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(短編集)
獏鸚: 名探偵帆村荘六の事件簿
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獏鸚: 名探偵帆村荘六の事件簿の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.55pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全11件 1~11 1/1ページ
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何とも今に繋がる昭和時代を、推理小説で、知るものです。 | ||||
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戦前に発表された探偵小説十篇を収録している。 SFは何作か読んでいるが、作者のミステリをまとめて読んだのは初めてだ。 多くは実現可能かどうか怪しい科学的トリックが使われていて、SFに分類しても不都合ではないような。 ほとんどバカミスなのだが、奇想と大胆さに惹かれて楽しめた。 秀逸なのは「振動魔」:文字通り振動を利用した犯罪がテーマだが、さらにひと捻りしてある。 こんなことが出来るかというと、無理だろう。でも面白ければいい。 「爬虫館事件」:巨大爬虫類がトリックの要である。結末に感心した。 「点眼器殺人事件」:そんなムチャな。バカミスというより単なるバカ? 「浮囚」:密室トリックとしてユニークすぎる。 表題作は暗号と犯罪結社が出てくる冒険的探偵小説だ。他のに比べるとまっとうな作品といえる。 小道具が洒落ていて、それなりに面白かった。 事件や犯人は思い切り濃いのだが、探偵の帆村荘六のキャラはとても薄い。 素人探偵と名乗ることもあれば、「私立探偵」と書かれた名刺を出すこともある。 作者には名探偵を創造する気がなかったのかな。最近の過剰装飾キャラよりは好感が持てる。 | ||||
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「麻雀殺人事件」「省線電車の射撃手」「ネオン横丁殺人事件」「振動魔」「爬虫館事件」「赤外線男」「点眼器殺人事件」「俘囚」「人間灰」「獏鸚」の10篇が収められている。1930年代の作品が多い。 すべて帆村荘六ものである。もちろんシャーロック・ホームズをもじった命名だ。長く入手困難な状態が続いたが、こうしてまとまって読めることになったのは嬉しい。 ミステリとしては玉石混淆。帆村の名探偵ぶりも発揮される回とそうでない回があり、ちょっと同一キャラクターとは思えないときも……。かなりSF色の強いものも。 とはいえ、古くからのミステリ・ファンには必読の一冊だろう。 | ||||
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筒井康隆の書いたパスティシュ「科学探偵帆村」(「繁栄の昭和」所収)ではじめて名探偵帆村荘六の存在を知った。 名探偵ガリレオ(湯川学)やTVドラマ「怪奇大作戦」の原型と言ってよい。 倒叙形式ではないが、中には「刑事コロンボ」を思わせる作品もあった。 本短編集の表題になっている「獏鸚」は暗号を扱っているが、 残念ながらこじつけの多い駄作に終わっていた。 SFの衣を被ったミステリなので、昭和初期の作品なのに概してさほど古臭さを感じない。 もう少し帆村荘六のキャラが立っているとさらに良くなると思うが、 それは「事件簿2 蠅男」を読んでから判断しよう。 | ||||
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戦前に書かれた日本の科学ミステリの古典。1930年代の短編作品10編を集めたもの。 多くの作品には名探偵「帆村荘六」氏が登場する。この人と警察組織の協力関係の描写が、今の読者にとってはかなり謎な設定に思えるのだが、とにかく古典ということで気にしないことにする。そもそも探偵の名前も「シャーロック・ホームズ」をもじったものらしい。 さて本編は科学ミステリと銘打つわけであるが、そのあたりに過度に期待してはいけない。なにしろ戦前の話、科学なのかオカルトなのかあやしい話もチラホラ。単なる怪奇趣味的な話も含まれているし、おそらく当時は「科学」の意味するところの範疇が今より広かったのかもしれない。 探偵の推理のステップが神がかっているような気がするのも、まぁ時代的なものかもしれないと思うことにする。(いわゆる本格推理小説のつもりで読むとあれっと思うかもしれない。) 収録柵の中では、個人的に「振動魔」はなかなかの出来、と思う。トリック(?)の実現性はまぁおいておくとして、とにかく意表を突く展開、本作はこれにつきる。他の作品のストーリーがどちらかというと淡々としている中で異色であり、また、科学とは、という根本的な問いかけも投げかけているような気もするのだ。 | ||||
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奇妙なタイトルに惹かれて読み始めた本書。海野十三の短編をこれだけまとめて読むのは初めてでした。 一番面白く読んだのは「俘囚」ですが、ミステリーというより怪奇SFみたいな話なので、謎解きの興味よりそのトンデモぶりを楽しみました。 全体的な印象として、名探偵の帆村壮六は、理系に強い科学探偵として奇怪な諸事件に挑むのですが、それにしては強烈な個性に乏しいのがちょっと残念です。またホームズ風の探偵譚のスタイルを意識したためか、作者の持ち味のエログロ趣味や奇想天外さがちょっと控え目なのも物足りなく感じました。 ただし戦前の小説にしては、とても読みやすい文章ですし、どの作品も趣向が凝らされていて飽きることがありません。 突っ込みどころの多さも含めて大変楽しめた作品集でした。 | ||||
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1930年代に描かれた日本SFの先駆者による奇想天外なミステリー集。探偵・帆村荘六が活躍する10編の短編を収録。さすがに時代を感じる短編が多いのだが、奇抜なトリックと時代を超越した発想力に今読んでもなお魅力を感じる。 『麻雀殺人事件』。オーソドックスな探偵ミステリーといった作品。帆村の目の前で起きた殺人事件…犯人は誰か… 『省線電車の射撃手』。電車内で起きた女性を狙った連続射殺事件に帆村が挑む。 『ネオン横丁殺人事件』。密室で起きた射殺事件に挑む帆村は真相をあばくことが出来るのか。 『振動魔』。まさに奇想天外なトリック。この短編には帆村は登場しないのかと思いきや、最後に颯爽と登場する。 『爬虫館事件』。動物園の園長の失踪事件は意外な方向へ向かう。帆村があばく真相とは。 『赤外線男』。帆村が赤外線男なる怪人と対峙する奇妙な物語。 『点眼器殺人事件』。またまた奇妙な殺人事件に帆村が挑む。 『俘囚』。唯一、既読の作品。この短編集の中では一番面白い作品だと思う。 『人間灰』。もしや、帆村は登場しないのかとやきもきするが… 『獏鸚』。帆村が暗号解読に挑む表題作。 海野十三といえば、遥か昔に『十八時の音楽浴』と『蝿男』くらいしか読んだことが無いのだが、どちらも強烈な印象を残す作品だった。 | ||||
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海野十三のミステリー短編集である。代表作「振動魔」を含む10作品を収録している。SF短編集のほうは、後日刊行されるようである。 海野十三の作品については、何度も復刻され、解説、研究されているので、新たに書けることは何もなさそうだが、ない知恵を絞って、ちょっと書いてみる。 私的感想 ●「振動魔」を初めて読んだのが中学の時だったのか、高校の時だったのか、もう忘れてしまったが、当然、頭の中が真っ白になるような衝撃を受けた。ただ、微妙な違和感も、あった。 その違和感の中身とは、この犯罪の発覚の端緒が、被害者が正面と側面の二枚のレントゲン写真を撮られたという日記の記載になっていることだった。海野は「レントゲン写真は、正面又は背面から撮影するものであって、けっして側面からうつすものじゃない」と書き、側面の写真を「奇抜な写真」と書いている。だが、私の子供の頃(戦後)は、胸のレントゲンを正面からと、側面からと撮るのは普通のことで、私も近くの医院でとられたことがあった。 ●この違和感は、長い間放ってあったのだが、今は、国会図書館デジタルコレクションという便利なものがあるので、ちょっと調べてみた。「レントゲン」と打ち込んで、古い本から探していくと、大正9年の「れんとげん学」という大作(物理、工学、医学の5人の共著)が全文閲覧できる。459頁に「患者が右胸を管球に向け、左胸側に蛍光板を置けば、右左位放射方向といい、これに反せば、左右位放射方向という」と側面の写真の撮り方について書かれており、そのあとにレントゲンで内臓の実寸を図る方法について書かれている。「振動魔」は昭和6年の作品だから、海野が「奇抜な写真」と表現したレントゲン写真は、その頃は大きな施設では普通に撮られていたのではなかろうか。・・・まあ、こんなことは実にささいなことであって、「振動魔」は戦前ミステリーの傑作中の傑作である。 ●海野十三の短編集を読む楽しみの一つは、個性的なモダン・ガール達の肖像・行動が描かれていることである。「麻雀殺人事件」の麻雀ガール豊ちゃんと川丘みどり、「省線電車の射撃手」の被害者達、「ネオン横丁殺人事件」のゆかり、「爬虫館事件」のトシ子嬢、「点眼器殺人事件」のチェリー嬢、「俘囚」の魚子夫人、「獏鸚」の女優達・・・そして、個性の極みが「赤外線男」の研究員白丘ダリアであろう。・・・しかし、われらが永遠のヒロインは、もちろん「振動魔」の牝豚夫人雪子である。 | ||||
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海野十三の生み出した名探偵・帆村荘六の活躍する短編10作収録。 2001年のちくま文庫「三人の双生児」と収録作は6作かぶっていますが、 「麻雀殺人事件」等の初期作や表題作は十分読む価値があります。 科学探偵として現代に知られる帆村ですが、初期の作品では「ネオン横丁殺人事件」のように 酔っぱらって深夜の街を歩いたりなどと言う一面も見せてくれます。 印象的なのは作中の舞台帝都のモダンな魅力で、雀荘・電車・映画撮影所など さまざまな場所が事件とともに印象に残ります。 またどんな奇妙で悲惨な事件も颯爽と解決する帆村荘六の姿は、同時代の異国の同業者である ピーター卿やキャンピオンにも通じると思いました。 | ||||
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『新青年』を中心に発表された初期海野傑作短編のうち、本書は青年探偵・帆村荘六シリーズを10篇。 現実にはありそうもない空想的な犯罪を科学的視点をもって描く。「点眼器殺人事件」などはその最たるものでなんとも馬鹿馬鹿しい。 だがその剽軽さと、時にはグロに時には辛辣に展開するのが海野の魅力。そして忘れられがちだが、江戸川乱歩に次いで海野には戦前昭和の懐かしさがあると思うのだ。 さて今回2冊刊行されるらしい海野なのだが、収録作が01年にちくま文庫から出た『三人の双生児』と殆ど重複しており、コアな読者にとっては微妙。 本書の中でレアものといえば前述の「点眼器殺人事件」ぐらい。 ちくま文庫『三人の双生児』に未収録だった「麻雀殺人事件」「省線電車の射撃手」「ネオン横丁殺人事件」「獏鸚」も三一書房版全集に収録。 帆村荘六ものはこれ以外にもまだ多くの作品が残っている。東京創元社はミニマムな傑作集で手堅く一般向けな選択を採ったのだろうが、 ここは今までにない明確なコンセプトを以って頁数や巻数を増やし、「蠅男」のような大人向け長篇、そしてジュブナイルまで網羅したコンプリート版・帆村荘六シリーズを出してほしかった。 本書中で良かったところは、解説における「振動魔」の帆村ヴァージョンと田部巡査ヴァージョン、どの本にどちらのヴァージョンが載っているかが一覧にされている点。 それと遠藤拓人のカバーイラストもなかなかgood。 ▲収録作: 「麻雀殺人事件」「省線電車の射撃手」「ネオン横丁殺人事件」「振動魔」(帆村ヴァージョン)「爬虫館事件」「赤外線男」「点眼器殺人事件」「俘囚」「人間灰」「獏鸚」 | ||||
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『新青年』を中心に発表された初期海野傑作短編のうち、本書は青年探偵・帆村荘六シリーズを10篇。 現実にはありそうもない空想的な犯罪を科学的視点をもって描く。「点眼器殺人事件」などはその最たるものでなんとも馬鹿馬鹿しい。 だがその剽軽さと、時にはグロに時には辛辣に展開するのが海野の魅力。そして忘れられがちだが、 江戸川乱歩に次いで海野には戦前昭和の懐かしさがあると思うのだ。 さて今回2冊刊行されるらしい海野なのだが、収録作が01年にちくま文庫から出た『三人の双生児』と殆ど重複しており、コアな読者にとっては微妙。 本書の中でレアものといえば前述の「点眼器殺人事件」ぐらい。 ちくま文庫『三人の双生児』に未収録だった「麻雀殺人事件」「省線電車の射撃手」「ネオン横丁殺人事件」「獏鸚」も三一書房版全集に収録。 帆村荘六ものはこれ以外にもまだ多くの作品が残っている。東京創元社はミニマムな傑作集で手堅く一般向けな選択を採ったのだろうが、 ここは今までにない明確なコンセプトを以って頁数や巻数を増やし、「蠅男」のような大人向け長篇、そしてジュブナイルまで網羅したコンプリート版・帆村荘六シリーズを出してほしかった。 本書中で良かったところは、解説における「振動魔」の帆村ヴァージョンと田部巡査ヴァージョン、どの本にどちらのヴァージョンが載っているかが一覧にされている点。 それと遠藤拓人のカバーイラストもなかなかgood。 ▲収録作: 「麻雀殺人事件」「省線電車の射撃手」「ネオン横丁殺人事件」「振動魔」(帆村ヴァージョン)「爬虫館事件」「赤外線男」「点眼器殺人事件」「俘囚」「人間灰」「獏鸚」 | ||||
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