■スポンサードリンク


ドルフィン・ソングを救え!



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
【この小説が収録されている参考書籍】
ドルフィン・ソングを救え!

ドルフィン・ソングを救え!の評価: 3.58/5点 レビュー 40件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.58pt


■スポンサードリンク


Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全40件 21~40 2/2ページ
<<12
No.20:
(4pt)

続編あり

あのハチャメチャとも云えたバブル時代の雰囲気を、様々なカルチャーを織り交ぜながら活写して、読ませた。 続編の『ラブ・アンド・ドリームふたたび』(234頁)も楽しみ。
ドルフィン・ソングを救え!Amazon書評・レビュー:ドルフィン・ソングを救え!より
4838728131
No.19:
(3pt)

面白さがよくわからないが…

小説なのかエッセイなのか、よくわからなくて読んでいて落ちつかなかった。 私も同じ時代の空気を吸ったし、ロッキングオン誌も読んでいたが、ぜんぜん懐かしい気持ちにもならなかった…… それは、私がフリッパーズギターのファンでなかったせい?当時の小山田圭吾より、現在のコーネリアスの方に好感をもってるせいだろうか? おそらく、フリッパーズギターの再結成が今後ありえなさそうだし、実際の解散の理由も小説になりそうだったから書けたお話のような気がする……
ドルフィン・ソングを救え!Amazon書評・レビュー:ドルフィン・ソングを救え!より
4838728131
No.18:
(3pt)

80年代後期サブカルもの好き狂喜及び噴飯ものですな

バブル景気は幼少期に体感した程度、フリッパーズギターは掠りもせず、中学の時にカローラのコマソンでオザケンを知り、カヒミ・カリィの当時の彼氏という存在でコーネリアス、小山田圭吾を知ってから、フリッパーズギターを聴いた90年代後期の十代としては読みづらさと、フリッパーズギター好きなのはわかったから作者落ち着けと言いたくなる箇所は多々あれど、80年代流行りのスポットや、ブリットポップバブル前夜のロキノンを知ることができ、主人公のトリコがサブカル知識と2019年までの流行り廃れを把握してることを駆使して音楽ライターとしてのしあがっていくくだりや、傲慢さと底意地の悪さで壁を作るドルフィン・ソングの二人の心をじわじわと氷解させ、三人で海に行くシーンの甘酸っぱさは読んでいてグイグイ惹かれるものの、後半の、ドルフィン・ソングの片割れとのセックスシーンの生臭さ、タイムパラドックス完全無視な展開、そして、駆け足気味かつ消化不良なラストに胃がムカムカしてきたので星3つ。
続編があるということだが、正直、フリッパーズギターにあまり触れた経験のない私ですら、後半のエロ込みドリーム小説な展開に、「汚い手でフリッパーズギターに触るな!」と言いかけたので、続編で俎上の鯉状態になるであろう、某病んだ魂を持つミュージシャンがどう描かれるのかと思うとはらはらする反面、90年代グランジブームをどう描き、トリコがどうサバイブしていくのか気になるのが悔しいし、一度は手に取るだろう。
ドルフィン・ソングを救え!Amazon書評・レビュー:ドルフィン・ソングを救え!より
4838728131
No.17:
(5pt)

フリッパーズの本人らは読んだのかなあ

トリコより5歳若いが、フリッパーズに高校生の時かなりハマった。 文中に散らばるフリッパーズの歌詞は、どれも懐かしく鮮明に記憶にある。 途中からついに、ゴーイングゼロを聴きながら読み出した。 ウルっときたり、笑えたり。 生き生きとした、今時のいい回しが面白かった。 昔の東京はこうだったのか、と元地方住民から言うと、とても興味深いシーンが沢山ある。 レビューを見ると、後半のピンクシーンが不評だったが、私からすると、「マジでこんな人だったのかも笑」とウケた。 最後、よくわからなかったが、次のシリーズで謎が解けるのかも。
ドルフィン・ソングを救え!Amazon書評・レビュー:ドルフィン・ソングを救え!より
4838728131
No.16:
(4pt)

平坦な戦場を生き延びる青春はいちどだけ

林真理子さんが帯文で以下のコメントを寄せています。
「めちゃくちゃの面白さ。
私たちの80年代をこんなにもてあそんでいいのか!この天才野郎!」

いや、、主人公がタイムスリップするのは1989年だけど、主題になるのは80年代じゃなくて90年代だから。カバーも岡崎京子「リバーズエッジ」だし。そこけっこう重要、というかこの小説の場合は根幹にかかわることだから。。
というツッコミを入れたくなる、樋口毅宏の小説です。

タイムスリップをした主人公はフリッパーズギターをモデルとする王子様とのシンデレラストーリーを生き直します。読んでいて赤面してしまうような展開も多いのですが、甘酸っぱい気持ちになるというよりは、「(小説を読んでいる我々は)過去を変えられない」という現実を突きつけられます。

どんなに墓を荒らしても、死んだ時間は二度とよみがえらない。フリッパーズギターの二人が解散後に当時のことを一切語らないのは正解なのかも。とこの小説を読んで思いました。

「僕らは古い墓を暴く夜の間に
手に触れてすぐ崩れて消えてゆく
ただいつまでもつづく」
(青春はいちどだけ)
ドルフィン・ソングを救え!Amazon書評・レビュー:ドルフィン・ソングを救え!より
4838728131
No.15:
(5pt)

サンプリングミュージシャンをサンプリングで描く

「非常に才能がある」「人気がある」作家として作者の名前を聞いていました。ただ、一生この人の小説は読まないかも、とも思っていました。この作家の名前を聞いたのは「自著を図書館に置かないで欲しい」という強い要望を提示した作家がいるというニュースで、だったからです。
 セミプロの作家として仕事をした頃、わたしは何人かのプロの書評家や作家と知り合いになりました。そして書評家は、かなりの割合で、「良い作品だ」と思ったからだけでなく「頼まれたから」という理由で小説を誉めることがあることを知りました。あるいは、作品ではなく性格や容姿などを気にいった作家を売ろうと情報操作をするようなつもりで書評を書く書評家までいるのです。実際に、プロの書評家の多くがすごく誉めている作品を読んでみると全く面白くなくて、自分に見る目がないのかと思っていたら、やっぱり売れなかったのか消えてしまった例などは、けっこうあります。
 つまり、一般的に流布している書評の中にはけっこうステマが混ざっているのです。
 ずいぶん痛い目に遭ってから、わたしは、一度図書館で(マンガはマンガ喫茶で)読んでから、良いと思った作家の作品だけを買うようになりました。ですから、図書館に自著を置かない事を希望している作家の作品とは一生縁がないはずだったのです。
 が、今回vineプログラムでこの本を読める事になりました。けっこうドキドキしました。

 最初は、「日本で、理由はどうあれ、人を一人しか殺してない人間が、死刑になるわけがないだろう」と思ったり、「てにをはがおかしい文章がかなりあるな」と思って、読み通せるだろうか不安になったのですが。
 ある程度読み進めると、面白くて、途中でやめられなくなりました。
 インタビュー中に話す言葉を注意深く準備していたはずの主人公が、不用意にその時代以降のミュージシャンの名前を羅列してしまうといったような矛盾もかなりあったのですが。

 なにもかもうまくいっていない女性が主人公です。そういった場合は、男性作家が書く時には、たいてい30代中頃のヒロインを設定するものですが、このお話の主人公は45才です。
 おそらくフリッパーズ・ギターをモデルにしたと思われるバンド、ドルフィン・ソングの大フアン。しかし、二人組ミュージシャンのドルフィン・ソングは、一方が一方を殺すことで、1991年に崩壊しています。
 主人公は、自殺を試みて意識を失い、自分が15才だった頃、1989年(平成元年)の世界へと、現在の姿のまま戻ってしまう。

 他に似た文章を書く作家が見当たらないくらい独特の文章です。しかし全く読みにくくありません。
 俗語をどんどん持ち込んだり、怖がらずに生存している人の名前をばんばん使ったり(ドルフィン・ソングの前座として、オリジナル・ラブの名前が出て来たりするんですよ)、良く知られている歌の歌詞をサンプリングして次々文中に突っ込んでいたり、すごく冒険しています。そのせいで、ストーリーを追いかける事だけでなく、文章を読むという行動自体の快楽を感じることができました。
 1989年頃を、大量の音楽をきいてすごしたという人、特に東京でその時代を送った人におすすめします。
 林真理子の帯は、つきあいで書かれた適当なものではなく、ものすごく的確です。
ドルフィン・ソングを救え!Amazon書評・レビュー:ドルフィン・ソングを救え!より
4838728131
No.14:
(4pt)

この小説はタイムマシーンです。キラキラしていたあの時代に舞い戻った奇妙な感覚が味わえます。

楽しいお話ですね。本屋でチラ見するつもりが一気に読んでしまいました。

あの時代にフリッパースギターに夢中になった人は多分、全員ノックアウト☆されるでしょう。もう、懐かしさ全開!です。もし自分があの輝いていた時代に戻ることができたら・・・というワクワクする妄想を完璧に体言した小説と言っていいでしょう。もちろんフリッパーズネタだけではありません。ロッキンオン編集部を初めとする音楽ネタはもちろん、当時起きた事件や当時の渋谷の風景など懐かしいネタが随所に散りばめられていて、とにかく知っている人にはたまらない小説だと思いました。

ただ、トリコが昏睡から目覚めてからの展開が個人的にはダメでした。夢二とトリコのセ〇クス描写をあそこまで生生しくする必要があったのでしょうか?。引っ越すのはまだわかりますが、砂浜のシーンってなんか無理やりっぽくてシラけます。その後のドルフィンソングの顛末もあんまりだし、トリコのその後もそんなんでいいの?と思います。トリコが昏睡するまでの展開は本当に面白くて夢中になって読まされましたから、だからこそ後半の流れには違和感しか感じませんでした。

若い年代の方がこの小説を読んで面白く感じるかどうかは分かりません。基本、当時のネタ満載ですから、それを面白く感じられなければ退屈なだけのような気はします。この辺りは未知の世界です。書き手も当時を知っている前提で書き込んでいますから。出来ればどこかの高校生辺りに、文章量も多くないですしサラッと読んでもらって感想が聞いてみたいものです。

読了後、これは是非映画化してほしいと心の底から思いました。今はコンピューターグラフィック技術も進んでいるだろうから、当時の渋谷の街並みとかタワーレコード渋谷店とか最小のセットで映像化できるんじゃないでしょうか。懐かしさだけではなく資料的な意味合いを持たせる事もできます。後半の展開は新たに脚本家に考えてもらって(笑)。もちろんサウンドトラックは全編フリッパーズギターです。

・・・でも、これじゃ興行的に成功しそうもないですね(笑)。
ドルフィン・ソングを救え!Amazon書評・レビュー:ドルフィン・ソングを救え!より
4838728131
No.13:
(5pt)

登場人物が生き生きしていている

時代設定、話の展開が秀逸でおもしろいです。 登場人物が生き生きしていて、言葉の端々から実際の思いが混沌としている様子が伝わってきます。 有名人が実名で出てくるところも感情移入しやすいです。 読後には不思議な既視感を味わえます。
ドルフィン・ソングを救え!Amazon書評・レビュー:ドルフィン・ソングを救え!より
4838728131
No.12:
(3pt)

この展開でいいのだろうか・・・

40代後半で2019年から80年代にタイムスリップし 十代後半だった自分に遭遇しても特に不具合も起きず お金で何でも解決しようとするのだが そんなにお金に裕福な環境にあるようにも見えない。 結局過去に戻ったまま主人公は生き続ける。 2019年の主人公はどうなったのだろうか。 あまりに疑問が多すぎて読後感はもやもやする。 時間つぶしにさらっと読む分にはいいのかもしれない。
ドルフィン・ソングを救え!Amazon書評・レビュー:ドルフィン・ソングを救え!より
4838728131
No.11:
(5pt)

突然急展開するので、読んでいて驚きの連続

2019年、45歳のフリーターの前島トリコは睡眠薬を一瓶飲み、目覚めてみるとそこは1989年、
30年前のバブル経済の頃にタイムスリップしていて
そこで憧れのミュージシャン「ドルフィン・ソング」の事件を事前に止めようと動くという物語。

当時の実際の出来事と、フィクションの小説が合わさって進行していくが、
とにかくすごいテンポとリズムでどんどん一気に読み進めてしまう。
読んでいて思わず「えっ!」と言ってしまうほどの突然の予想外の急展開がたびたび出てくるが、
こういうふうに急展開する作品(著者)は過去になかっただろう。
会う人物見る有名人の30年後を知ってるので、思わず言ってしまう箇所も笑える。

抜群に面白く、今までこの著者の他本を読んだことがなかった人に、他も読んでみようと思わせる本。
ドルフィン・ソングを救え!Amazon書評・レビュー:ドルフィン・ソングを救え!より
4838728131
No.10:
(4pt)

フィクションとノンフィクションが奇妙に調和された1冊

初読みの作家さんです。 主人公は45歳、独身のフリーター、トリコ 人生に絶望して睡眠薬自殺をはかりますが意識を取り戻すとそこは1989年の渋谷 思いっきりタイムスリップもののフィクションかと思いきや、そこからは 実在する有名人や本当にあった事件、曲名に歌詞とノンフィクションのオンパレードで その奇妙な調和にテンポ良く読めました。 ただ、その頃のサブカルチャーを知っている世代であれば、思い出し懐かしみながら 楽しく読めるかも知れませんが、その年代のある程度の知識がないと感情移入は難しいかも知れません。 年代が合う方にはドンピシャで面白い作品だと思います。
ドルフィン・ソングを救え!Amazon書評・レビュー:ドルフィン・ソングを救え!より
4838728131
No.9:
(5pt)

バブル期へのオマージュ

タイムスリップ・パラレルワールドもの。
第一部の終わりぐらいから徐々に面白くなっていき
音楽雑誌のスカシた文体を借りた、
引用句を大量に含む疾走感のある文章に乗って
第三部までぐいぐい高みへと連れて行かれます。
叙景と人間論を交錯させた恋心の描写は見事。
最後の種明かしと後日談はちょっと肩すかしっぽかったので
本当は星4つ半にしたいところですがまあおまけで5つ星と。
数多くの歌詞や台詞の引用は、個々の作品へのオマージュであると同時に、
小説全体としても、引用を多用した90年代初期の音楽シーンおよび
バブル期という時代へのオマージュになっているという寸法ですね
(そう言えばあの頃、「言葉はすべて言い尽くされた。
これから先、紡がれるのは借り物の言葉だけ」といった言説が流行りました)。
正直私の文では全然面白さが伝わりませんが
絶妙なタイミングでのブレイクスルーやどんでん返しも多く
読んでいて飽きさせないと思いますよ。
ところでまあついでにって感じでモデルになった実在のバンドも聞いてみましたが
手前勝手に先鋭化したマイナーポエットみたいで
小説から受けたイメージとは大きく違いました。
ドルフィン・ソングを救え!Amazon書評・レビュー:ドルフィン・ソングを救え!より
4838728131
No.8:
(4pt)

おもしろかったけど

一気に読んだ。おもしろかった。
しかし、この小説は、どういう人たちをターゲットにしているんだろう?

私はトリコより年上で、「70年代のティーンエイジャー」だけど、
トリコの聞いてた音楽はそれなりにわかる。
テレビ番組やCMなんかも、ちょっと懐かしかったりして。
でも、90年代ティーンエイジゃーには、もうわからないでしょ?
それだと面白さが半減するのではないかと思うのだけど、
どうなんだろう?

事件の謎を探る主人公がたどり着く「真実」は、実は・・・
というあたりも、タイムスリップものとしてはありきたりな感じがするので、
謎解きが焦点というわけではなさそうだし・・・

それと、最後に主人公が選ぶ道が、私にはよくわからいない。
つまり私はこの小説を読むには年を取りすぎているのかもしれない。
「80年代ティーンエイジャー」どんぴしゃな人だけが、楽しめるということだろうか?
ドルフィン・ソングを救え!Amazon書評・レビュー:ドルフィン・ソングを救え!より
4838728131
No.7:
(4pt)

主人公は好きではない、でも懐かしさ星3つ半

岡崎京子のイラストが好きで(漫画は苦手だが・・)惹かれたものの、しばらく(50ページ位まで)作者との不協和音で、どうしてコレがいいのだろう、面白いのだろう?と思い続けながら読んだ。おそらく、一つには、男性の書いた主人公だな、という不協和音もあったか、と思う。男性の書き手が書いた女性主人公という点はこの本全般のあちこちに感じられる。

それでも、あー、あった、あった、あー、あの人ね、と。懐かしさ連発で加速していく。その連続で実に一晩で読んでしまった。つまり、この本のターゲット年齢層に私が引っかかった、ということ。岡崎京子のイラストが好きでこの本を手にとっても、いったい何?と全く感情移入出来ない人たちも多いことと思うので、少し読んでから買われることをおススメします。
ドルフィン・ソングを救え!Amazon書評・レビュー:ドルフィン・ソングを救え!より
4838728131
No.6:
(4pt)

80年代を思い出したいがためのタイムスリップ物語

過去に侵入した自分が歴史を変えていくというストーリーは普遍的なものですが、このドルフィン・ソングでは、バブル崩壊間際の時代感を描写することでBRUTUS読者層の郷愁を誘っていると思われます。 私自身も、なかなか面白く読むことができました。 最所の方はストーリーが単調だと思いましたが、半ばからはかなり引き込まれました。 後半は「そういう設定か!」と思えるほどに楽しむことができました。 バブルの残り香を嗅いだことがある人にはお勧めの一冊です。
ドルフィン・ソングを救え!Amazon書評・レビュー:ドルフィン・ソングを救え!より
4838728131
No.5:
(5pt)

それは日本人全体の幻聴幻視であったのだ。

面白い、 80年代は日本人全員に湯目を見させた時代だった。 それは夢幻に他ならなかったのけれど それは日本人全体の幻聴幻視であったのだ。
ドルフィン・ソングを救え!Amazon書評・レビュー:ドルフィン・ソングを救え!より
4838728131
No.4:
(5pt)

林真理子×樋口毅宏

直木賞の「流」も林真理子の言葉にウソはなかったが、「ドルフィン」もそれに勝るとも劣らない面白さだった。 あっという間に読んじゃってもったいなかった。 皆さんじっくり読みましょう。
ドルフィン・ソングを救え!Amazon書評・レビュー:ドルフィン・ソングを救え!より
4838728131
No.3:
(5pt)

2015年のドルフィン・ソング

フリッパーズ・ギターと同じように幾多のサンプリングで作られた、あの時代への追憶でも哀悼でも郷愁でもなく、はっきりと現代を生きる人間としての、激情的な経過報告のような小説である。過去は常に現代から現代の為に参照され、語り直され続ける。

やけくその引用句と逆さに進むエピローグを、そっとクイズを出したり君がわかってくれたらいいのになどと日和ることもなく、ひたすらビッグでバッドなビンゴを繰り出す。
キュートで、粗雑な言葉のサンプリングの嵐の中で物語が紡がれていく。どれだけの元ネタがこの小説に書きなぐられているのだろう。

(この世界におけるフリッパーズ・ギターであるところの)ドルフィン・ソングについての虚実ないまぜのエピソードは、僕らを幻惑するのではなく、はっきりとあの頃を対象化し、地獄のように絶望的な中年時代を生きることの必然をあぶり出す。それはバブルや怠惰や90年代やロッキングオンやサブカルのせいではないことはっきりと告げる。地獄の扉をノックするのは誰だ?

そして人生を詰んだ中年によるやり直しの時間旅行は、ありとあらゆる種類の言葉を知って何も言えなくなるなんてそんな馬鹿な過ちをせず、欲望と怒りをギラつかせながら世界をひっかきまわすのだ。例え何一つ変わることなんてなくても。

バックトゥザフューチャーでありターミネーターであり戦国自衛隊。フリッパーズ・ギターなんてまるで知らなくても、きっと面白いはず。

右へカーブを曲がると光る海ではないものが見えてくる。それはとても悲しいことだけど、この車を降りることなんて出来ないのさ!なんて考えたりもする。
ドルフィン・ソングを救え!Amazon書評・レビュー:ドルフィン・ソングを救え!より
4838728131
No.2:
(5pt)

副読本希望!

一気に読了、サイコーに面白い! だが、果たしてその面白さをすべて味わえているのか。 。 。 引用のラビリンスへようこそ! 80年代よ、もう一度と、そんな気にもなるのかなるのかー。
ドルフィン・ソングを救え!Amazon書評・レビュー:ドルフィン・ソングを救え!より
4838728131
No.1:
(5pt)

これは職人芸!

『二十五の瞳』をはじめ、実在の人物や出来事をモデリングするのがヒグタケ小説の真骨頂だが、本作でもそのモデリングの絶妙さが全開! ここまでくると職人芸か!? いつも以上にスピーディな物語の展開を追いながら、「この人物はアイツのことだな……」「この事件はアノことだな……」といったモデル探しまで楽しめる。 それにしても、数々の80年代シーンにおもわず「懐かしい!」と叫んでしまうのは、自分が歳とった証拠かも。
ドルフィン・ソングを救え!Amazon書評・レビュー:ドルフィン・ソングを救え!より
4838728131

スポンサードリンク

  



<<12
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!