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ねじの回転
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【この小説が収録されている参考書籍】
ねじの回転の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.08pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全39件 1~20 1/2ページ
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ジャンルとしては近未来タイムトラベルものSFでしょうか。私は物理が苦手なのでよくわかりませんが、理論的に突っ込めばたぶんいろいろ穴が出てくると思います。が、そんなことはどうでもよくなるくらいスリリングでおもしろかったです。 タイトルはヘンリ・ジェイムス作「ねじの回転」と何か関係があるのでしょうか。また、副題の「February Moment」はハービー・ハンコックのジャズ曲からつけたものだそうです。恩田さんはサックスを吹かれるそうですが、腕前もなかなかのものだとか。 2・26事件は小説や映画などで取り上げられることが多いですが、ふと思ったのは忠臣蔵との共通点でした。顔が凍りつきそうに寒い夜、雪景色の中自分たちの信じるものに従って粛々と決死の行動に出る人間たち、雪の白とそこに飛び散る血の赤、死の美学とその哀切さに、何か日本人の心を惹きつけるものがあるような気がします。 宮部みゆきさんも2・26をテーマにした「蒲生邸事件」を書いていますが、読み比べるのもおもしろいと思います。三島由紀夫もいくつか小説を発表していますね。 近未来、過去にさかのぼって時代を改変する技術が発見されてから、人類は嬉々として忌まわしい過去に改変を加え新しい歴史を作ってきました。が、しばらくしておかしな病気が蔓延。今も実在していますが少数の人間が発症する早老病で、人間が一生かけて行う細胞の世代交代が短時間で終わり一気に老け込んでしまいます。改変の波及効果が大きい場所にそれが大発生していることがわかり、その負荷が人体に影響しているのではないかと考えられました。 新陳代謝のスピードを一定に保つという薬が開発され、臨床試験で効果が実証されたため驚くべきスピードで認可、世界中の人間がその薬を毎日飲み続けています。けれど飲めるのは先進国の人間に限られ、しかも全員が飲めるわけではない。世界人口は減り続け、この先20年で文明を維持できるだけの人数は残らないかもしれないという危機的な状況に。 そこで国連は特別チームを編成、HDISと呼ばれるこの病気が発生する以前に時間を戻すことを決定します。こちらは2002年発表の作品ですが、なんだか現在のコロナ禍と共通するものがありますね。 その時間ポイントに選ばれたのが2・26事件でした。日本人マツモトを含む国連チームは陸軍軍人から3名の協力者を選び事実を説明し、時間改変に協力するように説得します。 彼ら安藤大尉、栗原中尉、石橋莞爾大佐の3名は実在の人物です。それぞれの風貌や性格はここに描かれているものに近かったようです。安藤は誠実で人望があり、栗原は女性的な美貌ですが革命思想を公言してはばからない急進派、石原は強い自我とカリスマ性を持つ上官。 それにしても未来から人がやってきて、自分が将来どうなるか、そして死ぬこともわかってしまい、それを承知で特定の時間域の中で役目を果たしてほしいというのは・・なかなか受け入れられるものではないと思います。実際ここでは知り得たことを利用して自分が望む方へ歴史を動かそうとする者も出てきます。結局どの歴史が正しいかというのも人や立場によって見方が違ってくるでしょうからそれも無理はないと思います。 たとえば国連チームのボス、ジョンは言います。「負けたことのないアメリカが「世界の警察」を自負し、後のベトナムや中東での過ちを繰り返さないために、アメリカは自分たちの思想や常識を超えた相手ととことん対決するのがどういうことか、日本と本土決戦をして懲りるべきなんだ」。 「本土決戦などとんでもない。沖縄や広島長崎だけでも何十万人も亡くなっているのに」と反論したマツモトに対して、ジョンは「それはただの感傷だ」と一蹴、「どちらにせよ日本はアメリカの属国のようなもの、日本はアメリカの1州になった方がいい」と言い放ちます。 過去の日本軍人たち、そしてさまざまな国籍からなる国連チームのメンバー。それぞれの思惑が交差し、事態は思わぬ方向へ。人類は、歴史は?結局どういうことになるのか?読み出したら止まらなくなり一気読みで徹夜になってしまい、翌日は大変でした(笑)。 複雑な構成に頭がこんがらがるところもありますが、おもしろいと同時にいろいろと考えさせられる作品でした。 | ||||
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下巻では、時間旅行の弊害としての奇病が、コロナウィルスを想起させてタイムリーな面白さを感じたので、評価アップ。しかしながら、上巻で感じた根本的な疑問は残ったままだ。 世界各地で、歴史に介入し、収集が付かなくなったと言う設定だが、それを正す役割を、該当の時代の人物に負わせるのは、どう考えても無理ではないか。タイムマシンの存在しない時代の人間が、未来からやって来たと言う人物を、信頼するわけがないと思うのだ。 そんな事気にせず、時間SFを楽しむべきと、わかっていても、国連の職員がナショナリティで、変な介入を行うのを読んでしまうと、そんな能天気には楽しめない。こんな感想を持ってしまうのは、私だけ? | ||||
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「二・二六事件」に題材をとった歴史改変SFだ。宮部みゆきも「蒲生邸物語」で同じく二・二六事件を舞台にしていて、かぶるのかなあとちょっと不安になったが、いやいやこれは恩田陸独特の世界観があって、読みごたえがあった。むしろこちらの方が断然面白い。未来からやってきた国連の人間たちが、実際の事件をもう一度なぞっていくはずなのに、誤差がいろいろと出てきて、おいおいこれで大丈夫なのか、歴史がぐちゃぐちゃになるぞと読者を不安がらせるところも上手い。先を読みたくて、すぐに下を読むこと請け合い。 | ||||
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二・二六事件の首謀者の安藤、栗原はどうなるのか。国連側のマツモトとアルベルトも頻繁に出てきて、こちらの二人の動向も気になる。予期しない伝染病も発生して、先が読めない、息もつかせぬ展開である。ひょっとしたら、日本はアメリカの州になってしまうのか、いやそれとも人類自体が破滅に突き進むのか。石原莞爾が重要な登場人物となり、軍部の独走を押さえ、泥沼の日中戦争を回避させるのかと思わせたりして、非常に面白い。ところで「ねじの回転」という題名は、ヘンリー・ジェイムスの同名の小説を絶対に意識しているよな。 | ||||
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この筆者はどろどろした愛憎劇、それも中高生が好むようなファンタジックな愛憎劇を得意とし、話のつなぎもミステリ仕立てのどんでん返しというものが多かったのだが、しかし本作は全く趣を異にしている。歴史の悪役ともいえる男共を、胸に迫る人物描写で書ききっており、面白くてたまらなかった。 SFとしての新規性、歴史ものとしての実直さというのは、本作においてはどうでもいいことのように思う。2.26事件でクーデター失敗、叛逆の徒という汚名のもと死んでいった軍人が、後の歴史家による評価を知ったうえで、歴史を繰り返しながら自分のしたことを噛みしめるという描写は、この設定でないと読めないのだから。 | ||||
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「ライオンハート」で知った作者です。 時間をテーマにしたSFが大好きなので、この作品も気に入りました。 分厚い本ですが、全く飽きさせません。4/5程度まで読んだ所ですが、どんな落ちになるのか楽しみです。 | ||||
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同じタイトルの小説が椎名誠にもありまた翻訳ものにもあり、どれも一筋縄ではいかない話しばかりです。 この作品の場合、途中でネジの螺旋がバカになって力を入れて回そうとするとくるっと空回りして元に戻る、そんなイメージでしょうか。 2.26事件の再現過程は面白いのですが、やや冗長であり途中で未来人の目的がなんだったかわからなくなってしまいました。 私としては椎名さんの短編の方に軍配をあげたいな。 | ||||
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友達に紹介されて買ってみましたがとても楽しく読めましたよね。 | ||||
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開始数ページだけですぐに物語に引き込まれてしまいました。 冒頭では状況をすぐには理解しづらい設定にも関わらず、ぐっと 読者を物語世界に引き込んでしまう構成・描写力の巧みさに 舌を巻きつつ、一気に読み終えました。 私は二・二六事件について歴史の授業程度の理解しかありません でしたが、こんなにも熱い人間のドラマがあったのかと驚きました。 読後、思わず二・二六事件について調べまくってしまった程です。 信念を持つが故に迷い、正解が見えない中でも選択して決断して 覚悟を持って生きていく人間の姿に感銘を受けました。 終盤は少々尻すぼみ感と言いますか、中盤までの勢いが薄れて しまう感じがあったので★5つまではいきませんでしたが、 とても興奮する読書体験をさせてもらえて感謝しています。 | ||||
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・恩田陸さんの作品の中では、ライオンハートと常野物語で時間をさかのぼる設定が でてきますが、本作品はそれとまったく違った印象の作品でした。 ・やり直しの時間を生きるもの、やり直しの歴史を管理しようとするものの双方の息吹が 手に取るように伝わり、「それでは本当の歴史とはなにか」という深い思索まで いきいきと表現されています。 ・後の時代のものから見て、誰が正しいか、誰が正義かと判断することができても その時代を生きている人間の行動は、それぞれが考えた最善らしいことをなぞって いるのかと考えさせられました。 ・設定の非現実性にもかかわらず、ライオンハートよりも、すっきりとしたシナリオです。 同時代の人間と、後世からきた人間の接触など、ぞくっとする場面があるスリリングな作品だと思います。 | ||||
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過去の歴史を修正しようとするものがたり、というかなんというか。 2.26事件がベースにされているのですが、 日本人の身ながら2.26事件がそもそもわかってない上に、 歴史を修正しようとしている?というその大設定も読み進めないとわからず。 でも「こういうことなのか?」「あっ、そういうこと?」みたいな 感じで自分の理解が追いついたかな!?というところどころにある 「なるほど!」感がおもしろかった。 下巻はもう一気読み。 そもそも主役は誰なんだろう・・・と思いつつ、 最後で「ああ、彼なのね!!」と。 最近の恩田さんの作品では最後やその謎解きが「うーん」と 思うものが多かったけど、今回は「おおっ」という感じでした。 2.26事件をもうちょっと理解していればさらに面白かろうということで ☆は4つ。 でも知らなくても十分楽しめました。 | ||||
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個人的には恩田作品の中でNO1です。 正直下巻くらいまで、独特のネーミングの重要単語 (そもそも「シンデレラの靴」からして謎だらけ)が満載で理解できなかったのですが、 小説のタイムリミットの焦りと同調するように、一気に読み終えることができました。 未来を知ってる過去の人間と、未来の人間がある目的の為に時間を遡るという いかにもSFな不思議な設定と、日本が暗黒の歴史を歩みだす分かれ道でもあった226事件を題材にした作品。(しかも失敗したらやり直し) 歴史好きの自分にも充分読みごたえがありました。 登場人物が魅力的で、「映像化したらこの役は誰がいいか…」など勝手にキャスティングしたくなるような小説です。 マツモトのどうでもいいような学生時代の話など、最後まで読むと「あ!」と思う伏線がぎっしりで、思わず2度読みしてしまいました。 この小説のおかげで226事件にはまってしまった私です。 226事件とタイムトラベルという題材にはまった方は、ぜひ宮部みゆきの『蒲生邸事件』も読んでみてください。 題材は全く一緒ですが、読後感も雰囲気も全く違う作品となっており、どちらも人気現代作家の新境地SF作品ですので、読み比べると面白いですよ! | ||||
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SFは苦手だし、歴史物で難しそうだと思って 敬遠していたのですが、意を決して読んでみました。 最初は説明なしに話が進むのでよく分からなかった のですが、途中から謎の人物が出てくるし、イレギュラー な事件が続々と起こって、読むのがやめられなくなりました。 下巻が楽しみです。 | ||||
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上巻から一気に読んでしまいました。 すごく面白かったです。 二・二六事件を起こした決起軍を率いるやり直しを 任じられた軍人たちの、未来を知っているが故の苦悩などに 胸が締め付けられる思いでした。 この事件の結末を変えようと奔走する人々の姿から、 当時の時代の歪みが垣間見える本でした。 あと、私にとって紙の上の出来事だったものが、非常に リアルに感じられた本でした。 | ||||
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例えばジェイムズ・P・ホーガンを好きな人ならばこの作品は行けます。 光りの帝国、ライオンハートにはそれらしい臭いがします。 でもこの作者には夜のピクニックに代表されるハードSFからはほど遠いいわば駅弁のような作品が主流である意味この種の本格的SFファンを満足させる作者とは思えませんでした。 この作品だけ読めば野尻抱介の世界がここにもあったかと思わせるものがあります。 願わくば六番目の小夜子ではなくサリバン家のお引っ越しのような作品を出してもらえればちょっとすごいのになと思います。 | ||||
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だからこそ、本格SFに尻込みするような人間もなんなり捉える良作に仕上がった気がする。 どちらかというとファンタジーに比重を置いている。それが良い。タイムパラドックスを簡略化したことによって、科学に疎い私でも難しく考えずに楽しめた。 軽快な速度で読者をグイグイ引っ張る恩田節は相変わらずの炸裂っぷりだ。 そして何より情景表現力のうまいこと。読んでいて映像がありあり浮かんだ。 非常に映画向きな作品だと思った。 | ||||
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上下巻の長編。 上巻では、 まだまだ謎というか、 仕掛けが多く、 狙いが分りづらかった。 それも、仕方ないね。 上巻だけでは評価できないしね。 でも、 ペースと意図がわかると、 どんどん引き込まれていきました。 歴史上の転換点として、 二二六事件に焦点を当てたところはさすが。 ただ、 一心に、 自分の信じた信念を通そうとする純粋性。 下巻に向けて、 大いに期待の持てる気分です。 | ||||
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上巻の前ふりが見事に結実。 大長編SFとなりましたぁ! 過去を変えることで、 現在を守ること。 現在を変えようとすること。 誰もが一度は夢見ること。 でも、 もし、それが実現したとして、 現在を生きる自分に、 変えたことが分るのだろうか・・・。 変えたことそのものもまた、 流れている時間の一貫でしかないとしたら・・・。 そんなスパイラルに落ち込んでしまう。 短いながらも強烈に生きた若者の姿は、 いつの時代でも人の心をうつ。 しかし、 彼らの生き方が正しかったとは思えない。 でも、 間違っていたとも、言えないのだ。 矛盾を抱えて生きる人間こそが、 それを克服しようとする人間こそが、 強いのかもしれない。 | ||||
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舞台はかの有名な二・二六事件の時代。 展開として下巻はわりとスピーディーな展開に度肝をぬかれる。 読めば読むほどはまる作品。 もちろんラスト60ページはすごい。 なんとなーくわかってはいたが、まさかああなるとは・・・ いい感じで恩田色がでている、おススメの作品だ。 | ||||
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宮部みゆき著『蒲生邸事件』を思い出しました。 よく似たテーマを、違う切り口と結末で料理していますので、 ご興味がある方はぜひ並べて読んでみてください。 どちらもとても大好きです。 「もしも過去に戻ってやりなおせるなら」 が、Ifではなく実現する世界の物語。 その技術を使えると知った人々は、 「世界の為」に「聖なる暗殺」を行うことを決めた。 一つのホロコーストをなくすことが、 100のホロコーストを起こすことになるとは知らずに。 フラグメントとして、過去の事象が短編でぽんぽん入ってくるので、 少々混乱しやすいとは思いますが。 舞台は日本。それも世界大戦前の、です。 出てくる人物の心理描写もとても丁寧です。 タイムパラドクスの説明が行われていないので SFファンの方には少々不服かもしれませんが、 因と果の巡り方が、私にはとても腑に落ちるものでした。 ラストまで読み終わったら、再読しなおすと更に面白い作品。 もっとディープなSFもこのテーマでしたら書けるのでしょうが、 それはSF専門の方におまかせするということで。 個人的にはもうちょっとメカメカしている作品が好きですが… (シンデレラの下りをもっと読みたかったな、と)。 途中出てくる「魔法の国の王様」の話が深いです。 | ||||
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