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晴子情歌
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晴子情歌の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.20pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全6件 1~6 1/1ページ
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前半は素晴らしいと思った。繊細な表現と緻密な描写が相まって、まさに文学作品としての豊穣さを味わうことができた。しかし、後半になると、重要な場面があまりに簡潔に描写されていたり、心理描写があまりに観念的に過ぎていたり(つまり語ろうとしすぎて文学的な表現に溺れてしまっているのだ)、さらには無理矢理に押し込んだような歴史的なエピソードがあったりで、文学作品として綻びが見えてきてしまった。これはそもそも構成に問題があったのだろうか? 特に、晴子と淳三の夫婦関係は結婚後、何も語るべきものがないほどに平凡だったということなのか? この作品が「新リア王」の序章であるということなら、この家族の背景がわかったということで納得できるが、この作品だけで完結しているとみなすなら、一体、この話は、だからなんなんだ、と言いたくなる。 結局、読後に残るのは、晴子という女性はなんだか浮世離れしすぎていて、こういう女が作者の理想なのかと冷ややかに思いたくなるし、彰之はあり得ないほどにあまりに文学的な思考力を発揮して、これもまた作者のなにかしら理想化がなされているのではないか、という冷めた思い。 ああ、文学って難しいんだなあ、高村薫ですら文学を自分の望み通りに扱えないということなのか。そういう意味では非常に勉強になった。 | ||||
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でも書いてある状況は知りたいことではあった。 作家が文面のそこかしこに出過ぎていたような気もする。 面白いとは感じられなくても、次にリア王を読んでみようと思える。 | ||||
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作品が悪いのではなく、読み続ける根気が続きませんでした。 好きな作家さんなのですが・・・。 精神世界を彷徨う記述満載のストーリーは 途中で誰の思考だったかさえも分からなくなってしまう位果てしなくて とうとう読むのを断念しました。 | ||||
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第3章までは文句なく傑作。だが小説としては第4章で突如「破綻」する。「青い庭」の描写にしろ、松田と彰之の問答にしろあまりに観念的かつ紋切型でとてもこれまで常に高度に抑制のきいていた高村薫の文章とは思えない。なぜか彰之の成長期と晴子の中年期についてのエピソードが乏しいのもバランスが悪い。母子ともに主人公としつつ、それぞれの一人称で母の奔放と息子の鬱屈を表現しようとした野心的な構成にやや無理があったようだ。次作以降(まだ読んでいない)に期待したい。 | ||||
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300日、晴子はインド洋上にいた息子の彰之に手紙を出し続けた。100通の手紙には、 少女から大人の女性へ変わりゆく晴子の姿が描かれていた。自分の目の前に現れた 自分の知らない母・・・。彰之がとまどいの中で感じたものは? 昭和の初めから戦前戦後の混乱の時代を生き抜いてきた母。その半生を綴った手紙は、 圧倒的な迫力で読み手の心を強く強く揺さぶる。晴子の人生は、平坦なものではなかった。 彼女は必死に生きた。時には虚勢を張り、時にははいつくばるように、時には苦痛に身悶え しながら・・・。晴子の息づかい、しぐさ、細やかな心情が、作者の緻密な描写によりあざやかに、 そして生々しく浮かび上がってくる。初めて知る母というひとりの女性の生きざまを目の当たりに した彰之の心理描写も見事だ。密度の濃い内容で読むのにかなり時間がかかったが、とても 印象深い作品だった。 | ||||
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文章の構成や描写は高村薫のものなのに、取り上げたテーマ自体が「高村薫」らしくなかった。それはまあ、私が高村薫に対して期待していた類の小説ではなかったというべきだけれど。正直、主人公の誰にも興味がもてなかった。次回作に期待します。 | ||||
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