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(短編集)
黒いハンカチ
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黒いハンカチの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全14件 1~14 1/1ページ
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おもしろかった | ||||
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氏の作品を読むのは初めて。文体は平易かつ明晰でユ-モアもあるため、とても読みやすい。 しかしながら、発表年を考慮しても、ミステリとしては弱いだろう。短い話なのでそれほどのミステリ濃度は望まないにしろ、短いなりの小気味よい切れ味がほしいところだが、残念ながらそれは感じられず。 主人公のキャラクター造形も悪くないのだが、深みに欠けるといった印象。屋根裏部屋でのお昼寝が好きなことや不似合いな大きい眼鏡をかけていることなど、もう少し膨らませても良かったように思う。 それと、いくつかのエピソードで、それなりの理由があるのかもしれないが、犯人を見逃してあげてしまうところも個人的には好みではない。 そんな中で、「犬」・「シルクハット」、「手袋」の順でやや面白かった。 短い時間で気軽に読書を楽しみたい人には最適の作品でしょう。 | ||||
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一編わずか18ページほど ミステリーなんでしょうが、なぜかのんびりした空気に包まれます 日常の謎ではありませんね ただ雰囲気は帯の言葉を書いた北村薫さんに近いような ニシ・アズマ先生、こんな探偵がいたんですね この一冊だけしか登場していないそうですが、魅力的な女性です このような埋もれている過去の作品にも素晴らしいものがある事を改めて気づかさせてくれました | ||||
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ニシ・アズマ先生は、警察の手も借りず、素人の立場から、ただその赤いセルロイド眼鏡の奥の観察眼を光らせることによって、様々な事件の「誰がやったのか?」を見破ります。 あくまでニシ先生の鮮やかな種明かしに主眼が置かれ、ホワイダニットが語られないお話も多数です。 動機があまりクドクドと語られないので、時代を問わず楽しめる、エバーグリーンな推理小説になっているなと。 とはいえ、一話目の「指輪」のラストの様に、犯罪に関わらざるを得なかった人の哀しさが分かる様な描写も、さり気なく散りばめられ、ほんのりした叙情性も魅力的でした。 | ||||
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期待を以って購入したのですが、可もなく不可もなくと言うう感想です。 | ||||
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文章に品があってよろしなあ。表現が洗練されている。(これだと、翻訳もさぞよいだろう。) とりわけ「赤い自転車」が好きだ。秀逸。知恵をはたらかせて電話をかけるところがよい。どき どき。気持ちのいい読後感。ほの見える主人公の背景が、全体に寂しみを彩る。もっと知りたい けれどこのお話はこれで終わり。きっと手元に残したい1冊になる。 | ||||
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わが読書ノオトに書き留めしこれらの語句。つまり、真逆、徐に、心算、狼狽る、茲、点頭く、兎角、云云、悉皆、恙無く、蔑ろ、間誤附く、蹲踞む、吩附ける、ころもへんに「親」と書いて、続いて「衣」(探してもなかったので変とツクリを別に記す)、苟くも、偶偶、「秋瓦」(前記同様)、漾う、草臥れる、「くにがまえ」(囗)の中に「巳」を書き続く語は「転」、変梃、幾許、珍紛漢、獅噛み附く・・・これらの古式豊かな熟語を文章中でゆっくりと堪能したい方は、読み給え。 将来、電子書籍でこのような特異な漢字を果たして表現できるやいなや。 因みに、ハンカチは「手巾」です。コダワリついでにタイトルに注文をつけておきます。 | ||||
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『村のエトランジェ』等の小品で、 何回か芥川賞候補となった作者による 小粋な推理連作短編集。 この作品を発掘した北村薫自身が その類似性を認めているように 50年以上の前の作品でありながら、 「日常の謎」をやっているのは興味深い。 当然、当時としては渋すぎて 大きな話題にはならなかったのだろう。 推理過程や犯罪そのものについての 掘り下げは決して褒められたものでは無いだろう。 しかし最近のニセモノの「お嬢様の通う女子校」 の安いイメージに比べ、この作品が あの時代のブルジョア家庭の雰囲気を上品に 極めてうまく伝えている点は高く評価していいだろう。 また表紙絵もマンガチックではなく素晴らしい。 | ||||
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著者については坪内祐三氏の「古くさいぞ私は」の中のミニマリズムの説明で紹介されて初めて知った。この本は昭和32年4月から33年3月まで雑誌「新婦人」に読切連載されたものをまとめたものである。表紙絵は当時のミッションスクールの雰囲気を実に忠実に醸し出していて迷わず購入した。 中身も清新で上品な雰囲気とのんびりした話の展開で、謎解きまではするが犯人の動機や背後関係までは深く追及せず、捕まえることすらせず放免してしまうこともある。反省して改心するだろうという性善説に立った話なのだ。都会の裕福な家庭ではクラシックバレエや刺繍、バラ作りなどが流行った時代であったことを想起して読んでもらうと当時の雰囲気が少し分かるかもしれない。読後感が爽快で後を引かないのもこの作品の特徴である。 | ||||
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1958年に三笠書房から出た単行本の復刊・文庫化。 著者は早稲田の先生で、芥川賞候補にもなるなど小説家としても活躍した人物。本書はニシ・アヅマという女子高の先生を主人公に据えた短編集。北村薫の『謎のギャラリー』に2篇が収められたことで忘却の淵から拾い上げられ、復刊のはこびとなった。 まあ、トリックとしてはしょうもない。しかし、お話としてのレベルはなかなか。黄金期の英米の短編を読み漁った人が書いたという雰囲気で、古典好きの人にはたまらないだろう。ブラウン神父を思わせる。 諧謔味というかユーモアが効いていて、それでいて物悲しいトーンもある。 収穫だったと思う。 | ||||
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主人公のニシ・アズマ女史は女学院の先生で、昼寝を趣味にするごく普通そうな若い女性である。しかしながらどういうわけか、偶然に事件に巻き込まれたり、その場に居合わせて、何かとその事件を解決する糸口を見つけ出してしまう。誠に都合のいい展開には違いないが、その時代の風俗というか、空気のようなものも伝えながら、ユーモアたっぷりに語られる小話を十分に楽しませてくれるのである。 こういう遊びのような作品は、書いている人も楽しんでいるという感じがする。続編の要望もあったようだが、ニシ・アズマ女子に危ないまねをさせ続けることを躊躇したということになっているようだ。そういういい訳も一種のユーモアなのだろうけれど、こういう世界を大切にしたということもいえるのではないか。小品ながら、楽しみながら力を入れて執筆した。この世界を広げるより、作者としてはいとおしい気持ちのまま封印したかったのかもしれない。そういう作品が、作者の死後、時代を超えて一介の読者を獲得する。めぐり合わせと、本という人間の記録の面白さは奥が深いものだと、あらためて思うのである。 | ||||
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北村薫さんの作品をはじめて読んだときの、あの新鮮な驚きと読後の清冽な印象が蘇った。なんといっても名偵役ニシ・アズマ(この古風なカタカナ表記がとてもいい感じ)の利発で可憐で、どこか「お茶目」(死語)なキャラクターが魅力。「その女性──小柄で愛敬のある顔をした若い女性、賢明なる読者は、既にお判りかもしれぬ、他ならぬニシ・アズマである」。この登場の仕方、というか燻し銀のようなユーモア漂う小沼丹の筆運びがいい。12の短編それぞれに違った味わいがあってそのどれもがすてがたいものなのだけれども、個人的には「未完成」に終わった青年との恋の回想シーンが出てくる「十二号」と、ニシ・アズマの家族が登場する「スクェア・ダンス」が印象的。──『黒いハンカチ』が刊行された昭和33年は松本清張の『黒い画集』が「週刊朝日」に連載されはじめた年でもある。私はたまたま偶然この二冊の本を同時に読んだ。いかにも対照的な両作品はあいまってあの時代の雰囲気を伝えていたように思った(といっても、あの時代のことを実感として知っているわけではないのですが)。 | ||||
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高台に建つA女学院の屋根裏部屋は、ニシ・アズマ先生のお気に入りの場所。暇があるとそこで昼寝をしたり絵を描いたり。かといってこのニシ先生、決して怠け者やボンクラなどではありません。鋭い観察眼の持ち主で元気になることを見つけたり知人から謎が持ち込まれたりすると、たちまち太い赤縁の眼鏡をかけて名探偵に早がわり、快刀乱麻を断つごとくみごとに解き明かしてみせる。ニシ・アズマ女史の探偵譚12編が収録されています。 ミステリとしては、ニシ先生が犯人や犯行方法を説明、動機についてはあまり深く追求されていないのでちょっと物足りなさも覚えますが、それを補って余りあるほどの文章の力、読み終わった後は不満よりも爽快さが残ります。 作者の小沼丹、聞いたことのない作者なので新人さんかと思ったら、さにあらず、数々の文芸賞を受賞していた人で、このニシ先生のシリーズも昭和三十二年四月から一年間雑誌に連載されていたものだろう。なるほど、漢字の使い方や文字遣いなど改められてはいるようですが、それでも当時の雰囲気や作風が伝わってき、いま読んでみるとかえって新鮮さを感じます。 本書のような、埋もれた名作忘れられた傑作ミステリが次々と陽の目を見るようになった昨今、まったくいい時代に居合わせたものだと実感させてくれる一冊です。 | ||||
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A女学院の女教師、ニシ・アズマは 「ちょっと変だな」と思った事を見逃さない。 愛嬌のある顔に似合わない赤縁の大きな眼鏡をかけて、 盗難や詐欺、はたまた殺人の謎をさらりと解いてしまう。 戦後時代に書かれた少し古い作品ですが、 当時の漢字使いやお嬢様階級の描写が逆に新鮮です。 「上品」「日常ミステリー」「男性なのに女性を巧みに描写」 というと、もちろん北村薫を思わせますが、 小沼丹の作品を発掘して「謎のギャラリー 謎の部屋」(新潮文庫)に含めたのは 他ならぬ北村薫です。 | ||||
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