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(短編集)

怪談



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【この小説が収録されている参考書籍】
怪談

怪談の評価: 3.58/5点 レビュー 19件。 Dランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.58pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全10件 1~10 1/1ページ
No.10:
(4pt)

今一つ全体的に恐怖は希薄

掲載順に簡単に感想などを。
「岬へ」☆3
 男友達が自殺した岬の近くに建つペンションを訪れた夜・・・。
「座敷」☆4
 夫に先立たれその弟と結婚した友人の家を訪れた夜・・・。
 以上2作品は最後のしめが若干甘いような気がする。もっと恐怖があっても良かったような。
「幸福の家」☆5
 老人の悲しみとは意外なものだった。これは悲しいです。傑作です。
「同居人」☆2
 これはライトな感じ。怖さは一切ない。
「カーディガン」☆4
 最後、明確な結論が語られるわけではない。例えて言えば、おびき寄せる゛魔“の様なもの。
「ぬばたまの」☆3
 死んだ妻が家にやってくる話。「ぬばたま」は、黒くて光沢のある檜扇(ヒオウギ)という植物の種子のことで、「ぬばたまの」とは夜や黒・黒髪などに掛かる枕詞。あまり怖くはない。
「還る」☆3
 死んだ後も魂は生きて、仲の良かった人と楽しく生きていかれれば・・・。
怪談Amazon書評・レビュー:怪談より
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No.9:
(4pt)

怖くはないが、面白い!

短編集6編、中でも、カーデガン、射干玉の、がおもしろい。
怪談Amazon書評・レビュー:怪談より
4087715671
No.8:
(5pt)

楽しく読ませさていたしております。

楽しく読ませさていたしております。
怪談Amazon書評・レビュー:怪談より
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No.7:
(5pt)

「座敷」に描かれた人の持つ感情・情念が一番怪しげで怖い。

「地震、雷、火事、親父」が恐い、と昔から言われてきた。ただ、天変地異の自然現象は、巨大な自然に対するあきらめのようなものがある。また、「親父」の恐さというのは、「こら!」と叱られているわけだから、からっとしている。

二作目の「座敷」は、男が妻子を残し、交通事故で即死した。残された妻は、4年後、周囲すすめで、亡夫の実の弟と4年後に再婚する。ところが、亡き夫は、残した妻に未練を捨て切れず、あの世に行けず、霊として屋敷に住んでいるという話である。

「屋敷の襖の出前、、、に漂っているのは、深い愛、執着、悔しさ、無念さ、懐かしさ、悲しみ、慟哭、嫉妬、それらすべてをひっくるめて一つにまとめても、まだ足りないほどの巨大な感情の渦である。それが私にはひしひしと伝わってくる。」(79頁)

成仏しない霊に対する言い伝えがある。残された家族が33回忌までしっかりと弔うことだ。33回忌が終わると弔い上げと言うそうで、個々の霊は、祖先の霊(祖霊)になるそうだ。時が解決してくれる。
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No.6:
(4pt)

じわじわと怖い怪談

じわじわと怖い怪談だった。小池真理子さんは普通の恋愛小説もうまいけれどこういう怖い話を書くのもうまいと思う。独特の世界観がある。個人的にはカーディガン、という作品が一番怖かった。
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No.5:
(5pt)

私的には買って良かったです。

恋愛ものは苦手ですが、小池真理子さんのこういう作品に惹かれます。不可思議で裏悲しい話を執筆できるのは経験があるからでしょうか?皆が穏やかで優しさに包まれ恨み言もない人生を送れるなら一番いいんでしょうが、没後強く残す想いを受け取った事がある人なら、この本は真実なのでは?と思うのではないでしょうか。水無月の墓、読みたいけど廃版ですよね?再発行して欲しいです!
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No.4:
(5pt)

恐々読み始めたら、癒しの愛読書に

結論から言うと、お化けが怖くなくなった。

どうも呼ばれてしまったのかもしれない。TBS『王様のブランチ』で紹介されているのを見て、グイッとのめりこんでしまった。紹介されたあらすじは、ありきたりのものだったのに、どうしても読みたくなったのだ。

しかし、怖いから、とりあえず図書館で借りた。案の定、2作目の短編があまりに怖くて、一度、挫折した。読めずに放った本の表紙を見るだけで恐ろしかったほどだ。それを勇気を振り絞って読み進めたら、途端に“あっち”の世界へ行ってしまった。

短編集の主人公らは、いずれも善良で健康的な人々だ。彼らの幸せな日々は、何の悪意もなく描かれていく。ところが、なぜだか私にはそんな彼らの幸せが少し疎ましい。そんな疎ましい幸せ者たちが、物語の中で“疎ましくない幸せ”を見出していく。

さて、話は戻って、結局あれから本書を長いこと買えずにいた。買うべきなのはわかっていたが、“買ってはいけないような気がしていた”からだ。でもお化けが怖くなくなったお礼に買ってみた。私もこれで“幸せ”になれるだろうか。
怪談Amazon書評・レビュー:怪談より
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No.3:
(4pt)

日常の中での生者と死者との出会いがリアルに描かれています

小池真理子さんの短編集です。

「岬へ」 「座敷」  「幸福の家」  「同居人」  「カーディガン」  「ぬばたまの」  「還る 」の7篇が収録されています。

小池真理子さんは私自身が一番好きな作家さんで初期の頃からの全作品が本棚に並んでいますが
今まで描かれたホラー、サスペンス、恋愛小説、そして昨今の異形の物を描いた幻想怪奇小説など
ジャンルは様々ですが、その全てに一貫して共通しているのは文章の美しさと静謐さです。

今回の「怪談」は異形な物を描いた短編集ですがおどろおどろしい表現もなければゾクゾクする様な感情も生まれません。
しかし一度ページを捲り出せば、小池さん独特の世界に入り込み死者と生者が脳内映像で蠢めきだします。
派手な殺人事件等もそこにはなく、ただ誰もが普通に過ごす日常の中での異形との出会いが余計にリアリティーを醸し出します。

「怪談」でありながら、読後は怖さよりも悲しみや切なさ、温かさすら感じてしまう程の余韻が残る作品集になっています。
怪談Amazon書評・レビュー:怪談より
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No.2:
(5pt)

耽美的文章が心に沁みわたる

相変わらず、小池真理子の文章は美しい。
耽美的で、妖艶。
この「怪談は」いわゆるホラー小説ではない。
読んでも怖くはない。心がほんのりと温まるような短編集です。
1つ1つの作品の完成度が高く、流麗な文章と相まって、透き通るような読後感があります。
小池ファンはもちろんのこと、そうでない人にもお勧めの1冊です。
最近の短編集の中ではイチオシです。間違いなく。
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No.1:
(5pt)

生者と死者が従容として向き合う、なつかしくてやるせない場所

小池真理子はかつて「簡単に真似できるようでいて絶対にできない」作家がいるとあるインタヴューで語っていた。
その作家とは大作家「内田百''''けん」である。
しかし本書、そのタイトルもずばり「怪談」でついにその域に達した。

このインタヴューは、今はなきマニアックな季刊怪談誌「幻想文学」の94年と96年に二度登場し、傑作長編ホラー「墓地を見おろす家」から傑作怪談集「水無月の墓」までを語っている。
小池真理子はこの中で最も好きな作家「百'''けん」のすごさを語っている。
<百'''けんの作品は何だかわけのわからないだけなのに、ものすごく怖い作品を書くがだいたいストーリーがないような、どうってことない話しか書いていない。>
<その比喩表現にしても「総毛だった」とか「背に水を浴びたような」とか平気で使う。だけどそれが文章の流れの中で自然と生きてくるとすごく怖いのだ。>
<だからホラーでも幻想小説でも一番難しいのは文章であり、行間に溢れ出るものがある文章を書くのが最も難しい>のだと語る。

そして最も好きな作品は文学作品のように名文で、とてつもなく後味の悪いスーザン・ヒルの「黒衣の女」と言い切ったのには納得させられる。

本書の冒頭におかれている「岬へ」では<私>が20年前に知り合った男が<犬をよろしく>という書置きを残して自殺した岬へ行く。彼の霊を慰め自分の今までの過去に区切りをつけるため、彼が最後に泊まったペンションを訪れる。
これだけの話だが登場するペンションの老オーナー夫妻をはじめとする人々の行動がどこか気味悪く、会話もどこかずれていて不快感に満ち最後の一行で突然、水を浴びせられたような気分になる。

「座敷」は<私>が数年会っていなかった女友達の嫁ぎ先を訪問する。友人はまだ36歳だというのに<髪の毛には白いものが目立った。(略)肌が艶を失っているせいか、死に化粧を連想させる。>ほど数年の間に面差しが変わってしまっていた。その屋敷は広大なものでずらりと座敷が並んでいた。主人である夫は数年前に死んでおり彼女は再婚していた。
ストレートに鳥肌が立つ物語である。

「幸福の家」明るい性格のわたしが公園で貧相な老人に会う話。最後に著者お得意の視線の逆転で背筋を凍らせる。

「同居人」<こんな森の中におひとりで、怖くありませんか。>から始まる物語は、何もかもあいまいでもうろうとした不安な気分が描かれ次第に<私>に何かが見えてくる暗い余韻を残す話。

編中で最も気味が悪いのは「カーディガン」。都市伝説にある会社の送別会で、出席者の人数よりも一人多い「誰か」がいたテーマの傑作だろう。二次会が終わった後一枚の黒いカーディガンが会場に残っていた。<私>はカーディガンの持ち主を探し始めるが店主はもう一人女がいたと言う。女は一人、カウンターで飲んでいたといい、名刺までが残っていた。その名刺の電話番号に電話すると。という話だが最後の一行で<私>がとった行動が肌感覚の恐怖をよびおこす気持ち悪くなる傑作である。

最後の二編「ぬばたまの」と「還る」は鬱々とした静謐な筆さばきであるが故に、奥深い恐怖を与えてくれる幽霊譚である。

本書は小池真理子でしか描き出せない「恐怖幻想小説」であり、高みに到達した作品群である。

過去の傑作短編集「水無月の墓」(新潮文庫)、「夜は満ちる」(同)は何故「在庫切れ」のままなのだろうか。まるで封印されているかのように。

2014年7月に「渋江照彦」氏のブログ「幻想記録所」で<ATB怪談短編国内篇200位>というツィッター上で集計した好企画を発表した。一位は小松左京「くだんのはは」である。しかし200位の中に「小池真理子」の名は一つもない。
まるで封印されたかのように。

(尚、内田ひゃっけんは文字化けしているのであしからず)
怪談Amazon書評・レビュー:怪談より
4087715671

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