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テロル
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テロルの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.50pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全10件 1~10 1/1ページ
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大きな期待をもって、読んだせいかすごく裏切られた感じでした。イスラエルとパレスチナの情勢がよくわかるだろうと思い、読み進んだが、我々がTVのニュースで知る程度のことしか語られていなくてとても残念だった。 文章も、稚拙さが目立ち、登場人物ことに主人公には到底共感することもできずに終わった。自爆テロを起こした妻の背景を詳しく語るのであれば、納得できるところもあったのだが、それもなく3/4読み進んで何もないことを知ると、時間を返してほしいとさえ思った。 救いと言えば、ショックのため感情的になって周りの人々の善意を受け止められない主人公が、爆死してしまうところぐらい。他の結末は到底考えられないだろう。 小説で社会情勢や風俗を知ろうという考え自体がいけなかったのか!? 読後感も良くなかった。タイトルの帯が机の上に残っていたのを見て、早く捨ててしまいたいとさえ思わせた作品。 | ||||
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あまり読んだことのない国の小説を読みたいとふと手にしてから引き込まれ、一気に読んでしまった。スピード感溢れる展開でエンターテインメント性も高く、読み進むにつれて世界観が変わっていく興奮とめまいを感じる。現代日本と全くかけ離れた状況なのに非常にリアリティがあり、小説の力を実感する傑作。 海外の小説を読み慣れない人でも楽しめる。 | ||||
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イスラエルで成功したアラブ系の医師である主人公は、突然の妻の喪失と隠されていた秘密を知るために旅をし、親族に会う。 妻の決意の源にある救いようのない現実は、読んでいて息がつまる。 そして、共有できなかった気持ちがあったことを知る主人公に心が痛む。 戦争や対立がある以上、誰かが命を落とし、背景には必ず傷付く人々がいる。 不毛な復讐心も当事者には不毛と片付けられるものではない。 この現実の描写は簡潔でありながら、ものすごい真実味がある。きっと、著者が実際に触れてきた世界のせいだろう。 最後の最後まで切ない一冊ではあるけれど、出会えたことを感謝したい一冊。 | ||||
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この作家の作品は常に綿密な構成が特徴的である。 不自然さ、唐突さ、どこにもすきというものがない。 物語の展開、人物の描写、会話の交錯、場面、風景描写、 いずれも破綻なく確かな筆の運びで素晴らしい。 この作品の場合、プロローグはサスペンス小説的であり、 妻の唐突な暴死、という日本人の我々にとっては衝撃的、 馴染みのない非日常的な出だしで読者を作品中に引きず込む。 一見その謎解きの体を成している小説である。 が、やがて甚だ理不尽であるが、世界の中にはこの不条理を身を持って受け入れざるを得ない、 そのような緊迫した人生の時をうつろわざるを得ない人々がいること、 それを認めざるを得ないのである。 ぬくぬくとした部屋のソファーで読み進む私のごとき平和ボケ読者は、 その認めたくない事実に慄然とし、恐怖と後ろめたさを悪夢の如くに感じる。 夢で済まされる者は幸福である。 日本語に訳出された他の二作品と同じく、ここでも男性の視点で語られる。 作家の経歴を考えたくなくとも、読み手の思いは彼の生活歴に至ってしまう。 乱暴に言えばイスラエルを舞台にしたこの作品でさえ、どこか私小説的なのである。 難を言えば主人公の微妙なノマード的あやうさ、 その内省の描写がやや肌理が粗いことであろうか。 作家の過去現在の境遇そのものなのであるが。 | ||||
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「仲むつまじく暮らしていた妻が自爆テロの犯人だった」。 この設定からかなり心を掴まれるが、読み出すとさらに面白く、 一気に引き込まれてしまった。 しかもフィクションでありながら、 どうしようもない現実も突きつけられる。 また、硬派な話だが訳がとても読みやすいのも良い。 訳者が「良い本は面白いと思わせると同時に、世界の見方すら変える」といった ことを書かれているが、まさにそう。 価値観に揺さぶりをかけてくる本。 | ||||
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昨年読んで感銘を受けた「カブールの燕たち」に続く作品。 読了して改めて思う、やはり彼は凄い作家だ。 「カブール〜」同様に感じ入るのは、その強靭なストーリー性と文章力だ。 緊張感を失う事無く一気に読み込んでしまう程の淀みの無いリズム感。 そして、謎を孕んだショッキングなストーリー自体も、読み手の興味を最後まで離さない。 平穏に暮らして、幸福にも思えた妻が何故自爆テロに走ったのか? 残された夫アミ―ンは、妻の隠された心の真実を求めるため旅に出る。 行く先々で様々な人に会い、危険にも遭い、知る事の無かった状況の数々を体験するに及んで、彼はようやく解ってくるのである。 しかし、それは民族に生きる者として、余りにも真っとうな動機だった。 どうしてそこに気付かなかったのだろう。アミーンと共に読む者の気持ちも曚を啓かれるようなショックを受けてしまうのだ。 民族の幸せと自分達の幸せ、どちらを尊ぶべきなのか? そしてテロ攻撃の是非は果たして? 昨年見た同趣向の映画「パラダイス・ナウ」を思い出さずにはいられない。本書を気に入られた方は是非御覧下さい。 | ||||
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一読して、これは映画になると確信した。始まりから映画的オープニングだし、物語の展開もスリリングで波乱に富んでいる。登場人物達も魅力的で、配役も目に浮かぶようだからだ。 しかし、その後すぐに気がついた。一体誰がこの本を映画にするというのだ。イスラエルとパレスチナを題材とした、このアンハッピーエンドの物語を。ハリウッドは当然無理。最近では「ミュンヘン」を撮ったスピルバーグが、両者から容赦ない非難を浴びたばかりではないか。 もちろん本書は政治的なドラマである。主人公がイスラエルに生きるアラブ人というだけで、政治と宗教を避けるわけにはいかない。しかも日本人には非日常的な世界そのものである。 ただ、夫婦の愛のかたちという点で見れば、普遍的なドラマであるとも言える。何十年連れ添った夫婦であっても、お互いを理解し合えないということは、限りなく日常的だからだ。それが「自爆テロ」という極端な出来事でなくとも、ほんの些細な事がきっかけで、お互い高い壁の向こうとこちら側に立ってしまうことはよくあること。相方を失ってみて初めてそれに気づかされたり、本心を追求しようとしてもがき苦しんだり、それは決して別世界のことではないだろう。 最後にもうひとつ。テロリストとは西洋側の尺度での呼び名であり、自爆した妻の本当の姿を知れば知るほどそう呼ぶことができなくなる。そんな主人公が彷徨の末に行き着いた場所とは…。最も印象深い場面である。 | ||||
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イスラエルとパレスチナ自治区を舞台に、そこで行われている現実を生々しく描いています。しかし、作者はどちらにも組しません。ゼエブに「神さまを解放すべきです。・・・偏狭な信心に監禁されています」と語らせるだけです。 そうした思想的な視点とは別に、ある日妻がテロリストになっていたと言う事実を突きつけられた夫の「何故」を追求する旅を描いています。何の秘密も無い筈だった二人の間に、「幕のように薄いもの」がいつの間にか存在していたのでしょうか?そして、彼は妻を「生きた人間として見ていなかった」のではと考えます。 この思想的な視点と人間的な視点の二つが巧妙に絡み合います。そして、作者の饒舌な語り口が、読み手をぐんぐんと引っ張って行きます。思想的な意味でも、夫婦の問題にしても、どちらの面でも考えさせられる秀作です。 | ||||
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喪失と再生。手を変え品を変え巧拙・硬軟・清濁あい取り併わせて、日本文学の主流と出版資本とが手を携えて領導してきたテーマだ。ただし、誤解なきよう。本書の作者はフランスに亡命するまで正体を秘匿せざるをえなかったアルジェリア人であり、本書で物語られる喪失と再生のテーマは、日本的な悲哀や観念とはまったく様相を異にしているのだから。 上記のこと、当然ではあるが、読者はきちんと踏まえて欲しいと思う。なにげなく読めば(まぁ、カバーの内容紹介やアオリの文言から軽薄な者が手に取るとは考えにくいが)、作者が通俗小説的な体裁を手放していないために、つまらぬ誤読が生じないとも限らない。それだけ日本人の世界文学への感応力は衰弱している(まぁ、日本文学が世界文学と随伴しているとかリードしていると思っている御仁なら別でしょうけど)。 主人公はイスラエル社会で成功と幸福を手にすることに脇目もふれず邁進してきた個人主義者のアラブ系医師。 幸せな結婚生活を送っていると確信していた彼は、妻が自爆テロの実行犯として死んだことを知らされる。。。 翻訳も合格点ではなかろうか。世界文学の水準を確認したい人は是非。 | ||||
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イスラエルに帰化したアラブ人の外科医、成功と幸福のまっただなかで、妻が自爆テロを遂げる。あんなにも幸せそうだった妻に何があったのか、近隣の人々からの暴行を受けたりしながら、主人公の追及が始まる。 著者はアルジェリア出身というから、イスラエル/パレスチナの問題を体験的に抱えているわけではない(はず)。それでも物語が読む者の心をつかむのは、世界の葛藤から目を離さない強靭な眼力によるものだろう。 世界では、まだ骨のある小説が生まれ続けていると思わせられる1冊。 | ||||
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