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(短編集)
どんがらがん
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どんがらがんの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.69pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全13件 1~13 1/1ページ
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読書メーターでのGW恒例のイベント【奇妙な味海外読書会】で、手に取った一冊ですが、奇妙…と、云うより絶妙!なにより物語を語り過ぎないその手法は、どの作品に於ても主人公の置かれた立場、状況、結末まで受け手の読解力を刺激して複雑で深い余韻を醸し出している。特に結末のシニカルな落ちは自虐的ではあるが、誰もが皆、共有する人生という不確実な航海を俯瞰するかのような趣を持って、記憶に刷り込まれていくように感じた。 | ||||
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編訳した作家が偏愛するのが、なるほど、と感じる、今では埋もれてしまった作家の好短編集。確かに、半世紀以上前の作品の古さはあるが、切れ味やウィットは結構いけます。 | ||||
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奇妙な味わい、ちょっとオールドスタイルな短編小説。 機械仕掛け人間と老夫婦のかみ合わない会話がシュールな『ゴーレム』からはじまり、見事などんでん返しプロットの『物は証言できない』、後味の悪さを持つダークなSF作品『さあ、みんなで眠ろう』、擬態もしくは変身をテーマにした奇妙な物語『さもなくば海は牡蠣でいっぱいに』、酔っ払いのじいさんの話が…オチが見事な『ラホール駐屯地での出来事』、ブラックマジックな『クィーン・エステル、おうちはどこさ?』、なにかのメタファーなのか、SFなのかそれとも童話なのか、さっぱりわからない不気味でグロテスクな『尾をつながれた王族』、サーカスと猿、イメージを楽しむ短編『サシェヴラル』、クールな愛憎の果ての老人ホーム殺人事件『眺めのいい静かな部屋』、ホラーほら話『グーバーども』、人情話『パシャルーニー大尉』、謎の東洋人の書店で見せられたお金で買えない稀覯本…その本を手に入れるには?オチが素晴らしい『そして赤い薔薇一輪を忘れずに』、長編小説の冒頭を切り出したような…迷宮感『ナポリ』、ミステリのようでいて、メキシコの空気感と迷信と科学が混沌とした『すべての根っこに宿る力』、売れない作家の秘密とは?傑作『ナイルの水源』、奇妙でグロテスクな童話というか…どんがらがんとは何か?は読んでのお楽しみ『どんがらがん』、全16篇収録。 | ||||
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奇想天外でついていけないなどのレビューが多く身構えてましたが、中々どうして! 素敵な話が多いではありませんか!奇妙珍妙ではありますが、訳者の言う通り、根底には弱者の優しさと程よいセンチメンタリズムがあります。まあ、人を選ぶところはありますが言ってしまえば大概の作品がそうですしね。 山ほど作品はありますが、気に入った作品を幾つかレビューします。 「ゴーレム」 老夫婦が通りで日向ぼっこしていると、顔色の悪い男が現れる。彼は自分をアンドロイドだと名乗った。彼を創り上げた博士が突然死した為、彼は解放され、後に残ったのは人類に対する憎しみだった。老夫婦の前で人類に対する宣戦布告を高らかに宣言するアンドロイドだが、ボケた老人達は全く人の話を聴かない。 何て珍妙でシュール。そしてキュート。この最初の作品で一気に気持ちを持っていかれた。 壮大な設定がありながら、あっけなく、そしてユーモラスに終わる辺り、道満清明と言う漫画家を思い起こさせた。 「さあ、皆で眠ろう」 ある惑星にヤフーと言う人間に似た生き物が存在した。彼らは下等で知能が低い。そして戦闘能力も持たない。 人類はその星が誰のものでもない事を良い事に、ヤフーを好き放題蹂躙する。ハーパーと言う男は彼らを救おうと力を尽くすが・・。 タイトルが悲しすぎる。弱者に対する愛と、弱者に対して容赦のない人類に対する諦観のようなものがある。 悲しい傑作。 「さもなくば海は牡蠣で一杯に」 バーナード嬢が勧めてたのを憶えているが、これは別に。面白いけど、先の二つの方が圧倒的に好き。 これはSFなのか?男が狂っていた可能性はないのか?とは思うが、ヒューゴー賞を取ったとなるとSFである男は狂って無かったと言う事なのだろうか。まあ、そうなんだろうが、SF的な説明が無いとSFはミステリやファンタジーの可能性が出てきてしまう。分かり易いし面白いけど。 「尾を繋がれた王族」 一つ目と言われる生物は、尾を繋がれて一つになった「お父様」や「お母さま」達に水を届ける仕事をしている。 この奇妙な生活に一つ目は何も疑問を持たず生きていたが、見張りがいない時に彼は教えられる。 一族のおぞましい秘密を。何故自分達は囚われているのかを。 これはSFと言うより不条理小説の趣がある。グロテスクで悪趣味だが、この奇妙さが何とも言えず味がある。 日本の下品なエログロ小説は大嫌いだが、これは独特の発想と気品があって大好きだ! この辺で「この作家天才だわ。」と思った。 「眺めのいい静かな部屋」 養老院にいるリチャーズ氏は歴戦の勇士であり、彼の武勇伝は何時もご婦人方の注目を集める。 それを快く思わないハモンド氏は彼の秘密に気付く。 展開そのものは凡庸だが、老人達の悲惨な状況を考えると身につまされる。 誰もが他人事では無い話だからだ。長生きして悲惨な事になるのは別に日本に限った話ではなく、何処の国も似たり寄ったりなのだなあと思った。 「グーバーども」 性悪ジジイのホラを真に受けた子供。だがそのホラが具現化してしまい、思わぬ逆襲を受けるジジイ。 一番わかりやすいかな、これが。とても楽しいユーモラスな話だがちょっと怖い話。子供が喜びそう。 「そして赤い薔薇一輪を忘れずに」 チャーリーは中古のガスストーブ店で働いている。何時も店長に酷い暴力を受けている彼だが、ある時その店のある建物の最上階に珍本を売る店がある事を知る。ちょっとした切っ掛けで店の中に入れた彼だが、見ている内にその非日常に中てられて何か欲しくなってしまう。しかし、珍本は高価以前に希少価値が高すぎて希少価値のある物としか交換できない。一旦は諦めたチャーリーだったが・・。 大好きな傑作短編が一つ増えた。タイトルで完結する話。 訳者曰く、「こんな小説を書ける作家は他にいない。」完全に同意である。なんて素敵な話だろう! 「どんがらがん」 表題作だが思ってた話と違った。戦争の悲惨さとかそう言うやつかと思ったら、あっけらかんとしたファンタジーで、デイヴィットスン版シンドバットの冒険みたいな感じかな。続編あるみたいだし。アイディアの独創性の割に普通のエンタメだけど結構好き。 さっそく他の本も読もうと思ったら翻訳がほとんど出てませんね。2冊だけ? しかも一冊は絶版で高い。参ったなあ。大好きになっちゃったのに。 | ||||
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ホラー作家によるSF、という印象。短編は不得手なのか、「短い長編」に終始している。 | ||||
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異能作家デイヴィッドスンの代表作16編を集めた短編集。 16編それぞれ奇想に満ちた短編ばかりで、まさに奇想コレクションの為に書かれたという感じの作品ばかりで強烈なインパクトを持つ作品集でした。 ただ、殆どの作品が向こう側に突き抜けたまま、こちらに戻ってこられていないのではないかという作品が多くて、ハードSFとは違う意味で読者の想像力を駆使させる、或いは読者の想像力を度外視した作品ばかりだったので、ついて行けない、疲れる作品が多かったという感想を持ったのも真実でした。同時期に読んだシャーリィ・ジャクスンの作品がこちら側に戻ってきた作品が多かっただけに、比較してしまい、多少点が辛くなってしまいました。 そういう短編よりも、元奥さんが寄稿した序文と解説に載っていたデイヴィッドスンの小伝が面白く、本編を楽しめなかった人でもこちらは相当面白いので読んだ方がいいと思いました。特に最初はユダヤ系だったのでユダヤ教に帰依していたけれど晩年は日本の天理教に改宗したという部分が興味深かったです。この人が代作したというエラリー・クィーンの「第八の日」も宗教がテーマの推理小説だったので、この人選はジャストだったのが判ります。 少々疲れた短編集。お暇ならどうぞ。 | ||||
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【収録作品】 ゴーレム 物は証言できない (1956年度EQMM短編小説コンテスト第一席) さあ、みんなで眠ろう さもなくば海は牡蠣でいっぱいに(1958年度ヒューゴー賞短編部門受賞作) ラホール駐屯地での出来事 (1961年度アメリカ探偵作家クラブ最優秀短編部門受賞作) クィーン・エステル、おうちはどこさ? 尾をつながれた王族 サシェヴラル 眺めのいい静かな部屋 グーバーども パシャルーニー大尉 そして赤い薔薇一輪を忘れずに ナポリ (1979年度世界幻想文学大賞短編部門受賞作) すべての根っこに宿る力 ナイルの水源 どんがらがん 2005年刊の[奇想コレクション]版単行本に編者の殊能将之による自作自演インタビュー「編者に聞く」を追加収録。 人種差別への静かな怒りを滲ませた「物は証言できない」などミステリ系列の作品もユニークだが(因みに著者はエラリー・クイーンの異色作『第八の日』の執筆協力者でもある)表題作や「ナポリ」「さもなくば海は牡蠣でいっぱいに」といった既存のSF、幻想文学から隔絶した奇想の破天荒さは比類なく、誰の影響下にあるのか、さっぱり判らない...という作風のオリジナリティは一読してもらう他ない。 多彩な語り口の面白さと奇抜なアイデアが融合した短編揃いだが、中でも冒頭の「ゴーレム」はオフビートなユーモアを端正に仕上げた傑作。 そして巻末に収録された編者の架空インタビューを読むと、殊能氏の博覧強記ぶりと辛辣なユーモアが愉しかった彼のブログを懐かしく想い出す。これは日米きっての奇想作家の幸福なコラボレーションでもある。 | ||||
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正直に言って、ストーリーが面白いかって訊ねられると僕は首をかしげたくなる。 つまんなくはないけど、特別面白くもない。全編通してそんな感じ。 だけど独特の雰囲気がある。 文体と会話文と背景の描写とが、この人の目に見えていた世界をくっきりと作り上げているのだ。 僕の場合、どんな小説も本を閉じた瞬間からさらさらーっと頭の中から出て行ってしまうのだけど、たまに読んだ後もしっかり印象が残っているものがあって、この小説はまさにそれなのだ。 僕は物語の盛り上がりとかよりも、空気を感じたいっていう方なので、この作品は僕の好みにマッチしている。 従って星4つだけど、ストーリーやわあっと驚くプロット派の方だと、そんなに楽しめないかもしれないと思った。 | ||||
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収録されている16編、そのどれもが独自の世界観を内包しているように思います。 「どんがらがん」を読んで、 久々に素晴らしい作品に出会えたという満足感を得ることが出来ました。 もっとも好きな作品は「ナポリ」です。 読み終えたあと、鳥肌が立ちました。 1年経った今でも「ナポリ」に感じた畏怖心は変わりません。 アヴラム・デイヴィッドスンという素晴らしい作家のBESTは この中にあるように思います。 ご覧になることはないと思いますが…… 殊能将之さん、本当にありがとうございます。 | ||||
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難解、というか、作者が何を書きたいのかさっぱりな話が半分くらいある。ここまでくると、わけのわからさが美徳のように思えて不思議。 決して読みやすくはないのだけれど、みょうな面白さがある。 | ||||
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Amazonのレビュー(翻訳者が有名どころぞろい、という内容の)を読んで読もうと思った。おもしろかった。ただ、私が未熟な読者のせいか、落ちがなかなかわからない話もあった。アヴラム・デイヴィッドスンの文章は翻訳しづらい、翻訳者泣かせとのことだが、ぜひ、他の作品も紹介してほしい(SFは、あまり売れないだろうけど)特に未訳の長編が読んでみたい。 | ||||
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このたび、異能作家アヴラム・デイヴィッドスンの短編集、「どんがらがん」が河出書房新社の”奇想コレクション”の一冊として出版されました。 が、そこでは作家の重大作、”Or All the Seas with Oysters”の邦題が、長年にわたってSFファンが馴染んで来た「あるいは牡蠣でいっぱいの海」から「さもなくば海は牡蠣でいっぱいに」なる、座りの悪いものに改変されてしまっています。 そのようなものにせねばならぬ必然性は特に感じられず、また、新邦題が日本語訳として特に適切であるとも思えません。むしろ、編者の自己満足や功名心から、このような改変がなされたとしか理解できないのです。このような愚挙を座視して良いのでしょうか? 私はここに邦題改変に抗議するため、あえてこの作品集に最低点を献上いたします。内容については触れません。邦題を元に戻せ。話はそれからだ。 | ||||
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なんつー題名だ、と呆れて表題作を読んだら、これ以上はない題名でした。 何それ?と思った人は、すでに作者と訳者の術中です。ぜひご一読を。 河出書房新社「奇想コレクション」シリーズ最新にして最高の奇想短編集。 凝りに凝ったタイトル(『さもなくば海は牡蠣でいっぱいに』『尾をつながれた王族』『そして赤い薔薇一輪を忘れずに』etc)と、それを悉く裏切るぶっ飛んだ物語の数々。 超難解と世評に高い『ナポリ』を始め、どの作品も一筋縄ではいかないめくるめく言葉の洪水。無駄な抵抗はやめて、大人しく呑み込まれましょう。 でも、やっぱりわからないよぅ(笑) | ||||
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