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秘密
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秘密の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.07pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全648件 121~140 7/33ページ
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きっしょく悪いロリコン趣味の小説という印象です 真面目な題材に潜ませた 「ロリコン趣味のおやじ」 「おやじの本当は娘とやりたい願望」 が 心底気持ちが悪いです 主人公が「意味もなくモテる」あたりに その、気持ち悪さの片鱗が見えています きっしょく悪いロリコン小説です | ||||
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私自身も娘を持つ父親ですが、結末が本当に辛かった。事故でそのまま妻を失った方が良かったと思えるほどの喪失感が沸き起こりました。 とても読み返す気になれないと思い数日が立ちましたが、胸のもやもやが消えず。 この話から何か教訓を得ないともやもやが消えないと思い、直子の視点でストーリーを思い返すことにしました。 なぜ直子は最終的にあのような生き方を選んだのか。 平介の何が悪かったのか。 そして最終的に、直子の決断は仕方がなかったのではという思いに至りました。 この先は私の勝手な解釈を述べさせて頂きます。 ネタバレもありますので一度読んだ方のみ見て頂ければと思います。 直子は死ぬ間際まで娘を案じた良き母であったと思います。しかし娘の体を自分が奪ってしまった。 自分がどうするべきかを考えた末、もなみがいつ帰ってきてもいいようにともなみとして生きる決意をする。 そしてそれに賛同してくれる夫がいる。最初の時点では平介も直子もそうした方が周りに変に思われないだろうという無難な道を選んだと思います。 しかしここから直子は将来もなみを取り戻す可能性にかけて医学の道を目指します。ストイックなまでに勉学に励み、その一方で平介の妻として家事もこなしています。妻を抱くことができない夫を気遣ってある提案もするところがかつての夫婦関係を思わせます。(平介はそういう気にはなれませんでしたが) ここまででも夫への愛情ともなみとして生きることを全うしようとする意志が感じられます。それは平介がもなみの父親として生きるという言葉に後押しされていたからだと思います。もなみとして生きることが当初の無難な道から明確な意志に変わっています。 ところが平介はどうでしょうか。妻が前向きに生きることを喜んではいるのでしょうが、妻にしているのは経済的援助と勉強を邪魔しないようにしているだけ。基本的に無関心です。見守るというのも一つの愛情の形だとは思いますが、小学生・中学生をやり直している妻を応援しているようには感じません。 そして共学の高校に直子が進んだことにより状況が変わってしまいました。 直子は医大に進むべく医学部志望の多い共学に進み、体力や集中力を高めるために部活も始めます。それでも平介の妻として家事をこなし、かつ勉強も励んでいます。 直子に落ち度があるとすれば、男子もたくさんいるテニス部を選んだこと。平介との時間をほとんど作らなかったこと。 血気盛んで精神的に未熟な男子高生の中で30後半の人間関係にも長けて男女分け隔てなく付き合えて可愛いときたらモテない筈がありません。直子も楽しんでいた節はあります。 ただ平介にはもう少し大きい器を持ってほしかった。 中身が直子ならそらモテるだろう、男子のあしらいも大変だね、くらいの気持ちでいればよかったのですが直子が楽しそうにしているのが面白くなく態度にも出てしまった。直子も突っかかってくる平介を避けるようになってしまいました。そんな態度を見て平介は段々直子の事が信用できなくなってしまったのでしょう。 平介にとっては妻です。妻がほかの男、しかも高校生の若造に言い寄られてはっきり断りきれない妻が許せなくなってしまった気持ちも理解できます。 直子からしたらどうでしょうか。確かに学校生活を楽しんでいます。しかし日常生活でまったく楽しみがなかったら苦しいでしょう。先輩という立場にある高校生を無下に断ることは難しかったでしょうし、学校のことを夫に話そうとしても不機嫌な態度を取られるのも辛かったと思います。 そんな夫を見たくないし自分も不愉快な思いをしたくないから平介を避けるような行動をとってしまった。 そして事件は起きた。 今までもなみとして生きることを応援し見守っていてくれていると思っていた夫は自分の事を全く信用していなく異常なまでの束縛を求めてきた。 直子は一度死んで自分が死んだことになっている世界を生きています。実家に帰った時に親や親族の言動から自分の居場所はないと悟ってしまう。 しかし平介がいてくれる。共に生きてくれる。そしてもなみが帰ってくるまで頑張ろうと決意したことを応援してくれている。と思っていたことが完全に崩壊してしまいました。 平介の妻として生きるなら進学なんて必要ない。目標を見失いどうすべきか分からなくなってしまった。 娘が生きているときの平介は良き父親であり良き夫であった。しかし直子が自分らしく生きようとすると平介は嫉妬に駆られて良き夫ではなくなってしまう。平介のことは大事だがこんな気持ちのままやっていけるのか。考えても答えは見つからない。でも体を重ねれば何か気持ちが変わるかもしれない。 すがる思いだったと思うが結局未遂に終わった。 ここに来て平介の心情に変化が現れた。自分は直子の幸せを望んでいたのか。 もなみとして生きようと前向きになった直子を苦しめてしまった。そして謝罪。 直子としては、申し訳ない気持ちになったと思います。今、自分を思いやってくれる夫はかつてのやさしい夫のままだった。やさしい夫をおかしくさせてしまったのは自分である。 愛している夫が乱れる姿は辛かったでしょう。そして娘に対してやさしかったことを思い出す。平介にとってはもなみがいた方が幸せなのではないか。 最初は試してみたのだと思います。平介はもなみが現れたと信じてくれるか。 上手くいき三人での生活が始まる。直子も喜んでいる平介を見て嬉しかったと思います。しかし自分の存在を完全に失くせるか葛藤があったでしょう。平介は直子が段々現れなくなることをどう思っているのか、その真意を探る方法の一つがもなみになっている時にもなみがいることが嬉しいか聞いたことだと思います。 平介は娘の問いかけに当然嬉しいと答えるが、直子としては平介の寂しさを押し殺した様子も感じ取ったのではないでしょうか。 自分がいなくなることを平介は望んではいない、だが自分よりももなみがいた方が平介は幸せになれる。 直子ともなみのいる時間が逆転していくのは直子が気持ちの整理を徐々に付けていったのだと思います。 そして決め手は運転手の息子(おいおい、とここに来て思いますが)を見初めて平介を忘れられる予感を感じ、良く言えば直子としての自分と決別し新しい人生を歩むことを決意する。 悪く言えば、平介の事は元夫と割り切り父娘としての関係にする。もちろん父親として大事にします、的な。 そして未練を完全に断つため、思い出の地を直子としていられる最後の場所に選び大好きだった夫の胸の中で泣いた。 以上のような気持ちの流れが直子にはあったのではないかなと思って、自分の中では納得させました。 直子としては平介に幸せになってほしかった。でも自分を押し殺してまで上手くやっていく自信がなかった。 だから直子は二回目の死を自分で迎えたのだと思います。 平介が直子の心情を思いやって応援できていたら。 直子が平介との時間をもう少し持ってあげられたら。 早い段階でお互いが自分の本音を打ち明けて理解し合えていたら。 そう思わずにはいられません。 これがこの本を読んだ私の教訓となりました。 最後に、冒頭に書いたように読み返す気になれなく本を人に貸してしましましたが、返ってきたら直子の気持ちになって読み返してみようと思っています。 | ||||
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ネタバレ) なんでこんなに、ぽんぽんと会話だけで物語が進むのか? ドラマの脚本だって、こんなんじゃないと思う。そこに、白けてしまいました。 あと、父親が娘(の体をした妻)を、娘(の体をした妻)が父親(というか夫)を、体ばかり求めているのが気持ちが悪かった。 実際には、恋愛だけでなく、新しい夢や、同級生との学校生活に、邁進する若い妻に、おいてけぼりを食う夫の悲しさもありましたが。 あと、普通の主婦だった直子は死んで、 医学部に入ってやり直す、という話をした時の、「男にしがみついて生きてるなんてみじめ」だなんて発言をよどみなく、当の本人に言うなんて、一度消えて生まれ変わった命だから、言えちゃうんでしょうか? 男のがみじめでしょ、これじゃ。 人は、自分の満足のために人といるんではなくて、人と一緒にいることで満足するんじゃないのか? 直子は死んで、人生やり直してるけど、平介は、やり直せないんだよ? だけど、再婚することはできるのに、 最後の行為は、心の底では、平介を他の人にとられたくない、って思ってるようにも感じた。 二人は、結ばれないのは分かる。 悲しいことです。 そこまで愛した夫に、 あなたの妻で良かった、と言えないで、あんなこと言うのは、変だよ。 なんてゆうか、これ、感動する話ではない気がする。 特殊な状況におかれた場合、男は女は、どんな風になるかを妄想して、会話劇にした。って感じです。 読めたし面白かったけど、 気持ちが悪いし、変で、大切にしたいとは到底思えない作品。 | ||||
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妻と娘が事故に遭い娘だけが生き残るが、それは娘の外見をした母親だったという設定は一見SF的ではあるが、母親がタイムマシーンで過去に戻り、青春をもう一度経験しているような不思議なストーリー。この突飛で斬新な設定だけで読む人は引き込まれてしまう。 外見は娘なので娘として振る舞わなければいけないが、それは夫婦の関係に微妙な影響を与えてしまう。秘密を共有すれば夫婦の絆は強まるけれども、その秘密が2人の負担になるような秘密だったときは、お互いが辛くなってしまうということを考えさせられる。 巻末に女優の広末涼子の映画版の体験記が掲載されていて、外見は自分のままで中年の女性を演じる苦労が書かれていて面白い。映画版は結末に別の読みが生じる余地を残すが、小説の方はやはり東野のいつものモチーフで仕上がっていて、違いを味わうのも面白い。 | ||||
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ストーリーは引き込まれるものがあった。が、娘の体を持った母のノリが軽いところがあり、不自然さを感じることがあった。ラストは蕁麻疹が出そうだった。平介がこれまで以上の苦悩とジレンマを抱えながら生きて行かなければならないからだ。何ともいたたまれない気持ちになった。 | ||||
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東野さんの作品は人間の心の機微について書いていながら、非常に論理的というのが特徴だと思います。本書でも「娘の肉体に母親が宿る」というSFを、実際にその状況に直面した母親の行動を論理的に推理して最適解を出していきます。 しかしそのような論理性を超越して本書の語り部、平介の妻であり、藻奈美の母である直子は非常に魅力的に書かれています。作中で直子が経済的に自立していないことを卑屈に感じる場面がありますが、その実直子ほど自立した女性も稀だと思います。彼女はこの状況にもめげず、親子三人が幸福に暮らしていける道を探り、最終的に非常な決断を下します。 | ||||
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たしか、これは広末涼子主演で映画にもなってたのですよね...観たことはないけど、題名は知ってるレベル。 と、うっすらとした記憶とともに読み始めてみると、どうやら娘さんの年齢設定は映画とは異なるようですね。 と、読み進めていくうちにどんどんハマるハマる\(^o^)/ 現在のワタクシがちょうど6年生になったばかりの娘を持つこともあってか、情景を重ねやすいこともあるのですかね? 斬新な設定。 適度でテンポよく、心地のよい展開。 そして、藻奈美になった直子が年を重ねるごとに微妙になっていく平介との距離感と、平介が自分であったならばどうであろうか...と、読み手の心を駆り出して物語に巻き込む深い描写。 そして「秘密」。 ただ、個人的には、最後の「秘密」は秘密のままにしておいてほしかった。 その「秘密」は、そう思わせるほど、この物語を一層も二層も深く輝かせる「秘密」なのでしょう。 ベストセラーのベストセラーたる所以をひしひしと感じさせる力作とお見受けしました。 個人的に印象に残っているのは、最後の「秘密」はもちろんのこと、加害者となった梶川氏のもう一つの家族に対する態度・言動。 いつぞやどこかで、「愛する」とはコミットすること...といったようなのを読んだことがあるように思いますが、自らの意思で決断し、その決断に責任を負うこと。 その重みや意味合いを、歳を重ねるごとに実感する今日この頃。 | ||||
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今まで多くの作品の中でもダントツに切なく後読感が切なすぎる。東野作品は好きだが、これは頂けない。途中読みながら落とし所は、夫婦で親子だが夫婦としては離婚で決着と思っていたが裏切られた。なぜ直子はセックスにこだわったのだろう?男親は娘に手は出せんよ。やはり二人は離れて暮らすのがベストだった。読書で最高の時間をもらえたが、二度と読みたくない。一生、忘れられない作品。 | ||||
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人は死んだら、天国に行くか、地獄に行くか、浮遊霊になるか。 別れは突然に。 始まりがあれば、終わりがある。 現世に遺された者の想念が、死者の魂を引き留め、他人に乗り移り、頭では理解しても、受け入れたくないという思考が、仮想現実を創り出す(マトリックス)。 新たな立場を受け入れ、演じきる覚悟を決めた時、はじめて変態できる。 強く想い、成りきった時、引き寄せのパワーが発揮される。 人は死なない。 どんな事故にあっても。 寿命があるかぎり。 故人を思い出すことがなくなった時が、本当の死。 秘密は女性を魅惑的に彩る。 人生という名の片道列車、もう一度やり直せるなら、貴方はどう生きますか? | ||||
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何故か「秘密」と「手紙」を誤解していて、犯罪を犯した身内が収監される話なんだと思い込みながら読み進めていたら全然関係の無いファンタジーでした。 映画を観ていないこともあって先入観もなく読みましたが、運転手の遺族に対する他の遺族の仕打ちなど、突き刺さる所があって色々と考えさせられます。 父親が娘の体の成長について生々しく発言するシーンや、そういう事を致そうとするあたりが苦手だったのと、冷静に考えると容赦の無いラストが結構つらいです。ファンタジー設定なのに、お母さんの選択が現実的過ぎて悲しい。 お母さん、それは狡い……。 | ||||
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いやまあ映像化もされているそうですが 帯や紹介文を読んで正直買って失敗したなーと思いました。 娘の体に妻の意識が宿るとかないわー・・・ でも読み進めるうちに主人公に感情移入してしまい、200ページくらいから最後まで 就寝予定時刻を大幅にオーバーして読みきってしまいました。泣きました。 設定を受け入れられればとてもいいお話だと思います。 既婚男性はキツイですので覚悟して読んで下さい。 | ||||
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友人に「東野圭吾といったらまずはこれ。とにかく最後まで読んでみろ」と勧められた私は東野圭吾はミステリ小説を代表する多作な作家ぐらいにしか知らなかったので、この小説を読み始めた私は「事故で娘の中に母親の意識が入り込む…?これは最後の最後で実は娘が母親を演じているんじゃないか?」とどんでん返しに備えて、最後まで読み進めました。 が!まさかの展開! そう!これはミステリ小説ではなかったのです! 娘の中に母親の意識が入り込む… これはもう作品の根幹として揺るがないものだったのです! 最後の展開も「ええ…今まで亡くなったバス運転手の家族の話とか被害者の会の話してたのに、そこらへんはもうただのストーリー要素でしかなくて、伏線も何もないじゃん…」となって、「秘密」を知っても、「あっそう…」としかなりませんでした。 確かに皆さんのレビューを見ると、夫婦の絆のような表しがたい何かを夫である平介の視点から繊細に描写していたのでしょうが、私自身謎解きに期待していたので全然描写そのものに感動するみたいなことはなかったです。 一つだけ言えることは「ミステリ小説ではない」ということを最初に知って、この物語を読めばまた違った、それこそ皆さんのように、作品自身を色々と解釈できたのかな、と思います。 東野圭吾という作家名と日本推理作家協会賞という名前には目をつぶって、本作を読みたかったです。 …ちなみにこの小説読んだあとに日本推理作家協会賞について、調べたら全然ミステリじゃなくても、賞は作品に与えられるみたいですね。 じゃあ、「推理」とれ!「日本作家協会賞」にしなさいよ!泣 | ||||
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バリバリの殺人ミステリーが好きなのに買った私が間違いな一冊です。ヒューマン系ファンにはたまらないかも! | ||||
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なぜ高評価なのか、わからない。 感動よりも違和感があり過ぎて、直子の言動には共感できない。 私にも小学生の娘がいるから母親としての感情から直子の言動を見た。 まず、ありえないのは身体は娘のものなのに、父親である平助にセックスをしようと自分から迫ること。 あり得ない。近親相姦を娘であるモナミが望むだろうか? しかも、止めたのは父親である平助。もし、止めなければやってたでしょう。 この流れ自体、母親ではなくただの淫乱狂の馬鹿女。 医学部に頑張って進学したのも、娘のためではなく自分のため、直子という平凡で自立できない中年女性が、もう一度、自立を目指して、自分のために医者になることを実現しただけ。 モナミの意識が戻る演技も、陳腐でまったく共感できない。 男側の勝手な目線で書かれた、変な話。 直子の意識があると平助が気づかないように指輪なんか小細工しなければ、よかったのに。 平助は、でも直子の意識があるモナミが嫁いだことで、結婚当初はショックでしょうが何年かすれば、多分、性的な相手、彼女が出来るのではないかと、思う。 とにかく、要所要所であり得んだろう!という直子にまったく感情移入できず、さらに平助にも感情移入できず、残念な話でした。 高評価、泣いた、感動した、とかが本当に理解できません。 | ||||
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東野圭吾の本を、最近良く読む。この人は「推理作家」と一言で括るのが難しい。守備範囲が余りにも広いからだ。本作は日本推理作家協会賞を受賞しているが、そもそも推理小説と呼んで良いのかも曖昧である(まあ、小松左京の「日本沈没」に授賞している時点で、「日本推理作家協会賞受賞作=推理小説」では無くなっているんだが)。東野氏の著作が読みやすい事は、多くの方が認める所だろうが、それは「結局は移動時間などの暇潰しで読むものであって、本腰を入れて読むものではない」という事にも繋がる。素っ気なさすら感じられる東野氏の文章は、食い足りなさを覚えてしまう。 本書は人間ドラマである。推理小説ならば、 人間を将棋の駒のように動かしたり、人物描写が浅薄であったりしても、多少は多目に見る事が出来る。もちろん程度問題ではあるが。しかし、人間心理の描写の精密さが求められる人間ドラマでは、そこを看過する訳にはいかなくなる。本書に登場する人間は、どいつもこいつも薄っぺらい。物語の導入部、直子と藻奈美の入れ替わりが判明した後も、平介と直子の間に、当然あるべき葛藤などは微塵も無い。藻奈美の死や、いつか藻奈美が戻ってくるのではないかなどという事は一切考えない。「信じられないけど奇跡が起きた。いやあ、良かった、良かった」で済ませられる話ではないだろうが。 その後のストーリー展開も酷いものだ。平介は、すっかり歪つになってしまった夫婦関係を維持しようとするが、それは無理な話だ。直子は藻奈美として人生をやり直そうとしている。いくら言い繕った所で、「杉田直子としての人生をもう一度歩むのはごめんだ」という本音は隠せない。しかし、直子の状況に適応する力は半端ではない。下手をしたら「事故から助かったのは良いが、その時のショックで頭がおかしくなった」とも思われてしまいかねないような危機を、易々とクリアしていく。それに、高校生の時には、自分よりも(精神年齢が)30近く離れた相手と恋愛関係になる。そんな事はあり得ない…とまでは言わないが、直子はショタコンだったのか? 平介も「直子はいつまでも自分の妻」というユートピアに居続けるために、手紙の検閲や盗聴(!)までしてしまう。嫉妬に駆られての事だというのはわかるが、やっぱり気色が悪い。本書を低く評価している方々は、直子の身勝手さをあげつらっているが、平介の方もなかなかだと思う。オナニーは出来ても、風俗では役立たずというのも「そうなのか?」と思った。それにしても、性的な描写が多い作品だった。 一番おぞましかったのは、藻奈美の身体でありながら、平介と性交渉を持とうとする直子。バカな事を言うなよ。いくら心が愛する伴侶のものでも、実の娘を抱けるような鬼畜な父親がいるか? それが成立するのはエロ本やAVだけであって、本書のような作品では絶対に持ち出してはいけない事だ。仮に、直子が男の身体に憑依したとして、散々葛藤した挙げ句、平介が「中身は妻だから」と性交渉を持ったとすれば、LGBTに関わる人たちの間では「美しい愛の形」と受け止められるかもしれないし、異性愛者としても理解出来ない訳ではないが、近親相姦となると話は別だ。 そして訪れる破局(敢えてこう表現させていただく)。平介にも色々と問題はあっただろうが、やはり直子の決断は、読者としては受け入れ難い。藻奈美として生きる事を選んでも、心はあくまで直子のままなのだから、どう好意的に解釈しても不倫は不倫である。しかも相手は、自分の娘を事故に遭わせた男の息子。突っ込みどころが多過ぎて、もう何も言う気が起こらない。直子が「お父さんの孫よ」と言って、自分の産んだ子供を平介の元に連れてこられるか? レビュアーの方々も、このラストには否定的な方が多いようで、ホッとした。 感動する訳でもなく、ただただ不快なだけの読書というのも、なかなか体験出来るものではない。貴重な体験だった。本書を誉めている方は女性が多いような気がするが(あくまでイメージ。本書が大嫌いという女性や、本書のファンであるという男性には謝罪させていただく)、直子と平介を逆転させてみた場合、それでも感動できるかどうか、是非考えてみていただきたい。こじつけになるが、男女同権というのはそういう事ではないのかい? 「男の悲劇なら感動するが、女の悲劇は腹が立つ」というのなら、その人は似非フェミニストだ。 | ||||
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楽しく読ませていただきました。 とても満足できる内容でした。 ありがとうございました。 | ||||
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面白いが、読んでいて 疲れる本でした。 レビューにもいくつかある、 二度と読みたくない本という言葉は、 ある意味では、褒め言葉として 捉える事が出来ると思います。 それ程、人の心を揺り動かす 物語として、 機能していることだと思います。 それは本の役割としては、 冥利に尽きるんではないかと思います。 それにしても、 東野圭吾さんは心情描写が 上手ですね。 設定自体はシンプルで、 本来なら起こり得ないことなのに、 物語の中にぐいぐいと 引き込まれました。 オチは若干ツッコミたくなりますが、 一度は読む価値ある作品だと思います。 映画 Dancer In The Darkに似た、 ある種の救いのなさが そこにはありますが。 | ||||
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即ち『この結末で良かったのだろうか?』と。 そういった意味では北崎拓氏の『このSをみよ、クピドの悪戯』同様、賛否両論分かれる作品であろう。 まぁ直子が平介の決心を知り藻奈美として生きて行く決意をしたのは良い。 ただ残酷だなと思ったのは、『自分が直子のままである』と分からせる様な事を何故したのか?←この点。 他の方のレビューにもあるが、これからの平介は或る意味で"若返った元妻とその旦那の仲睦まじい様子を人生が終わる瞬間まで見せつけられる"訳である。元夫をこれほど残酷な目に遭わせる位なら指輪はぬいぐるみに秘密は胸にしまい込み完全に藻奈美として生きて行ってくれた方が八方丸く収まったのに(';ω;`) そもそも人間の決意や感情ほど不安定で脆いモノは無いのだから、平介と直子演じる藻奈美がふと二人きりになり 万一"焼けぼっくいに火"が点いたりしないとも限らないではないか(・ัω・ั) 確かに小説の仕掛けとしては面白いが読者(特に男性)が平介の立場に感情移入してしまうと非常に切なく やるせなくなる作品であろう(-_-;) | ||||
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既婚30代女性、小学生娘持ちです。 私が直子だったら?…いやいや、有り得へん、そんな状況考えられへん… それでもどうにか直子の立場になってみました。 まず、身を呈して助けたかった娘の精神(魂)を追いやった自分、を許せません。どうにか自分が出て行って娘の魂を呼び戻す事ばかり考えます。直子のように今の状況を割りとすんなり受け入れる事なんてできません。娘を失った悲しみでおかしくなると思います。 モナミとして生きていく、と決心したら、 いつモナミが帰ってきても社会に溶け込めるように、モナミ宛に毎日事細かに日記を書きます。モナミが苦労しないように、モナミの身体を借りているだけなんだから、娘が帰って来た時の事を前提に社会生活を過ごします。常に娘の事を考えて行動します。母とはそういうものだと思います。 勿論、初めてのキスも男性とのお付き合いも結婚も、娘のもの。母が勝手にすべきではない。 恋愛面での直子の様な振る舞いは到底理解できません。自分が鏡を見る度、映るのは最愛の娘。 母である自分じゃないのに… ソウマのクダリの時だけ精神が10代の子供みたいになって都合良すぎます。 気持ち悪い。直子はどうしたかったの? モナミの意識がもしどこかで母の行動を見てたら、とか考えないの? 夫婦については、どう考えても、どうなっても、身体の交わりは持てない事位わかるので、今後についてどう生きていくか早いうちから散々話し合います。 自身としてはこうなった以上、モナミが帰ってくるのを待ちつつ父、娘として平介の側にずっといるのを希望します。交われなくても夫が心配だから、娘の為にも夫のそばにいたい。 でも夫婦にとってSEXは大切だと思います。 夫が新たな恋をした時に、モナミが帰ってきた演技をするかもしれません。 それはそれはショックだと思います。 でも自分は娘に勝手に、自分の選んだ人と結婚等しません。 だって…ほんとに…毎日鏡に映る娘の顔を見る度、そんな気にならないと思いませんか…? ここまで真剣に書いてバカらしくなりました。 やっぱり全てが有り得へん!! ラストの、指輪の……ですが、 直子の、ただのエゴです。 平介が可哀想で胸が苦しくなりました。なんてなんて浅はかで残酷な…! でも魂がどこかに行ったモナミが一番可哀想か… モヤモヤが止まりません。 | ||||
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心理描写が巧みですっかり感情移入してしまったためラストはかなり引きずりました。 夫婦仲の良い、娘を持つお父さんなんかが読んだらいたたまれないでしょうね。 ぜひ読んで下さい。 | ||||
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