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魔球
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魔球の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.94pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全62件 41~60 3/4ページ
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正直今まで読んだ小説の中で一番ハマったと思う作品です。 一見無関係に見える2つの事件の接点 大黒柱を失った後の野球部の反応 複雑にもつれ合う人間関係 一度読み出すと止まらない、というほど読者を引き付ける小説はこれ以外に出会ったことはないです。 あえて不満を上げるならば締め方が悪かったという点。 様々な人間を巻き込んだ事件でありながら、彼等の後日談ともいえる節がほとんどなかったのは非常に残念である。 特に事件の核心のすぐそばにいた野球部の田島が、事件後どの様な人生を歩んだかという点が語られていなかったのが私的には一番残念と言える。 | ||||
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「天才」須田武志謎の暴投、東西電気爆弾未遂事件、北岡明殺人事件、須田明殺人事件と多数の事件がひとつの作品の中で起こる。 一作品で全く別の事件をとりあげて、それをつなげていく手法は東野圭吾作品でもよう見られるのだが本書ほど事件の数が多かったものはなかったのではないだろうか。 まったく違う事件の点と点をつなげて船にしていく過程が、「さすが東野圭吾」と思わされた。 点と点が結びつくまでは読みながら読者は「ここはこういうことなんじゃないか」と読んでみるのだが、その「応え」を見てみると、「あー、そういうことね」と思わず声を出してしまう。 しかし、本作が素晴らしいのはこういった「パズル性」だけでなく「小説」として素晴らしいからだと思う。 本書の解説に「ミステリーは謎解きの面白さと同時に小説的な魅力を併せ持つべきだと考えている」と書かれている。 これはまさにその通りで、「犯人当て」よりも、むしろ犯人の「動機」だったりその「背景」にこそミステリーの魅力があると思う。 「パズル性」と「小説性」がうまくまじりあっている作品なので多くの人に読んでもらいたい。 | ||||
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昭和39年のセンバツ、九回2死満塁。主人公の須田は「魔球」を投げた。それが勝負を決める1球になった。その後、その試合でキャッチャーをしていた北岡が殺される。 南海の野村(現楽天の監督)の名前が出てくるところや、赤電話、家に電話がないといった設定に時代を感じる。やはり、少し古臭い感じは否めない。 ダイイング・メッセージが出てくるのだが、それにも時代を感じざるを得ない。推理小説には時にダイイング・メッセージが出てくるが、今はケータイがある。そんなメッセージを書く前に、家族か救急車を呼べばいいのだ。だいたい、死ぬ前に事件解決に役立つようなメッセージを書こうなどと思うはずがない。家族や恋人へのメッセージにしたほうが、よほど自然である。…と途中までは思っていたのだが、実際はそれはダイイング・メッセージではなかったのだ。著者の説明は、もっと自然であり、十分に納得できる。 主人公の人物像はよく描けている。その顔や姿のイメージまで浮かんでくるほどに。とても、作者が書いた2作目のミステリーとは思えない。本当によくできている。乱歩賞受賞作の「放課後」も読んだのだが、あまりすごいとは思えなかった。殺人の動機には光るものがあったが。私なら、「魔球」のほうを乱歩賞に選びたい。野球好きとしては特に楽しめる作品である。ただ、前述のように設定が古すぎるので、ちょっと物語に入り込めない部分があった。その部分がなければ星5つをつけられただろう。 | ||||
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高校野球の天才ピッチャーを主人公にした青春ミステリー。 彼らの純粋さ、ひたむきさ、情熱や友情がとても丁寧に描かれており好感を持てた。 わりとマイナーな作品だがこれは多くの人に読んでいただきたいと思う。 冒頭に野球のワンシーンを持ってきているため、 あまりそちらに詳しくない人は一瞬怯んでしまうかもしれない。 しかし、そこを越えれば後は特に野球の知識がなくても問題はないので、 頑張って読み進んでもらいたいたい。 天才エースの野球にかける思いの裏には一体何が隠されているのか? それが全ての鍵になり、謎めいた雰囲気プンプンでストーリーが展開する。 そして、最後にパズルのピースがひとつずつはまり始めた時に受ける衝撃と感動は抜群。 お勧めの1冊。 | ||||
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東野作品のファンには、『魔球』という本書が乱歩賞受賞作『放課後』よりも前に書かれたものであることは周知の事実であろう。著者自身、「25歳でこの作品を書けたことで少し自信がついた」とエッセイ集で語っている。スポーツにも造詣の深い著者が、高校野球を主題に描き出した作風は斬新であり、もうすぐ始まる高校野球を待ち遠しくさせるものであった。タイトルも「謎」めいており、読者を惹き付ける。 本書はエースが土壇場の状況で最後に投げた「魔球」がもつ意味をめぐって展開される事件簿だが、主人公とその弟を含む家族、教師など、醍醐味はやはり「人間ドラマ」であるということだろう。高校野球というと、そこに「汚れのない純粋さ」を想起する人が多いに違いないが、本書の主人公は「純粋さ」とは別次元で野球をやっている(ある意味で主人公にとっては異なる意味での「純粋さ」なのであろうが)。少なくとも「爽やかさ」とは異なる風格を秘め、泥臭さを感じさせる。高校生であって高校生ではないような、実に大人びた精神年齢の高い主人公が設定されている。金銭感覚も生々しい。とはいえ、彼が自らの人生を野球に賭けた意気込み・気迫―執念といったほうが適切か―は違和感を覚えるどころか、逆にとても共感できる(「右腕」という章はその意味でも魅力的だった)。貪欲なまでに野球に打ち込む姿勢は清々しい。 古い作品ゆえ、文章や作風が十分に練り上げられているとはいえないが、そこに新鮮さを感じる読者もいるだろう。そしてまた、「家族」というテーマが、東野作品にとって今もなお脈々と引き継がれているものであることにも留意しておきたい。本書は東野圭吾にとって「魔球」となったのか。「少し自信がついた」という述懐の言葉からして、それはYESなのかもしれない。余韻を醸し出すエンディングも「魔球」の締めくくりとして相応しい印象をもった。多くの人に読んでもらいたい作品だ。 | ||||
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同じピッチャーだったものとしては、一回はこんなボール投げてみたいなぁと思ってみたり(・ω・)ノ | ||||
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タイトルに見覚えがあったが、あれは宮部みゆきさんの「魔球はささやく」 だったかと勘違いして、一度読んでいたのにまた読んでしまった。 途中でそのことに気付いたが、最後まで引き込まれて一気に読みきった。 高校野球という青春の象徴のようなさわやかなイメージと殺人事件とを どう結びつけるのかといぶかしんだが、恨みや憎しみとは違った位相で みごとに結実させていた。 東野圭吾氏の最高傑作「白夜行」を髣髴とさせる、陰のある主人公の造形がみごと。 単なる謎解きではない物語がここにはある。 | ||||
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本書も氏の他作品と同じように緊張感にあふれるスピーディーな、とても面白い作品でした。私は最後の最後まで犯人―事件の真相―が誰(何)だかわからず、最後までドキドキしながら読むことができました。 タイトルの通り、魔球を投げる高校生が登場しますが、現実から離れない程度にフィクションで、リアリティーたっぷりに楽しめます。全体的には暗いイメージが漂っていますが、高校生らしい爽やかな感性、若い身体能力、部活という競争原理の渦巻く社会の葛藤などがうまく表現できていたと思いました。 2、3時間で読めてしまうそれほど重くはない文章量の本なので、東野氏の作品をまだ一度も読んだことがないという人にも、抵抗なく読めるのではないでしょうか。 | ||||
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本書は、高校野球が介在するミステリーである。本書を読んだ感想は、やるせなさと孤独感を強く感じました。印象的な言葉は「兄貴はいつも一人だった」という弟勇樹の言葉であった。それは、主人公の須田武志が一匹狼という言葉が良く似合うことであった。つまり、彼は、右腕がなければもう存在価値がないということを良く知っていたとも言える。 本書は、九回裏二死満塁のときに、須田武志は、揺れて落ちる「魔球」を投げた。それが、事件の始まりであり終わりである。その後、捕手の北岡明は犬と共に遺体が発見され、投手の須田武志も遺体が発見され、右腕が切断されている。側の地面には「マキュウ」と書かれたダイイングメッセージが残されていた。 途中で、東西電気の爆弾事件や社長の中条の誘拐未遂という話も入ってくるが、それも全て一本の線で結びつけることができるようになる。 生まれた境遇や環境によってその人の運命はほぼ決まると思う、須田武志は多分想像するとマイナスの環境のなかから全てを受け入れ、背負い込むことから、自分の生きかたや在り方を模索することになったんだろう。その結果が、家族を楽にするために自分は野球にはげむしかないと思って、ストイックに練習に励んで、ストイックな生きかたをせざるを得なかったんだろう。親は須田武志を見てどう思っただろうか? | ||||
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高校球児と殺人と企業の爆弾騒ぎと社長誘拐...。 どのようにストーリーが進展するのか、興味を失うことなく最後まで緊張感が続いた作品でした。 「まさか?」「なぜ?」という疑問が破綻することなく完結している。 物語の中心となる高校球児の生き方は凄まじい。 それが悲劇の事件につながったが、根底には家族愛がある。 | ||||
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野球少年の殺人と爆破未遂事件がどうつながるのか気になる始まり方で、ストーリーに引き込まれます。 そして、まさかと思う新たな殺人事件が起こります。 武士の野球への信念、家族への思いは本当に深いです。 そして、その真実を知った時、涙が出ます。 東野圭吾さんの作品の中でも、1ページ1ページ重みのある、内容の濃い小説です。 | ||||
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小説を読んでこんなにも泣いたのは初めてだ。須田武志という青年の意志は素晴らしいものであった。それと同時に厳しさや優しさを併せ持っていた。この本を一人でも多くの人の手に取ってもらい読んでほしい。 | ||||
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作中で語られる、母の一言に、親の本当の希望がこめられています。 しかし、子供は、母親に楽をさせたいと、無理をします。無理をして、無理をして、その挙句に……。 なんとも、やるせない。 ラストシーンで、ちょっと救われます。 | ||||
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春の選抜大会で、天才・須田投手を擁し甲子園出場を果たした千葉県立開陽高校。1回戦で優勝候補の大阪・亜細亜学園と対戦。大方の予想どおり、須田対亜細亜学園打線の試合展開となり、試合は1対0と開成高校リードで土壇場の9回裏、亜細亜学園の攻撃を迎えていた。状況は2死満塁、打席には4番。須田が投げた投球は、空振りをとったものの悪送球となり捕手が後逸。同点となり、その後逆転されて開陽高校は敗れてしまった。 一方、東西電気で爆弾騒ぎが起こっていた。本物だったが、爆発する構造ではなかったという。 甲子園から帰ってきた開陽高校だが、まもなく捕手の北岡が飼い犬とともに他殺体で発見された。捜査する高間刑事は北岡のアルバムから「魔球を見た」という言葉を発見する。事件は一応の進展を見せるなか、今度は須田が殺された。しかも右腕を切断されて。さらに、側の地面には「マキュウ」と書かれた大イングメッセージが残されていた。 魔球とは何なのか? 東西電気での爆弾騒ぎは関係あるのか? そして、北岡と須田の黄金バッテリーを殺害した犯人とはいったい!? | ||||
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天才投手・須田武志を擁して甲子園へと出場した開陽高校野球部。そんな野球部の主将であり、捕手である北岡が何者かに殺害され、さらに武志も右腕の無い遺体で発見される。そして、大手企業・東西電機では爆弾騒ぎが起こっていた。貧しい家庭から抜け出し、母への恩返しをする目的の為に他人にも自分にも厳しく、孤立することも厭わずにプロ入りを目指す武志とそこに起こった事件。事件そのものもさることながら、その過程で語られている武志の想いというのが悲しみ、痛みを感じさせる。高度経済成長期へと入った1960年代という時代背景もこの作品にリアリティを与えている。動機の部分にちょっと弱さを感じないわけではないが、登場人物たちの想いがひしひしと伝わってくる物語だ。 | ||||
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推理小説、ミステリーという分野では、どうしてもトリックや謎解きというエンターテインメント性が強くなってしまい、小説としての文学性が弱くなってしまうきらいがあるが、この作品はそのような枠を越え、一小説として大変優れた作品。そこに描かれる少年達の純粋さ、痛み、悲しみが深く心に突きささってくる。大お薦めの一冊。 | ||||
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この6作目はこれまでの東野作品と異なり、昭和39年を舞台にしているところに特徴があります。昭和39年が作中では「現代」にあたり、更に終戦直後くらいからのいきさつが登場します。過去を描くということがその後の東野作品の重要な要素となることを思えば、かなり重要な作品ということになると思われます。そして、本作に関して言えば昭和39年というのは日本がまだ貧しかった時代ということであり、その時代でなければ通用しない貧しさを原因とする物語が綴られています。その筆致には社会派に通じるものを感じさせます。トリック的にはダイイング・メッセージが一応の目玉となっています。初期の密室、前作のアリバイから更に新たなトリックのジャンルに挑んだことになります。しかし、本作の魅力はダイイング・メッセージにあるのではなく、あくまでも事件が起きるまでの事情にあります。物語の主人公がどんな人生を歩んできたかが本作の最大の謎であり、それが解けた瞬間にはうっすらと涙が滲みました。 | ||||
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東野初期作品の傑作の一つでしょう。本作は、解説でミステリー、エンターティメント作品でも優秀なものは文学作品でもあるという様な指摘に、私も全く同感である。高校野球を題材にした殺人事件絡みの作品であるが、犯人の動機に思わず泣けてしまう。謎解きミステリーもよいが、作品の背景には家族愛と若者の正直さがひしひしと伝わってくる青春文学に仕上がっている。東野作品の中でもとても印象的で、末永く語り伝えられるような品格がある。 | ||||
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最初に、高校野球をモチーフとしてミステリーを描くのに、どうして時代設定が昭和39年なんだろう、と思ったが、読んで納得。今の時代では、こんな高校生はいないし、殺人の動機も成り立たない。 殺された方はもちろんかわいそうだが、殺した方も、残された者もみんなかわいそうだった。外に道はなかったのかなと、読んでいる私まで哀しくなってきた。全体に重苦しい雰囲気が漂っているが、最後のページに救いを感じた。おかげで、苦しいまんまで終わらずに、これでよかったんだと納得してページを閉じた。 私は野球のグローブを買うのにも苦労するような暮らしをしたことはないけれど、登場人物に思いっきり感情移入してしまった。さすが東野圭吾。 | ||||
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東野圭吾さんは、実は年末のベスト10投票などには、そのクオリティ、人気、評価の高さから鑑みると、今一つ縁が薄い作家さんです。というのも、多作の作家さんで、しかも発表された作品は軒並み好評をもって迎えられる、という素晴らしさを持っている人だからで、つまり個人の好みによって票が分かれるわけですね。その分というか、作家別投票では上位常連です。 で、どれが一体代表作といえるのか、という意見も当然様々に分かれるでしょうが、然しその中で、『魔球』には特別な位置を与えている、というファンの人も多いとのこと。 切なくて、熱くて、物悲しい青春ミステリ。 時にやるせなく、残酷ささえ感じますが、でも―― とても優しい物語です。 これが、そう、「幻のデビュー作」との事ですから。 東野圭吾、恐るべし。 | ||||
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