アンドロギュノスの裔(ちすじ)



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    初公開日(参考)1970年01月
    分類

    長編小説

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    アンドロギュノスの裔 (渡辺温全集) (創元推理文庫)

    2011年08月30日 アンドロギュノスの裔 (渡辺温全集) (創元推理文庫)

    横溝正史編集長の下で『新青年』の編集に携わり、創作・翻訳に精力を傾ける中、わずか27才で逝去した天才作家・渡辺温の傑作を集成。全編雑誌初出のテキストを校訂して贈る。 (「BOOK」データベースより)




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    No.4:
    (5pt)

    永遠の少年が書き散らしたもの

    渡辺温(1902年−1930年)は、ミステリー作家・コント作家・脚本家といった多彩な顔を持つ作家で、簡単に入手できる彼の著書は、これまで博文館新社の『叢書新青年 渡辺温』だけでしたが、昭和モダニズムを懐メロ的に採り入れた感じの装丁・レイアウトがどうにも不満でした。でも、もう一つの彼の作品集・薔薇十字社版『アンドロギュノスの裔』(1970年)は、出版当時でも少部数しか出回っていなかったはずの本で、いまでは希少・高価な部類の古書となっていました。

    ですので、1年ほど前、書店の平積みの新刊本の中に、薔薇十字社版と同じ書名で、洗練された装丁の本書を見つけたときは、少し胸が高鳴って、すぐに読まなくても取りあえず…、と手に取って(以前、平井呈一氏の『真夜中の檻』を買い損ねた失敗もあって)、レジに向かった次第です。本書は、単行本未収録の作品も発掘するといった意欲的な編集方針による渡辺温の初の文庫版全集で、夭折した作者の600ページになろうかという作品の分量に驚かされます。

    さて、渡辺温の代表作は、各種アンソロジーを見ても、「父を失う話」「可哀相な姉」「兵隊の死」の3作品ということで衆目は一致するでしょう。このうち、「兵隊の死」は、着眼点の面白さが生命のショート・ショートですが、残り2作品は、メルヘンチックなうわべとは別の意外に難解な作品で、長い間考えていますが、いまだに明確に解釈できないでいます。

    「父を失う話」は、わずか6ページの短編小説で、ある朝、髭を剃り、新しい麦わら帽、赤色のネクタイのいでたちの青年紳士である父に連れられて、10歳違いの息子(?)が波止場に行きますが、だんだんと親子関係がアヤフヤになって、父だけがサクソニヤ号という船に乗って颯爽と去っていくという、だれもが呆気にとられるシニカルなストーリーの作品です。謎の父の正体は、出奔の欲求が抑えられない主人公の少年の<10年後の自分>といった趣きがあります。
    一方、「可哀相な姉」は、聴覚障害者の姉が身を売って、弟である主人公を育てますが、成長して大人になった弟が、つけ髭をつけて恋人とデートするようになり、ついには邪魔になった姉を罠にかけて裏切るというピカレスクな短編小説です。コミュニケーション障害を逆手に取ったかたちのラストには批判もあるはずですが、作者の主眼は、親のような姉との間に生じた弟の葛藤を描くことにあります。

    両作品とも、<髭>がキーワードになっていて、強引な総括ですが、<大人になることは、親の血と肉を食べることと同じだ>という子ども側の苛立ち・哀しみをシュールな筆致で描いたものだ、と取りあえず理解しています。渡辺温のその筆致には、大人になれない、ニセの<髭>をつけた永遠の少年が書き散らしたような才能のきらめきがあって、それが彼の独特な魅力となっています。
    アンドロギュノスの裔 (渡辺温全集) (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:アンドロギュノスの裔 (渡辺温全集) (創元推理文庫)より
    4488407110
    No.3:
    (5pt)

    せんす・おぶ・もだーん

    発売元が二転三転し、長く待たされた本書。
    渡辺温のイメージにぴったりのロシア構成主義的な最高のカバー・帯デザインに東京創元社の力の入れ具合がよくわかる。
    しかも今回、黒岩涙香の訳をリモデルした「島の娘」を筆頭に単行本初収録作を多数投入。

    よく知られた「可哀相な姉」「兵隊の死」はもとより、デビュー作「影」をはじめ活動写真(=映画)が彼の素地にあるのが、1冊に纏るとより浮彫りに。
    ひとところに定着しない(できない?)性格なのか、講談社を半日で退職→博文館入社→翌年退社→再び博文館復帰。
    横溝正史曰く「いやしくも書かん」の男であったが、この人が創作長編を書いていたなら果たしてどんなものが出来ただろうか。

    渡辺温といい中村進治郎といい『新青年』黄金期のシンボルたる彼らが揃って不幸な短命に終わってしまったのは偶然?それとも宿命だったか?
    温の死後、日本はモダニズム〜エロ・グロ・ナンセンスを経て、重く暗い時代へと傾斜してゆく。
    この伊達男ふたりが野暮な軍服・国民服を着ているなんてとても想像がつかない。
    間違いなく渡辺温は束の間の幸せなモダン・エイジの象徴だった。
    初めて温を知った方は、実兄・渡辺啓助の自伝ともいうべき『鴉白書』も併せて読んでみてほしい。

    横溝正史との共同ペンネーム「霧島クララ」名義作品のうち、過去の温の著書収録分のみが今回は収録された。
    それはいいのだが、正史・温、両者著書に過去収録されていない「霧島クララ」名義のものは今後放置されたままなんだろうか?
    こういうものをキチンと掲載提示して検証を進めるのが『横溝正史研究』だと思うのだが、
    二松学舎大の、金田一耕助とその映像にしか目が向かないド素人研究ぶりはなんとかならないものかね。

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    4488407110
    No.2:
    (5pt)

    詩情とモダニズム

    「可哀想な姉」や「兵隊の死」などの代表作はもとより小学校時代の散文や脚本までを網羅。
    渡辺温自身が編集に携わっていた[新青年]に代表される昭和初期の陽性なモダニズムと、多分に日本的な湿度の感じられるノスタルジアと詩情が相まった唯一無二の世界。
    同じ[新青年]の城昌幸や水谷準の作品と比べても純度とスタイリッシュさが圧倒的に高く感じられる。
    夭折をいつまでも惜しまれる由縁が判る精緻な箱庭のような小世界。
    真珠のように美しい作品群に相応しい造本と愛情溢れる編集に敬意を表したい。
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    4488407110
    No.1:
    (5pt)

    名作です、2011年8月創元社で文庫が出ます

    27歳で夭折した著者で、名作であるにもかかわらず、増版も復刊されませんでした。
    古書店では数万円もしますが、やっと創元社から渡辺温文庫版全集が出ます。
    創元社、渡辺温で検索を・・・
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    B000J98JNW



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