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秘密
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秘密の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.07pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全648件 281~300 15/33ページ
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私もみなさんと同様、読み終わった後に胸に穴が開きました。仕事も趣味も手に着かず、何度も頁を繰る毎日でした。 私は深読みできない男なので(自己中とも)平介のことばかり嘆いていましたが、みなさんのレビューを読ませていただくうちに 直子の辛さをも実感することができ、感謝しています。 そして、昨年放映された蔵之介×未来のTVドラマを観ました。原作の補完がされているような丁寧な作りが好感を持てました。 すくなくとも、ドラマのラストは私に救いをもたらしました。きっとあれが二人の別れであり、始まりなのでしょう。 次はフランス版リメイクを観てみます。もちろん広末版も。 | ||||
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設定はよくある人格入れ違いもの。 東野圭吾ってこんなもん?感で読み進みました。 世間にはわからないように過ごしている、 家庭内の二人の秘密の日常を描きつつ、 事故関係者の家庭の背景を絡めながら、 徐々に起きてくるすれ違いや、 生々しい感情がもどかしく感じられ引き込まれていきます。 それだけだったら面白い読み物でしたが、 最後にはドスンときます。 秘密大きすぎます。 | ||||
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誰にでも秘密はある。秘密と云えども多種多様。 千人いれば千人の秘密が存在するのだろう。 この作品が描く「秘密」は些か、いや大きな「秘密」を描く。夫婦とその娘。 主な登場人物はこの三人。この三人の秘密を土台にして話は展開していく。 しかし、本当は「三人」存在しない。 何を云ってる?怪訝に思うことだろう。 寧ろ、そう思ってくれた方がありがたいかもしれない。 私事だが、読み物を一日で読み切る、見通したのは初体験だ。 何故、そのような事が起こったのか不思議に思える。 でも、一つだけ云うとするならば東野圭吾の一文、一句には人を惹きつけてしまう何かが埋まっているのだと感じた。もう一つ違った見解をするのならば、次の頁を捲りたくなる、さらに云えば、次の頁の紙を触りたくなる。そこに書かれている文字に目を、そして心を浸したい気持ちにまで陥れる。 これは、どこか麻酔にでも掛かってしまったよう。 ヤバイ。この気持ち良さは病み付きになりそうだ。 一つお願いしたい。 誰かにこの書物を推薦する時は結末であるラストシーンを 「秘密」にしといてほしい。 | ||||
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本作が”初”東野氏でしたが、いや、人気がある理由がよく 分かりました。 この作者はミステリー畑の方だと思っていたので、そちらがあまり 強くなくて見方を改めた自分がいます。 まず感じたのは平介の考えがなんだかリアルだな、ってことです。 実際に自分がこの人の立場ならこういう思考をするだろうなって ことがいくつもありました。それが気持ち悪いんですが、逆に 引きつけられる要因でもあるのだと感じます。 この感情は平介に限らず、妻の直子にも当てはまりました。 あ〜実際にそんな考え方するよね、って読んでいて思いましたし そのせいで幾度となく不快な気持にもなりました。不快になったの は自分が男で、平介に感情移入しまくっていたからなんだと気付き、 お陰で最後は胸が熱くなりました。 東野さん入門にはうってつけの一冊ですね。 | ||||
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まず、ラストが読めます。 多分、こうなるんだろうなあ。という展開通りになってしまい、それが辛かったです。 さまよえる刃や百夜行に見られた先の読めない展開、はなかったですね。 そしてこの作者にしては人物描写が平板でした。 平介も直子も周囲の人物もどれも「よくあるパターン」の描写ばかりで。。。 まあ、そのせいで最後が読めてしまうのですが。 さて悪く書きましたが、スキーに挑戦、山下公園のデート、実家の人々に祝福されて結婚、相手はあの人。。。というストーリーからわかるように主題は「運命と生きていくこと」です。 訪れた不幸を受け止め、共存していくことが本作の主題です。 その過程で「直子が軽率すぎ」とか「5年も一緒にくらしているのに、あのクリスマスはひどい」とか言い合っても仕方ないと思います。 確かにラストは空しくなります。運命ってなに?って本当に考えさせられます。何度も、何度も愛する人を失い続ける物語、そしてそれを受け入れ続ける物語がこの「秘密」なのです。 そういう意味でやっぱり読むのが辛い作品でした。ってことで★3つ | ||||
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本当の父ではない、「嘘の父親」 バス事故の運転手、梶川幸広は、息子の文也が自分の子ではないと知って息子から去った。 しかし梶川は後悔する。 「自分は間違ってた。文也が俺の子供じゃなくても嘘をつきとおせばよかった。だって文也は俺のことを父親だと思ってるんだから」 梶川は文也に対して「嘘の父親」である。 しかしそれがなぜ悪い? 平介も同じである。 本当は直子である藻奈美に対して、「嘘の父親」だ。 しかしそれの何が悪いのか? 梶川の話を知って、平介も「嘘の父親」で生きる決心がついたのだ。 それが一番正しい方法だと考えた。 直子は平助のその思いを感じて、藻奈美に戻った振りをした。 彼らは嘘で塗り固められた家族かもしれない、しかしそれは悪いことなのか? 梶川の思いがそれを読者に問いかけてると思う。 | ||||
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奇妙な夫婦生活。娘の体に宿っている心は妻のもの。。。そんな生活を通して二人の心は少しずつすれ違っていく。そんなすれ違いがピークに達しようかという時の平介の言葉。「長い間、苦しめて悪かった。」そして彼は初めて妻を「藻奈美」と呼ぶ。 その次の日から、直子の体に娘、藻奈美の心が少しずつ現れるようになる。最期に消えるのは妻か娘か。そんな考えを予期もせぬ切り口から最後のほんの数ページで見事に解決した作品。夫の決心とそれに応えた妻の大きな決心。まさにそれがタイトルの「秘密」であり、その意味が分かった時には感動で心が震えた。 二人の切ない決意は、まさに梶川幸夫の言う“自分が愛する者にとって幸せな道を選ぶ”という言葉の意味、そのものに他ならない。 | ||||
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やっぱり男性が書いた作品なのだな、と感じました。 理解できなかった点は 1)もなみの身体で平介と関係を持とうとした これは世の母親からしてみればあり得ないことだと思います。もし行為の最中にもなみの意識が戻ったら? また、直子が安全日だと言うので避妊もしないで行為に及ぼうとしていますが、これじゃ妊娠してもおかしくない状況…。 一体直子は母親として娘の身体をなんだと思っているのか、と感じました。平介はそんな誘いを父親として理性で耐えることができた。ここですでに直子はもなみの母親としての思考は無くなっているのだな、と悲しくなりました。 2)娘が蘇ったように平介に見せかけた 結局平介をぬか喜びさせて… 平介が直子のことをもなみとして見ようと決心したからこういった行動をとったのでしょうが、すぐにばれるようなヒントを残す中途半端っぷり。平介はその結果、娘の身体を手に入れた妻が若い男と一緒になる姿を目の当たりにさせられる。 それに「もなみは蘇ってなんかいなかった」ということが平介にとってどんなに悲しいことか想像するだけで辛いです。 騙すんなら、その秘密を墓まで持っていく覚悟でやってほしかったですね。 3)結婚 もし、もなみが蘇った時にまったく知らない男と結婚した状態だったら…?妊娠・出産してたら…?直子なりにもうもなみは蘇らない、と思っての事でしょうが。 それに直子の意識のままほかの男と結婚するのであればただの不倫ですよね…。 ラストが泣ける、感動する、というレビューが多いですが、自分は平介ともなみがかわいそう、という感想でしたね。 設定は面白かったし、入れ替わりによって2人があたふたしたり混乱したりする場面は楽しく読めましたが、内容が薄っぺらいなーという感じでした。 また直子の行動は母親としてまったく理解できないものでした。 | ||||
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東野の出世作らしいです。 勿論、映画、ドラマ化された有名な小説。 いわゆる原作本。 特にドラマ等の違いは、事故にあった時期が、藻奈美が小学生の時という こと。 そこから、中学生、高校生、ちょっと大学、結婚というあたりを進みます。 人生でもっとも輝いている時期を明るく突き進む娘、ならぬ、妻。 反面 夫、おじさんの道をまっしぐらに進む主人公との対比がおもしろみでしょう。 娘の「藻奈美」に乗り移った妻「直子」は、新しい肉体を得て、どう、夫 「平介」と向き合っていくのでしょう。 そして、「平介」は、どうそれを乗り越えていくのでしょう。 乗り越える必要もあるのでしょうか?? などなど、 やっぱり、ミステリアスな世界観だと思います。 長編小説ですの途中、飽きてしまうかなと思っていましたが おもしろさにずいずいと引っ張れれて読み込んでしまう本です。 なお、私の買った本は、古本でハードカバーですが、文庫本化されていま す。 | ||||
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いやさすがに大したもんだ。超有名人であるこの作家、数多いその話題作の中で、本書もその年のベストミステリーと評され、かつ広末涼子で映画化もされていっそう小説だったので読んでみた。事故死した妻と娘のうち、肉体的に助かった娘に妻が乗る移る、というオカルト的な設定が嫌で敬遠していたが、やはりちょっと読み出せば、あとは何しろこの作家の筆力でどんどん読める。 物語だけでなく、人間を描く力も確かなものだと思う。異様な、あり得ない設定に盛って、人間のさまざまな問題を扱ってみせる。その中心にあるのは、家族という枠をも超えたところでの、人と人との関わり方、という問題だ。 繰り返すとこうした設定は個人的には好きではないのだが、背景には死という厳しい現実があり、かつ、その死によって肉体が否定された文脈の中で、魂の問題こそが前景化されるから、そこは一種純粋な心のドラマを描くのに都合がいいのだろう。しばしばこうした幽霊話が深い感動を生むゆえんである。映画の『ゴースト』や『いま会いに行きます』もそうなのだろう。というわけで設定だけみればちょっと安易な気もしないでもないが、力量がそれをまともなものにしている。 タイトルになっている「秘密」とは、何よりも生き残ったはずの娘はその魂において妻なのだ、ということである。物語の状況においては秘密だが、読者に対しては秘密でも何でもない出発点で、だからネタばれしているわけではない。そういう秘密をめぐる話というのは、普通の意味では推理小説ではないが、そうした不思議があり、また、この後どうなるのだという謎があって、さらにサブプロット的に加害者の運転手をめぐる話が謎としてあるので、十分にミステリーである。最後は泣けそうだということは予想がつくが、どう泣けるのか、というのはもうミステリーである。もちろんさらにひねりとか、演出とかあって、「秘密」の意味も単純ではなく、この作家らしい創意に満ちている。 設定だけでなく、終わりの展開にも好き好きは分かれるかもしれない。が、一方で作者はあえてしてこういう終わりを選び、そこに踏み込んだのだというのはわかる。 | ||||
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実際にこんな楽しい二重人格者が現れたら自分はどうなってしまうのだろうと考えながらも夫婦の楽しい生活が心地よい。結末も子供が親になりきるまさに秘密の題名にふさわしい。一般文学302作品目の感想。2010/11/27 | ||||
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東野作品、初の長編でした。物語としては面白いのではないでしょうか。ところどころにヤマがあって最後まで読み進められます。 さて、本作の内容と解釈です。 夫婦の絆、愛とか言う意見が多いのですが、私には娘さんがあまりにないがしろにされて可哀想に思えました。 自分が亡くなった後で両親にこんなドタバタをされては浮かばれないし、成仏も無理です。 特に学生時代の母の行動を見たらショックを受けそうです。 結婚相手が自分の死に間接的に関与している人物など、生きている両親にとっては良いのかもしれませんが、意見を言うことのできない立場の娘としてはやりきれないと思います。 大人の独善的な行動に振り回される「体だけが残った気の毒な娘さん」の悲しいお話とも言えるかも。 世の中では、生きている人間が一番怖いかもしれません。 | ||||
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さすがの東野圭吾。 テンポ、読みやすさ、伏線の使い方が相変わらず無難に上手い。 ただ、読了後の後味は最悪でした。 最後まで妻の心を裏切らなかった夫と 結局夫を切り捨てた妻 他の方が仰るように平介のことを考えての行動ということであるなら しっかりと話し合いの場を設けるべきでしょう。常識ある人間であれば。 その場合は責められてしまう、言葉で責められることはなくても 心ではそう思われてしまうでしょう。 しかし直子はそれを良しとしなかった。 そして敢えて愛する筈の娘になりすまし騙すことで丸く納めようとした。 この話に感動しろというのが難しいです。 また、娘に対する愛情をまったく感じさせないというのも残念でした。 小説としては悪くはないですが、 話の内容はとても残念です。 | ||||
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評判が良かったので読んでみましたが、内容には失望しました。 特に私個人が理解できなかったのは 1.直子が藻奈美の身体を使って平介と行為をしようとするところ 2.直子の最後の行動と、その相手の選択 の2点です。 如何な理由があれ、娘を思う母親のする行動ではないと感じました。 1.については言わずもがなで、もし行為中に藻奈美の意識が戻ったらどうなるか、 考えればわかると思います。 2.についても同様で、娘の意識が戻った時に知らない人と結婚してる状態になることを、 娘を思う母親が望むでしょうか? そもそも、間接的とはいえ、自分の肉体と娘の魂を殺した事故に関わっている人間を 相手に選ぶとは考えづらいです。 また、万が一、娘の意識がもう戻らないと直子が確信していたとしても、それなら 平介と一緒に暮らしていけばいいのではないかなと思います。 肉体関係が無理でも、人の絆はそれ以外にもある、というか、むしろ心の繋がりの方が 重要だと思うのですが・・・。 平介のことを考えても、藻奈美のことを考えても、直子の選択が正しいとは到底思えません。 ともあれ、読んでいる最中は面白かったですし、話題作なので読んでみてもいいかとは思います。 | ||||
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読み終わった翌日も余韻に浸っています。自分の身に起こったら(起こるわけないのですが)、自分はどうするだろうとか、どう感じるだろうとか考えてしまいます。結末は、評価は人それぞれですが、私はあれが直子の愛なのだと思います。あと、せっかく藻奈美の体が生きている以上、直子の心を持った藻奈美ではなく、藻奈美そのものとしての人生を歩むというのが、藻奈美のためにもなるのかなという気もしました。とにかく、感動に打ち震えるばかりで、絶対お勧めの一冊です。 | ||||
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「手紙」を読んだあとに、本作を読んだこともいけなかったのかもしれないがガッカリした。SFとファンタジーの中途半端な作品である。都合良く死んだ自分の娘の身体を使い、夫を捨てて第二の人生を歩む妻の話なんて馬鹿馬鹿しくて後味の悪さしか残らない。大量に作品を書かなければならない流行作家の性だと思うが、とくにこの作家は作品によってクオリティの落差が大きいのが残念である。 | ||||
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(ちょっとネタバレです)まず言えることは、「語らぬ」直子の心情・行動は永遠の謎であり、だからこそここでもこれだけいろんな解釈があるのだということ、おそらくこのことは作者が狙っていたことで、すなわちそれが本作品の最も秀逸な点だと言うことです。でもそんなことよりも、もう辛くて辛くて、胸が苦しくて、40過ぎのおっさんだというのに読後1週間ぐらい業務中もこのことを考えてしまい、仕事が全然進みませんでした。僕は、Humanな作者であるから、直子も心で泣きながらその選択をしたんだと思いたいです。みんなちょっと忘れてるけど、一方で実は永遠に娘を失っていた悲しさも、もしこの続きがあるのなら計り知れないぐらい大きかったはずです。今まであまり家族をもつことに大きな憧れ、羨望感、逆に一人でいることの孤独感を感じたことはなかったですが、家族っていいなあ、事件が起きる前の杉田家みたいな家庭が羨ましいなあ、と思いました。ドラマ版では、平介がさらにオトナで、こっちはこっちでまた泣けます。自分としては、生きてても今後こんなすごい作品に出合うかな、ぐらいのものでした。音楽も、芝居も、絵も、小説も…芸術っていいですね。 | ||||
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前半はありきたりなサイエンスフィクションですが、後半は読者を強力に惹き付ける展開でした。妻側の意思が表現されていないため、それをどう解釈するかで読後感が変わります。読後に色々と考えましたが、夫平介が幸せになるために妻は何を選択すべきであったのか?と考えた時、小説に所々出てくる妻直子の行動の理由がよく理解できました(特に古い指輪を永遠に持ち続ける理由)。不完全な妻が存在することより完全な娘が存在することの方が夫は幸せなのではないかと....。非常に切ない読後感ですが、アメリカ映画のように最後は全てが辻褄良くまとまるといった物語ではないところが気に入りました。作者の高い力量を感じた作品でした。 | ||||
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深い作品でした!読んでいくうちに、登場人物の想いがからみあって、怖くなったけど、ラストでは愛情の深さに感動して終われました。表紙のくまの人形が意外にラストでいい存在を出すのがまたおもしろかったです。 | ||||
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いまさらながらドラマ化の潮流に乗って、東野圭吾さんの出世作にしてベストセラーの「秘密」を読みましたよ。 これはミステリーというよりファンタジー。娘の肉体に妻の魂が入ってしまうというオカルトとか、ファンタジー的な設定を基礎にしているので「空想のお話しですよ」的に甘酸っぱくごまかされますが、なんというか「もの凄く倒錯的な性衝動」が随所に溢れていて、それでいて作品はそれを素直に認めようとしないのでイライラしながら、気色の悪い読後感を得ました。 このイライラがベストセラーとなったインパクトなのでしょう。最後まで「それなんてエロゲ?」な設定を目の前にチラチラさせて、それでいて一度も「性的に結ばれる」という結論を隠し続ける紳士淑女向けの展開に、キショク悪い偽善感、を感じながら悶々としています。 気になる主人公達の性的衝動(1)娘の小学校の若い女教師に平介さん萌える 「それどこのロマンポルノ(古っ)」ぐらいの設定ですよね。ありがちです。 年の頃なら20代後半とか30代前半とか、40前後の男なら「ど真ん中」の好物。当然、平介さんも萌える。 「彼女が好きになった」と直子さんに告白するシーンもありますが、当時の感情は「恋愛」というより「欲情」。女教師のショートパンツ体操服姿に萌えたり、グラビアヌードに彼女の顔をだぶらせて自慰行為するなど、実に判りやすい。恋情というより欲情でしょ。これは。男なら日々誰にでもある衝動。しかも平介さんは貴重な初動タイミングを外してしまう(苦笑)。ダメダメです。(2)17歳男子高校生との恋愛関係にハマる38歳人妻 連続して読み続けるのがいちばんしんどかったのが、相馬先輩とのエピソード。知らないうちに平介も10代男子のような稚拙ストーカー行動に追い込まれているのが、妙に感情移入できてきつかった。 学校の中という小世界人間関係で、事実上の夫婦(つきあっているカップル的な意味で)として公認らしい相馬先輩と38歳人妻の直子さん(外見は16歳)。夫にナイショの甘えた声の長電話に始まり(作品発表当時はいまほどケータイ電話が普及していなかったのね)、学園祭キャンプファイアーの2S目撃シーンは、人ごと(笑)ながら「恋人を寝取られた感」いっぱいの心境になりましたわ。 クリスマスイブに夕方から待ち合わせる高校生カップル。女の子は女友達(+彼女の母親も共犯予定)にアリバイを頼み、逢い引きする。この女同士で通じる「みんなで応援してるから、親に内緒で逢っちゃえ!やっちゃえ!」。あるあるあるのスクールラブ。 まぁ、良識ある高校生ならいきなり「その日のウチに最後まで」はないにしても「今夜はファーストキッス」ぐらいは、目標設定の範囲内でしょう。 中年男の平介さんは当然、それ以上の心配もしてしまうわけで、禁断の「掟破り」に出て阻止するのは致し方ないところ。 この娘(モナミ)が女子高生になった頃から「それなんてエロゲ?」的な倒錯した性衝動が出てきます。TVドラマ的にもこの辺が一番美味しいんでしょうね。(3)16歳娘の肉体を持った妻に欲情する中年男はあかんの? 作品中で唯一、娘に手を出そうとする瞬間が訪れますよね。ススキノの娼婦相手に全く役立たずだった平介さんですが、若くなった直子さんの二の腕に触れて「瞬く間に彼の陰茎は勃起していた」(原文引用)。 はい、十分ですよね。素質あります。それが普通です。ここで一気に倒錯関係まで行くとエロゲ。自制するのが感動小説(苦笑)。この中途半端に無理矢理な倫理観が実にしんどい、気色悪い。 想うに。ここで夫婦関係(性的な意味で)を復活させたら、それはそれで案外幸せだったカモね。クライマックスの悲劇も到着しなかったパラレルワールドです。 正直、そういう「秘密の夫婦」でもいいと、個人的には思いましたよ。(4)義理の息子と38歳義母の夫婦 ラストへの伏線となったモナミ意識の復活を、平介さんが「いつもと違う」と感じたとする描写が「(騙された)彼の心理描写」のではなく、「文中解説」的に書かれているのが実にあざとい。こういう風に「崩壊した伏線」に読者はことごとく騙されたのですが。 作品の「え?全部、劇中劇だったの?」は夢オチと同レベルです。 彼女は38歳の人妻で、本来なら「義母」の立場なのです。最後は若い文也君の嫁になるわけです。これぞ「それなんて禁断系熟女AV」設定の完成です。 話は結婚式前で終わるのですが、熟女フェチにはたまらない「38歳義母の初夜(しかも肉体は20代)」という珠玉の熟女AV続編が可能な設定ですね。そういうモヤモヤを残して話が終わってしまいます。個人的にはコッチの続き(新婚生活)が観たいな。 この話ってやっぱり「平介さんの寝取られ物語」ですよね。 | ||||
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