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(短編集)
くじ
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くじの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.63pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全30件 21~30 2/2ページ
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本書は、1964年10月に早川書房から<異色作家短編集>として刊行され、1976年6月に改訂新版、2006年1月に新装版として刊行されたものを文庫化したものです。 表題作の「くじ」 話の展開は奇妙なほど平凡なのだが、その平凡さを飽きさせない職人芸とも言える語りのうまさ。そして恐怖が結末の数行に凝縮され、読み終わった後に本当の恐怖を実感することになる。 その他いくつか感想をご紹介します。 「悪女」 始めから終わりまで不穏な緊張感が溢れる。お勧めです。 「対話」 問題はおおむね疎外する側にあるのだが。 「人形と腹話術師」 唐突といえるほどの結論なのだが不思議と受け入れられる。 「背信者」 最後の残酷さと静謐さの対比が秀逸。 | ||||
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異色作家短編集12シャーリイ・ジャクスン『くじ』は、不快な気分の時を思い起こさせるちょっと厭な作品集である。客観的には些細なことが、受けての精神状態によっては非常に辛い現実に映るというものだ。気持ちがささくれだってくる様が、苛立たしくさえある。他者と自己、都市と地方といった相容れない二者の感情的な隔たりを、ネガティヴな側にスポットを当てて描いているようだ。 『丘の屋敷』のような幽霊譚ではないが、寒々しい居心地の悪さはホラーと同質のものかもしれない。 マイベスト3は以下のとおり。 ■おふくろの味 ディヴィッドが食事に招待したのは、同じアパートのマーシャ。マーシャは訪ねてきた自分の上司に、ディヴィッドの居心地の良い部屋を、我が家のように装い始めて ・・・ 登場人物それぞれの性根が、なんとも不愉快極まりない作品。 ■チャールズ 幼稚園に通い始めた息子のローリーは、ひどい悪さをするチャールズの話しを、毎日するようになる。堪りかねたわたしは、PTAの会合で、チャールズの母親を見つけて、問い詰めてやろうと決めたのだが ・・・ 本短編集は、ぼんやり終わってしまう作品が多いのだが、本作品は集オチのつけ方がピカ一だ。 ■くじ 村人たちが集まり始めたのは、くじをひくためだ。くじに当たったものは、石を持った村人たちに追われることになる ・・・ 他のアンソロジーでもお目にかかるシャーリイ・ジャクスンの代表作だ。 | ||||
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異色作家短編集12シャーリイ・ジャクスン『くじ』は、不快な気分の時を思い起こさせるちょっと厭な作品集である。客観的には些細なことが、受けての精神状態によっては非常に辛い現実に映るというものだ。気持ちがささくれだってくる様が、苛立たしくさえある。他者と自己、都市と地方といった相容れない二者の感情的な隔たりを、ネガティヴな側にスポットを当てて描いているようだ。 『丘の屋敷』のような幽霊譚ではないが、寒々しい居心地の悪さはホラーと同質のものかもしれない。 マイベスト3は以下のとおり。 ■おふくろの味 ディヴィッドが食事に招待したのは、同じアパートのマーシャ。マーシャは訪ねてきた自分の上司に、ディヴィッドの居心地の良い部屋を、我が家のように装い始めて ・・・ 登場人物それぞれの性根が、なんとも不愉快極まりない作品。 ■チャールズ 幼稚園に通い始めた息子のローリーは、ひどい悪さをするチャールズの話しを、毎日するようになる。堪りかねたわたしは、PTAの会合で、チャールズの母親を見つけて、問い詰めてやろうと決めたのだが ・・・ 本短編集は、ぼんやり終わってしまう作品が多いのだが、本作品は集オチのつけ方がピカ一だ。 ■くじ 村人たちが集まり始めたのは、くじをひくためだ。くじに当たったものは、石を持った村人たちに追われることになる ・・・ 他のアンソロジーでもお目にかかるシャーリイ・ジャクスンの代表作だ。 | ||||
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著者はミステリ作家でも人間が各各々他人に与える恐怖に重点を置いて作品を書かれている方だと感じます。 22編の短編はすべてあっという間に読んでしまえる様な短めの物から長めの物迄様々です。 作品1つ1つにあぁこの人と関わるとやっかいな事になりそう、、。とか 不気味、不安、災いが起こる気にさせる人物。悪魔的な存在の人間が必ず出て来ます。 21編迄は嫌〜な感じのタイプの人物が出てくるわけですが ラストの表題になった くじ これをラストに持って来た事で私は恐怖が増しました。 村で定期的に行われるくじ引き、、何のくじ引きをしているのか読んで行くと解ります。 正しこの作品を読んで気持ちが悪いのが何でこの恐ろしいくじ引きを この村の人間がやっているかが書かれていないこと! それを規則正しく当たり前の様にやっているという人間達にぞっとします。 個人的に好きな作家様ではありますがやはり 下記レビュアーkellyさんと一緒で 私もすごく憂鬱になりました。読んでて辛い!気持ちが暗くなる事しばしば。 途中で疲れて読書を中断する事しばしばです。 その為3とさせていただきました。 | ||||
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繊細で、才能のある作家だと思います。 なんでもないような日常生活から、偽善や欺瞞、人種差別など、様々な人間の醜い部分をえぐり出しています。 アメリカでの出版が戦後間もない年ということを考えると、多感な作家がこういう作品を生み出すことは理解ができます。 しかし、戦後まもない時代ではなくではなく現代を生きる私にとっては、読むと非常に憂鬱になる本です。 不健康で居心地の悪い話ばかりです。 私自身、異色作家短篇集を数冊読んでこの本にたどり着いたのですが、これは買わなければよかったと思いました。 この作家がお好きな人にはよいでしょうが、一般的に人に薦めたくなる本ではありません。 | ||||
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幻想・モダンホラーの色合いの濃い短編集です。 表題「くじ」はちょっと違いますが、 収録される多くの作品が、都会人の孤独や孤立感をテーマにしたもの。 今読むと、ちょっと古いかな?というアイデアのものもありますが いまは誰もが孤独感を強めている時代と思いますので、こうした感性は当時(1940年代)より現代こそ理解されそうな気がします。 彼女がいまの生まれなら、流行作家になってたかも。 文庫化を強く望みます。 | ||||
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本書ではあちこちにジェームズ・ハリスという悪魔(?)が出没します。しかし、悪魔をめぐる連作ではありません。「異色」としか言いようのない短編ばかり収められた短編集です。 私が得た印象は「絵」です。読者はページをめくって一枚の絵を見つけます。じっと見ているとその情景からは少しの過去と少しの未来が読み取れます。結婚の約束をした恋人が現れないために心配している女性、食事に行ったレストランで見つけた大げんかをしているカップル(腹話術師(とその人形)と恋人の女性)、息子が通う幼稚園での困ったちゃん、お隣に越してきた迷惑な一家どれもこの世のどこにでもある情景ですが、どこにもない違和感が仕込まれています。 私が一番気に入ったのは『麻服の午後』です。近所の一家を午後のお茶に招待した家の少女ハリエットは、お客をもてなすためにピアノ演奏を命令されて断ります。次に自作の詩の朗読をこれも断ると、詩を書いた紙を無理矢理取り出され(それも気にくわない招待客の男の子の手で)皆の前で読まれてしまいます。それに対してハリエットが行った「復讐」は ラストの『くじ』も異色ですが、本書でのそれまでの作品とは違って起承転結があります。ある村で一年に一回のくじ引きが行われます。そのくじの目的は読んでいるうちに大体予想はつきますが、それでもラストでこちらの心が震えます。本作の日本初出は1964年のSFマガジンですが、ちっともSFではありません。心して(覚悟して)読んでください。 | ||||
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この本には怪物も幽霊も出来てません。 だけど恐い。 それは恐怖の対象が、とても身近な人間や何気ない日常生活の中に潜んでいるからです。 やはり表題作の「くじ」が有名なのでしょうが、私は「決闘裁判」が一番恐かったです。 人間の笑顔の裏には何が潜んでいるのか…。 ジャクスンはさりげない人間の残酷さや狂気の描き方がすばらしいと思います。 | ||||
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収録作「チャールズ」は傑作です。 同じ深町眞理子さん訳の『野蛮人との生活』(ハヤカワ文庫)を読むと、このモデルがジャクスンの実の息子だったことがわかります。 子供を育てていると、ある瞬間に突然、コミュニケーションがまったく取れないエイリアンを前にしているような気がしてでゾクっとすることがありますが、その感じを的確に表現すると「チャールズ」に到達するのだと思います。 表題作「くじ」とともに傑作なので、興味のある方はぜひお読みください。 | ||||
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シャーリィ・ジャクスンには『野蛮人との生活』という爆笑子育て日記がありますが、そのなかで実の息子の幼稚園でのエピソードが紹介されています。本書に収録されている「チャールズ」は、子育てしたことがある人なら誰しも感じるであろう「子供にゾクっとさせられる瞬間」を描いたホラーですが、この話が先の実話をもとにしていたことがわかります。ある瞬間、子供の考えていることがまったくつかめないと感じる私は、子供には、cultivateされていない野蛮人というより、コミュニケーションのとれない異星人という印象を持ちます。 この「チャールズ」と表題作「くじ」は特にお勧めです。本書は深町眞理子氏の翻訳で、日本語にまったく支えることのない名訳です。 「モダンホラー先駆者」、「最後の魔女」の異名を持つジャクソンのホラーを堪能してください。 | ||||
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