三人の双生児



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初公開日(参考)2001年06月
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長編小説

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怪奇探偵小説傑作選〈5〉海野十三集―三人の双生児 (ちくま文庫)

2001年06月01日 怪奇探偵小説傑作選〈5〉海野十三集―三人の双生児 (ちくま文庫)

日本SFの元祖・海野十三。理科系作家がその新しい知識を駆使して生み出す奇ッ怪で新鮮な物語に、昭和の科学少年たちは胸を躍らせた。赤外線、テレヴィジョン、超音波に電気風呂―。エログロ・ナンセンスにみちた初期の作品から戦時下の緊迫した空気を伝える異色作まで、鬼才が遺した多彩な推理小説を収める。 (「BOOK」データベースより)




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三人の双生児の総合評価:8.80/10点レビュー 5件。Cランク


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No.5:
(4pt)

「日本SFの父」、海野十三

逓信省の電気技師として働きながら小説を書いた海野十三。江戸川乱歩に強く影響された作家、だが乱歩とは似て非なる明るさがある。本書には主に探偵小説が収録されているが、「日本SFの父」としても有名だ。
未だに熱狂的なファンも多い一方、書店では、もう滅多に見ない名前でもあって、故・小松左京氏が2007年に開催されたSFのイベント会場にて、海野十三の名前をあげたところ、その名を知っていたSF関係者、観客は、ごく僅かだった、という。
2011年80歳で亡くなった小松氏が、小学生の頃に読んでいたのが海野十三だ。

2013年5月現在、ウィキペディアで調べると、昭和3年『新青年』に掲載された『電気風呂の怪死事件』が海野十三名義でのデビュー作であるかのように記載されているが、本書の巻末解説によれば、昭和2年に『無線電話』に掲載された『遺言状放送』が同名義でのデビュー作である。
海野十三全集1巻の巻末、長山靖生氏の解説によると、この『遺言状放送』は、世界的にみても核爆発の危険性を指摘したごく初期の作品であり、しかも核兵器の危険性ではなく核の平和利用における危険性について言及している点、高く評価されるべきである、とのこと。発表当初、オチがわかりにくい、という知人の意見から、現在の形(いわゆる夢オチ)になったが、もとはれっきとした終末モノだった、とか。当時の科学の最先端技術は、今から読むと、それこそがフィクションのようで、そういう意味でも興味深い。

この文庫に収録されているのは、主に怪奇色の強い探偵モノだ。だが、乱歩ほど怖くはない。まずはタイトルが面白い。「赤外線男」「点眼器殺人事件」「振動魔」など、どんな話なんだ、と食指が動く。
なかでも印象的なのが「三人の双生児」だ。主人公の女性は子供のころ座敷牢に閉じ込められていた兄妹に再会したいと思っている。だが亡くなった父の手帳にはナゾの言葉が残されていた。「呪われてあれ、今日授かりたる三人の双生児!」・・・「双生児」が「三人」って何なのか? どうやら主人公の出生には秘密が隠されているらしい。だが調査するうちに殺人事件が起きて・・・といった内容で、結末はミステリ短篇にありがちな強引さだ。非常にグロテスク、だが、なぜか「ガンバレよ!」と明るい笑顔で主人公を見送りたくなる、不思議に爽快な読後感。

『生きている腸』は、その名のとおり、ガラス管のなかで蠕動し続けるはらわたを「飼う」医学生のマッドなお話。ぬめぬめと動くはらわたの描写が、最高にキモチワルイので、ホルモン料理を食べる前には読んではいけない。しかし、文章そのものに愛嬌があるので、イカレタ医学生はだんだん可愛いやつに思えてくるし、しまいには「チコ」(生きているはらわたの名前)までが愛らしくいじらしい存在に感じられてくる。ちなみに古賀新一の漫画『魔女黒井ミサ』の元ネタはこれだと思う。ダウンタウンのコントにも似た話があった。面白いが、なんでまた「腸」をキャラクターにしようと思い付いたのか・・・足だの腕だの靴だのフェチには色々あるけれど、過去、どれほどの美人の「持ち物」だったとしても、いくらなんでも「はらわたフェチ」って・・・と、脱力気味にもなる。まあ、一度読むと忘れられなくなる、という意味においては傑作だと思う。

多分、作者は細かいツッコミを恐れていない。もし、こうだったら、さぞ楽しかろう、さぞ面白かろう・・・それだけで突っ走っているように感じられる。良い意味での無神経さが、爽快で、明るい。まさに娯楽のための小説だ。有名な短篇のほとんどが青空文庫で無料で読むことができるので、気になる方は試し読みからどうぞ。
怪奇探偵小説傑作選〈5〉海野十三集―三人の双生児 (ちくま文庫)Amazon書評・レビュー:怪奇探偵小説傑作選〈5〉海野十三集―三人の双生児 (ちくま文庫)より
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No.4:
(5pt)

僕が当時の少年だったら、やっぱり夢中になっていただろう

 親の世代(昭和一桁生まれ)が夢中になった高名な作家だ。親の話では空想科学小説が多かったようだが、本選集はミステリが主体である。その作風は、理系の研究職であったという事で、今でこそ一般的になった科学的知識に基づくトリックが用いられた推理小説が多い。最新科学を用いたトリックに戦前の子供達は驚嘆しただろうと思える。
 直接的なタイトル、そしてかなりのエログロさは、江戸川乱歩に近いものを感じる。しかし、科学技術を応用するこだわりはこの作家独特の物で、SF作品のアプローチを推理小説に持ち込んだ点が評価できるのではないかと思う。これはSF中心の作品を探して読まねば、という気持ちになる。
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No.3:
(5pt)

読まなきゃ損

その作品は怪奇と幻想とに彩られ、エロは少々、グロでナンセンス、いかにも「探偵小説」らしい探偵小説を書いた海野十三は、また、「日本SF小説の父」とも称され、数多くのSF小説(というよりは空想科学小説といったほうがピッタリ)も発表しました。そんな作者の短編十五作にエッセイ一作、本書にも収められた短編を城昌幸が脚本化したもの一作をまとめた短編集です。
十五編のうち、ほとんどが探偵小説ですが、タイトルだけで魅力的、『振動魔』に『赤外線男』、『三人の双生児』などなど、もうこれだけで十分に楽しい。
「また帆村 少々無理な謎を解き」 帆村とは作者の創造した名探偵 帆村荘六のこと、こんな川柳が当時作者が作品を発表していた紙面に載った(らしい)ことからもわかるように、その内容は少々というよりはかなり無理、ミステリとしてマジメに読んでいたら、帆村名探偵の謎解きを聞いたら怒り出してしまいそうなものが多くあります。が、これが良いのです。もう、「無理」だとか「バカにしている」、「こじつけ」、「子供だまし」とかいったものを、はるかに超越してしまっているのです、海野作品は。
ですが、こういった理由で海野作品を嫌って読まずにいる本格ミステリのファンの人もいるでしょう。損してますよ、こんなにおもしろいのに。そんな方にはここに収められている一編『不思議なる空間断層』を読んでもらいたいですね。これは本格ファンにも納得できるような技巧的な一作、こういったものも書けたんだと、きっと驚くことでしょう。
大好きな作家、もっともっと評価されてよい一人だと思います。
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No.2:
(3pt)

こういう作家がいたんだ

安部公房展が目的で世田谷文学館に行ったのだが、常設展の中で海野十三が紹介されていた。ちょっと興味を持ったので早速Amazonで検索し、入手。作品世界は好きなのだが、他の巨匠と比べてしまうとやはりちょっと物足りなさがあるのは否めません。ポー(星5つ)、江戸川乱歩(星4つ)、海野十三(星3つ)という感じだろうか。
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No.1:
(5pt)

探偵小説アンソロジーの大成果、ちくま文庫『海野十三集』を称える

■ちくま文庫の《怪奇探偵小説傑作選》《怪奇探偵小説名作選》のシリーズは、名アンソロジスト・日下三蔵氏の企画編集によるものである。日下氏は重要な仕事を良くこなしておられると思う。■本書には、海野十三の主要な短編が手際よく網羅されている。目次から拾うなら「電気風呂の怪死事件」「振動魔」「爬虫館事件」「俘囚」「人間灰」「不思議なる空間断層」「生きている腸」「三人の双生児」。これらの代表短編により海野ワールドが堪能できる構成となっている。■さらに本書には、三一書房版『海野十三全集』未収録の小説・随筆等が5編収録され、これが大変貴重だ。メモしておくと、①「点眼器殺人事件」、②「顔」、③「盲光線事件」、④「『三人の双生児』の故郷に帰る」、⑤「盲光線事件(!脚本)」。どれも貴重なものだが、特にありがたいのが④。これは海野が故郷・徳島市のことを綴った非常に珍しい望郷ルポで、幼少時の原風景を記した重要文献といえる。しかも初出誌『シュピオ』の誌面から写真7点を復刻掲載している(撮影者は海野)。海野が小学3年まで住んでいた徳島市安宅町の家や彼が遊んだ四所(ししょ)神社の風景などが、鮮明に再現されており申し分ない。これは快挙といってよい。この随筆1本だけでも、本書購入の価値は十分あると私は思う。■筑摩書房はこの種の作品集を大事にする版元なので、本書も5年くらいは流通するのではないか。入門書として最適であり、新たな海野ファン獲得に大いに貢献するものと思われる。本書は、大きな成果だった。
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