マゴット
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最初の章(便宜上)の風景や背景、 各キャラの容姿服装、 建物内の調度品等の描写は細かく、 かなりしっかりしており、 その時代に馴染みのない自分にもリアリティを感じます。 また、メッセージ性として (比較的判りやすい言い方をすると) ・アンチ男尊女卑 ・アンチレッテル張り ・アンチ決めつけ さらに、それらに付随する様な形で、 男尊女卑やレッテル張りを、神や信仰心の名において正当化する事へのアンチテーゼも、 感じられます。 本書が書かれた時代を鑑みますと、この辺り特に真摯な点。 と、上記の様に、描写力やメッセージ性には好感持てますし尊敬ですが。 とにかく文章が長い。 冗長さこそ感じなかったものの、 全体的な尺がかなり長い。 それも、芥川龍之介氏の藪の中的パートにかなりの尺があるので、 (こちらで他の方も書かれてますが、自分にも藪の中に構成がそっくりに感じられた箇所が。 いい意味でも悪い意味でもなくて、 単に方向性として。 その結果としての感想はまた別) 話の進みも遅い。 町田さわ子さんなら途中か序盤で読了諦めてそうなレベル。 作者自身の後書きとか読むと、 色々思うところあって、 こういう形式にした様ですが、 テーマがいくら誠実でも、 あまり長いと読後にメインで残るのは徒労感なので、 もう少しコンパクトにまとめて欲しかった。 後半は読み飛ばし気味。 あと、新聞記事の年表パートみたいな箇所。 ハードカバーなのに字がかなり小さくて読みづらい。 演出の為かもしれませんが、 そこら辺も普通の文字サイズがよかったです。 | ||||
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(ネタバレしています) イギリス南西部を馬で旅する一行に起こった不可解な出来事を解明していくのだが、全編の大半が供述調書のやりとりのQ&Aだけでなりたっている。そのため冒頭の地の文章以外は客観性が保証されない。登場人物の属性や事件の様相が二転三転し、物語もミステリー→オカルト→SF→宗教小説と変遷していく。大部な小説ではあるが、展開のゆくえに引かれて、一気に読み進んだ。 「コレクター」も加害者と被害者おのおのの手記を並置することで価値観を相対化していたし、「魔術師」はそれこそあらゆるジャンルを凌駕するような究極の小説(私見です。私のオールタイムベスト)だった。 どうやらこの「マゴット」が生前残した最後の長編小説のようだが、ファウルズらしさは多々あるものの、そのキリスト教史観に基づく問答になじみがなく、消化不良のまま読み終えた。エピローグで作者の心情の一端は吐露されているが、(晩年に「西方の人」を残した芥川龍之介の如く)何か宗教的な啓示でもあったのだろうか。 | ||||
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ある旅の一団がさる町に到着するが、不可解な事態が続発し・・・というお話。 時代設定、起こる事象、登場人物等を見て、更に読み進むと19世紀かどこかの昔を舞台にした歴史裁判小説に思えますが、最後の方まで行くと・・・。 以下は読むと興を削ぐかもしれないので、本書を読了後読んでもらいたいです。 最後に至ってこの小説がキリスト教を再興したアン・リーという人の出自を作者が想像力と創造力を駆使して独自に小説に昇華した奇態な物語であることが判明します。つまり、本書は実質は宗教小説で、著者の考えを具象化するためにあらゆる小説の枠組みを使って歴史を修正主義的に再構築したメタ・フィクションであることが明らかになります。なので、普通の歴史小説や時代ミステリを期待すると唖然とさせられますが、どういう訳か読了後あまり怒ったりせずに、その著者ファウルズの奔放な思索力、機知に圧倒されること請け合いの、あまり類書のない独創的な小説を読んだ気になって一種の感銘を受けました(人によっては怒るかもしれませんが)。 という訳でこの小説を読むに当たって普通の歴史小説を期待すると肩すかしを喰う可能性がありますが、ここは一つ、あまり類例のない最近の言葉で言えばスプロール・フィクションやストレンジ・フィクションを読んだということで得した気分になるのが正解だと考えますが、どうでしょうか? まぁ、かなり判読しずらい部分も散見されますが、文章(と訳)が巧い為最後まで楽しく読めます。私も実をいうと本書を読了後、若島教授の「殺しの時間」に書いてある本書の評論を読んで、やっと本書の全体像が把握できました。ファウルズは名前は知っていて興味があったのですが、ずっとスルーしていたので、反省してこれから全部読みます。機会があったらご一読を。 | ||||
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映画「コレクター」の原作者ジョン・ファウルズの大作であります。もっと知られていてもいいはずなのになぜかあまり人気がないようです。あらすじはいうと、芥川の「藪の中」を思い出して頂くとよいでしょう。これが18世紀イギリスにおいて展開されるわけです。ある高名な貴族の子弟の神隠しという謎に様々な証言・当時の新聞記事などからじわじわと真相に迫るミステリ仕立てとなっています。中井英夫の『虚無への供物』などが好きな人にはお勧めしたい。途中SF的ひねりがあったりして、形式はいかにも「ポストモダン」といった風ですが、それよりも読後にズウンとくる倫理感みたいなものが印象的です。著者の思想的背景にある実存主義の影が感ぜられましょう。「真実」の解釈は人それぞれでしょう。私は(宗教に縁遠いとはいえ)、主人公であるシェーカー派の開祖アン・リーの母の姿に宗教心の何たるかを見た気がしました。邦訳は手に入りにくいですが他の作品もお勧めします。 | ||||
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