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灰色の魂
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灰色の魂の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.30pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全10件 1~10 1/1ページ
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登場人物は年齢性別職業体格性格みんな異なるけれど どの人物も作者の一部を反映しているのだろうなあと思った。 だからといって、この物語全体を包む閉塞感が作者のなかに ある、というわけではないとも思う。 作者は、自分のもつ「灰色の魂」とうまくつきあい、 現実世界ではなく小説の世界に「灰色の魂」を解き放している ような気がする。 もしかしたらだれもが心の一部として持っているのかもしれない 「灰色の魂」。 作者は、それとうまく付き合っている感じがした。 | ||||
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こういう作品がイイ! って言うとカッコいいんだろうけど、正直そんなに心動かされなかった。 高尚で深いミステリーという範疇なんだろうが、テンポと明快さをミステリーの優先順位にあげる自分としては受け付けられなかった。 無駄に思われるエピソード、いかにも翻訳調のだらだらした文章、読者の判断に任せたようなはっきりしないエンディング。 と、感じてしまいました。 ま、どんな作品でも好き嫌いはあるということです。 | ||||
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独善的な言い方になりますが、21世紀の最高傑作としか言いようがありません。 人間の心理をこれほどまでに深く洞察した小説があったでしょうか。 生きるとはどういうことか。 よりよく生きるとはどういうことか。 私のベスト1が、ドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」なら、ベスト2は、このフィリップ・クローデルの「灰色の魂」です。 ミステリーのような体裁を取りながら、人間に肉薄していく、迫力ある心理劇。 ピエール・アンジュ・デスティナというひとりの男に、人のすべてを見てしまう思いです。 2004年に『エル』の女性読者賞を獲得したことも言い添えておきます。 | ||||
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この作品がどのくらい長く人に読みつがれるのか、 また読みつがれるべき作品なのか、私には分かりません。 心を添わせることのできる登場人物を見出すことなく、 作品を読み進めることは、あるにしても、 私にはちょっと不安でした。 題名が示すように、ここに書かれる人の魂の色は灰色です。 語り手たる主人公も含めて。 冒頭に書かれる少女の死をめぐって、犯人が誰なのかという謎が、 最後まで読み手を引っ張り、その糸のまわりに他のいくつもの死が纏わりつく。 詳しくは書けませんが、なかでは、逃亡兵の死が重く心に残りました。 また、第一次大戦時、戦地に送られ、あるいは棺となって、あるいは心身に重い傷を 追って戻ってくる兵士たちの無残な姿を描くことで、 作者はおそらく、戦争が、その状況を生きるすべての人の魂を、 多少の差はあれ灰色に覆いつくし、癒されることのない穴に追い込んでいく事実を示したかったのだろうかと想像します。 それ自体大きなテーマであり、心に深く沈んでいくものを感じます。 ただ、正直にいえば、翻訳のスタイルにはなかなかなじめませんでした。 解説を読むと、原文は俗語なども混じったむずかしい文体であったようですが、 読む間も、翻訳のスタイルが気になって、作品に没頭できないことが多かったと思います。 | ||||
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ストーリーの骨組みだけを取り上げれば、 単なるミステリーの域を出ないが、 それを重厚な「物語」に仕立て上げる 作者クローデルの筆致は賞賛に値するだろう。 舞台として選ばれている第一次世界大戦時のロレーヌ地方を (その寒々しさも含め)生き生きと描く描写力、 多くの登場人物を的確に書き分ける人間観察の鋭さ、 なにより作中描かれる女性たちの美しさが際立ち やや退廃的な匂いも漂わせ、この上なく魅力的である。 無駄のない、パズルのような構成や 絶えず雲の低く垂れ込めたような閉塞感が あまりフランスらしくない佳品である。 | ||||
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きわめて異色のミステリー。 20年前、少女を惨殺したのは誰なのか? 裁判上は、とうに解決していることになっている事件の真相を探る主人公。 関係者はひとり、またひとり亡くなり、深層はもはや深い闇へと沈みつつある。 犯人は誰か?動機は?そして事件の真相は? はたして白黒はっきりさせることはできるのか。 しかし、およそ犯罪に明確な動機など存在するのだろうか? それは単に(物語中でも行われるように) 裁判で被告人を断罪する条件としてのフィクションではないのか? そもそも主人公はなぜ、事件の「捜査」に執念を燃やすのか? 重い物語です。 読後は深い愛と悲しみに包まれます。 ☆5つ | ||||
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丘の向こうでは戦争が繰り広げられている。死に取り囲まれた生者たちの平和な町で、その「事件」は起こる。ほとんどの登場人物は「私」が書いている時点で死者であり、それゆえ彼らの生と死が、そして物語の時間とそれを書く「私」の時間が重層し同居するのです。巧みな人間造型、充実した叙述、無理のない展開。つれづれに雑然とエピソードが綴られているようでいて、すべてに意味がある。筋張った所がどこにもなく、きめが細かく、旨みがたっぷりの小説。著者の技量と熟練は相当なものです。現代の作品でこれだけのものが読めるとは思ってもみませんでした。 物語の終盤に、リジア・ヴェラレーヌという謎めいた若い女教師の手帳を読むくだりがあります。謎として提示された登場人物の内面がその手記によって遂に明らかにされる、という展開は文学ではさんざん使い古された通俗的なパターンですが、著者はそれを熟知した上で鮮やかに刷新して見せます。彼女の手帳は「私」と彼女の視線が冷酷に交差する場として提供され、そこで彼女の「彼」への愛情と「私」の妻への愛情は美しく共鳴するのです。最後のページに込められた不器用な想いも重く、哀しい。それらはかけがえのないものを失った人間の死者への限りない哀惜であり、やがて生への罪悪感や生者に対する憎悪へと転化していくのです。 帯に謳われた「ベストワン小説」の惹句に偽りのない名作。読書を愛する全ての人にお奨めします。 | ||||
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~いきなり10歳の少女の死体が発見される。 そして、登場人物たちは、次々に、老い、病に倒れ、事故で、あるいは自ら命を絶って、死んでいく。 今から90年前の世の中では、むしろありふれた出来事だ。 一見、謎解き小説のような体裁をとっている。 しかし、この物語は謎が解かれてカタルシスがもたらされるような代物ではない。 これは、人生の永遠のテーマ、愛と死~~、について、容赦なく、重く、暗く、克明に物語る、正真正銘の文学作品だ!~ | ||||
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これは不世出の未訳本なのかと思った。 何しろ時代は第一次世界大戦の頃。 古くて新しいミステリか? 書き出しから、え?と思う。 これを書いてるのは誰? 殺された少女の犯人探しよりも、この町の住人を詳しく紹介するのはなぜ? ???と思いながら、一気に読み終えてしまった。 激しく狂おしいほどの愛の物語が、底辺にあった。 | ||||
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10代の美少女が殺される。 その犯人は誰か? 私の手記形式で書かれた小説は、主人公「私」とこの事件の謎解きに読者を間違いなく引き込んでいく作品だと思う。 登場する人物も誰も彼も怪しく、読みすすむのが楽しい。 フランス文学なのにそう感じない。 ミステリーが好きな人にもおすすめします。 | ||||
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