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コレクター
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【この小説が収録されている参考書籍】
コレクターの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.25pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全8件 1~8 1/1ページ
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技術屋ファウルズの力量に感服した小説である。 前半はストーカー青年の生い立ちや日常、ふとしたことから犯罪に走るまでをえがいている。 これが上手い。ストーカーのある程度社会に馴染めてはいるがやはり変、という人物造形が極めて巧みで小説に圧倒的な説得力を与えている。後半もいい。囚われの女子学生の日記描写でありふれた観念論や常識が披瀝される。前半と後半との対比が極めてヴィヴィドなため犯人の異常性と常識の混淆が更に際立つようにできている。イギリス階級社会の上流と下流の対比にもなっているのはお見事だろう。 変に恐怖感を煽ることもせず、淡々と筋が運ばれているのも却って犯人の不気味さを浮き彫りにしている。 ストーカーをお題に小説を書け、なんて作文テストがあればこれが見事な模範解答だろう。 ファウルズの他の作品を読んでみようと思ったのはこの作品のせいである。 | ||||
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ジョン・ファウルズはオックスフォード大学卒業後、フランスとギリシャで4年ほど英語を教え、ロンドンに戻ってからも10年ほど外国人相手に英語教師をしながら小説を書き続け、1963年に本書『コレクター』を発表しました。25歳の男が20歳の女性を誘拐、監禁し、2カ月ほどのちに病死させてしまうストーリーです。この犯罪の背景には階級社会であるイギリスにあって、当時の新興階級に属する者のひがみにも似た思いがあります。誘拐される美術学校生ミランダは上流階級の出身ながら、原水爆禁止運動に共鳴する進歩的な女性。作品の半分はミランダが監禁中に書いた日記からなり、そこに1960年前後の若い女性の考えが記されています。本書はウィリアム・ワイラー監督によって映画化されましたが、日記の部分は全て削除されていました。評価の別れれるところでしょうが、映画『コレクター』はそれ故に男の不気味さを露にすることに成功しています。小説は小説、映画は映画と割り切るしかないでしょう。 | ||||
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ジョン・ファウルズはオックスフォード大学卒業後、フランスとギリシャで4年ほど英語を教え、ロンドンに戻ってからも10年ほど外国人を相手に英語教師をしながら小説を書き続け、1963年に本書『コレクター』を発表しました。25歳の男が20歳の女性を誘拐、監禁し、2カ月ほどのちに病死させてしまうというストーリーです。この犯罪の背景には階級社会であるイギリスにあって、当時の新興階級に属する者のひがみにも似た思いがあります。誘拐される美術学校生ミランダは上流階級の出身ながら、保守的ではなく、21歳年上の男に恋し、原水爆禁止運動に共鳴する進歩的な女性。作品の半分はミランダが監禁中に書いた日記からなり、そこに60年前後の若い女性の考えが記されています。本書はウィリアム・ワイラーによって映画化されましたが、日記の部分は削除されていました。本書と映画のどちらを評価するかは難しいところでしょう。 | ||||
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主な登場人物は二人。 孤独な若い男フレデリック(収集家)と社交的な若い女ミランダ。 フレデリックは憧れの女ミランダを誘拐し、自分の家に軟禁する。 彼はなぜかミランダを軟禁し続ければ、彼女が彼を愛するようになると思い込んでいる。 やがて拒絶一辺倒だったミランダにも少しずつ変化が… この本に出会った高校生の時はすでに似たようなネタを漫画等で 散々見ていましたが、ずいぶんと感銘を受けたものでした。 そして、今でも妙に心に残る小説です。 こういう不器用で捻じ曲がった男の、彼なりにまっすぐな純愛話というのは、 特定の男にはやたらと需要があると思います。 僕自身もそういう男ですが、さすがに成人してから読むと、 結末はともかく、不幸な男に簡単に哀れみの情を抱くミランダの反応が、 どうも都合が良すぎるような。 その二人の関係以外にも、見所がありますし作品全体としてはすばらしいと思います。 繰り返しになりますが、妙に心に残る小説です。 | ||||
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主な登場人物は二人。 孤独な若い男フレデリック(収集家)と社交的な若い女ミランダ。 フレデリックは憧れの女ミランダを誘拐し、自分の家に軟禁する。 彼はなぜかミランダを軟禁し続ければ、彼女が彼を愛するようになると思い込んでいる。 やがて拒絶一辺倒だったミランダにも少しずつ変化が訪れます。 下巻には上巻のようなスピーディーな展開はないものの非常に読ませる内容です。 繰り返しになりますが、妙に心に残る小説です。 | ||||
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昔図書館で読んで、どうしてももう一度読みたかった作品。 最初読んだときは、なんだこの結末は?と納得できなかった。 でもだからこそ心に刺さる。そういう魔力をもっている。 少女を監禁する主人公は空っぽで、こっけいで、せつない。 彼の狂気は、資本主義に翻弄され、牙を抜かれた、ロボットのような私たち自身の行き場の無い狂気でもある。 彼を気持ち悪いと思った人は、自分自身がそうだからだ。 この小説はサスペンスではない。純文学だ。 | ||||
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この本は監禁者であるクレッグと被害者であるミランダの二人の視点で語られている。読者はクレッグの醜さから目をそむけ、ミランダに感情移入するかもしれない。自分は監禁をするような人間ではないと。しかしミランダのクレッグに対する批判を読み進めていくうちに自分の中にもクレッグ的な要素があることに気付かされる。クレッグの悪とミランダの善(それはまだまだ不完全ではあるけれども)は共に作者ファウルズの中にある二面性であり、私達の二面性でもある。 | ||||
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わたしがこの本を最初に読んだのは高校の時でしたが・・ その後何百回読んだかわかりません。 どうやってこのように人の、静かな狂気、というのか、 それを見事に表現できるのか・・・ただただ驚嘆です。 | ||||
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