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星宿る虫
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星宿る虫の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.14pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全7件 1~7 1/1ページ
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パンデミック・サスペンスと見せ掛けて、実は人間の愛や倫理観を問い掛けた作品。新興宗教団体(実は売春組織)での集団放火自殺をキッカケとして、新しいウイルス(HIVを基に発想したらしい)を起源とする人間の身体を内側から食い潰す「虫」が発見され、以下、そのウイルス及び「虫」の謎を追求して行くという展開。物語の主人公は登場人物の中で唯一「俺」と称される大学生の悟と、その伯母で謎の追求の中心人物となる昆虫学者の玲子("虫めずる姫"を想わせる)。「虫」に関するかなりドギツイ描写もあるので、「虫」嫌いの方は注意しておくのが良いと思う。 作者が(分子)生物学や遺伝子工学について熱心に事前勉強した事は良く伝わって来たが、物語展開の方は非常に心許ない。読んでいて、スリルもサスペンスも全く感じなかった。結末もお粗末で、作者にとって、これ程都合の良いウイルスを創造しても平気なのかという作者自身の倫理観への問い掛けをしたくなった。特に、一般的に感染者が増大するに伴い、感染しない特異体質の者が現れ(本作でも実際に現れる)、その特異体質の者を調べればウイルスの特徴が分かる筈なのに、一向にそこに収斂しない展開にはウンザリした。作者の意匠としては、人間は「虫」ケラよりも生きる価値があるのか否かの警鐘をしたかったのだと思うが、如何せん、読む者には良く伝わって来ない。 その意匠の上で、人間の愛や倫理観の尊さを訴えている点に本作の救いがあると思う。沢山の人物を登場させている割にはキャラ設定の曖昧さ等で活きていないし、上述した通り、物語構成の拙さはあるものの、これらを改善すれば、今後期待出来る作家ではないかという印象を受けた。 | ||||
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虫の正体がわかる後半は引き込まれた。 非常に面白いアイデアだと思う。 エンディングの後味は悪いが、それも構わない。 ただ、それ以外の部分が、なんとも。 部活のくだりや主人公の恋人のくだりは読み飛ばしてしまいました。 | ||||
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日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作という観点から入り込めば、ちょっと違和感を感じます。広義な意味ではミステリーなのでしょうが、あくまでそこに大きく期待して読み進めていくと肩透かしにあいます。パンデミックを扱ったホラー、パニック小説という訳でもないようです。 但し、未知の虫に迫る研究者の考察や検証、及び科学的・医学的な根拠の説明も素晴らしく、突拍子もない話と思えないぐらいリアリティも持たせています。しかし、その詳細過ぎる記述のせいか読まされ感があり、虫による宗教団体の壊滅や虫が引き起こす人の変貌ぶりなどセンセーショナルな事件の割には、エンターテインメントとして今一つ盛り上がりに欠ける気がしました。 一方、主人公の研究者のキャラは確立しています。また割とグロテスクな表現も多く、虫が苦手な方にはおすすめ出来ません。文章が上手いだけに、読めば気持ち悪い情景が思い浮かんでしまうこともあります。 | ||||
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日本ミステリ文学大賞の新人賞作品、という事で購入しましたが、個人的には感情移入出来ませんでした。 ミステリ大賞の新人賞作品なのですから、期待してそれを手にする人が想像するモノとは、カテゴリーが違うような気がします。 求められるのは、プロ作家のようなこなれた文章で80点を目指すものでは無く、事実上は、まだ素人である新人らしい「荒削りでも野心に満ちて100点を目指した」目の覚めるような文体だと思います。 近年は大賞受賞作品の質の低下が見られます。選考する出版社の方も考慮される事を望みます。 | ||||
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日本ミステリ文学大賞の新人賞作品です。 が・・・読み進めていくと、厳密にはミステリーではありません。 SFです。 だからこの作品を気に入るか?という判断は読者の好み次第です。 個人的には微妙です。 出だしが面白かっただけに・・・。 | ||||
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幻想的な表紙と日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作という触れ込みに惹かれ手に取りました。新人賞ということで粗削りな印象は受けましたが中身はベテラン作家の作品でもなかなかお目にかかれないほどの骨太さ。特に終盤からの加速ぶりが光る作品です。 タイトルにもある通り、本作のメインテーマは「虫」。もっと言えば寄生虫、新種の寄生虫に翻弄される登場人物たちを高い密度で描ききった小説です。綺麗な表紙に反してかなりエグい描写が序盤からありますので、虫ものがダメな人は本当に避けた方がいいでしょう。想像したくないのに頭に映像が浮かぶレベルです。 「讃美歌のような音を発する」「寄生した人間の行動を少し操れる」「性行為などで感染する」などの特徴から別作者ではありますが「天使の囀り」を思い出しました。「こんな寄生虫がいてもおかしくない」と読み手に思わせるどちらかといえばリアル寄りだった「天使の囀り」に比べ、本作の寄生虫はSF色が濃厚。寄生虫のチートさがものすごいです。個人的には現実と乖離しすぎてちょっとやりすぎな感じもありましたがラストの締め方がホラーじみてて好きだったのでまあいいかな。 ストーリーの大筋としては文句なしなのですが、惜しむらしくは人物造形と文章がとにかく合わなかったこと。☆を減らしてるのはその分です。特に登場人物。どうしてそういうことするかな!?と全員並べて端から横っ面をひっ叩きたくなるような人たちばかりで感情移入は無理でした。私は登場人物に腹を立てながら読みましたが、面白ければキャラの言動や感情の機微なんてどうでもいいという人は気にならないでしょう。 巻末にある参考文献の羅列を見なくてもわかるほど作者は本作を執筆するにあたって綿密な調査をされています。これほどSF色が強く出ながらもどこか身近なものとして捉えることができたのはその辺の説得力があったからかな。ミステリー+ホラー、そしてグロと虫が平気な方におすすめ。 | ||||
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主人公の大学生と法医昆虫学者であるその叔母の、二人の視点で物語が展開される。 内容紹介からは奇怪な虫をアクセントにしたパンデミック系の作品と予想したが、 壮大なスケールは想像を超えており、精緻なシナリオは並の作品とは一線を画す。 幼馴染との恋愛など日常を描きつつ伏線を張り巡らせる主人公側と、 事件現場を中心に専門的な考察が多くなる叔母側との視点の使い分けが上手く、 話にメリハリを生んでいる。 謎の生命体「グルウ」の正体に迫ることが物語の軸となるが、その過程では医科学的見地からの 説明が論理的に行われ、その存在に格別の説得力を持たせている点に凄みを感じる。 終盤の展開は圧巻で、悲劇的な出来事からグルウ治療の禁忌の手段まで、感情を揺さぶる描写が続く。 そしてグルウの正体にもう一歩踏み込んだ結末は突飛なようで、 グルウの来歴を思えばこれしかないと思えるほど納得性の高いものである。 伏線の未回収や消化不良感も皆無でミステリーとしての質の高さもさることながら、 ジャンルの枠を超えたダイナミズムを持つ傑作だと思う。 | ||||
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