で難しいという意味でもありません。

読者が薄々「それは言い争っても仕方ないんじゃないの?」と思っていることが、作品のメインテーマだからでしょう。
別にそれで良い、そういうのもあって良い、とは思っていますが、ちょっとこれは読者を選びますね。
文章は達者なのですが、「結論の出ない議論」に、二度三度と同量の紙幅を費やすのは、読むのに力がいるように感じます。
自分は小説家ではないので、彼の置かれている状況がどれだけ同情すべきものなのか、理解できるものなのか、読者の共感性の匙に訴える部分がなかなか見えてきませんでした。
主人公の父親が実は売れない作家で、家族が苦労した話、主人公が小説を嫌う理由の一つにしても、わずか一部だけ「専業にこだわった」という説明がなされていて、
「・・・・・・じゃあ、そのせいやん?」としか言えない部分が多々あります。「作家は副業にしたらええやん」みたいな。

とにかく「え? 今のどういう意味?」と聞き返したいような部分が多く、それは「文章の稚拙さ」とは無縁です。むしろ状況描写の「取捨選択力に乏しい」という言い方が正しいでしょう。

あと、通例の描写の「ゆらぎ」も気になりました。「若い読者」にはあまり関心がないかもしれませんが。
主人公は容姿、技巧ともにスペックの高すぎるヒロインのことをして「人間が書けてなさすぎるだろ・・・・・・」と再三にわたって茶化すのですが、
自分が若いころ「人間が書けていない」とは、トリック重視の推理小説などで、登場人物がほとんど「駒」「Aさん」「Bさん」にしかすぎないような描写をされるのを指すのに使われていたように思います。
しかし、今は「完璧すぎる人間」「現実にはいそうにないキャラクター」に対して使うのですね。
自分は作者と年齢が近いのですが、「どうだったかな?」と懐かしく思いました。

そして、最大の問題は、やはり主人公の想起する「小説」というキーワードの狭さでしょうね。
これが一貫して現在の「ライトノベル」「書籍化ウェブ小説」などに限られていて、つまり、そういうチャラチャラしたシリーズ&メディアミックス流行モノに推されて、ライト文芸で頑張っている真摯な作者が、作風やクオリティの弾圧を受けているのだ!みたいな主張がびんびんに伝わってきました。
ほとんど、『僕の妹は漢字が読める』(HJ文庫)のように、これはライトノベル以外の文学がすべて死滅して「ライト文芸」が最も高尚な文学とされているディストピアを描いたSFなんじゃないかというぐらい、主人公の偏った主観は徹底してます。
もう、この世界には村上春樹とか宮部みゆきとか存在しない。コアな読者を獲得したチャラい人気作家しか生き残れないし、それだっていずれジリ貧だ!!

そうでしょうね(笑)。

その点はもう全面的に共感できます。
ちょっと改善が見込めないほど、状況は絶望的でしょう。
今はまだきっとバブルの途上でしょうね。
しかし、だからといって「売れている本が面白い本だ!」みたいな議論は不毛にすぎます。売れてなくともおもしろい本はいっぱいあるでしょうし、デビューできなかった投稿作の中に、既刊よりおもしろい作品もいくらでもあるでしょう。

そもそも、スティーヴン・キングやディーン・クーンツその他もろもろの海外作家の傑作エンターテイメントを一気したあと、日本で話題のエンタメ作品など読むと、
人知れず「ゴミか!」と叫んで、読んでる途中で本を壁に叩きつけてしまう人もいたはず。あるいは「パクリか!」みたいなこともしばしば。「バレんと思うて無茶苦茶やっとんな!」みたいな。

それに反してライトノベルが流行ってた90年代ころ、そこには「ああ、人知れず自由にやっとんな」という空気があって、
「どうせ海外に勝てんなら好きにやろうや」みたいな良さが確かにあったように思います。
(いや、なかったよ!と当時書いてた人から言われるかもしれないですが)

まあ、個人的意見ですが、この作者の年齢で、この文化的な歩に言及がほとんどないのは、やはり「ライトに」すぎるでしょう。
もう少し、実在の書名挙げながら、「作家モノ」を展開してほしいところでした。

(あと、「血」って、そんなに頻繁に吐くようなら病院にいったほうが良いよ。もしや、比喩じゃなかろうね?)
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4062940345
No.6:
(5pt)

小説の神様

売れない小説家の主人公が、売れっ子のヒロインと
小説を作っていく話。
書き出しは軽快で、ラノベのようにテンポのよい
会話で始まる。
小説は売れればいい、どんどん部数が減っていく苦悩など、
作者様本人のリアルな声を綴っているようで胸が熱くなりました。
次作も楽しみです。
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4062940345
No.5:
(5pt)

これは、『願い』の物語

これほど奇跡的に歯車の噛みあった物語にはもうしばらくお目にかかれないでしょう。超傑作です。
設定と筋書きだけ取り出せば、何の変哲もない青春小説です。それこそ、悪意に満ち溢れた世界から揶揄されるような物語です。
それでも、この物語には『願い』があります。ひとりの人間が苦しみ抜いた末に辿り着いた、一筋の光があります。
その切なる願いが、人の魂を揺さぶらないことがありましょうか。
物語好きのみとは言わず、すべての人にこの『願い』が届けばいい。ぜひ、未読の方は一読することをおすすめします。
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4062940345
No.4:
(5pt)

激しくて切なくて優しくて愛おしい。

著者の方がライトノベルを書かれる方ということで、
今作もそのような感じで読めるものかと思いきや、見くびっていました。
とても濃密で読み終わった後の満足感たるや。

私は作り手側ではないので、彼らの本当の苦しみや辛さは
本当のところではわからないのでしょうが、他人から評価されることの
喜び、苦しみはわかるつもりです。主人公に共感しすぎてグサッときたり(笑
「優しいお話を書きたい」と言ったとき、何だか暗闇に光が射した気がしました。
丹地陽子さんの表紙絵のおかげで、二人のやり取りしてる様子が
頭の中でイメージしやすかったです。

この作品を読んだことでますます小説が好きになりました。
そして、小説が好きだという方こそ読むべき作品だと思います。
発売4日で緊急重版ということで、もっともっと沢山の読書好きに
読まれることを切に願っております。
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4062940345
No.3:
(5pt)

小説は好きですか?

デビューはしたけれど、売り上げに伸び悩む主人公が、人気作家と組んで一緒に本を作るお話。
作家は、デビューしてからが長い。良く聞く言葉です。運よく賞を取って、作家になったからと言って順調に本を出していけるとは限りません。
ただ、好きだから書いているだけではどうしようもない世界。好きなことを仕事にするのは本当に大変です。周囲の評判と確実に減っていく売れ行きと出版部数。それが自分自身の作品の評価だと真っ向から突き付けられて、それでも自分を信じて書き続けていかなければならない。
好きだけでは生きていくことが出来ない現実。そんな主人公が出会った少女は、すべてを持ち、人生を謳歌しているように見えます。光があるから、陰がある。そんな陰でしかない自分を自覚して、ますます卑屈さとしがらみにとらわれてゆく。でも陰を持たない人間などいなくて、少女もまたなにかに囚われています。
たった一人でもいい、自分の書くお話を待っていてくれる人のため、喜んでくれる人のためにお話を書きたい。けれど売れなければそこで打ち切られ、その先の機会すら奪われる。その切なさとやるせなさが伝わってきます。
Twitterのまとめサイトに創作秘話が載せられていて、興味をもち購入しました。主人公が作中で叫んでいる言葉、主人公は最強でストレスのないお話以外読者は読みたがらないとか、よくまとめられているラノベ作家と編集者の呟きですよね。作者さんの実体験なども入ってるとかで、本当に辛い気持ちが伝わってきました。作家が面白いと思って書いて、出版社が出す本なのだから面白くない本なんてないはずなのに、それでも消えていく作家がたくさんいます。これは小説家だけにあてはまらない、クリエーターさんたちの叫びではないでしょうか。
好きだからではどうしょうもない、繊細で悲しい叫びが聞こえます。周りの声により傷ついて立ち止まっても、周りの声で勇気づけられて、また立ち上がり、立ち直っていく。これは再生の物語です。自分が生み出した作品、自分の子供であり分身を、自分だけは好きでいてあげなきゃ。どうして漫画でも他の何でもなく小説を選んだんだろうか。本屋で手にするたった一冊の本は、様々な人を経て私たちのもとへと届けられます。いろんな人たちの願いを持って手に取る本。本が大好きだから、願いによって生まれた物語を、これから先も読んでいきたいと思いました。
お話を作る人だけでなく、お話を読む人、本を好きなすべての人に読んでほしい本です。
小説の神様 (講談社タイガ)Amazon書評・レビュー:小説の神様 (講談社タイガ)より
4062940345
No.2:
(5pt)

心に伝わってくる!!

すごく感動しました!!
心に&#34;サァー&#34;っと、伝わってくるのが感じました!!
物語としての&#34;深さ&#34;と&#34;熱意&#34;が込められていて
泣きながら、読んでしまいました !
「なぜ、小説を書くのか?」
「なんのために、物語を書くのか?」
私は、&#34;1人の 読者&#34; にすぎませんが、この本を読んだこと
で、悩み 苦しみ もがきながら また、楽しみながら
物語は生まれてくるのだと感じました。
この本を読んで &#34;小説の力&#34; を感じてもらいたいと思います。
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4062940345
No.1:
(5pt)

小説を愛する人へ

面白かったです。
なぜプロとして小説を書くのか。
展開は極めて丁寧で心情描写は繊細なのに、そこには確かな熱さがある。
友情・努力・勝利が揃っていてもうジャンプ漫画と言っても差し支えないんじゃないかというくらい静かに燃える熱さと小説ならではの繊細さを持った作品。
小説が好きな人は、ぜひ。
小説の神様 (講談社タイガ)Amazon書評・レビュー:小説の神様 (講談社タイガ)より
4062940345

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