カブールの燕たち
- 看守 (14)
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アフガニスタンとソ連の戦いで傷ついたときに、戦場から運び出して看病してくれた、命の恩人の妻をめとり、年老いた彼女が病気になっても見捨てることができない、カフカのような無常観を抱える看守と、 アフガニスタンがまだ自由だった頃に誰もが羨む才媛をめとったフェミニストふうの男性が主人公です。彼らが魂を求めてさまようのは、長年ソ連とアメリカの侵略を受け、タリバンが台頭して腐りつつある、不吉な土地、カブール、かつて生活があったはずの彼らの土地です。 戦中のドサクサの闇商売で成功している幼馴染は、病気の妻のことで悩んでいるカフカに、その腐った雌犬を捨てろ、といいます。 町中ではタリバンの民兵が棍棒を振り回して人々を礼拝堂に押し込めたり、 傷痍軍人が乞食をしつつ、アフガニスタンの聖戦士の死体は腐敗しても匂わないとか、俺は瀕死で天使の抱擁を押しのけたとか、昔のソ連侵攻時の戦いの自慢を繰りかえしています。 街では日に日にどこかから湧いてくる孤児が野犬のようにうろついて、タリバンの公開処刑のマネをして、乞食たちの歓心を買ったりしています。 昔の辛気臭い抑圧とは違う、スタイリッシュな抑圧というか、文体とか良いので、イスラムとかどうでもよくて、シャレたアメリカ文学とか読んでいる人にもオススメです。 作者はチュニジアかどこかの軍人で、アフガンを現場で知っているわけではないようですが、はじめは女性名義で出版して誰も疑わなかったほどアンチイスラムな感性です。 ある日、才媛が口論した拍子に夫を突き飛ばして殺してしまい、囚人としてカフカの元に送られてきますが、 彼女がベールを取った途端に、暗い気持ちで毎日を過ごしていたカフカに天啓が下ります。 彼は老いらくの恋に呆けてしまい、そのことを隠しきれずに、病気の妻に打ち明けると、彼女は身代わりになって処刑され、囚人と夫を逃がします。 糟糠の妻が犠牲になるのは女性陣には評判が悪そうですが、彼女は、女性を抑え込むイスラムの風習の中にいて、戦中で助ける男性を手ずから選び、その彼を射止め、 だから彼にも自由に動いてほしい、イスラムの戒律を超えた自由な恋への憧憬に殉じた感じでした。 | ||||
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次作に比べると内容がついていけない、、。日本人の想像力の限界を超えているだけかもしれないけれど。 | ||||
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舞台は、アフガニスタンの首都カブール、 公開処刑を待ち望むようになっているほど 人々の心も荒廃している。 処刑の描写に絶句してしまう。 拘置所の看守アティックは子どもはおらず、 病に犯されている妻と二人暮らし。 友人は当然のように離婚を薦めるところに、慣習の違いを感じる。 ある日、アティックは拘置所の中で、 夫殺しの罪で死刑を宣告された 美しく知的女性に一目ぼれしてしまうが、 余命いくばくもないと悟った妻が、思いもよらぬ行動に出る。 男性は自由でかつ女性に甘えているような気がしてならない。 偏見や差別が横行している社会の中で、女性の内面は、 おそらく鬱屈しているだろうと勝手な思いを抱いていたが 夫のために取った行動 純粋な愛に驚いた。 | ||||
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作家の父は看護師でアルジェリア解放戦線のメンバー、母は遊牧民。 彼は母の血を意識したのかもしれない。 幼児期から陸軍幼年学校に進み軍人の道へ。 大佐まで順調に進級し、いきなりのフランスへの亡命であった。 [...] この作品でこの作家を知った。昨年来日したとか。 作品で描かれるカブール、この世の地獄という名こそがふさわしい。 肌を鑢の如く刻み込ませる太陽の光とざらつく砂風。 乏しい食事と水と心の慰め、そしてふんだんに溢れかえる憎悪と暴力。 絶え間ない苦役と死。 その中で描かれるのは人間の根底に潜む豪奢な美である。 なんともやりきれない美しさである。 翻訳が素晴らしい。 | ||||
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うつろな表情で独り言をつぶやきながら街をさまよう看守のアティクは、夫を殺したとして逮捕され拘置所に送られた女性を見て心を奪われてしまう。家に帰っても彼は興奮し放心状態であった。 これは恋なのだろう。だが、ほとんど天からの啓示のようである。まるでオルレアンの少女がフランスを救うために立ち上がった時のようだ。問題は〈システム〉が不動であるということだ。アティクの〈乱心〉は哀しいことに狂った〈システム〉の徒花に過ぎなかった。だとすると希望は姿を消した女神にあることになるのだろうか? 最後まで暑苦しさに息がつまりそうな小説だ。それがカブールで生きることなのだろう。どん詰まりの息苦しさの中で人間はどうやって生きていこうとするか。男女の機微をからませながらそれを描きぬく筆致は見事。 僕らの街がこうならないことを祈りたいが…。 | ||||
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