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誰か Somebody
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【この小説が収録されている参考書籍】
誰か Somebodyの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.45pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全85件 41~60 3/5ページ
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登場人物のキャラクターが自然で良かったです。 細かいところまで丁寧に書かれているからこそ、読んでいて楽しめると思いました。 ただ、ささいな事件から大きな事件に展開していくのかなと思って読んでいたら、最後まで山場が小さい感じでした。読み始めの頃に、自分で勝手に想像を膨らませた展開の方がドラマチックになってしまって。残りのページ数が少なくなると「あれ?あとこれだけしかないのに、これからドラマが始まって間に合うのかな?」と思いました。 ミステリーを読みたいときより、恋愛や結婚、裏切りなど人間模様を見つめたいときに読む事をお勧めします。 | ||||
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宮部氏は女性の心理描写が細やかで大変上手です。地味な自転車事故に絡む真相、その謎解きをややこしくする被害者の娘である姉妹それぞれの心理的葛藤。そんな謎のキー・パーソン達が全て女性で、そしてその謎解きに女のエゴと葛藤が絡むこの作品は、幾つか読んだ宮部作品の中でも出色のデキだったと思います。(一方で、宮部氏の男性の描き方は上手ではない。でも、今回は女性ばかりで登場人物を埋めた結果、その欠点が表面化しなかったような気がする。) そして、幸せに見えるようで実は幸福ゆえに人知れぬ苦悩を抱えた主人公。そんな彼の悩みなんて関係なく、彼にぶつけられる容赦のない「普通の人」の憎悪とコンプレックスの描き方も、僕は良く描けていたと思います。大抵の悲劇は(大多数の)人間がそうやって身勝手で、醜いから起きるのでしょう。その救いようの無さをきちんと描いたこの作品は、ちゃんと「なんで悲しい事件や謎が生まれてしまうのか」という究極の「謎解き」の答えにタッチできているのではないかと思う。 でも、そういった世界の醜さを大多数の読者は直視したくなかった。それが、この作品に付けられた星の渋さの理由ではないでしょうか。 | ||||
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主人公の杉村は、今多コンツェルンの会長の娘(妾の子)と結婚し、いわゆる逆玉に乗り、現在は、関連会社の編集者として働いています。 そんなとき、会長の私的な運転手を長年勤めていた梶田が自転車に轢かれて死亡するという事件がおきます。 杉村は、義父(会長)から、梶田の二人の娘が、世間の注目を集めて、事件の解決につなげるため父親についての本を出版したがっているので、協力するようにという命令を受けます。 結婚を間近に控えた姉は、子供の頃の恐怖体験の記憶から、父の過去を探ることに恐れを感じており、妹は、そんな姉の心配をよそに、突き進んでいきます。 梶田には何か後ろめたい過去があったのか、ひき逃げ犯は誰なのか? と、このあたりの謎が解かれて終わりかと思うと、最後にどんでん返しが待ってます。 途中でヒントが出てくるので、大体読めてはいましたが、確かにすっきり爽快、解決、解決、という結末ではないですね。 あいかわらず、人物描写が優れていて、特に主人公の杉村は、逆玉だ何だと、人々のねたみを受けながらも、そんなことには惑わされず、病弱な妻と、かわいい盛りの娘という家族を大切にしながら暮らしているという、なかなか魅力的な人物で、十分感情移入できると思います。 それなりに楽しめましたので星四つで。 | ||||
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私は、宮部みゆきで一番面白いのは「火車」だと思っています。 登場しない人物の周辺を丁寧に書く事でその人物を浮き上がらせる という実験的とも言える作りが新鮮に感じられたからです。 この作品は、あるコンツェルン会長の(休日のみの)専属ドライバーが 自転車事故で死ぬことをきっかけにして、日常の生活の中に思いも かけない形で潜んでいる毒が、表面化する様子を描いています。 いつもの宮部作品なら、あっちこっちで10人くらいは死んでいる と思われますが、この作品で死ぬのはたったの1人(2人と勘定する事も可)です。 私が勝手に思うに、作者は、殺す側と殺される側、という極端な対比をせずに、 人間の相克をどこまで鮮明に書けるか実験してみたのではないでしょうか。 事件の構図は平凡なもの(少女漫画にありそう)で、作中人物の中盤の行動により 最後の落ちが読めてしまった程ですが、私は、結構面白いと思いました。 | ||||
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宮部みゆき氏による現代ミステリー。 今多コンツェルンの会長の個人運転手である梶田が自転車ひき逃げ事故で死亡する。 その会長の娘の夫である杉村三郎が事件を追う。 杉村は会長令嬢の夫という特殊な(ある意味有利な)立場に置かれているが、 本事件ではそれを全くといっていいほど利用せずに行動する。 その素朴かつ誠実なキャラクターに、誰もが好感を抱くだろう。 また、特に後半で、杉村に対し「あなたのように恵まれた人にはわからない」といった類いの言葉が怒濤のように浴びせられる。 それにほとんど動じることのない杉村。 かつて母より受けた言葉はその比にならないと言うが、またその母の言葉の中にあった正しいと思われる言葉が、時折彼を支えてもいるのかもしれないという皮肉も感じる。 自転車によるひき逃げという特殊な設定だが、その特殊さに特に意味は無いかも知れない。 全体的に淡々として緩急は無いが、それはそれで楽しめる作品。 | ||||
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両親の暗部に汚濁された姉の性格、両親の病的な希望を背負わされて屈折した妹の性格。 罰から逃れた梶田信夫は、罪からは逃れなれなかった。 久しぶりに、宮部みゆきを堪能した。 凄い! 今さらながらであるが、このひと言に尽きる。 壮麗な構成、洗練された文章、卓越した描写、いずれもが最高級品だ。 深遠な内容でありながら身近な社会問題をおりまぜ、親しげに読者に語りかけてくる。 まさに、稀代のストーリーテラーであり真の小説家だ。 | ||||
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先月、日本に帰った時に買い込んだうちの一冊。 本を買った三省堂書店でのランキング1位。 さすが、宮部みゆき。のめり込んで読みました。 途中では何てことないエピソードだと思っていた話が、 後で、どんどんつながってきて、そういうこと!?って いう驚きにつながる。 一つの謎を解いて、そして、また次の謎。 でも、終わり方がちょっとすっきりしない。 まあ、ハッピーエンドっていくわけにはいかないだろうけど。 ちなみに、以前、中日新聞で連載されていた「名もなき毒」にも 主人公・杉村三郎は登場するらしい。 どうやら、三部作構想らしいけど、読んだほうがいいのかな。 ヨメは、新聞連載で読んだから、買わないって言ってるけど。 | ||||
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自転車にはねられ、梶田という男が死んだ。犯人は逃げ去る。 死んだ梶田は、大財閥・今多コンツェルンの会長の運転手だった。 梶田運転手の妻は既に他界していたが、32歳と22歳の娘たちが遺されてしまう。 結婚を目前にひかえた控えめな長女・聡美と、明るく奔放な次女・梨子。 姉妹は、大切な父の人生を、本として出版したいと言い出した。 それを知った今多会長は、姉妹が本を出すための相談相手として、 娘婿の杉村(35歳・この物語の主人公)を選ぶ。 杉村は、もともと小さな出版社で児童書の編集をしていたが、 今多会長の娘と結婚したことをきっかけに、コンツェルン内の 広報雑誌を作る部署に勤めるようになっていた。 そんな杉村が姉妹に会って話を聞くと、妹は早く本を出して 父をはねた犯人を見つけたいと意気込んでいるが、姉のほうは ある理由からためらっている。姉妹の2人の温度差が気になる杉村は・・・ 宮部みゆきの書き下ろしミステリーが文庫化、ということで 書店にずらーっと並んでおりました。一人一人の脇役までディテールを 丁寧に描きこむ宮部さんの書き方になじむまでは、かなり読んでいて 時間がかかるしエンジンがかからない感じでした。しかし 舅の偉大さに気後れもしつつ「負けないぞ!」と張り合う気持ちも ある杉村、とか、明るいお嬢様がそのまま人妻になったような その奥さん、とか、探偵役のキャラクターがだんだん立ってくると ミステリーとしていい感じになってきます。うるさいほどの細かい描写が 効いてくるわけです。じわーっと。しかし、ストーリー自体は 梶田のひき逃げ事故のこと、梶田の過去のこと、性格の違う 姉妹のすれ違い、など、盛りだくさんな割りには薄味かな。 どちらかというと、謎がとけてすっきり系、ではなくて、 色々やりきれないことがあったけれど人生は続く、という感じの ほろにが系エンディングです。 実際に犯罪を犯した人物よりイヤな登場人物が出てきた場面を読んで、 吉田修一の「悪人」を読んだときみたいに「本当の悪ってなんだろう」と しばし考え込んでしまいました。 | ||||
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ほのぼのとした主人公が追う自転車事故で亡くなった運転手の過去。 大きな事件が起きるわけではない。 ものすごい悪人が出てくるわけでもない。 けれども読み終わった後に人の弱さが引き起こす出来事に なんとも言えない後味の悪さを覚える。 人の弱さは「悪」よりよほど卑しく性質が悪い。 主人公が「いい人」だからこそ、「幸せ」だからこそ 巻き込まれた事件の卑しさに圧倒された。 | ||||
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財閥会長の運転手・梶田が、歩道で自転車に撥ねられて死亡した。 撥ねた人物は逃げてしまい不明。 犯人を見つけたい姉妹は、父の生涯を本にして犯人に名乗り出るよう仕向けたいと会長に相談をする。 会長は娘婿である杉村にその本の編集を依頼し、杉村は取材をはじめるが、長女は「父にはの知らない過去があるのであまり調べないで欲しい」と相談をもちかける。 死亡事故の謎と、梶尾の過去、そして姉妹の未来、について淡々と調査をして積み重ね解き明かされていく筋です。 『わたしたちはみんなそうじゃないか? 自分で知っているだけでは足りない。 だから、人は一人では生きていけない。 どうしようもないほどに、自分以外の誰かが必要なのだ。』 こんな分析をひとりでして、相手の話を聞き取ることに気を配ることができる魅力的な探偵役である杉村。 心やさしい中年男性が主人公なので悲劇的な出来事にかかわらず、のどやかな雰囲気のあるお話になっています。 | ||||
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宮部みゆきが、著書の言葉としてカバーに載せているが、曰く 人生に不足がない、あるいは、幸せな人生をおくっている探偵役というのは、ミステリーの世界ではなかなか珍しいような気がする―と、常々考えていました。 平凡でこれという取り得もなく、でも日常生活は安定していて、ほのぼのと幸せ。この作品はそういう人物が主人公です。 著者自身が述べているように、主人公自身にはこれといった特徴はなく、無害で平凡実直なだけが取り得というサラリーマンである。これがそもそもミステリーの主人公としては異色といえる。また、主人公がそういう感じであるため、ストーリーそのものも、決して劇的な展開はなく、ただただ、静かに進んでいく。かといって、安直なストーリー展開かといえばそうではない。話の内容自体は使い古されたものではあるが、見事な人物描写と、ありふれているからこそ、感情移入もしやすく、親しみやすい杉村三郎のキャラクターが、淡々と進んでいくストーリーを単調さから救ってくれている。宮部みゆきミステリーでは、だいたいにおいて、驚くような展開、結末が用意されているのが特徴であり、それがファンの心を捉えているが、この作品では良い意味でそれを見事に裏切ってくれる。 ただし、決してハッピーエンドでは終わらないので、どこかもやもやした気持ちを抱えてしまう事になるかもしれない。そんなところも、この作品の特徴といえば特徴であるともいえるが。 | ||||
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この本には日常を舞台にした推理小説だからこそ感じられる教訓がある。 決して描かれているのは「模倣犯」のような大事件ではない。だからこそ現実味があるとも言える。 読んでいて気持ちが揺さぶられるようなことはないが、題材が身近だからこそ感じられる教訓があると思う。その意味でこの本は良。 | ||||
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久しぶりに「宮部みゆき」の作品を読みました。 今多コンツェルン会長、その個人的運転手だった梶田の死、年が離れ性格が違う被害者の娘 二人、主人公である今多コンツェルン会長の娘婿 杉村三郎。 なかなか面白い設定です。 梶田の隠された過去、二人の娘の確執、婚約者...。 事件は解決するのですが、後味が悪く読後の爽快感はありませんが、宮部みゆきらしく、手抜きなく書き上げています。 人に警戒感を与えない杉村三郎は名探偵になれるのではないでしょうか? 杉村三郎を主人公にシリーズ化したら面白そうです。 | ||||
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宮部さんの作品を初めて読みました。すばらしい作品でした。杉村三郎に対して読者が抱く不可避の羨望、やっかみを登場人物に毒々しく発散させるところはうまいなあと感心しましたし、この作品に漂うほのぼのとした悲哀をしっかり定着させた感がありました。この上なく幸せに見える人でもそれなりに悩みはあるんだという当たり前のことがよくわかって人間に対していとおしい気持ちになりました。読んで本当によかったと思います。 | ||||
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文体やら演出やらが庶民的。 切れ味鋭い現代的なサスペンス、というのではないし、硬質な現代文学、というのでもない。しかし良いも悪いもこれは宮部みゆきさんの持ち味なのだろう。 自転車の危険な運転ぶりへの問題提起には共感。 人間を単線的ではなく複眼的に描いているところにも好感を持った。 作品名の「誰か」はいいのだが、Somebodyと続けるセンスには疑問符。 | ||||
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『名もなき毒』が面白かったので、こちらも読んでみました。 一気に読んでしまった、という点では同じですが、他の方も書かれていた通り、最後がちょっと… 「えっ、そんな終わり方なの?」 「そんなひどいこと言われて黙ってるの?」 と主人公の杉村さんと周囲の人物たちに、ちょっとイライラしてしまいました。 『名もなき毒』はどちらかと言えばスッキリ・ハッピーな終わり方で、同じようなエンディングを期待していただけにちょっと残念でした。 | ||||
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私の場合間違えてこの作品の続編、詰まり「名もなき毒」から入ってしまったので皆さんの受ける印象とは多少異なる印象を受けたかも知れないので、このレビューを読む時はその点を留意して読んでください。尚、私自身「宮部みゆき」と言う人間のファンなので、その点もまた頭に残した上で読んで頂けると有り難い。 ・文体 文体はかなり読み易いと思います、多少本を読む習慣の有る人間ならかなりすらすらと読み進められる部類ではないでしょうか。会話のテンポや表現も非常に上手く描けており、流石ベテランは違うな、といったところでしょうか。 ・登場人物 そこまで引き立っている人物は居ません、と言うか、そこまで突飛な人間の出てくるお話では有りませんからね。只、「普通の人間」としての味はじわじわと出ています。言葉では表現出来かねますが、読んでいて普通に感情移入が出来ます、やはりこの辺りでも作者の力量が伺えます。 ・物語 一見平凡ですが、その中に様々な人生の有り様が描かれています。逆タマに乗った一編集者、温室で育ったお嬢様、有名大学に通い遠距離恋愛に悩むアルバイトの女の子、小さい会社から財閥へと駆け上った老人、過去に重たい物を抱え賢明に家族を支えた運転手、過去の悲劇を想い未来へ歩むのを怖がる結婚前の女性、勝気で先ずは考えるよりも行動と良くも悪くもそうして生きてきた女の子。それぞれの人生に含む内容が有り、これだけの人々の人生を描いてるにも関らず内容薄だと感じさせない。絶賛!と言う訳では有りませんが、そこまで難解な作品でもないし、一度読んでおいても損は無い作品だと私は思います。 | ||||
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この本の中で一番興味深いのは『自転車による』ひき逃げ事故を扱った点だと思う。 確かに新幹線も真っ青の猛スピードで他人のすぐ横を走り去ったり、 人ごみの細い隙間を、曲芸のようにくねくねとくぐり抜けるのはさぞ爽快な気分だろう。 やられた方はたまったものではないが。 この本を読んだ時に「そう、それは私もずっと危惧していたことだよ」と飛びついたのは私だけではないだろう、きっと。 | ||||
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久しぶりに宮部みゆきを読んだ。 『義父の表情は語っていた。法に触れこそしないものの、私はもっともっと凄いことを何度もやってきたよ。裏切りも企みも、駆け引きも暗闘も、収奪も秘匿も。 人間はそういうものだ。必要に迫られれば何でもやるんだ。義父はひとかけらの文飾もなく、私にそう言っているのだ。問題は、それを背負っていかれるかどうかだけだ、と。』 こういう、人生というものの隠された断片に触れる文章にドキッとさせられる。 | ||||
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「理由」「火車」のような宮部さんしか知らなかったけどこの作品もとってもいいです。主人公やその奥さんが人間的にとっても魅力的でこの作品の世界にどっぷりはまってしまいました。ミステリーではあるけれど、どこかほのぼのしていて内容の深さはさすがに宮部さんだと思います!! | ||||
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