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二都物語
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【この小説が収録されている参考書籍】
二都物語の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.78pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全37件 21~37 2/2ページ
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待望、だったのは私だけかもしれませんが、 『二都物語』の新訳です。 新潮文庫の『二都物語』は、 昭和42年に中野好夫訳が出て以来、再販をくり返してきました。 ごく最近(平成24年)も改版し、活字が大きくなったばかりだったので、 まさか新訳が出るとは思っていませんでした。 中野訳は、もともと昭和36年に、 世界文学全集6(河出書房新社)の一つとして訳出されたものですが、 それから53年たった今読むには、 文章のリズムが途切れがちで、多少苦しいところがありました。 他の訳はないかなと思い、 ・柳田泉訳(新潮社、昭和3年) ・佐々木直次郎訳(岩波文庫、昭和11・12年) ・本田彰訳(角川文庫、昭和41年) ・松本恵子訳(旺文社文庫、昭和49年) ・田辺洋子訳(あぽろん社、平成22年) を手に入れてみましたが、 これぞ決定版!といえるものはありませんでした。 恐らくディケンズの書いた文章自体、 相当難渋なのであろうと半分あきらめていたところで、 加賀山卓朗氏による新訳、 心待ちにして手に入れ、読んでみました。 石塚裕子訳の『デイヴィッド・コパフィールド』ほどではありませんが、 これまでの訳に比べれば、 圧倒的に読みやすい翻訳に仕上がっていると思います。 イギリス独特の古い言い回しは、 どのように訳してもわかりにくいところがあるのですが、 文章のリズムを壊さないぎりぎりの範囲ですべてを訳してくれていると思いました。 多少の堅さはありましたが、 ほぼ現代の小説を読む感覚で、 どんどん読み進めることができました。 初めて、この小説の構造がわかった気がしました。 フランス革命の文化大革命的な側面を、 イギリス人の立場からよくえぐり出していると思いました。 まだ1回読み終えただけなので、 少し時間を置いて、再読したいと思います。 これで完全に、ディケンズのファンになりました。 加賀山卓朗氏の新鮮な訳業に感謝です。 | ||||
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ディケンズの『二都物語』は世界で最も読まれている小説だそうです。 この小説のどこがそれ程世界中の人々を惹きつけるのか、興味を持って読みましたが、翻訳特有の造語と思える読み方がわからないような熟語が目につきまして少し閉口しました。 それでも、それらを凌駕する魅力溢れる物語であることは十分に伝わってきました。 フランス革命は現代からみれば、共和制という人類の進歩を推し進めた偉大な事業であったと評価できます。 しかしこの大事業をやり遂げるためにどれ程の犠牲を必要としたか。 まさに地獄を一度通過しなければ、辿りつけないような場所にフランス革命はあったのでしょう。 そのような時であっても、人は神のように振る舞えることを物語は語っているのではないかと思いました。 翻訳の中野好夫さんが巻末に解説を伏しておられるのを読んで、腑に落ちる部分も多々ありましたので少し紹介しておきます。 中野さんの世代の人にとってディケンズは学生時代のテキストとして使われ、ヴィクトリア王朝の栄華を感じられ憧れた文学だそうです。 ところが、訳出するにあたって改めて文章を見て、よくもまあこの本をテキストに使ったな、と呆れてしまいます。 英語の上達には全く役に立ちそうにない、文章だというのです。 俗語、スラングの類が相当多いのでしょうね。 また構成力がディケンズは落ちると冷たく仰っています。 (ディケンズはストーリテラーとしての魅力は語られる半面、構成力はしばしば批判を受けています) それでも面白いには面白く、面白い話を追っていく感じで読めば良いのではないか、といったことが書かれています。 何となく、翻訳をするのに四苦八苦している中野さんの姿が頭をよぎりました。 | ||||
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最後の部分を読み終えて、気がつくと全体の輪郭がすっと浮かんでくるような錯覚を覚えました。 独特の比喩を駆使したエピソードが積み重ねられてゆきます。 読み手はそれを追いかけてゆくわけですが、途中で何度も迷路に迷い込みました。 初めてお読みになる方は、少し粗筋を頭に入れておいた方が良いかもしれません。 しかし何といっても世界で最も愛されている小説を読むのは、それだけで嬉しい気分になります。 尊いものに触れたような感触が味わえると思います。 | ||||
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古い映画を観て感動して読みなおしました。映画は2種類あり、ハリウッド版の方が断然よく、本国イギリス版は迫力に欠けます。観てから読むか、読んでから観るか? | ||||
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本作品は、1859年初版で、ウィキペディアによれば、2008年までに世界で2億冊が発行されたという、恐らく世界で最も売れている小説のひとつと言えるでしょう。 私が購入した中古本でも、平成12年で55刷となっており、その売れ行きの多さが窺えます。 このように、既に多くの読者を獲得していながらも、熟年に達するまで読むことのないまま過ごしてきたのは、19世紀の英米文学にあまり興味がなかった──というのが、率直な理由ですが、ある映画をきっかけにこの作品に興味を持ち、今回の読書となった次第です。 とても興味深かったのは、上・下巻の背表紙にストーリー紹介されているのですが、結末まで要約して書かれていることです。 こんなことは、新刊本では考えられないことですが、これだけ売れているのだから、結末を隠そうにも、読んでいない人でも何らかの形で、ラストを知ってしまっているという現状を踏まえてのことでしょう。 さて、作品の評価なのですが、これについては、巻末解説が面白く読めました。 本作品の翻訳者が解説しているのですが、通常、苦労して翻訳したなら、その作品を褒める傾向があると思われるところ、「傑作とはいわないまでも、けっこう面白い」と、賞賛しているわけではないのです。 これにはちょっと安心しました。 私も、面白さは認めるが、★5つとまではいかないかな、という印象を持っていたためです。 そして、本作品が有名になった理由として、フランス革命を取り上げていること、また、作品の書かれた時期が、ちょうどこの革命の歴史的興味や、意義づけが盛り上がってきた頃であったことを挙げていますが、この点についても同感です。 日本を含め、現代の民主国家が成立した発端がフランス革命であることは周知のことで、それゆえに外国のお話でも、身近に感じることができます。 また、この革命で没落した「貴族」が主人公のひとりで、数奇な運命に翻弄されるとくれば、結末は知っていても、興味を持って読める確率は高いと思います。 このようなわけで、読むきっかけは人それぞれでしょうが、これからも読み継がれていく作品であることは間違いなく、感動までいかなくとても、それなりに楽しみながら読める小説だということは言えると思います。 | ||||
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『二都物語』下巻ではフランス革命が勃発する。フランス革命については研究が進んでおり、最近は革命指導者の駆け引きが注目される傾向にある。これに対して本書は民衆暴動中心という古典的なフランス革命観である。これが逆に新鮮である。無名の民衆が歴史の主人公という視点は現代日本にも求められる。 アンシャンレジームのフランス農民が悲惨な状況にあったことは言うまでもないが、その農民支配には年貢の徴収が厳しいという封建的支配だけでなく、経済的取引上の搾取も含まれていた。領主を告発する農民の少年の告発には「おれたちの穀物は、あいつ(注:領主)の粉ひき場でひかなければならない」という台詞もある(下巻304頁)。領主は粉ひき場の使用料を徴収することで農民を経済的に搾取していた。 これは現在日本の貧困ビジネスのゼロゼロ物件業者に重なる。ゼロゼロ物件業者は賃貸住宅の鍵を勝手に交換し、賃借人から鍵交換料を徴収する。第三身分の貴族階級への怒りはゼロゼロ物件業者など貧困ビジネスへの怒りと置き換えると身近になる。 | ||||
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チャールズ・ディケンズ著、中野好夫訳『二都物語』(新潮文庫)はフランス革命前後のロンドンとパリを舞台とした歴史小説である。当時の重苦しい市民生活が描かれる。 中でも上巻のチャールズ・ダーニーの帰郷時に描かれたアンシャンレジームのフランス社会の悲惨さには押し潰されそうである。その不合理は現代日本の格差社会の貧困と重なる。そして、いつ爆発しても不思議ではない人民の怒りに気付かない貴族階級の愚かさも、たとえば東急不動産だまし売り裁判の東急リバブル東急不動産に重なる(林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』)。 | ||||
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美しく晴れた朝、ルーシーとダーニーは教会で結婚式を挙げた。幸せな新夫婦は新婚旅行に。しかし父マネット医師の様子は異常だった。8年のうちにルーシーには母親そっくりのかわいい金髪の娘が生まれ、ルーシーと名付けられる。男の子は幼くして死んだ。2人とも、カートンによくなつき、一家には愛が溢れていた。 だが、ダーニーの秘密はバーサッドの口からドファルジュに洩れていた。彼は高慢な貴族サン・テヴレモンドの甥なのたが、貴族制を嫌って英国に亡命していたのだ。フランスでは革命が最高潮に達し、国王や貴族がギロチンで処刑される。共和国の名のもとに民衆は貴族への復讐に殺気立つ。ダーニーは元使用人の手紙に釣り出されて渡仏、捕えられ、ラ・フォルス監獄に送られる。 人民裁判で彼は死刑を宣告される。サン・テヴレモンド侯爵こそ、マダム・ドファルジュの一家に暴行を加えて殺害した仇敵だったのだ。侯爵は瀕死の姉弟を診察したマネット医師を、バスチーユに幽閉したのだ。カートンはルーシーや幼い娘も血祭りにあげられる、と気づき、愛する彼女と、彼女の<いとしいもの>のために、自分が犠牲になる決心をする。彼等の出国の手筈を整えてから、彼はバーサッドを使って監獄に入り、麻薬でダーニーを失神させ、服を取り換え、カートンの服を着たダーニーを連れ出させて、自分が残る。二人の容貌が似ていることを利用したのだ。翌日サン・テヴレモンドとしてギロチンにかけられる彼を支えるのは「われは甦りなり、生命なり。我を信ずる者は死ぬるとも生くべし」という聖句とルーシーへの思い、そして、やがて彼女に男の子が授かり、カートンと名付けられて立派な弁護士になるだろうという<甦り>の夢である。 | ||||
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今年(2012)生誕200年を迎える英国19世紀の文豪チャールズ・ディケンズが、フランス革命下のパリとロンドンを舞台に物語る劇的にロマンテイックな小説。キーワードは<甦る>、<あなたのいとしいもの>。 英国の銀行に勤めるロリーは<甦った>という暗号で、マネット医師が18年間投獄されていたバスチーユ監獄を出たことを知る。彼は医師の娘ルーシーをつれてパリに行き、ドファルジュの酒場の2階で父娘を再会させ、ロンドンに連れ帰る。英仏海峡連絡船の中で、ル―シ―はチャールズ・ダーニーという青年と知り合った。5年後、小悪党バーサッドは、スパイ容疑・反逆罪でダーニーを告発する。証人として立ったルーシーはダーニーに不利な証言をしてしまうが、法廷弁護士シドニー・カートンの機転で、無罪となる。カートンはダーニーと自分がよく似ていてどちらか分からないくらいだ、バーサッドは誰かと見間違えたのだ、という判決へと導いたのだった。 実はカートンはルーシーへの恋に落ちたのだ。有能すぎて体制に順応できない彼は、寂しさを酒に紛らしたり、裏世界と交わったりしてきた。だが、もしルーシーと結婚できれば軌道修正ができる、と思ったのだが、彼女はすでにダーニーと婚約していた。カートンはルーシーの前で泣き、切ない想いとそれを諦めたことを打ち明け、彼女と、やがて彼女に生まれる<あなたのいとしいもの――子どもたち>のためなら喜んで自分の身を犠牲にすると告げる。 一方パリでは、民衆の怒りが革命に向かってふくらんでいた。 表社会と裏社会、保守と革命が重層的に描かれ、下巻を期待させる。 | ||||
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私は、ハンフリー・ボガード、ドロシー・テューティン主演の映画『ニ都物語』(1957年/英国)を観て、興味を持ち、この原作本(上・下2巻)を読みました。 話の内容は、フランス革命時代のパリとロンドンを舞台とした、歴史的・悲劇的な感動大作で、フランス革命の負の部分――革命に狂乱した民衆の暴徒化・・・略奪、虐殺、民衆の怒りと憎しみが渦巻く混乱しきった社会、革命政府による1日に何百人ものギロチンを使った貴族階級の人達の処刑・・・等々――教科書には出てこないような革命の影の部分が見事に描かれています。 しかし、この原作の邦訳は、ほんとうに読み辛かった。大時代がかった大袈裟な比喩と、くどくどとした、やたらに長くて回りくどい言い回しが“これでもか”と言わんばかりに多用され、そのうえに登場人物が、姓だけで書かれていたり、下の名前だけで書かれていたり。さらに、主語がないために、いったい誰の発言かが、よくわからないような部分も非常に多かったのです。 これは、感動的な歴史大作ですが、訳者の技量の問題が非常に悪い結果を出してしまった邦訳だと感じました。よって、星1つ減らした星4つの評価とさせていただきました。 その点、映画『ニ都物語』のほうは、人間関係が整理されて単純化され、邦訳もスッキリと解り易く、とてもいい映画に仕上がっていると思いました。 | ||||
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とっても読ませる作品。良書。 ただし、気分がめいっている時は厳しいかも。 | ||||
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ディケンズはイギリスでは夏目漱石のような文豪と読んだ後で知りました。 なので、最初はロマンチックな恋愛冒険ものと思い込んでました。 途中まではそんな感じなのですが、終わりが近付くにつれ絶望的な展開になっていきます。 最後は泣けます。 フランス革命文学の中では私はこれが一番好きです。 | ||||
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片思いを寄せる女性の夫の身代わりになって死ぬ… というのは、いかにも陳腐なメロドラマではあるし、構成は軽薄ではあるのだが、主人公のシドニー・カートンが、なかなかどうして、魅力ある男性なのである。 純粋さを隠したカートンと、ディケンズの浪花節に乗せられて、かなり興奮しながら読み進めてしまう。 カートン一人が浮き上がって見えるのに対し、他の主役級の登場人物たちは、ほとんど紙人形のごとき平板さであるが、たくましいミス・プロスや、薄気味悪いマダム・ドファルジュなど、脇役のあくの強さも印象的である。 フランス革命時、貧苦にあえぐ民衆が、荷馬車から落ちて壊れたワイン樽に群がる様子の描写などは、一定の迫力がある。 下巻に収録された中野好夫による解説は必読。 | ||||
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ストーリーは、フランス革命期を舞台にしているが、 歴史小説ではなく、文学的だ。世の潮流と運命に翻弄され ながらも、自分の信念を守り、生きる姿は感動を与える。 映画化できるだけの内容ある作品。 | ||||
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なんだか聖書の引用が多くて説教臭い面もあるけれども、 さすがはディケンズ。犠牲愛物語なんぞ膾炙しているに もかかわらず、読ませる。ニヒルな「山犬」がかっこいい。 ちょいと登場人物の相関関係があまりに出来すぎのご都合 主義なのは眼をつぶるとしても、やはりクライマックスを もっと盛り上がらせて書いて欲しかった。あの終わりかた はないでしょう。しかし、面白いので暇つぶしにはもって こいだと思う。 | ||||
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この作品ってディケンズとしては失敗作でしょう。最終盤は破綻しているところがあるし、無理がある。サルも木から落ちる、とはこのことを言うんでしょうな。それでも凡百の作品群から見れば充分すぎるほどの内容なんだけど。物語を楽しむと言う姿勢ならばドストエフスキーの作品よりも、失敗作だがこっちのほうがいい。『大いなる遺産』の方がいろんな面でうわまわってるんだけども、さ。 ディケンズの魅力は独特の「節回し」にある。洗練されてるわけじゃあないんだけども、とにかく読ませる。分量が多くてもとにかく読める。ジョン・アーヴィングなんかのようなストーリー性を重視する作家が神様のように崇めてるのも当たり前。まあ、『大いなる遺産』を読んだ後なんかにこの作品を読めばいいんじゃないですかねぇ。 裁判長、これで私の答弁を終わります。 | ||||
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フランス革命時代のパリとロンドンの二大都市を舞台に繰り広げられる歴史ロマン。貧民の視点から描いたことで知られるディケンズだが、こういう壮大な歴史ロマンも書ける人なのかと思った。自由・平等・博愛とは何かということを深く考えさせられたし、貴族の傲慢、民衆の凶暴性という真実の姿を鋭く描いている。 | ||||
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