ベルリンに一人死す



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    初公開日(参考)2014年11月
    分類

    長編小説

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    ベルリンに一人死す

    2014年11月21日 ベルリンに一人死す

    1940年、ベルリンの街はナチスの恐怖政治に凍りついていた。政治のごたごたに関わらないよう静かに暮らしていた職工長オットー。しかし一人息子の戦死の報せを受け取ったのち、彼と妻アンナは思いもかけぬ抵抗運動を開始する。ヒトラーを攻撃する匿名の葉書を公共の建物に置いて立ち去るのだ。この行為はたちまちゲシュタポの注意をひき、命懸けの追跡劇が始まる…。 (「BOOK」データベースより)




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    ※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
    未読の方はご注意ください

    No.13:
    (3pt)

    昨日の朝のウクライナ

    某局のラジオで朝一番仕事始めかな?ひっどいな。空襲警報が鳴っていた。明日は我が身と思います。ほんと時間がないので去年買った本を朝にでもことしは少しづつ読むことにする。今日もまだ静かな朝があることに感謝します。誰に?
    ベルリンに一人死すAmazon書評・レビュー:ベルリンに一人死すより
    4622077035
    No.12:
    (5pt)

    大部だが中だるみしない素晴らしい本

    私が投稿する前に11人が評価投稿をしていたが、そのうち10名が五つ星、1名だけが4つ星という総絶賛の書。もちろん私も☆5つだ。基本の骨組みは実話に即し、その間を作家の創作力で埋めている。したがって、顛末はあらかじめ分かってはいても600頁の大部にも拘わらず全く飽きることがない。ただ全編に流れる暗い雰囲気はナチズムが支配した狂気の社会の陰鬱さを反映したようで読者自身の気持ちが沈んでいるときには読むのはしんどい。このような本が終戦から1年たらずで書かれたことで複雑で名状しがたい感情に襲われた。
    ベルリンに一人死すAmazon書評・レビュー:ベルリンに一人死すより
    4622077035
    No.11:
    (5pt)

    自分の良心に従って生きることの困難と希望

    35年ほど前、大学生の時に池田浩士さんの『抵抗者たち~反ナチス運動の記録』で知ったこの作品。(池田さんはこの本を原著名である「誰もが一人で死んでいく」として紹介していたが、読んでみて、やはり原著名にすべきだったと思う。)池田さんは今で言う「ネタバレ」でこの本を紹介していたので、どのような結末になるかを既に知ってしまっていたが、それでも是非読みたい一冊として自分の頭に残っていた。
    (以下もかなりネタバレかも)

    夫婦二人ぼっちで開始し、一つの例外を除き、全てを二人きりで続けた抵抗活動~ヒットラーとナチスの犯罪を告発した葉書を週に1,2枚書き、すぐには人目につかない場所に置いてくる~は、その極端な秘匿性と巧妙さのために、ゲシュタポの捜査にそのしっぽをつかませなかったが、その密やかさゆえに、ついにこれに連帯する者を得られないまま結末を迎える。
    実話に基づいたこの話に、さまざまな人物が配置され、当時のドイツのどうにもならなさと、それでもこれを覆すことを夢見た夫婦の行く末を描き出した。
    単に「悲劇」とか「二人の英雄」などと安易に言わせないこの話の中で、それでも今を生きる我々に多くの訴えかけがある。

    それを一、二挙げると。
    主人公のオットー=クヴァンゲルは、ついに逮捕されたゲシュタポ本部で、捜査員にその抵抗のちっぽけさを「蚊が象に闘いを挑むようなものだ」と批判される。この捜査員も自分なりの意地や誇りをナチスの暴力性の中で徹底的にこけにされ、自分が支えてきたこの体制を疑い始め、オットーに気持ちを傾け始めている。オットーはこれに対し、「あんたには理解できまい。一人きりで闘おうと一万人だろうと、そんなことはどうでもいい。その一人が闘うしかないと思ったら、仲間がいようがいまいが闘う・・・何度でも闘う。」と答える。
    その一方、オットーはこうも言っている。「俺の罪は、自分が利口であるとうぬぼれたことと、自分一人でやろうとしたことだ。一人では何もできないことがこれでわかった。」そして、もう次の闘いはない、処刑が待っているだけと知っている彼だが「今度は違うやり方で、まったく違うやり方で闘ってやる」と言っている。
    これは我々への投げかけではないか。「一人のままではだめだ。しかし一人から始めるしかない。」ということは、我々が人間として生きるためにますます大きな課題になっている。そして「違うやり方」を考えるのは我々だ。

    また、ここに登場する、大いにあるいはわずかに、人間性を示す人物たちは、みな「体制」や「命令」や「上役」や「流れ」を、大いにあるいはわずかに、無視し、自分の内心~良心と言うべきか~を言葉や行為で示している。21世紀に棲む我々は、「自発的」な服従・受容や無抵抗・無批判の中に埋没しつつある。自分の良心をかくし、押しつぶし、あるいは自分の良心に無頓着であることを習慣化している。本当のことを言わない・言えないムードが漂い、極めて乱暴な言辞ばかりが幅をきかせている。
    そういう我々に対し、オットー&アンナ=クヴァンゲル夫妻、そして作品のモデルとなったオットー&エリーゼ=ハンベル夫妻の行いは、誇りを持って生きる人間とはどういう人間かを、簡単にはまねができない形であるにせよ、提示している。それは決して「誇りある日本人」などという陳腐な言葉からは始まらないものだ。
    「いい作品だから読んでほしい」とすぐには言えないが、よくある勧善懲悪的な反ナチスものでは納得いかない人には勧めたい。

    (以下はこの本の書評ではなくなる)
    ちなみに、戦時中の日本でも、小さな書き物(葉書や落書き)による抵抗はある。千本秀樹さんによれば『特高月報』には「反戦策動」「不敬不穏事件」の「小事件」は1938年7月~1943年12月までで1388件も挙がっている。中には「米英に頭を下げるんだ一分でも早く なんと日本はばか」という落書きが京都で数カ所見つかった例がある(1943年)。持続したやり方だ。あるいは「将校は職業だ、人殺しが商売なのだ。別に戦争をしなくとも、生活の保証をされているのに何を好んで戦争をするんだ 兵卒が可哀想だ 愛国公債が何だ一ペンの紙くずじゃないか買う馬鹿があるか・・・国民はいつ迄ロボットじゃない(ママ)」という本格的な反戦言辞が、大阪毎日新聞の投書欄向けに投書された(1938年)。そして操業サボタージュを「現業員諸君宜しくこの主旨に参加せられんことを望む」と会社の便所に書いたケースがある。この落書きには、別人であろう、「君の意志に僕も賛成だ」と付け加えられている(1941年京都島津製作所)。(「戦時下における庶民の“不穏言動”」歴史公論1978年8月号)
    このような匿名の「落書き」は、結局特高に探知されてしまい(逆に言えばすぐ届け出されてしまい)、どこまで効果があったのか、こんなものを反戦活動と言えるのかと批判することは可能だ。
    しかし、オットーたちがやったことの原初はここにある。日本人は戦争とファシズムに無抵抗だったというが、このような事件を丹念に掘り起こすことによって、この見方は変わってくるのではないか。
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    4622077035
    No.10:
    (5pt)

    高い本だが値段に見合う価値がある

    ナチスが台頭していた時代の話ではホロコーストを扱ったものがクローズアップされる傾向にあるが
    この本は恐怖によって統治されていたベルリンをあるドイツ人労働者夫婦が1940年~1942年の間行った
    反政府活動の物語を透して驚く程リアルに描写している。

    作者のハンス・ファラダはナチスの政権掌握後に多くの知識人、文化人が脱出する中「望ましくない作家」に分類されながらもドイツに留まる事を選び、自らの見聞と実話をベースに戦後間もないソ連統治下の1946年にこの本を出版した。
    ドキュメントにならず小説として成立しているのが素晴らしい。

    登場人物各々が様々な立場で描かれているがパリへの無血入城を果たし沸き立つ軍部とは裏腹に
    当時の一般市民達が感じていた暗澹とした閉塞感が凄まじい。
    真実を貫こうと嘘で身を守ろうと、その場凌ぎで難を逃れても一寸先はどうなるか分からず、恐怖と暴力、密告と通報が蔓延る世界。
    潮流に従い盲目的にナチスに加担し、阿り、狂気の世界に身を置く人間達の残酷さと私欲にまみれた醜さ。
    対照的に狂った世の中にあっても尊厳を捨てず恐怖と正対する人間達の高潔さと葛藤。
    登場人物達は必ずしもどちらか一方に分類される人間ばかりではなく、その間を悩み揺れ続ける。
    彼らの放った言葉は印象深く、極限状態に置かれた人間の本質を考えさせられる。

    "本当の戦争”を描いた作品には感動はない。

    「この物語には拷問と死の描写が多すぎる」と指摘されるだろうが登場人物の大半がヒトラー政権と戦った人達とその迫害者であり
    当時、死は日常茶飯事だった。嘘を書かない為にはこれ以上明るく描く訳にはいかなかった。

    前書きに書かれたこの文章が読後深い感慨を齎す。
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    No.9:
    (5pt)

    ペンネーム「ハンス・ファラダ」とは

    内容や時代背景等については他の方のレビューがとても参考になると思うので、
    ここでは作者のペンネームの由来についてのみ書かせて頂く。
    このことを知った上で読み返すと、一層感慨が深くなった。

    ハンス・ファラダ(Hans Fallada)はペンネームで、本名はRudolf Wilhelm Friedrich Ditzenという。
    ハンスは「幸運ハンス」、ファラダは「がちょう番の娘」というグリム童話に由来するそうだ。
    以下に大筋のみ記す。

    「幸運ハンス」
    7年間勤勉に働いてきたハンスが、母の元へ帰ることを申し出ると、主人は給料として大きな金塊をくれた。
    金塊をハンカチにくるんでハンスは旅立つが、あまりの重さにすぐくたくたになってしまった。
    そこへ馬に乗った人が現れ、金塊と馬を取り換えてもらった。
    これで馬に乗って楽に進むことができるとハンスは喜んだ。
    ところが駆け出した馬から落とされてしまった。
    そこへ牛を引いた人が現れ、「牛は乳が出る」ということで、今度は馬を牛と交換した。
    喜んだハンスだったが、試してみると牛から乳は出なかった。
    ・・・という具合で、最後には金塊はただの重たい石ころになり、それも川に落としてとうとう何もなくなってしまった。
    しかしハンスは石の重さから解放され、自らの幸運に感謝し、母の待つ家へ帰りついた。
    そしてハンスは自らの幸運について、母に語ってきかせた。

    「がちょう番の娘」
    美しい王女が、女王である母の元を離れ、ある王子のもとに嫁ぐこととなった。
    女王はドレスや宝石だけでなく、「ファラダ」という名の話ができる馬も王女に与えた。
    旅立ちの日、女王はお守りとして自分の髪を、水を飲むために金のカップを王女に渡した。
    王女の侍女も共に旅立つが、侍女は王女のために水を汲もうとはしなかった。
    やむなく王女が自分で汲もうとすると、お守りである女王の髪を川に落としてしまった。
    こうして侍女は王女の服とファラダを強奪し、本当のことを言ったら殺すと王女を脅した。
    恐ろしくなった王女は、天に誓って約束してしまった。
    侍女は王女になりすまして王子と結婚した。
    偽王女についてきた王女は、がちょう番として仕えることになった。
    そして偽王女は、秘密の露見を恐れてファラダを殺させた。
    がちょう番の王女は悲しみ、ファラダの首を門にかけてもらい、ファラダに話しかけた。
    ファラダは彼女に「かわいそうな王女さま」と言って憐れんだ。
    ・・・最後には嘘が見破られ、侍女は追放され、王女は王子と幸せな結婚をした。

    失い続けても、滑稽なまでに自分は幸運だと信じる男。
    自分で直接問題を解決することはできないが一部始終をつぶさに見ている、
    そして命を奪われても真実の言葉で呼びかけ、王女の支えとなる忠実な馬。
    ここにファラダの物書きとしての姿勢が表れているのではないかと思う。
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