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秘密
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秘密の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.07pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全642件 201~220 11/33ページ
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父親の潜在的な娘への性欲みたいなものを描きたいのかと思いました。 心は愛する妻、体は娘、男の欲求満たしてるじゃない。 結局行為には作者も、主人公も踏み込めず、ぼやけたまま。 被害者家族としての心情もくどく書かれていて、しつこすぎて自分の首を絞めているだけにも感じます。 ただただ暗くて決して光を射させない意図も感じましたし、そこまでして暗くしたいか。 もうちょっと短いストーリーのほうが読みやすかったかも。 | ||||
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多くの方がおっしゃるように、この作品は読み進めるうちに他人事ではなくなる。 つまり、平介と直子のいずれかに感情移入してしまうのだ。 本作の設定は“現実には決してありえない”にもかかわらずだ。 そして読後には、何ともいえないやり切れなさを実感することになる。 私はこの「驚異的な現実感」こそ、本作の高く評価する部分だと思っている。 特に結婚をしている方には、ぜひ読んでいただきたい。 もちろん、フィクションとはいえ非倫理的な内容が含まれるため、 そういった内容には触れたくない、または触れさせたくない場合にはオススメはしないが。 それにしても、平介と直子の心理的な動きが、あまりにリアルすぎる。 二人が本当に互いを思い合うからこその、避けられない展開。 最後に描かれる“大人な”判断。胸がえぐられるような結末。 東野圭吾の描く日常的な悲劇感を、本作では読者に体感させている。 その意味でも、やはり精神的に成熟している読者でないと 本作を受け止めることはできないだろう。 | ||||
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あんまりにも映像化された作家って、選ぶとき注意しないとね。 これ、10ページで読むの止めました。 つまらん | ||||
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とても良い商品でした。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。 | ||||
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白夜行、秘密、あとは忘れたがどちらも最低だった。白夜行は犯罪者に肩入れして酔っているだけの作者。こっちは、母親というものをまるで理解していない作者。まあ、この母親のほうがよほど白夜行の女より病んでいるかもしれぬ。 言ってみればこれは究極の「虐待」である。父親と性的な…などはいくら自分の精神が妻でもあり得ない。 ラスト、他人と結婚という結末をあっけらかんと選ぶ母親。 おぞましい。 また、父親もいつからか娘を忘れたようだ。 大体いくら若い娘でも血縁である自体で「性的」欲求を抱けると思うとは、世の父親を汚している。なぜこれが感動し、名作であるのか。 あだち充の「じんべえ」も気持ちが悪かったがこれは遥かにそれを凌駕した。この母親の気持ちを理解できる女性がいることに鳥肌がたつ。 | ||||
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※削除申請(1件)
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ただただ平介が可哀相。 ラスト、世にも奇妙な物語のおばあちゃんという話を思い出しました。 そしてどう解釈してもコレだけは言える 直子はしね!!!! | ||||
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他の方も書いていましたが、二度読み返す気にはなれないです。特に結末の下りは。どういう意味で妻は涙を流し号泣したのか?悲しみや罪悪感、それだけではなく、喜びや嬉しさといった気持ちもあったのでは? 複雑です。感情移入して読むと男性は、かなりツラくなると思います。【私は何度もよむのをやめました】 ある程度予測した結末なのですが、もう少し早い段階で訪れると思っていました。【高校に通っている時点で】しかし、読み進めていく内にこれはハッピーエンドになるのかなと思わせてからの、結末部だったので本当に 衝撃的というよりショックでした。人間の欲求の前では、理性や愛情など価値のないものだなと思います。太陽と月 オーロラと肥溜めくらいに差があるのだなと思いました。 色褪せるし、霞みます。ともあれ ここまで感情移入出来たのだから私には名作だなと強く思いました。 | ||||
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娘と母が入れ替わったときに娘が母の振りをしていたら最低の小説だなと思っていたんですが、最後にその逆が起きてしまったので、思わず吹いてしまいました。 | ||||
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お決まりのトリックで最期を締めくくるパターンであるが、亭主の方もそういう決断を一旦したんだから、再婚なりして、自分の幸せ見つけたらいいんじゃないかと思うのだが。私だったら、最後のシーンで、平助が娘の学校の先生か誰かと結婚しており、一緒に娘の結婚式に参列するようにしたいかな。でも、今いてくれている嫁さんに感謝したくなるのは確か。今度、初デートの場所にでも連れて行こうかな。 | ||||
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どうしてこんなに本気で 惹きこまれてしまうのか 知らなきゃよかった、こんな本… って思いながら完読。 読み進めるのが辛すぎました。 彼が一発殴らせてくれという気持ちが 痛すぎるくらいでした。でも彼女も “こういう風にしか成立しない愛情” に悩んだ結果なんですよね。 娘の体で娘の分も生きると決めた部分も あったと思う。疼痛がしました… 思い切り泣きたくなる気持ち…ひさびさでした。 | ||||
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私は、小学生の娘が二人いるアラフォー夫婦です。妻とは比較的なんでも相談し合い愛し合っていると思います。その私の視点からの感想です。まず、もし自分が結婚していない時期に読んだのなら全く異なった反応をしたと思います。 平介の直子に対する葛藤は非常によく分かり感情移入しました。基本的に楽観的な私は本を読んでもそれほど影響されることもないのですが、この本は読んでいる途中から、かなり心を揺さぶられました。 とにかく男目線で書かれているので、男の人で妻を愛している気持ちが分かる人ならば切なくなります。 直子が彼氏らしい人を作り、それを許せないが許すしかない状況になったあたりで、もし自分だったらどうするか?などと考えると耐えられそうになく、自殺するかもとか考えてしまいました。(普段はそんなことまったく考えないのに) 妻に話をすると女性は女性ならではの捉え方をして、直子の苦悩などに話が行くのですが、これはあくまで平介の苦悩として共感すると良いと思います。 私は読んでいる途中から妻のことが非常に愛おしく感じるようになりました。今日消えない妻、そばにいてくれる妻に感謝と有り難い気持ちを感じることができて、幸せをよりかみしめています。なお読後の胸を締め付けるような思いはしばらく続いていますが… そういう意味でも、直子が消えたのか生きているのかなどは、置いておいて過程を思いっきりはまって、一緒に苦しんで、楽しむ?ことができればよいのではないかと思います。 | ||||
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結末は、いろいろな評価があるかと思いますが、 私は現実の愛情というもの見直すいい機会を与えられたと思っています。 筆者の本を読むたびに感じるのですが、あーこういうアイデアがあったのか!と 感心させられます。 お暇なときに、ぜひ、読んでみてください。 | ||||
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自分は31歳のしがない公務員です。 東野さんはよく読むのでこの本も手にとりましたが、痛いほどレビューの方々の気持ちが痛感です(TT) ストーリーは非常に文句のつけようのないできあがり。いつもの東野さんです。これは間違いないです。 しかし、内容は特に男性にとっては酷なものになっています。これは要注意です。 過去のレビューで「ページをめくるのがつらい」とか「これではあまりに主人公が可哀想すぎます」とか 「読む価値はあるけど二度と読み返したくない」という意見を拝見しましたがまさにそのとおりです。 本当に自分も涙が止まりませんでした。 小説としては、一流です。特に女性は気兼ねなく読書していいと思います。 | ||||
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私は、東野圭吾さんの作品が大好きで作品を読んだのはこれが初めてではありません。本が嫌いだった私に本を読むことの楽しさを教えてくれたのも東野さんの作品です。 今までで一番好きなラストシーンは「分身」です。あのラストシーンのお陰で、それまでの物語の経過に死者が出たり上手くいかなかったりしても最後に「この作品を読んで良かった」という感情に浸れました。 「秘密」は、平介の妻直子の既婚者だという自覚が少しづつ薄れていくことが伺えるシーンがとても読んでいられませんせした。どうやら私は読んでいるうちに平介にかなり感情移入をしていた様でした。クリスマスイブの出来事も、本当に相馬に自分を諦めてもらいに行ったかどうかは直子の発言だけでは本当かどうかはわからないと疑っていましたし、盗聴器のことも平介の状況からしたら当然の行為であり、お風呂場での直子の発言にまでも終始イライラが止まりませんでした。 そしてあのラストシーン。「直子は本当に平介を愛していたのだろうか」と怒りがこみ上げてきました。結果論ですが、藻奈美の魂を奪い藻奈美の人生を変わりに楽しみ本当の藻奈美をこの世から消してしまったのは直子ではないか。たくさんの選択肢があったにも関わらず平介を騙し平介を捨てたのも直子ではないか。と思いました。かつて愛を誓った平介がこれから年老いていき一人で暮らしていくことを、自分は別の夫を作って放っておこうとする直子が許せませんでした。今後直子がこのことに後悔するのかどうかは誰もわかりません。けれど文也と結婚するという所まで進展した経過を考えるとそんなことは無さそうに思えます。以前の相馬の時と違って平介に何一つ口出しされずに文也と交際していた直子と、それを娘の成長だと父の目線で見守る何も知らなかった平介を考えると胸が痛いです。 もし、私があのラストシーンを書きかえられるならいずれのどちらかにしたいです。1つ目は、直子の秘密が完全な物となってハッピーエンドかと思われたが、最後の数行で私たち読者にだけはその秘密が明かされるというもの。その時点で、私たちはきっとかなりの衝撃を受けることだろう。しかしそこに、直子と藻奈美を大切にし続けた平介が報われなかったあの涙のシーンは無く、直子の心情がほぼ完全に割り切られてしまったこと、人間の残酷さを知るばかり。そして2つ目は、平介が直子の決断に耐えられず直子を自らの手で殺してしまうというもの。少し残酷すぎるかと思われてしまうかもしれませんが、その報われないラストは平介のものだけでなく直子のものでもあり、この本を読んでいる平介に感情移入していた人々にとってはモヤモヤしたラストとはならなかったのではないだろうかと思いました。 ただ東野圭吾さんのファンの1人として、東野さんが何故このラストを選んだのかをもう少し考えてみたいです。 | ||||
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私が直子だったら娘が死んだことだけは絶対信じたくないので自分は母の記憶を持って蘇った娘の方だと信じ込んだと思う。当然もなみとしてしか生きられない。 だから最後はどっちかなんてそんなに重要? 直子は事故の時に死んだのだ。最初に直子の記憶がある事を平介に話したのが間違い。母は自分を殺し娘である自分を幸せにしたのだから最良の結末。 もなみを直子にしてたのは平介だけ。普通は事故で頭のおかしくなった娘としか扱わない。だいたい肉体も娘もいないのに自分は直子だと夫を説得する必要が直子にある?娘を失った母であるには若い肉体はあまりに前向き思考。どっちつかずはもはや第三の不気味な生き物。嫁にもらう人がいてありがたいよ、殴るかフツー。結局人は孤独。良いように考えよう。そもそも 事故で母の記憶を持たされて自分を母だと思い込んでいる娘なんである。 頭がおかしくなって他の記憶が混ざっても娘の肉体に宿る魂が娘です。 | ||||
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女房を愛している人は読まれない事をお勧めする。 非常に素晴らしい東野文学の最高峰であることは間違いない。 容疑者Xの献身も、この本には遠く及ばない。 すでに読んで数年経つが、思い出すと何とも言えない嫌な気分になる。 こんな本、他には無い。 | ||||
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ストーリーは楽しめました。 読みやすく、ページをめくる手が止まりませんでした。 だけど・・・正直、直子の言動は理解できなかったです。。。 作中、主人公の視点でしか書かれていなかったのもありますが、心は妻でも、体はもなみなのに・・・夫と行為をしようとするところが、本当に理解できなかった。。。 知り合いも言ってましたが、心と体の年齢が合わないのは、少し気持ち悪いかも。 そしてラストの「秘密」。これも、平介のためなのか、読み終わった今でもわからないですね。なんだか、読後もやもやしちゃいました。 私は未婚なので、夫婦関係がどんなものか、わかってから再読したら、もう少し考えはかわるかも。 | ||||
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まず「好き」か「嫌い」かで言えば、☆3つ。 小説としての評価で言えば☆4つです。 この作品は私情がかなり入ってしまう故に非常に評価が分かれると思います。 ですので、個人的な好き嫌いで言えば嫌いな部類なので☆は3つ。 作品としては、文章の稚拙さが気になったので☆4つ。 とにかく後味の悪い作品です。理由はやはり平介に対する救いがないこと。 妻・直子はやはり身勝手だと思いました。 理由は、平介の「父としても」「旦那としても」「男としても」生きられないことに対するフォローがあまりなかった点。 平介は「再婚するつもりはない」と明確に直子に意志表示していますが、 直子は平介の妻としての精神的な役割を自ら蔑ろにし、妻であり続けるという意思表示もしなかった。 モナミの為とは言ったものの、それ以上のことまで踏み込んで行動しており、やはり人生を再度エンジョイしてる感は否めない。 つまり、モナミの為とは言ったものの、途中から自分のためになってしまっている。 おそらく作者は「人生をやり直す」という意味でも「直」という字を使った「直子」にしたんだと思います。 この話は「親子愛」の話ではなく、「親子愛から自己愛に傾倒しつつある妻と、夫婦愛を保とうとする夫」の話だと思います。 モナミの体を手に入れた直子の葛藤も大きかったことでしょう。 なんせ、1日の大半をモナミとして生きるわけですから自我に何らかの錯覚が起きるのは当然です。 しかしながら、夫に対する愛情は消えたかと言えばそうではない。 ラストの指輪の下りからも分かるように今でも愛情はあると思います。しかし、それに伴う行動や言動はやはり不足していた。 最後の直子との別れのシーンも「忘れないでね」と愛情が伺える言葉がありますが、やはりずるいなぁ・・・と思いました。 夫の幸せを願うなら「忘れてくれ」と伝えるべきでしょう。 結局、「愛する者の為に最良の選択をする」という行為を全うしなかった直子には嫌悪感を感じました。 残念ながら、直子の「モナミとして生きる」という選択は平介の辛さと比べたら、まだマシだと思ったので感動はさほどありませんでした。 そもそも1日の大半をモナミとして生きてきたわけだから、平介の前でも同じことをすればいいだけです。 それよりも平介です。「父」にもなれない「夫」にもなれない、「男」としても生きられない。これほど惨いことはない。 彼はモナミが結婚した時には既に50代でしょうか。再婚も難しいですね。 「誰か」のために「何か」になりきることすら許されなかった平介の幸せを願わずにはいられなかった。 男の本能的な独占欲を掻き毟るような描写が多い作品ですので、途中で読むのが本当に辛かったです。 | ||||
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最初に読んだのは、高校生のとき。 こんな小説があるんだと驚いた記憶があります。 未だに東野圭吾の最高傑作だと思います。 | ||||
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映画版・小説とも最初は切なさの余韻が勝っていましたが、何かしらすっきりしない違和感を払拭できないままでした。ここでの皆さんのレビューを拝見して再読後の感想を綴りたくなりました。 この「秘密」は、ブログにもラストの解釈や直子の生き様について相当数のやりとりがされているようです。直子の生き様に関しては、男性・女性とで意見が大きく別れるものだと再認識しました。 著者東野氏は、このような読者からの反響が沸くのを最初から目論んで書いたのではないかと想像してしまいます。とすれば、読者はまんまと術中にはまってしまった訳ですが・・・。 8章で直子は娘の藻奈美の身体で生きていくことを平介に問い平介も同意しています。指輪について、直子はいつでもそばに置いておきたいとぬいぐるみに隠し、二人の秘密と会話しています。この指輪の件が、終盤の藻奈美に戻ったのではなく直子が棲み続けていたのかと驚愕に繋がります。でも冷静に考えると、直子と藻奈美が入れ替わるようになったときノートにこの下りを記していれば、直子が棲み続けていたのかという驚愕の証拠とはならないと思うのです。ここが東野氏のずるいところです。敢えてラストを藻奈美の結婚式に設定したのも、過去に藻奈美がふつうの奥さんがいいと言っていることを直子に平介が話すこの章が伏線となっています。 ここから先は、藻奈美の身体が大人に変化していくにつれ、中に棲む直子の葛藤が平介を通して語られていくわけですが、藻奈美の中に棲む直子が藻奈美として強く生きていく決心を17章で述べています。自分の身に起きた現実を直視し、自立した女性を目指そうと発する言葉には、まさに女性の力強さ、したたかさを象徴しているところです。 一方、平介には男の嫉妬を盗聴という設定で女性から嫌悪されるように描いていますが、盗聴行為は褒められないにしても平介の直子に対する思いまで否定されるのはどうでしょうか。36章で盗聴の一件から冷めた二人の間で、藻奈美に棲む直子から夫婦の営みを平介にモーションをかけ、出来ないことを再確認した訳ですから、38章で直子が藻奈美と入れ替わり始める期間に、藻奈美に棲む直子は辛いでしょうが平介に再婚を進言すべきです。平介が再婚するかどうかは別として、この再婚という言葉を明確に何度も言うべきでした。ここの夫婦間の切なさという痛みわけがない分、やりきれない読後感の悪さにつながると感じました。このことで2減点としました。 直子が藻奈美に棲み続けたとした場合(前段のように事実ははっきりしませんが)、直子が一生秘密を一人で背負っていくことの辛さを述べておられる方がいますけれども、その辛さを背負うのは平介も同じことです。直子には若い藻奈美の身体で将来がありますが、平介には何が残るのでしょうか。先に年老いていく平介にやり直せる時間は多くはありません。 文庫本の解説の末尾には新しい出発と書かれていますが、私にはそうは思えませんでした。藻奈美に戻ったのではなく直子が棲み続けたままだと思い込んだまま見届ける平介の将来には耐え難い辛さしかないと思うのです。直子が棲む藻奈美に子供が出来たときどう接するのか。また、先に老いて死んでいく平介に対して藻奈美に棲む直子はどう応えようとするのか。 最終章、平介が新郎の文也を殴りかけようとして座り込み号泣で幕です。直子が棲み続けたままだと気づいた(本当は藻奈美に戻り、平介の思い違いなのかもしれませんが、もはや確かめる術はありません)平介の立場に私が立たされたのなら、結婚式場を出て自殺します。年老いていく自分を知り、自分という存在の必要性がなくなり、寄り添える伴侶が娘として他人の妻として見続けることしか出来ない身に、何の夢が持てるのでしょう。私にはこのような責め苦に耐えられるほどの強い精神はありません。新たな出発と結べるのは、文庫本の解説者が女性だからなのでしょう。 | ||||
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