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流れよわが涙、と警官は言った
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流れよわが涙、と警官は言ったの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.94pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全36件 21~36 2/2ページ
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とにかく面白いです。 ぐいぐいと引き込まれていき、想像外の事柄も多く、一気に読みました。 | ||||
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ジャケ買い、という言葉があるが、この作品はタイトルがいいのでタイトル買い。 ディック作品、次は何を読もうかな、 とさんざん迷ったあげく、タイトルで本書に決めました。 カバーのイラストもデザインも気に入っています。 | ||||
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なぜ彼は“存在しない男”となったのか?なぜ友人や恋人の記憶からも消え失せてしまったのか? ああ、知りたい!ということで前半はぐんぐん引き込まれます。 しかし、その理由が明らかになったところで一気に冷めました。「えっ、なにそれ」 まったくサイエンスしていないこじつけ感.......SFファンの方はこんな理由で納得いくのでしょうか? フィリップKディックの作品はこれが初めてだったのですが、2冊目を読む気になれません。 | ||||
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若干嫌悪感を覚える部分があり、それが引っ掛かりましたが、 その他の部分では概ね満足です。 | ||||
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「存在しない男」。そうなった主人公のモチーフが紹介文にあったため、当然現実の不条理さが描かれるのだろうと思って本書を読み始めた。冒頭からしばらくは確かにそのモチーフで進む。しかし、タイトルにも記載させていただいたのだが、著者が様々な愛を描きたいらしく主人公が出会う女性たちとの交流が描かれはじめる。僕はその描写をよみながら、「この小説って何が書きたいの?」という疑問が頭から離れなかった。ある日突然現実を見失えばその恐怖と焦りは尋常なものではないだろう。しかし、主人公は至って平然としている、というか淡々とした時間を送り、その中で女性たちとの交流が主旋律になっていく。これは作劇的常識から考えて基本モチーフのリアリティを失わせる展開だ。もっと言えば主人公が焦り始めるのは後半になってからであって、それまでは前述したような冷静さで女性たちとの交流しつづけ、小説の構成として融合していない。 なぜ主人公の恐怖と焦りを中心としたストーリーを描こうとしなかったのだろうか・・・?後半の描写からみても、素人の僕に指摘されるまでもなく、著者はそういった「核」になるエッセンスはわかっていただろう。正直に言って、消化不良の読後感が残る読書となった。 | ||||
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英語も固有名詞以外は分かりやすく、話も後年のPKDにありがちな破綻も無く、さらに機微に富んだ表現も多くとても楽しめました。 迷うこと無くオススメです。 | ||||
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サスペンスフルな導入部、SFらしい見事なアイデア、古いハリウッド映画のようなケレン味たっぷりの展開。映像化されたわけではないのに、映像が頭に焼き付く読後感は、これらがもたらすものでしょう。 でありながら、これは愛についての物語だと作家自身が言う--その通り、愛することそのものの痛み、愛する人を失う喪失の痛みが、痛みをもたらす愛を否定する改良人種との対比でくっきりと描かれています。 そもそも最終行も「愛されている」という言葉で終わっています。 が、この「愛されている」をもたらすきっかけのエピソード自体は、改良人種の利己心による親切、もしくは相手へのいらつきの言葉が結果アドバイスとなったような小さな出来事です。 それを最後に肯定的に示すことで、哀切のトーンが強い後半の描写にもかかわらず、本作をセンチメンタルな甘ったるい作品にすることを防いでいます。 「愛は負けても親切は勝つ」と言ったのは別の作家で、たぶんディックは親切も含めて愛として、受け入れ、肯定したかったのでしょう。この読後感には、珠玉という表現がふさわしいと思います。 | ||||
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「流れよわが涙」とヴォネガット爺さんだったら言いそうなセカイ。 最後のエピローグが泣かせますが、メインのストーリーが終わった後 「時間がどんどん流れていき」ます。時の流れは何者をも容赦しません。 そこにあるのは命の連綿たる連なりだけであり、賢治「けんじゅう公園林」などを 思い出させます。不条理SFで始まっていながらこの叙情性。ヴォネガット 「タイタンの妖女」と対を成す作品と考えて良いでしょう。「タイタン」が 核家族すら解体して個人が一人切りの孤独な生と孤独な死を全うするのに対し この作品では異世界舞台SFなのにみんな奇妙に絡み合っている。 超監視社会だからなのか、密告その他で「人と人とが繋がっている」という 奇妙なセカイ。江戸時代の5人組のようなムラ共同体か、戦時中の隣組のような 共同体的な「相互監視型結束感」がヒニクといえばヒニク。 ヒトは孤独よりも「監視するされる」の関係性の方を選択してしまうのかも。 そうでなければ、もあのようなモヒカンとして生きていくしかありません。 主人公はシックスと呼ばれる遺伝工学的優性人種実験で生み出された 第6世代の新人類。ほかのイカレキャラに翻弄されながらしたたかに 生き抜いていきますが後半になってぐちゃぐちゃの作品セカイになります。 ある新種ドラッグは人間を「神」にすることが出来た。一種の超能力SFみたいに なりますが、そのドラッグを服用すると人間の生命エネルギーの消耗が酷く 2日間で死んでしまう。「空間多層構造」を「フレスコ画」のメタファで 理解しようとするバックマン警察本部長。これを「多肢分岐線形性モデル」で 理解するのが一般人読者にはわかりやすくヴォネガット「スロータハウス」みたく なります。いや、ボルヘス「八岐の園」に近いかも。サイコセラピ的な叙述もあり 32歳対人恐怖女子のメアリアンは見事に主人公のアドヴァイスを受け容れて 「青磁の花瓶」で陶芸家芸術家として世界的に成功します。この部分が最も叙情的。 古いタイプの日本人には受けそうですが、平成型精神構造の新世代日本人にとっては 「大甘だぜ!!」と言われそう。 | ||||
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自分にとっての大切な人を失ったとき、それに気がついたときの感覚がまさにFLOW MY TEARS,THE POLICEMAN SAID.というタイトルにこめられている。このタイトルそのものが描かれたところと、本の真ん中辺あたりの愛についての問答(エミリー・ファッセルマンのうさぎの話から始まるところです)が強く印象に残った。何度でも読み返したくなる傑作です。いかにもSFというストーリーなのですが、SFファン以外に読まれないのはもったいない。あまりSFという枠にとらわれずに多くの人に読んでいただきたいなあと思います。 | ||||
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本書のラストでの一場面は、なんでもない場面ながら妙に心に残る。人間の悲しみゆえの衝動がうまく描かれていると思う。そこに絵になる人物が配されているのでより印象に残った。 しかし、本書には見事に裏切られた。読む前は『存在しない男』となった主人公が日常を失くした悪夢世界からの突破口を捜し求めるサスペンスフルな話なのかと思っていたのだが、本書にそういったハラハラドキドキのスピード感は無縁のものであり、どちらかというと、思弁的な雰囲気さえ漂っているので驚いてしまったのである。描かれているのは相変わらずの不条理世界なのだが、人間の本質としての感情面が全面に押し出されているのだ。 余談だが本書を執筆していた時期、ディックは失意のどん底だったそうだが、いかにも彼の内面が溢れていて痛々しい感じだ。読了して、少し心が苦しくなってしまった。 | ||||
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三千万の視聴者から愛されるスーパースターのタヴァナーは、ある朝見知らぬ安宿で目覚めた。身分証明書もなくなり、誰も自分のことを知らない。そればかりか、国家のデータバンクにも彼に関する記録は存在しないのだ。 この世界では彼は「存在しない男」なのだ! 悪夢の突破口を必死で探し求めるタヴァナー。タヴァナーに興味を持ち、彼を追うバックマン警察本部長。果たして結末は? 目が覚めたら、誰も自分のことを覚えていないというアイデアはとりたてて珍しいものではない。追う者と逃げる者との両面から「サスペンスフルな逃走劇」を描くというのもありがちである。しかしディックは通俗的な設定から極端に異様な世界を作り出した。にも拘わらず、この世界こそが我々の生きる世界の真の姿なのだ。二転、三転する劇的展開から浮き彫りにされるのは、頼りなく、それでいて圧倒的な力で我々を弄ぶ「現実」の不条理性だ。「現実」を生きることのやるせなさが全篇を覆っている。 我々がこの絶望的な状況を切り抜けるにはどうしたらいいのだろう? 切り抜けられないまでも、何とか生きていくにはどうしたらいいのだろう? ディックはこの作品で答えを掲げている。それは愛であり、感情移入だ。精神的・感情的な意味での他者との連帯こそが我々を絶望から救う唯一の手段なのだ。 ディック文学の到達点を示す傑作。1975年、ジョン・W・キャンベル記念賞を受賞。 | ||||
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原題は「FLOW MY TEARS, THE POLICEMAN SAID」。 世界設定が混沌とした近未来のためSFっぽいが、 奇妙な因果律を奏でる純然たるファンタジー。 主人公タヴァナーは原因不明の奇妙な悪夢に落とされ、 その中でもがく姿が非常に悲劇的で同情を誘う。 謎の核心に近づいていく展開が見事な物語性を発揮しながら、 タヴァナーと出会う登場人物たちは非常に奇妙にもかかわらず、 魅力的できちんと現実感がある。 最後の最後で推測される因果律(謎)は、分かっても分かりたくない 不条理感たっぷりであるにもかかわらず、結末は見事であった。 世界設定は混沌とした近未来であり、物語全体に悪夢感が分厚い雲のように垂れ込める。 そして登場人物がハチャメチャという点が本作品の著者ディックの作品に よく登場するため、ディックらしい作品と言える。 その一方で、起承転結やテンションコントロールがきちんと構成され、 読後に雲が晴れるような爽快感を与えてくれ完成度は非常に高い。 あまつさえ、本作品では、エピローグまであるのだ。 誠にディックらしくない。 思うに、物語を通して語られる主題は愛の形、幸せの形とは 一体なんであるか、という点であろう。 登場人物同士による関係の破綻がいくつも繰り返された最後に、 そこに当り前のようにあるべき存在として描かれた花瓶が、 最後の答えを訴えかけるようである。 何度も読み込む本ではないが、ファンタジーが理解できる人には、 ぜひ一度は読んでもらいたい名作である。 | ||||
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ディックの中では割と異色な作品かも。どうしても割り切れない感じが 好きです。 あとこの作品で出色なのが女性の描き方。主人公が関わっていく女性達 が皆ひと癖あり、そのややこしさが主人公を取り巻く悪夢のような状況 とリンクしてます。 「暗闇のスキャナー」と並ぶディックの裏ベストだと思います。 | ||||
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とても難しい作品。 一回読んだだけでは、「なぜ彼が違う世界に来てしまったのか?」という 理由が理解できないと思う。かく言う私は5回ほど読んだが、未だにハッキリ とは理解できていない。 恐らく作者は、「さまざまな愛の形」を描きたかったのだろう。 いろいろな男女が登場する。 主人公の冷たさと、彼を追う警察署長の熱さの対比がとても面白かったと思う。 | ||||
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ネタばれになるので言えないのですが、主人公が陥った悪夢の正体は、 あっと驚くもの。そのアイデアだけでも読む価値あり。 主人公が陥る、密告の罠や警察との駆け引きなど、神経症的な 監視社会の描写は異常にリアルで、スリル満点。 執筆には、ディック自身がFBIに日常生活を監視されていた経験が 生かされているらしいそうですが、 その過剰なリアルと、悪夢を生んだ奇抜なアイデアが うまく融合して、一気に最後まで読ませます。 全編、これぞディックというまさに悪夢の世界ですが、 終盤で出てくる、タイトル通りの涙あふるるシーンが ある種のカタルシスになっていて、読後感は割とすっきり。 最後に人間性と非人間性の妙な共存というディック大好きなテーマが 現れて、うまくまとまっています。 | ||||
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ディック作品の中ではプロットの破綻の少ない作品。もっとも充実していた時期に書かれた作品であることもあり、完成度が高い。 | ||||
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