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私が殺した少女
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私が殺した少女の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.88pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全14件 1~14 1/1ページ
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一読、推敲を執拗に重ねた作品なのだということがよくわかる。彫琢された文章であるとも感じられる。だが、推敲に推敲を重ねた文章や物語が、漏れなく良いものになるかと問えば、必ずしもそうであるとは限らない。 推敲とは自分の書いた作品に入り込み、またそこから抜け出し、距離を置く。いわば、その主観と客観の反復である。 それはある種の逡巡、躊躇い、思考の彷徨いであるとも言える。 もちろん推敲は必要なことではあると思うが、必要以上にその作業に固執すると、返って、文章の自然な流れを損ない、物語の勢いを削いでしまう結果にもなりかねない。 本作を読んでいる最中、私はそれをたびたび感じた。 例えば、物語の本筋とは関係のない、文章。 「…藤色の絨毯が敷いてあった。その真ん中の冬はコタツに変わるワイン色の家具調のテーブルを挟んで、嘉村千秋と大迫警部が座っていた。」 一見、可もなく不可もなしの文章であるが、どこか気持ちが悪く、意味がすんなりと頭に入ってこない。読者は、「その真ん中の」で、一瞬、意識を止める。 その修飾語はどの言葉に対してであろう?と。それに続く言葉は「冬は」である。真ん中の冬は、ではおかしいのでさらに目を移すと「コタツ」という名詞があり、真ん中のコタツか、と腑に落ちる。だかそこで終わらず、「に変わるワイン色の家具調のテーブル」と続く、修飾語が多い。目的語までの距離も無駄に遠い、目的語はどれだ?と、迷子になった感覚を抱く。読み手はこのたいして長くもなく、意味もない文章に行ったり来たりすることを一瞬強要される。 推敲する作者は、文章を行ったり来たりして読むことが前提としてあるので、結果、図らずも読書にそれを強いることになっている、いわゆる「悪文」に対してやや鈍感になってしまう。 それが推敲の罠、落とし穴であるといえよう。 | ||||
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ハードボイルドの傑作と聞いて読みました。 ストーリー自体は面白かったと思います。 主人公の私立探偵沢崎が格好いいという評価があるようですが、私はそうは感じませんでした。 ハードボイルドによくある、やくざに対してデカい態度をとるシーンがあるんですが、なぜデカい態度をとれるのかの根拠がないんですよね。 警察官なら、国家権力が根拠だし、ジェームズ・ボンドとかなら、格闘の腕や銃の腕などが根拠だと思いますが、この私立探偵は国家権力も格闘の腕も銃もないようで、それだと本来はやくざに痛めつけられて終わりです。 なのに、なぜかやくざも沢崎には頭が上がらず、いうことを聞くというのは、ご都合主義と言わざるを得ません。 もう一つ気になったのは、最後の犯人に行きつくのに十分な情報が読者に提示されていない点ですね。ミステリーとしては、不十分な気がします。たしかに意外な犯人なのですが、「ふーん」で終わりです。 | ||||
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「なんか読みにくいな」と感じ、休み休み読んだ作品で、熱中度は高くありませんでした 読みにくいと感じた理由ですが ・環七がどうとか、世田谷線がどうとか~、地理由来の固有名詞を並べた説明描写の多さ 東京に詳しい方なら情景が浮かぶのかもしれません 私にはチンプンカンプンで、それらを数行に渡って説明される場面などは、少なくとも「面白い」とは思えませんでした ・良く言えば重厚、悪く言えば無駄に長ったらしい描写の数々 皮肉屋さん(?)な主人公の人格の演出であろうと思いますが、彼の心理描写や行動描写等は、言い回しの妙を楽しむより、クドさを感じてしまいました(最後には癖になるかも?) そこに限らず、全体的に説明過多と言うか、物理的な特徴を書き並べた様な、無機質な心理・人物・情景描写が多い印象 その場面・人物がまざまざと思い浮かぶ(イメージ起こしは読み手の力による部分も多いので、文章の所為ばかりにしてられませんけど!)でもなく じっくり読める文章とも違った、情報の羅列を読んでいる気分になり、 作品全体のなんとなく薄暗い雰囲気も相まって、味気ない、砂を咀嚼しているような読書感覚に (1989年って「文字を削る努力」はあまりなされていない時代なのでしょうか) 休み休み、そして「地理的な説明文」等を勝手に読まなくてもいいやと判断して読み飛ばして読み終えましたが 綺麗にまとめられた雰囲気あるラストに、シリーズものであるらしいこの「探偵」の別の活躍を見て見たい、と思ったのも事実です 私は、本書をオススメミステリーで検索して見つけ、輝かしい受賞歴にも心惹かれて購入したクチですが 他の低評価レビューを見ても、やはりクドさや無駄な長さ、を指摘している人が複数いらっしゃいましたので 80年代の小説を、今新たに読者として読むことに、すこし壁が有るのは仕方がないのかな?とも思います 購入を検討していらっしゃる方に、まずキンドルお試し版をお勧めしたいと思います | ||||
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誘拐事件に巻き込まれ、犯人にも被害者にも関わりがないのに身代金の受け渡しに指定された主人公。いきなりそこから始まるので出だしからグッと物語に惹き付けられます。 本作が直木賞受賞作ということを読み終わってから知り驚きました。刊行されてからだいぶ経つだけあって今読むとさほど意外性や目新しさはないですね。誘拐を題材に扱ったミステリーで、意外性を持たせようとするとこういう犯人でこういうオチになるしかないのかなといった感じ。すでに似た流れの誘拐ミステリーを何冊か読んでいたため「こうきたか!」という痛快さは特に感じられず。刊行当時に読めていたらまた違った感想になっていたのかも。 そしてこの作家、文章にちょっとクセがあります。海外小説を読んでいるかのようなくどい言い回しと地の文でもびっちり隙間のない描写が目立ち、読んでいてやや息苦しい。 そして主人公にも一癖あり。勝手気ままな行動で捜査を引っ掻き回し、なにを言われても皮肉しか返さないそのキャラ造形がとことん合わず感情移入が本当に難しかった。作中、何度か主人公の生意気な言動に怒り狂う登場人物が出てきますが、思わずそちらに共感してしまうほど。こういうものをハードボイルドというのでしょうか。ハードボイルド小説は初めて読みましたが、本作がハードボイルド小説にあたるとするなら私はそのジャンル自体が鬼門だったようです。 色々書きましたが全体の構成力としては直木賞受賞作だけあって一定の水準は超えている印象でした。誘拐事件を取り扱ったミステリーをあまり読んだことがない人ならば今でも斬新に感じられる展開だと思います。差し引き☆3かな。 あと本作はシリーズ物なので、この小説から読むと少し取っ付きにくいかもしれません。話がわからなくなるということはありませんが、基本的には登場人物の人となりをすでに読者が知っている体で進むため、本作だけだとより感情移入はしにくいかも。 | ||||
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独特なので長たらしく感じますが、ハードボイルド感が自分にとっては新鮮でした。 昔の小説ですからね。 今の時代にはスピード感が合わないかな。 | ||||
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この種の本(和製ハードボイルドミステリ)を読み慣れている読者であれば、 安心して読み進めてゆける、(この種の小説としての)高いクオリティは保障されていると思います。 ただ、瞠目するほどの斬新さやサプライズはありません。そこがこのシリーズの長所であり短所でもあります。 | ||||
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逢坂さんや大沢さんほどハードボイルドでもなく 叙情ミステリーほどどんでん返しでもなく ただただ普通 普通に楽しめる小説でした | ||||
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襖を次々に開いていくようなどんでん返しが続く展開は良く練られた内容。後半にいたって急ぎ足になるのは構成という点で少々残念。ハラハラとする展開はそれだけで愉しめると思うが、それよりもいかにもハードボイルドな会話が、ジャズミュージシャンでもある筆者らしい即興の一フレーズを渾身一滴、という出来栄えなのが良い。現実世界の会話ではとてもではないが頭が回るとは思えない受け答えの妙味は、いかにも小説における会話の醍醐味… ということを感じさせてくれる。 「人間のすることはすべて間違っていると考えるほうがいい。すべて間違っているが、せめて恕される間違いを選ぼうとする努力はあっていい」 いやはや。クール。 | ||||
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原にしては今一の感じ 今まで読んだ作品が良かったので、それとの比較で感じたのかもしれないが。 | ||||
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「真相」に至るまでは、結構いいのである。「芥川賞」とか「学習院女子短期大学」とか、実在のものの名をはっきり出しているのが小気味いい。しかし「ホスピス」については、意味が分かっていないのではないかと思ってしまう。 そして、ああこのどんでん返しは、やっぱり失敗で、それまでの読者の期待の地平を陥没させてしまい、突如としてリアリティを失わせる。数多くの作品を書く作家が、いっぺんやった失敗ならいいのだが、寡作な作家の直木賞受賞作なだけに、この失敗は大きいなあ…。 | ||||
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私立探偵の沢崎は電話で依頼を受け真壁邸を訪問するが、待ち受けていた刑事たちに いきなり誘拐犯として逮捕されてしまう。いやおうなしに誘拐事件に巻き込まれていく 沢崎。だが、この誘拐事件には複雑な事情が隠されていた・・・。 この作品では、最後まで犯人の姿は見えてこない。動機もはっきりとはしない。登場人物の 中に犯人はいるのか?それぞれの人間の抱える事情の中に、犯行に結びつくものはあるのか? 先が気になり、ページをめくる手が止まらなかった。しだいに絞り込まれる容疑者だが、作者は 最後に意外な結末を用意していた。ほんのささいなできごとがやがて大きな渦となり、さまざまな 人たちを巻き込んでいった。最後に残ったのは、少年の傷ついた心だけか・・・。 やや冗長的な部分もあるが、しっかりとした構成と巧みなストーリー展開で、読み応えのある 作品に仕上がっていると思う。 | ||||
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一切の感傷を排し、クールに、粛々と丁寧に進められていく事件の真相解明作業。ヘビースモーカーが白い目で見られず、むしろ憧憬の視線を向けられる世界。 私自身は特にこのジャンルの小説に対して好悪の感情は持っていません。純粋に他のミステリー同様に話の筋が面白いかどうか、のみの視点から読みました。 たしかに、他のレビューにある通りディテールまでこだわって徹底してストーリーを組み立てている点に対しては素直に凄いと思いました。 しかし、他の解釈を許さないほどの決定的な物証が全くないにも拘らず、単なる私立探偵に真犯人が「すべてをお話ししましょう」とあっさり自白するのはどう考えてもありえないでしょう。 「最後に犯人の自白によって全ての謎が明らかになる」というのは名探偵の背後にいる読者に対するサービスにすぎず、リアリティがなさすぎます。 こうした手法に頼るミステリーが多いせいで、刑事事件の被告人が黙秘(正当な権利のはず)すると「真相を全て話せ!」と筋違いの非難をする人が出てくるのではないでしょうか。 だから3点しかつけられません。 | ||||
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探偵沢崎はかっこいいけど・・・終わりに近づくほど先が読めてくる。次の場面が予想できてしまい。「だいたいこんな感じで進むかな」と思ってしまいました。愛車(?)のブルバードの設定はなかなか素敵、これだけうまくブルーバード(現在のではない)をかっこよく表現できる人はなかなかいないのではないでしょうか・・・「古きよき名車」としてイメージできて、チトうれしかったです。でも・・・なんで日産ブルーバードをチョイスしたのかな沢崎のこだわりアイテムを見つけながら読むのは楽しいですよ。 | ||||
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探偵・沢崎が活躍する「そして夜は甦る」(処女作品)を読まずに、こちらから入ったのと、私が東京に住んだことがないので、状況を際立たせるであろう細かな描写を楽しめないのが残念でしたが、雰囲気はつかめましたし、飛ぶように進むストーリーを追いかけて楽しみました。登場人物は警察関係、被害者関係、犯罪者関係と多数ありながら、誰だか判らなくなるようなことはありませんでした。女性心理をもう少し描いてもらえたら・・・と思いつつも、ハードボイルドだからなあと考えました。第102回直木賞を受賞しています。(もう10年以上も前に書かれたと考えると意外に感じるくらい古くならない物語でした) | ||||
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